ハイスクールD×D 気弱なイッセー   作:kue

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Life63

途中襲いかかってきたアンチモンスター達は九重に炎を借りて

一気に葬りながら進んでいくと二条城の東大手門前で皆と合流できた。

良かった、皆も無事みたいだった。

「これで揃ったね」

そんなことを言っていると目の前の大きな門が鈍い音をたてて独りでに開いた。

「どうやら向こうはこちらを招待しているらしい」

木場君は苦笑いしながらそう言った。

「行こう」

僕たちは櫓門という門をくぐった。

門をくぐりぬけ、道を進んでいきたどり着いたのは古い日本家屋が建ち並ぶ場所だった。

「やあ、バランスブレイク使いを全員無傷で

倒すなんてね。やはり君達は異常な強さだよ」

英雄派の気配を探している僕たちに声が投げかけられた。

庭園に曹操の姿を見つけた。そして家屋から構成員も何人か出てきた。

「母上!」

そのなかに九重の母親の姿もあった。

何かの魔法で意識を奪われているのか虚ろな目をしていた。

あの人が九重の御母さん……綺麗だ。でも、その美しさもあいつらのせいで台無しだ。

「さあ、実験を始めよう」

曹操が槍の石突きでトンと石床を叩いた。

「う、ううわぁぁぁぁぁぁ!」

突然、八坂姫が叫びだし巨大な金色の姿へと姿を変えた。

これが伝説の妖怪! 九尾か!

「俺達は今日ここで! 京都と九尾を使ってグレートレッドを呼び寄せる!」

曹操がそう高らかに宣言した。

「そんなことは今どうでも良いよ」

「ん?」

僕の言う事に曹操が首を傾げる。

「今、僕たちの目的は八坂姫を助け出すこと。姫を助け出したらそれで

君たちの計画は潰れる……お前達の運命は僕らが決める!」

「定められるほどよわっちくはないさ」

皆それぞれの得物を敵に向ける。

「行くぜ。ヴリトラ・プロモーション!」

匙君が叫ぶと同時に彼の全身から黒い炎が溢れ出して、

彼を包み込みその形を変えていき、巨大なヴリトラとなった。

その瞬間!

いきなり、聖なる光でできた巨大な刃が英雄派に振るわれ巨大な爆発を起こした。

隣を見れば改良されたデュランダルをすでに鞘から抜いて振った後のゼノヴィアさんがいた。

「うん、こいつをエクス・デュランダルと名付けよう。

まだまだ難しいな。目標はイッセーのドラゴンショットなんだが」

正直それは反則スタートだよ。

「だがこんなもので死ぬ奴らじゃないな」

英雄派のメンバーが無傷で立っていて、彼らの周りには薄い霧がたちこもっていた。

あれで防いだのか。

「いや~いいね♪君達はすでに上級悪魔の中堅クラス……いや

上位クラスの力を持っている」

その横でジークフリートが苦笑いしながら呟き始めた。

「古い慣習に縛られ下から迫ってくる者達が見えなかった。

シャルバはそんな事で無駄に重傷を負ったんだね」

「まあ、バカは忘れよう」

曹操が再びトンと石突きで地面を叩くと九尾が輝き始めた。

「さあ、実験を始めようか……ゲオルク!」

曹操の一言にゲオルクと呼ばれた青年が腕を突き出し辺りに膨大な数の魔法陣を呼び出した。

「北欧式、堕天使式、その他多数。かなりの強者ですね」

あのロスヴェイセさんが言うんだから彼は凄いんだろう。

でも、僕の相手は曹操……相手は最強のセイグリッドギアを持っている。

気合いを入れないと殺される。

僕は大きく深呼吸して気持ちを落ち着かせ、震える体を落ち着かせた。

「さてと、ゲオルクがやっている間に俺は赤龍帝との決着をつけよう」

「じゃあ僕は剣士二人」

「じゃあ私は天使ちゃん!」

「俺は銀髪の姉ちゃん!」

それぞれの相手が決まった。

イリナちゃんは女性と、ロスヴェイセさんはガタイが大きい男性と、

木場君とゼノヴィアさんはジークフリートと、それぞれ別の場所で戦い始めた。

辺りで刀がぶつかり合う音や爆音、さらには光の力も視界の端に見える。

匙君も九尾と戦闘を開始した。

「さあ、赤龍帝。昼間の続きだ」

『Boost!』

「アーシアさん、九重と一緒にもっと後ろに」

「は、はい!」

アーシアさんは九重の手を取り急いで僕から離れた。

お互いに睨みあって動かない。そんな時間が数分…いや、数秒かもしれない。

お互いに一気に走りだし籠手と槍をぶつけた!

「はははは! 凄いね! 魔の波動がピリピリ伝わってくる!」

「そっちの聖なる波動も凄いよ!」

僕は至近距離からドラゴンショットを放つけど曹操は首を傾けて

それらをかわすと槍を横なぎに振るってきた!

「くっ!」

籠手と槍のぶつかり合う音が辺りに響いた。

「そらそらそら!」

何連続も放ってくる突きを僕は籠手でいなしていく。

そして隙を見てドラゴンの腕を伸ばす!

「っっ! そうだ、君の両腕は武器だったっけ? でも、使っていいのかな?」

『壊せ!』

曹操と闘っていると頭に中に歴代所有者たちの怨念に満ちた声が響いてきた。

僕は頭を振って意識を目の前の敵に集中した。

 

 

 

 

 

「悪いけど君は僕の力で倒す」

「はは! やってみるといいよ!」

『Boost!』

僕の魔力は幾度もの倍加で凄まじいほどの量にまで膨れ上がっていた。

「桜吹雪!」

僕は籠手から巨大なドラゴンショットを何発も連射していった。

「当たらなければ無問題だ!」

曹操は右往左往、自由自在に動き回りドラゴンショットを避けていく。

それを僕は操作しながら追尾していく。その間にも連射は止めない。

いくつか、地面に当ててしまったけどまだ大部分は生きている。

そろそろかな?

「どうした!? もうお終いか?」

「お終いは君だ!」

「っ!」

両手を合わせると今まで放っていた小さな魔力弾が合体していき、

何個もの特大ドラゴンショットが曹操めがけて一気に向かっていった。

曹操は避けようとするけど一つ一つがあまりに大きなもので安全空間は潰れていた。

そして、凄まじい爆音と爆風が目の前から放たれた。

「ふぅ、どうだ!」

爆煙が立ち込める。

その時だった。

「痛!」

爆煙にまぎれて伸びた槍の先端が僕の方を貫いた。

ヤ……バイ……意識…が

「イッセーさん!」

 

 

 

 

 

「ハァっ………ハァッ」

アーシアさんが回復の波動を飛ばしてくれたお陰でどうにか持ちこたえれた。

でも聖なる物での傷だからそう簡単にはふさがらないので僕は先生から預かった

フェニックスの涙を取り出して傷口にかけるとすぐに傷口が塞がった。

「いや~危なかった。死にかけたのはお互い様のようだね」

僕は曹操の言ったことに驚きを隠せないでいた。

っ! し、死にかけてた!? あ、あの感覚が!?

『相棒! 考えるな! 余計恐怖が増すぞ!』

む、無理だよドライグ。か、体が震えてる!

『Reset』

そんな音声を出して籠手が消えてしまい、

あれほどあった魔力が一瞬にして消えてしまった。

「あれ? もう終わった感じ?」

「俺がこいつとすれば良かったな」

「君程度じゃあっという間に死ぬさ」

「っ! み、皆!」

傷だらけの皆が地面に放り投げられた。

皆ひどい傷だ。

『オォォォォンン!』

「っ!? さ、匙君!」

向こうには九尾の尻尾で首を絞められ苦しそうに叫んでいるヴリトラがいた。

ど、どうにかしないと! 僕はキングで! そ、それで!

えっと、この状況を打破するには! え、えっと!

いろんな策が出てきては消え、出てきては消え。その繰り返しだった。

体はさっきの死の恐怖で振るいあがっていた。

立つので精一杯なくらいだ。

その時だった。

『覇龍で奴らを潰せ!』

「あぐぁ!」

頭に中に今までの中で一番、強く怨念が聞こえてきた。

ヤ、ヤバイ! い、意識が!

「ん? なんだなんだ?」

「報告を見てなかったのか? ヘラクレス。

今彼は力をうまく制御できていないらしい」

「え~? じゃあ、強いって噂のバランスブレイク見れないの~?」

「ああぁぁぁぁぁ!」

ヤ、ヤバイ!こ、こんな所で暴走なんかできない!

僕は必死に意識を保とうとするけど余計に侵食されていく。

「んじゃもう終わりね♪」

そう言ってジークフリートとヘラクレス、ジャンヌは後ろを振り向き

怪獣ショーを呑気に眺めていた。

「おぉぉぉおぉおぉぉぉぉぉぉぉお!」

…………。

その叫びを最後に僕は意識を失った。

 

 

 

 

 

 

『覇龍を使え』

『そうすれば奴らを潰せる』

歴代所有者達が僕に近づいてくる。

逃げようと思っても体は逆に彼らに近づいている。

『イッセー! そっちに行っちゃダメよ!』

エルシャさん……何が何だか分からないんですよ。

僕は彼女の声を無視して彼らに近づいていく。

一歩、また一歩歩みを進めるたびに覇龍の力が僕の中で大きくなっていく。

そして、今にも僕が彼らに合流しようとした瞬間!

誰かに抱きかかえられて後ろに持っていかれた。

『ベルザード……』

エルシャさんが呟いた。

……この人が最強の赤龍帝。

表情は若干見えるけど意識は無くなりかけている。

『イッセー、貴方は今乗り越えないといけない壁が前にあるわ』

「壁?」

『それは貴方が彼女に……リアス・グレモリーに抱いている感情を理解することよ』

「僕が……部長に抱いている感情?」

……分からない。

リアス・グレモリー――――――その名を聞くだけで僕の頭に中にあの人の笑顔が浮かんできた。

分からないよ! なんで! なんで部長の名前を出されるだけであの人の

笑顔が頭に浮かんでくるんだよ!

なんでこんなにも会いたいって思うんだよ!

僕は訳が分からず泣き出してしまった。

「分からない、分からないんです」

『……それはね、イッセー。恋っていうの』

「恋? ……僕が部長に恋をしている?」

エルシャさんに言われた瞬間、今までの部長との記憶が脳裏によぎった。

部長の笑顔、泣き顔、怒った顔、悲しそうな顔。

それら全てが僕の中で大きなものに変わっていった。

「あはははははははは!」

いきなり僕は笑いだしてしまった。

「そっか……これが恋っていう感情ですか」

僕の中にポッカリと空いていた穴に上手く、何かがはまり込んだ感じがした。

『そうよ。愛は時に大きな壁を乗り越えるカギになることだってあるわ』

エルシャさん……え!? か、体が!

エルシャさんとベルザードさんの体が徐々に光の粒子となって消え始めた。

『っ! ……そろそろ限界みたい』

ど、どういうこと!? 限界ってなんなの!?

『エルシャとベルザードの意識がもうこの神器にいられなくなったんだ』

「ねえ、なんとか伸ばせないの!?まだ僕は二人に教えてほしいことが!」

『イッセー!』

「っ!」

いきなりエルシャさんが怒鳴り声をあげた。

『いつまでも甘えないの! 私達が消えても私達の想いはその神器にあるわ!』

徐々に消えていく二人。

僕は流れてくる涙を手で拭った。

「はい! もう僕は泣きません! 貴方達を超えて最強になります!」

『うん、それで良いわ、イッセー……これは私たちからの贈り物よ』

エルシャさんは僕の手を優しく握り、優しい微笑みを浮かべて消えていった。

……体から力が溢れてくる。エルシャさん、ベルザードさんの力が僕に

勇気を与えてくれる!

「僕はもう泣かない……行こう、ドライグ。皆を助けて……帰るんだ。部長のもとに!」

『ああ、お前が最強になるまで俺は力を貸そう』

行くんだ! 最強に!




えっと、今回の話でイッセーが成長……したっぽい。
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