あれから気を失った僕はドライグがアザゼル先生に宝玉を通して
SOSを出してくれたお陰で何とか無事だった。
今、僕はアザゼル先生の肩を借りてベッドに横たわっていた。
「すみません。ご迷惑をおかけして」
「いや、もとはといえば俺の責任だ。俺の目が行きとどいていなかった」
「そんなことありませんよ。ただ僕が弱いだけです」
「……」
それからアザゼル先生は僕が寝付くまで傍にいると言って下さったけど
それは低調にお断りした。
どう見ても僕が眠れるはずがないからである。
その翌日の放課後、サイラオーグさんとのゲームについてのミーティングが行われた。
体調も完全に回復したとは言えないけど昨日よりかはまだマシな方なので
ミーティングに参加した。
「お前ら、向こうの卷属のデータは覚えたな?」
無論だ。僕たちは何度もビデオを見直して荒方の能力は頭にぶち込んだ。
でも一つだけ気になるところがある。
「……このポーンだけ戦闘に参加していませんね」
険しい表情でロスヴェイセさんがそう呟いた。
「……そいつは滅多な事がない限り向こうも使わないそうだ。
ポーンの駒を六つか七つ消費していると聞いている」
皆が同時に驚いた。
僕で八つ消費している。
つまりそ七つか八つも駒を消費するほどの潜在能力を秘めているのか、
それとも相当の実力を持っているからなのかになる。
「データがそろっていない以上最新の注意を払っていけ。特にイッセー、お前だ」
え? ぼ、僕ですか?
「お前はこの卷属内で最も力を持っていると言っても過言ではない。
恐らくあいつがポーンを使うとしたらお前にだ」
ぼ、僕に……か……こんな状態で勝てるんだろうか。
今話を聞いている最中でさえ猛烈な眠気が僕を襲っている。
何回転寝仕掛けたか…でもそのたびにあいつの声が聞こえてくる。
そのままミーティングは続けられその日の戦略なんかを伝えてくれた。
ミーティングも終えた放課後、僕たちは部室に残っていた。
……ふと部長を見る。
部長はミーティングで使用した資料に目を通している。
あれから一言も言葉をかわしていない。
というよりも僕の方があの人を避けているのかもしれない。
すると見覚えのある魔法陣が現れた。
「……フェニックス」
あっ! そうだ!
小猫ちゃんのつぶやきを聞いてようやく僕は思いだした。
テーブルのサイズに収まるくらいだから連絡用か。
そして魔法陣に女性の顔が映し出された瞬間、レイヴェルさんが
素っ頓狂な声を上げた。
「お母様!」
『ごきげんようレイヴェル、そして赤龍帝殿。今は学校ですよね?』
「あ、はい」
『リアスさんはいらっしゃるかしら?』
「ごきげんよう、おばさま」
『ええ、ごきげんよう。レイヴェルがそちらにホームステイさせて
いただいてるものですからせめて挨拶の一つくらいはと思いましてね』
……本当にこの人ライザーさんのお母様?
めちゃくちゃ礼儀正しいじゃん。
『レイヴェル、貴方はホームステイさせていただいている身
なのですからキチンとリアスさんをたて、迷惑をかけないでいるのよ?』
「もちろんですわ!」
『それが聞けただけで満足ですわ……あ、そう言えばイッセーさん』
突然、僕の名前が呼ばれた。
「あ、はい」
『確か貴方は最強になられるのが目標だとか』
「え、ええまあ」
『最強になるという事はいずれ上級悪魔になられるのですよね?』
……んまあそうなるかな。
「はい」
『でしたら、今はレイヴェルは私の僧侶ビショップですの。
イッセーさんが上級悪魔になられた時はぜひ!ぜひレイヴェルを卷属に』
「あ、は、はい」
余りの気迫に僕はタジタジになっていた。
『ふふふ、それでは』
そう言って魔法陣は消滅した。
「ねえ、イッセー」
「はい?」
……数日ぶりの部長との会話だ。
皆、周りで聞き耳を立てている。
「貴方は…私を護ってくれる?」
「はい!勿論です!部長は僕がずっと御守り致します!」
「朱乃も?小猫も?」
……どうしたんだろう部長。
「はい!勿論です!み~んな僕が護ります!」
それを言うと部長は一層悲しそうな表情をした。
な、なんで?
「ねえ、あなたにとって……私は何?」
「え? 部長は部長で僕の」
「――――――――バカッ!」
「んぎゃ!」
僕は不意に部長のビンタをもろに喰らったのと最近の寝不足の
所為でうまく力が入らないの二つが重なりこけてしまった。
「お姉様! ひどいですイッセーさん!」
え? な、なんで?
「何でもっと部長さんの事を分かってられないんですか!」
なんでアーシアさんは僕をそんな目で見るの?
ねえ、なんで?
アーシアさんはそのまま部長が走っていった方向へ向かった。
「今のはまずいよ、イッセー君」
なんで? なんで木場君まで僕を責めるの?
ねえ、なんでみんな僕をそんな目で見るの?
他の部員も部長を追いかけていった。
僕は今一人部室で横になっていた。
あれから、1時間くらい経ったけど一向に女性人達は帰ってこない。
木場君とギャスパーくんは買い出しに行ってる。
「部長……なんで」
好きなのに…なんで好きな人に僕は怒られたんだろ。
よくよく考えてみれば僕は部長が好きだ。
でもそれはあくまで僕⇒部長という構図であって
部長⇒僕という構図ができていないことだってある。
もしかして部長は僕のこと嫌い?
で、でも……部長は僕にキスもしてくれるし手もつないでくれるし……
で、でもそれはペットというか可愛い下僕に対しての愛であって。
「分からない……なんで部長は」
「男の方から見ればそうなりますわね」
「朱乃さん!」
その後ろには小猫ちゃんとアーシアさんも立っている。
『壊せ! あの者たちを覇龍で壊せ!』
っ! や、ヤバい! また暴走しそうだ!
ひと先ず僕は慌てて二人から離れようとするけど3人は僕を無理やり掴むと
ソファに押し付けた。
「アザゼル先生から聞きました。最近イッセー君はあるトラウマで苦しんでるって」
「レイナーレの事ですよね?」
っ! その名を聞いたとたんに僕の額から嫌な汗が流れてきた。
「……それに歴代所有者たちの声にも苦しんでるって」
「私達は貴方を理解しようとはしていませんでした」
すると急に朱乃さんが僕の上の服を脱がしてきた。
「今ここで龍の力を抜きますわね」
「……仙術で生命力を回復させます」
朱乃さんは横から、小猫ちゃんは前から抱きついて僕を癒し始め、アーシアさんは
ただただ僕に後ろから抱きついていた。
「時々貴方は私たちを怯えたような眼で見るんです」
「最初は気のせいだと思っていましたが段々それが多くなってきていて」
「朱乃さん、アーシアさん……あぐぁ!」
ヤ、ヤバイ!
二人に密着されてるせいかいつもよりも声が大きく聞こえてくる!
「ふ、二人とも……離れ」
「離れません」
「……私もです」
「私もです!」
な、なんで! そんな事したら3人は!
でも、3人は僕をぎゅっと掴んだまま離そうとはしなかった。
「……兵藤先輩が暴走しても私達が止めます」
「貴方がレイナーレにまだ苦しめられているというなら私達は
貴方を少しでも楽になるようにします」
「朱乃さん……小猫ちゃん……アーシアさん」
いつの間にか僕の両目からは涙が溢れ出してきていて流れていた。
「怖いんです……僕なんかが朱乃さん達みたいに美人な人と一緒
にいていいのかって! また裏切られるのが怖いんです!」
だから僕は無意識のうちに部長に近づこうとせずに遠ざかっていた。
「もう大丈夫ですよ。貴方の苦しみは私達が受け止めます」
「うあぁぁ! あぁぁぁぁぁぁぁぁん!」
僕は声を大にして泣き叫んだ。
嬉しかった。
こんなにも僕の事を想ってくれるなんて。
僕はそのまま泣きつづけ、泣きに泣きつづけ数日ぶりの眠りに落ちた。
どうも、こんばんわ!
本当に……僕って上に凸の二次関数ですよ。最初は上がるけど
最後らへんは落ちる……あ、これ評価のことですよ。それでは!