フィールドに立ったのはこちらが木場君、
あちらは馬に乗り兜を着こんだナイトだった。
『私は主君、サイラオーグ・バアル様に仕えるナイトが一人。
ベルーガ・フールカス! 名高き聖魔剣、木場祐斗と剣を交える機会をもらい
冥土冥利に尽きる!』
『こちらも貴殿との戦いが楽しみです』
木場君も笑みを浮かべて相手にそう返す。
なんだか初戦から凄いことになりそうだ。
『第一試合開始してください!』
そう言われた瞬間2人の姿が一瞬消えたかと思えば剣と剣がぶつかり合う音が
聞こえ、さらに地面には大きな穴や小さな穴が次々と開いていく。
2人は高速で移動しながら斬り合っている。
『我がアルトブラウの神速と互角とは!』
『ふふ、僕の同僚に神速を優に超える人がいるんだ。
早く動いてないと気付いたら倒されてるからね!』
お互い高速で移動しながら斬り合いをしていく。
でも、徐々に木場君の動きが最初と比べて遅くなっている。
多分足に負担がかかっているんだ!
『……あまり初戦では見せたくはなかったんだけどね』
お! もしかしてあれを使う気なの!?
『バランスブレイク!』
聖魔剣とは違うオーラが辺りに漂い地面から刀が生まれ、
そして甲冑を着こんだ異形を創り出していく。
その姿はまるで騎士の様だった。
『バ、バカな! ソードオブビトレイヤーではないだと!?』
『これが彼との特訓で編み出した別の可能性、
グローリィ・ドラグ・トルーパーです。これに
至るまでに何回死を覚悟したことか』
あの騎士が持っている剣は聖剣。木場君曰く、聖魔剣を作れるように
なった時からすでに聖剣も作れるようになっていたらしく、あれは
そのバランスブレイクらしい。
『行きますよフールカス殿!』
木場君が動くと同時に騎士団もフールカスさんに向かって進撃を開始した。
『くっ! こんな所で負けるわけにはいかん!』
フールカスさんも青い馬の腹を蹴り幻影を生み出し突撃していった!
幻影が騎士とぶつかりあい、その中をフールカスさんと木場君が駆け抜けていき、
槍と木場君の剣がぶつかり合った!
鳴り響くひと振りの金属音。
木場君とフールカスさんは高速の一閃を交えた。
一泊空け……フールカスさんが光に包まれていく。
『……見事だ』
フールカスさんはリタイヤの光に包まれ転移した。
『サイラオーグ・バアル選手のナイト一名リタイアです』
僕らは初戦を勝利でおさめた!
木場君が魔法陣で帰ってくるとともに外部からもフィールド
が見えるようになり再びダイスを振る時間がやってきた。
再び両チームのキングがダイスを振る……出た目は6と4。
『出た目の合計は10でございます!』
「手堅くいきましょう。小猫、ロスヴェイセ。お願い」
おぉ! 珍しいダブルルークだ!
今度のフィールドは神殿みたいなところだった。
相手は軽鎧に剣を携えた金髪優男、そして三メートルはある巨人だった。
『俺はナイトのリーバン・クロセル。
こっちのでかいのはガンドマ・バラム』
『第二試合開始してください!』
『……相手が相手なので最初から全力です』
小猫ちゃんは全身に闘気を纏い同時に猫耳を出し尻尾を出すが
尻尾は二つに分かれていた。
あれが特訓の末編み出した猫又モード2!
「ふん!」
小猫ちゃんの拳が巨人の顔を捕える……でも、巨人は痛みに顔をゆがめることなく
すぐさま小猫ちゃんに反撃をするが小猫ちゃんがその場から飛び退いたことで
反撃を受けることはなかった。
ルークの特性が高いんだ!
『……ぬぅぅん!』
ブゥゥゥンンと、ここからでも聞こえるくらい空気が揺れていた。
小猫ちゃんはそれを素早く避けると後衛のロスヴェイセさんが魔法攻撃を食らわす。
それを受けても巨人はほとんど無傷な状態だった!
『魔法に対する防御も高い! 最近こんな相手ばかりです』
ヘラクレスの事を言っているのかな。
直後、突然ロスヴェイセさんの姿が歪んだ。
映像の映りが悪い? いや違う! ロスヴェイセさんが地面に押し付けられている!
『隙ありだよお姉さん!』
リーバン・クロセルの両目が怪しく光っていた。
『……重力の能力』
『プラス凍らせる!』
ロスヴェイセさんの足もとが氷に包まれた。
『能力はセイグリッドギアだ。魔眼の生む枷』
「あれは彼の視界に入っていればずっと能力が発動するわ! 気をつけて!」
部長がイヤホンに向かって叫んでいた。
その横でバラムの攻撃を避けながら小猫ちゃんは仙術パンチを食らわしていた。
『分かっています! 視界を媒介にする能力は弱点も分かります!』
ロスヴェイセさんは重力で震える手元に魔法陣を展開した瞬間、魔法陣から
閃光が放たれて、辺りを包んだ。
『甘いぜ! お姉さん! 鏡よ!』
魔法陣から大きな鏡が現れた!
ロスヴェイセさんの攻撃は読まれていた?
いや違う! 鏡に当たった閃光はバラムに当たり
ロスヴェイセさんと位置が入れ替わっていた!
『小猫さん! 攻撃は通ってますか!?』
『はい、もう十分です!』
『よし! 喰らいなさいフルバースト!』
ロスヴェイセさんの前方に魔法陣が幾重にも展開され次の瞬間
お得意のフルバーストが二人に向かって放たれ大爆発を起こした。
爆煙が晴れ横たわっていたのは……クロセルだった。
え? クロセルだけ?
そう思った瞬間だった。
小猫ちゃんとロスヴェイセさんが重力にとらわれ
その隣から大きな拳が小猫ちゃんに刺さった。
『ヌゥゥゥゥン!』
……僕はその光景に瞑目した。
三人がリタイヤの光に包まれた。
『サイラオーグ・バアル選手のナイト、ルーク各一名。
リアス・グレモリー選手のルーク一名、リタイア』
「冷静だねイッセー君は」
木場君……違うよ。
「この感情は後で爆発させる。もしかしたらフィールド壊しちゃうかも」
僕は笑顔で言ったけど少し木場君の顔はひきつっていた。
両キングがダイスを振り出た目の合計は8。
僕も出られる数だ。
「俺はビショップのコリアナ・アンドレアルフスを出す」
作戦タイムに移ろうとした時だった。
サイラオーグさんが出す選手を宣言した。
『こ、これは宣言でしょうか。サイラオーグ選手理由は?』
「赤龍帝と戦いと言っているんだ」
へぇ~。面白いね、僕もやりたいな。
「……イッセー、行ってきなさい」
「…はい」
僕は転移魔法陣に乗ろうとした時だった。
「「「「赤龍帝ー!」」」」
観客席から子供たちの声援が聞こえてきた。
ふふ、ありがと。僕は魔法陣に乗り転移した。
転移した先はお花畑だった。
前方に相手を確認、僕と闘いという人だ。
きっと強いんだろうな……でも、今の僕はもう止まらない!
『第三試合開始してください!』
『Boost!』
「プロモーション、ナイト。あのコリアナさん」
「何かしら?」
「しっかり防御していてね。今のままじゃ……死ぬからさぁ!」
「っ!」
僕から凄まじい量の魔力が柱となって立ち上った瞬間、
コリアナさんは慌てて防御態勢を取った。
「遅い!」
「かっ、はっ!」
僕の拳がコリアナさんの腹部に突き刺さり彼女は血反吐を吐いて地面に倒れ伏した。
その直後にリタイヤの光に包まれた。
『サイラオーグ・バアル選手のビショップリタイア』
勝負は一分もたたないうちに決まった。