ハイスクールD×D 気弱なイッセー   作:kue

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Life71

「お帰り」

「ただいま」

帰ってきた僕を迎えてくれたのは木場君だった。

相変わらずのスマイルだね。

さて次のダイスだ。

部長がサイコロを振るい、数秒経った後に電子掲示板に数字が発表される……また8か。

連続では出られないから僕の出番はなしだね。

「8か……私がでよう」

今度はゼノヴィアさんが出るみたいだ。

「となると一緒に出るのは祐斗かロスヴェイセね」

「あ、あの僕が出ます。もうゲームも中盤だから何が起こるか分からないですし」

あのギャスパーくんが自分から名乗り出るなんて。

皆驚きすぎて目をぱちくりしてる。

「ええ、頑張ってきなさい!」

こうしてギャスパーくんとゼノヴィアは転移魔法陣に乗って

フィールドに向かった。

 

 

第四試合のフィールドはゴツゴツした岩がたくさんあるところだった。

『第四試合始めて下さい!』

ギャスパーくんは陣地からの部長の指示でコウモリに変化して

相手を撹乱しゼノヴィアがデュランダルで斬っていく。

でも二人とも飛ばされた斬撃をかわして杖をもった僧侶(ビショップ)が炎の

魔法をいくつも飛ばしてきた。

『させません!』

ギャスパーくんの邪眼によって炎の弾が停められた。

『ギャスパーあれをやる!』

『分かりました!』

『ラードラ! サイラオーグ様から指示が届いた! 先に剣士だ!』

『了解!』

指示が届いたのか僧侶(ビショップ)が後ろに下がり、

戦車(ルーク)が全身にオーラを纏わせる。

あのオーラどこか僕に似てるような。

そう思った次の瞬間、いきなりビショップの体が変化をはじめ、

不快音を全身から鳴り響かせながら巨大なドラゴンになった。

ギャスパーくんが必死にドラゴンをゼノヴィアから離そうとしていると

ビショップの持っていた杖が怪しく光りだしゼノヴィアさんを

包んでいき体に不気味な文様が浮かんだ。

『な、なんだこれは……デュランダルが反応しない!』

『トリック・バニッシュ。僕は人間の血も

引いていてね。最近ようやく使えるようになったのさ』

2人に容赦なくドラゴンが襲い掛かる!

ゼノヴィアさんはそのまま攻撃をまともに食らった……

かのように見えたけど小さなコウモリ達が彼女を覆い、攻撃を身代わりに受けた。

そこには誰もおらず、ギャスパーくんが彼女を岩場に避難させていた。

『すまない、ギャスパー。だが私はお荷物になりそうだ』

『そんなことありません! 僕がこの呪いを解きます!』

ギャスパー君はポシェットからチョークやらなんやらを取り出し

ゼノヴィアを中心に何かを書き始めた。

 

 

『この魔法陣にイッセー先輩のこの血をつければ解けます』

『だがギャスパー、これは』

『……その間の時間を僕が稼ぎます!』

『待てギャスパー!』

「無謀よ! 止まりなさい!」

ギャスパー君は部長やゼノヴィアさんの制止を聞かずにそのまま走っていった。

『ヴァンパイアか、剣士をどこかに隠したな?』

『お前達の運命は僕が決めます!』

……ギャスパーくん。

ドラゴンは巨大な炎を吐き、ギャスパーくんはそれに飲み込まれ絶叫した。

『うわぁぁぁぁぁあぁ!』

『ギャスパー! 無理はよせ!』

『まだいけます! うわぁぁぁぁぁぁ!』

ギャスパーくんは悪魔の翼を出しドラゴンの腕にかみついた。

『くっ! いつでも倒せるお前よりもあの剣士を倒さねばならんのだ!』

そう言いドラゴンは空いている腕でギャスパーくんを握り始めた。

『ぎゃぁぁぁぁぁぁぁあ!』

そのままドラゴンは放り捨てるがギャスパーくんはそれでも

相手にしがみ付いた。

『邪魔だ!』

何度、蹴られてもギャスパーくんは離そうとしなかった。

「もうやめて!」

余りの悲惨な光景にアーシアさんは顔をそむけた。

『ギャスパァァァァァァァァ!』

呪いが解けたのかゼノヴィアさんが光り輝くデュランダルを手に立ち上がり

気を失いかけている後輩を抱きかかえてエクス・デュランダルを攻撃モードに切り替えていく。

『させるか! 今度は命を代償に!』

ビショップの意識ごと時間が停まった。

画面の端で倒れているギャスパー君の目が怪しく光っていた。

やった! この土壇場で僕の血を飲まなくてもセイグリッドギアを発動できる

ようになったんだ!

『バカな!』

『消えろ!』

聖なる斬撃が相手を飲み込み大爆発を起こした。

 

 

 

 

 

 

第四試合を終え残っている卷属は僕らが七人、向こうが三人だった。

クイーンと未だに姿を見せない兵士、そして王。

そして何回目かのダイスが振られ出た目の数は9。

クイーンが出られるちょうどの数だ。

「私が行きますわ」

朱乃さん…恐らく向こうも女王の筈だ。

朱乃さんは落ち着いた表情でフィールドに転移した。

『やはり貴方が来ましたか雷光の巫女』

『不束者ですがよろしくお願いしますわ』

『第五試合始めて下さい!』

審判役の始まりの合図とともに朱乃さんが空から相手に向けて雷光を落とす!

当たったと思った雷光は歪んだ空間のなかに吸い込まれていった。

あれがアバドン家のホール。

『ここですわ!』

大質量+幾重もの雷光が相手を襲う!

皆が朱乃さんの勝利を確信した……でも穴が大きくなりさらに

複数の穴が空間に開いていて全てが吸収された。

『私の穴は複数作ることもできれば雷光から雷だけを抜くことも可能です』

ま、まさか!

『光だけお返ししましょう』

穴から光が大量に放出され朱乃さんを飲み込んだ。

 

 

 

 

 

「……ゲームは終盤よ。気を引き締めていくわよ」

部長は自分に言い聞かせるように僕らに言っていた。

朱乃さんを失って僕らは衝撃を受けていた。

でもいつまでもショックを受けている場合じゃない。

ダイスが振られ出た目の数は12。

つまりサイラオーグさんが出られる目という事になる。

「イッセー君」

木場君が僕の肩に手を置いた。

「僕とゼノヴィアとロスヴェイセさんで行く」

……そうかい。

僕が何を言っても君の決意は揺るがないみたいだね。

「祐斗! まさか、あなた」

部長も木場君の真意に気付いたのか詰め寄っていた。

「僕たちでサイラオーグさんを少しでも消耗させます」

ロスヴェイセさんもゼノヴィアさんも頷いていた。

「……また貴方達に教えられたわね。分かったわ、行ってきなさい!」

三人は魔法陣に乗り転移した。

 

 

 

3人がついたのは湖の湖畔だった。

そこに腕を組み、仁王立ちをしたサイラオーグさんが三人を待ち構えていた。

『リアスの案か?』

もう全て見透かしているようだった。

『お前たちでは俺に勝てんぞ?』

『構いません。最高の状態で』

木場君は魔剣を、ゼノヴィアさんはエクス・デュランダルを、そして

ロスヴェイセさんは宙に魔法陣をいくつか展開した。

『彼に届ける!』

『第6試合開始してください!』

刹那、サイラオーグさんの四肢に奇妙な文様が浮かび上がる。

『これは俺を拘束する枷だ。全力でいかせてもらうッ!』

枷が外れた途端、湖が激しく波打ちサイラオーグさんが立っている地面が

ベコンと大きくへこんだ。

『行くぞ!』

走り出したサイラオーグさんの姿が見えなくなる。

『させません!』

ロスヴェイセさんが縦横無尽に魔法陣を展開する!

『あっちです!』

サイラオーグさんの姿を見つけた木場君がロスヴェイセさんに聖魔剣の切っ先を

向けて居場所を教えるとロスヴェイセさんはすべての魔法陣をそちらに向けて

得意のフルバーストを放った。

その先にサイラオーグさんが現れた。

『ふんっ!』

拳を振るい空間を叩く快音とともに全ての魔法が打ち消された。

あの人の拳は魔法すら消すのか!

そのままサイラオーグさんはロスヴェイセさんとの距離を近づけていく。

『逃げ』

木場君がロスヴェイセさんに逃げるように言おうとした瞬間にサイラオーグさんの

拳がロスヴェイセさんの腹部に刺さりヴァルキリーの鎧ごと吹き飛ばした。

同時に彼女をリタイヤの光が包んでいく。

『うおぉぉぉぉぉ!』

ゼノヴィアさんが真正面からサイラオーグさんに近づいていく。

でも姿が一瞬、消えて彼女の後ろにサイラオーグさんが現れそのまま

蹴り飛ばそうとするがゼノヴィアさんは身をよじらせどうにかして

避ける。空を切った蹴りは地面を抉った。

『くっ! 木場! 全力中の全力で行くぞ!』

『勿論だよ!』

サイラオーグさんが飛び出し2人に闘気を纏わせた拳を振るう。

木場君が聖魔剣を幾重にも重ねて防御をしようとするけど一撃で

全て粉砕された。

『軟いな。その程度では俺は止められん!』

そのまま拳を動かし聖魔剣ごと木場君を殴りとばした。

『がはっ!』

聖魔剣が難なく折れた。

 

 

 

 

 

『デュランダル!』

『伝説の波動と俺の闘気、どちらが上か勝負だ!』

サイラオーグさんはさらに闘気を纏わせて、デュランダルから

溢れ出す波動に正面からぶつかった。

結果は無傷。

な、なんて拳なんだ!

『無傷か! ……バケモノだ!』

『ゼノヴィア! コンビネーション行くよ!』

二人は同時に剣をふるっていくけどサイラオーグさんは

聖魔剣、エクス・デュランダルの二振りの斬撃を最小限の行動でかわしていく。

その間に木場君は聖魔剣から聖剣に持ちかえ騎士団を呼び出した。

『行けぇぇぇぇぇ!』

木場君の声とともに騎士団がサイラオーグさんに襲いかかるが

蹴りや拳を喰らいあっけなく全ての騎士団が破壊されていく。

『数も早さもあるが……硬さが足りない』

ゼノヴィアさんの腹部に拳が、木場君の脇腹に蹴りが入り

メキメキという嫌な音が鳴った。

『ガハッ!』

二人とも血を吐いて地面に倒れ伏す。

僕の仲間達が……次々と倒されていく。

『はぁ、はぁ。まだ体は動く!』

2人は剣を持ちサイラオーグさんの前に立ちはだかった。

『まだ楽しませてくれるのか!』

『楽しませてあげますっ!』

ゼノヴィアさんがそういうなか後ろから復活(?)したロスヴェイセさんが

至近距離で無数に魔法陣を展開しフルバーストを放った!

でもなんで彼女が!?

「さっきゼノヴィアが放った聖なる斬撃に擬態と透明のエクスカリバーを

紛れ込ましておいてそれをうまくキャッチしたロスヴェイセが自分の擬態を

つくり本物は透明になって隠れていたのよ!」

部長が笑みを浮かべていた。

す、凄い! こんな戦い方を思いつくなんて!

でも僕たちの歓喜はすぐに終わった。

『流石はリアスの卷属だ。今まで死線を乗り越えてきたことはある。

なら俺も本気でお前たちを葬ろう』

サイラオーグさんが拳を後ろに引いた。

腕が盛り上がっていき力が蓄えられていく!

『ゼノヴィア! あれを』

サイラオーグさんが拳を前に突き出した瞬間、

地面がまるで地割れでも起きたかのような割れ方をして抉れていた。

『リアス・グレモリー卷属のルーク一名リタイア』

っ! う、嘘でしょ!?

僕と部長は驚愕に包まれた。

さっきの一撃でロスヴェイセさんが。

 

 

 

 

 

『こいつは掠っただけでも致命傷を負う』

もう一度、サイラオーグさんが右腕を引いた瞬間、

ゼノヴィアさんと木場君が同時に右腕に斬りかかる!

でも闘気によって聖魔剣は砕かれデュランダルは相殺されていた。

歯がみするゼノヴィアさんだけどデュランダルの柄を木場君も持った!

その瞬間、今までよりも刀身がさらに強く光り輝き右腕が切断された。

『貴様たちに右腕はくれてやろう。俺も最高の状態で戦いたんでな』

そう言うとゼノヴィアさんを宙に蹴りあげ左拳と蹴りの連打を

与えていき最後に地面に叩きつけた。

もう彼女の目に光はなかった。

木場君もそれを見て下がろうとするけど左手で顔をロックするとそのまま

叩きつけ地面を引きずっていき体を蹴りあげ浮いた木場君に拳をぶつけた!

その一撃は空気を震わすほどの一撃だった。

『はは……これで十分だ……後は親友とあの人が貴方を倒してくれる』

『リアス・グレモリー卷属のナイト二名リタイア』




この作品は曹操との決着がつくところまで描きます。
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