切断された右腕に涙を使う姿を見て私は悲しみよりも安堵が大きかった。
可愛い卷属達の闘う姿を見て私の中で劇的に変わった。
さあ、終盤に入ったわ。
ふとイッセーに視線を移した時だった。
私を今まで感じたこともない殺気が襲い掛かった。
イッセーの殺気にアーシアも小さくふるえ泣いていた。
私はダイスを振るために陣地へと向かい振った。
出た数は9.こちらはイッセーを出しあっちは女王を出すでしょう。
イッセーは何も言わずに立ちあがり、転移魔法陣へと向かう。
イッセーが歩くたびに全身から溢れ出している殺気が地面に小さな亀裂を生みだす。
「行ってきますね、部長、アーシアさん」
妙に迫力のある笑顔をこぼし彼は転移した。
転位する直前の彼はの顔は憤怒の顔だった。
イッセーが転移したのは人気のないコロシアムの舞台上。
『兵藤一誠、妙な落ち着きを見せますね』
『そう見えてるならあなた死にますね……うん、死にます』
私には彼が落ち着いて見えてはいなかった。
「リアスお姉様……イッセーさんは」
「ええ、今にも爆発しそうなのね」
アーシアもイッセーの事をよく分かっている。
彼はぎりぎりまで爆発するのを抑えて、戦いが始まった瞬間に全てをぶつける気なんだ。
審判役が2人の間に入る。
『どう殺す? 握りつぶすとか? 魔力弾で一気に消す? それとも』
彼の独り言はあまりにも殺意に満ちていた。
『第七試合始めて下さい!』
それが告げられる。アバドンは何もせずにイッセーの動きを待つ。
『赤龍帝、バランスブレイクしなさい』
『くっくくく』
それを聞いた彼は笑っていた。
『貴方にバランスブレイクなんか使ったらどうなるか知りませんよ?』
『構いません』
『そっか……これだけ言っておきます。命乞いだけはしないでください』
イッセーが赤色の閃光に包まれていく。
直後、赤色に輝く魔力の柱が天に向かって伸び、アバドンの顔が絶望に染まっていた。
イッセーが鎧を身に纏った瞬間、凄まじい速さで魔力が倍加されていき、
周囲の地面が彼のあまりに膨大な魔力でつぶれ始めていた。
いや、フィールド自体が壊れ始めているんだわ。
『さようなら』
無情なまでの高速移動で彼女に近づき彼の拳が振るわれた。
たったそれだけで、一発拳を振るっただけでフィールドは無残に
破壊され、抉られ崩壊しかかっていた。
アバドンはあの一撃を受けていない。
『サイラオーグ・バアル卷属のクイーン一名リタイア』
モニターに苦渋の顔をしているサイラオーグが映し出された。
『俺がクイーシャを強制的にリタイアさせた。
あのままだと死んでいたからな』
イッセーは鎧を直しモニターに目を向ける。
彼は何も言葉を発しなかったけどサイラオーグは分かったみたいだった。
『……なんて目を向けてくれるっ! ……殺しをする奴の目だ!
委員会よ! もうこの男をルールで戦わせるのはあまりにも愚だ。
俺は提案しよう! 次の試合に全てを出す! 卷属も力もだ!』
数分の時間が開き実況が一方を知らせる。
『委員会はサイラオーグ選手の提案を飲みました! 次が最後の戦いです!』
観客は大きな歓声を上げた。
『だそうだ。お互いやり過ぎない程度で行こうじゃないか』
「僕は殺す気で行きます」
もう彼らを止められるものはいない。
『……試合を開始してください!』
数分後、サイラオーグさんと彼のポーンがフィールドに転移してきた。
それと同時に試合が始まった。
『Welsh Dragon バランスブレイカー!』
審判役の声と同時に僕はバランスブレイクを発動し鎧を纏った。
「これが歴代最高最強と呼ばれる赤龍帝の魔の波動か!」
辺りの地面が魔力で押しつぶされていき、フィールドを覆っている結界の様
なものがギシギシときしんでいる音が聞こえてきた。
サイラオーグさんは笑っていた。
「行くぞ! 赤龍帝!」
僕は籠手から凄まじい量の魔力を吹きだして推進力にし
僕はサイラオーグさんに拳を放った。
お互いの拳がそれぞれの顔面にぶつかりあった。
鎧の下なのに意識が持っていかれそうだ!
行くよドライグ!
『応!』
『BoostBoostBoostBoost
BoostBoostBoostBoost!』
増大されたパワーが拳に行きわたりインパクト時にさく裂した。
サイラオーグさんは鼻血を出し口の端から血を流していた。
「これが実戦で練りあげられた拳か!」
顔面を殴られてもなお、サイラオーグさんは笑みを浮かべていた。
このままいくよドライグ!
『ああ! 後悔の無いようにな!』
そこからは殴り合いだった。
こっちが相手を殴れば殴り返され鎧が砕け鮮血が飛ぶ。
そんな戦いが続けられた。
何度目かの拳がぶつかり合った際にいったん距離を取った僕の視界に
例の兵士が映り込んだ。
その兵士は仮面を取った瞬間、
徐々に少年の姿だった兵士は形を変えていき金色の獅子となった。
な、なんだこれは!
「こいつはもともとはレグルス・ネメアという
ロンギヌスだ。所有者が死んだときに意志を持ち俺の卷属となった」
『ゴォォォォォォォォォン!』
僕と部長の目の前に巨大な獅子が立ちはだかった。
「凄いな。めちゃくちゃ戦いたい……部長、お願いします」
「分かったわ」
僕は金色の獅子を部長に任せ、サイラオーグさんに向かっていった。
それぞれの戦いへと身を投じた。
「おおおぉぉぉぉ!」
何度も拳を打ちあっているうちに気付いたことがあった。
さっき木場君達が落とした右腕の攻撃が若干だけど遅くなっている!
「おおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉお!」
僕の拳とサイラオーグさんの右腕がぶつかった瞬間、僕は
内の駒をトリアイナ版ルークに変えて思いっきり殴った!
サイラオーグさんはそのまま体勢をぐらつかせた。
「おらっぁぁぁぁぁ!」
僕はサイラオーグさんが大勢をぐらつかせた瞬間に、
顎にアッパー入れ宙にあげると頭突きをかまして飛ばした。
「どうだぁ!」
「がはっ! はははは! 凄まじい攻撃だ赤龍帝!」
「きゃっ!」
喜ぶのもつかの間、部長の悲鳴が聞こえてそっちを見てみると血だらけの部長がいた。
『このままでは失血で転移されるぞ』
こいつ! わざとジワジワ部長を追い詰めていたのか! 許さない!
『BoostBoostBoostBoost
BoostBoostBoostBoost!』
「この獅子野郎がぁぁぁぁぁぁぁ!」
『うぐぅ!』
僕は怒りにまかせて獅子の顎(?)らしき箇所を思いっきり
殴りつけて部長から引き離した。
「イ、イッセー」
「部長、使って下さい」
僕は部長から預かっていたフェニックススの涙が入った小瓶を部長に渡した。
「……ごめんなさいイッセー。私はあなたの枷に」
部長は目に涙をためてフェニックススの涙を使い、傷を癒していく。
部長……泣かせたのはあの獅子か。
「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
『BoostBoostBoostBoost
BoostBoostBoostBoost!』
僕の叫びとともに力がどんどん倍加させられていくに伴い
鎧から赤色の魔力が溢れ出してきている。
『な、なんだその魔力量は!』
「黙れぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」
『くっ!』
僕は飛びあがってそのまま龍の腕を力いっぱいに獅子に向かって
叩きつけると魔力が付加されるが、獅子はその腕を避けた。
空を切った腕はそのまま地面をたたき割った。
『主! バランスブレイクを使いましょう!そ うしなければ勝てませぬ!』
「だ、だがあれは冥界の危機に使うと決めた力だ!」
「使え!」
僕がそう叫ぶとサイラオーグさんが驚いたようにこちらを見てきた。
「僕はあなたの全力を叩き潰す!」
「……この戦いを後にも先にも二度とない素晴らしい戦いだと気づけなかった
俺が腹立たしい! その腹立たしさもこの力でうち砕こう! バランスブレイク!」
金色の獅子が光り輝き、光となってサイラオーグさんを包みこみ、金色の
鎧を纏ったサイラオーグさんがいた。
「これが俺の全力の姿! 獅子王の剛皮だ! 行くぞ赤龍帝!」
僕とサイラオーグさんは一瞬、消えると上空で拳をぶつけあった。
その瞬間に、辺りを包んでいる結界が軋んでいる音が聞こえた。
「うおぉぉぉぉぉぉっぉぉ!」
「はあぁぁぁぁぁ!」
僕らの拳がぶつかるたびに周りに衝撃波が放出され、下の地面を抉っていく。
『壊すんだ! 覇龍で!』
ッ! こんな時に!
「ぐあぁ!」
頭の中に歴代所集者達の怨念が響いて、頭に痛みが走った。
「隙ありだ! 赤龍帝!」
「しまっ」
あまりの痛みに頭を押さえた瞬間、サイラオーグさんの拳を腹部にもろに喰らってしまい
赤色の鎧が砕け口からは大量の血反吐を吐き、地面に落ちていった。
鮮血を辺りに散らせて地面に叩きつけられた。
「イッセー!」
私は地面に叩きつけられたイッセーのもとへと近寄ろうとした瞬間!
「きゃっ!」
突然、イッセーがいるであろう穴からドス黒い魔の波動が放出され、
色まではっきりと見えるほど赤黒くなった魔力の柱が立ち上った。
「う……あ」
「イッセー!」
赤黒い魔力を放ちながら、血だらけのイッセーが穴から出てきた。
「ごぎゅぁあああぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁ!」
「っ!」
穴からイッセーが出てきたと思った矢先、彼の莫大な魔力がゴッソリとなくなり
彼が纏っていた鎧が赤色から徐々に赤黒くなっていく。