ハイスクールD×D 気弱なイッセー   作:kue

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Life75

「一列になってお並びくださーい!」

外からアーシアさんの気合いの入った大きな声が聞こえてくる。

外では大勢のお客さんが並んでおり、それを整列する係がウエイトレスの服を

アーシアさんだ。

今は学園祭まっただ中である。

「うがー!」

「きゃぁぁぁぁ……って兵藤君じゃない! なかなかにあってるわよ!」

……なんで皆怖がらないの?

僕たちオカルト研究部は旧校舎全部を使っていろいろしてるんだけど

その一つがお化けやしき。

その中で僕はお化け役をしているんだけど何故かみんな怖がらない。

「うがー!」

「あ、兵藤君お疲れ~」

「あ、うん。お疲れ~」

僕とその女子生徒はハイタッチした。

いや、怖がってよ。

「きゃぁぁぁぁ!」

ギャスパーくんの担当しているエリアから女子たちの叫び声が聞こえてくる。

てか何でギャスパーくんの方が叫び声が聞こえてくるの!?

僕はギャスパーくんよりも怖くないっていうこと!?

こういう風に皆怖がってくれないのである。

 

 

 

 

 

「……何してるの?」

「ん? 食べ歩きしながらの見回り」

休憩時間になり僕が廊下を歩いていると匙君が両手に

美味しそうなものをいろいろ持って見回りをしていた。

会長にばれたらまたしばかれるよね。

「にしてもお前は凄いよな。あの……なんだっけ」

「バランスドライブ。あれは先生に禁止された。

だから駒の特性をもっと伸ばしていこうと思う」

「これ以上強くなられたらもう敵なしじゃねえの? ほらよ」

「ありがとう。それはないよ、サーゼクス様の足元にも及んでないよ」

匙君はいくつか持っていた食べ物を僕に渡してくれた。

「……なあ、俺お前がいないと龍王になれないかもしれない」

匙君は悲しそうな目をしながらそう呟いた。

「この前のスクランブル・フラッグで俺達が僅差で勝ったんだけどさ。

途中で俺龍王になって暴走しちまってよ。バトル・フィールドが

ひどい状態になったんだ。評価は最悪だっていう話だ」

「……」

何も言わない方がいいのか何か励ましの言葉をかけた方がいいのか。

「ほんとお前はすげえよ。どんな事も乗り越えてんだから」

「……僕に出来て匙君ができない筈がないよ! きっと匙君もできるさ!」

「……はは、ま、頑張ってみるわ。これ、もう一本やるよ」

僕はホットドックをもう一本もらい、頬張りながら匙君と分かれた。

 

 

 

「イッセーさん!」

お店を見て回っていると前からレイヴェルさんが走ってきた。

「あ、レイヴェルさん。楽しそうだね」

レイヴェルさんは両手でチラシを持って忙しそうにしていた。

「はい! あ、あの試合は素晴らしかったですわ」

「は、はは。嬉しいよ、楽しんでね」

「はい!」

レイヴェルさんはチラシを配るべく、また忙しそうに廊下を走っていった。

なんだかレイヴェルさんも楽しそうだね。

僕も文化祭を楽しむべく、お店へと向かった。

 

 

 

 

んん~。終わったね。

外はすでに真っ暗になっており、大盛況を見せた駆王学園の学園祭は無事に終了し、

今はグラウンドで男女達がキャンプファイヤーを焚いて楽しく好きな人や恋人と

踊っているに違いない。

僕も踊りたかったけど大事な用があるから出ていない。

「あら、イッセー」

「部長……」

あの試合後から僕らの間はギクシャクしていた。

まあ、あの試合中の告白の所為だし。

おかげで冥界新聞に一面に取り上げられたよ。

『主従関係を超えた恋愛か!?』

おかげで当分は冥界を歩けないらしい。でも、部長のお母様もお父様も

喜んでくれたし、アザゼル先生にも呆れられながらも祝福された。

「ぶ、部長は踊らないんですか?」

「最後だから……ここを見ておきたかったの」

部長達三年生は今年で文化祭は最後か……。

しんみりとそう思いながら僕は部長が座っている隣に座った。

「「………」」

僕らの間に沈黙が流れた。

うぅ、心臓が半端なくドクンドクン言ってるよ!

『相棒、腹を決めろ。言うんだろ?』

そ、そうだけどさ~。

『というよりもお前は一度告白してるんだ。もう一回言うだけだろ』

……う、うん! い、言うんだ! ぼ、僕は!

「イ、イッセー?」

僕は恥ずかしさの余り顔を俯かせながら部長……リアスの手を握った。

「……リ、リアス」

「え?」

「す、好きです……あの時、言った言葉は嘘偽りじゃないです。ずっと

貴方の傍にいて、貴方を護りたいくらいに大好きです」

「――――――っ!」

言葉を詰まらせた部長。そして目から大粒の涙を流し始めた。

「……遅い。でも、嬉しいから許してあげる」

「じゃ、じゃあ」

「イッセー愛してる。誰よりも深く愛してるわ」

リアスの唇が僕に近づいてくる。

「……リアス」

「……イッセー」

僕とリアスの唇が重なった。

前みたいな感情の無いものじゃない。

愛っていう感情を感じながら僕はリアスとのキスを堪能していた。

「おめでとう! イッセー君!」

「「っ!?」」

いきなり木場君やイリナちゃんたち皆が部室に入ってきた。

「ふふ、浮気をするのも燃えますわね」

「はうぅぅ、私も頑張らないとです!」

「ふむ、私も頑張るとしよう。なあイリナ」

「わ、私に振らないでよ~!」

な、な、なんで皆がここに!

てか部長のお顔が真っ赤になられてる! す、すごい赤さだ!

「もうイッセーの馬鹿!!」

「えぇぇぇぇ!? 僕の所為ですか!?」

僕たちは笑いながら学園祭を最後まで楽しんだ。

 

 

 

 

 

 

俺――――――アザゼルはシトリー領にある病院に足を運んでいた。

サイラオーグの様子を見に来たのとあの二人の見ているだけで

砂糖を口から吐き出すほどの甘々な様子を伝えにきた。

「お?」

院内の売店で花を見ている奴を見て驚いた。

「総督殿」

「打撃王じゃねえか」

サイラオーグだった。

どうやら母親の見舞いに来たらしくまだところどころ包帯はまいてはいるが

姿を見る限りでは回復しているように見える。

「あれから2人はどうなりましたか?」

「繋がったよ。見てるこっちが恥ずかしくなるくらいに初々しいカップルだぜ」

サイラオーグと病院の通路を歩きながら二人の甘甘ライフを報告していく。

少しでも目が合えば見つめあってそこからちゅっちゅするんだぜ?

見てて砂糖を吐きたくなるくらいに甘い。

「そうですか。リアスには彼がお似合いだ」

「サ、サイラオーグ様!」

と、そこに息を切らした一人の執事が走ってきた。

「どうした」

「……ミスラ様が……」

その言葉を聞きサイラオーグは慌てて病室へと駆けこんだ。

その病室に集まっていた医者達は口々に「奇跡だ」「信じられない」と漏らしていた。

ベッドには長い眠りから覚めた女性がいた。

サイラオーグは驚きのあまり、売店で買った花を床に落とし、

ベッドに近づいていった。

……ウソだろ。

「……母上、サイラオーグです。分かりますか」

「……ええ。分かりますよ」

子を撫でようとする震える手をサイラオーグがしっかり握った。

「夢の中で見ていた気がします。貴方の戦いを」

母親は静かに微笑みこう言った。

……いつでもどこでも親は子供のことを見ていると聞くがあれは迷信でも

なんでもなく真実だったのか。

「……立派になりましたね」

サイラオーグは眼から涙を流しながら母親の手を強く握った。

「まだまだです。母上、元気になったらあの家に帰りましょう」

俺がここにいるのは野暮だと思い病室を出た。

なあ、イッセー。お前は闘う奴に奇跡を起こしていくな。

八坂姫然りサイラオーグの母親然り。お前が関係した人たち全員に

何らかの形で奇跡を起こしていく。

それは部員だけじゃなかった。

本当にお前は面白いやつだ。

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