「そう、ソーナとそんな事を話したの」
「はい」
その日の晩、僕とリアスは既に日課となった部屋でのお喋り会をしていた。
前なら皆も突撃してくるんだけど僕達の関係を悟ってなのか、大体は
僕とリアスの二人っきりにしてくれるようになった。まあ、たまに
突撃はしてくるけど。
「これからも護ってくれる?」
「はい、ずっとそばで護ります」
「イッセー……」
リアスはうっとりしながら僕の頬に手を置き、顔に近づいてくる。
うぅ、そんな風に見つめられると
「リアス……」
本日、何度目かも分からないキスを僕たちはした。
あ~またしちゃったよ……でも、幸せだから良いかな?
でも、僕の心の中には別の感情があった。
『もっと先に行きたい』
リアスの唇にあてるだけじゃなくてその口内に、僕の舌を入れてめちゃくちゃにしたい。
リアスの体をめちゃくちゃにしたい。
僕が彼女の口に舌を入れようとした時だった。
「「っ!」」
「イチャイチャされるのも結構ですがイッセーさん?
貴方は中級昇格試験の勉強中ですわよ?」
目の前に腰に手を当てて立っているレイヴェルさんがいた。
実はサーゼクス様からの要望でレイヴェルさんが僕のマネージャーさんになった。
レイヴェルさんは中級悪魔の昇格試験の過去の問題なんかを取り寄せてくれたり、
普段のスケジュールなどの管理を細かくしてくれている。
「そうね……イッセー! 絶対に合格するのよ!」
「勿論です!」
今回は学校の中間テストもかぶっちゃってるもんだから忙しいね。
「お、終わった~」
勉強にキリがついたのは深夜を回った時間帯だった。
過去問は全て悪魔の言語だから一度、レイヴェルさんに人間の言葉に訳してもらってから
問題を行うっていう工程をしていたからかなり時間がかかってしまった。
もちろん、僕も悪魔の言語は少しづつ読めるようにはなっているけどどうも
昔の言い方などは一切分からない。
じゃあ、僕も寝ますか。
僕がベッドに横になろうとした瞬間、部屋のドアが開く音がした。
……誰か入ってきたのか?
「……先輩」
「小猫ちゃん?」
ドアの方に視線を移すとドアの前に白装束姿の猫又モードの小猫ちゃんがいた。
はて? 何でこんな夜中に僕の部屋なんかに……それになんで、家の中で
猫又モードになっているんだろ。
「……先輩」
「こ、小猫ちゃん?」
小猫ちゃんはフラフラとおぼつかない足取りで僕に抱きついてきた。
まさか熱でも?
そう思い僕は彼女のおでこに手を当ててみた。
「にゃぁぁ~」
……猫の喘ぎ声聞こえた。
そういえば顔も赤いしなんだか目の色もおかしい。
「先輩……切ないです」
そう言って小猫ちゃんは僕の胸板に顔を埋める。
「え、えっと」
僕が戸惑っていると今度はリアスが入室してきた。
リアスは真剣な趣で小猫ちゃんの様子を見ると
携帯を取り出してある人物に連絡を取った。
「妖怪専門の人にちょっと見てもらいましょう」
『猫又の発情期』
小猫ちゃんはそんな周期に入ってしまったらしい。
でも、専門家によれば小猫ちゃんの体的に本能的に子孫を残そうと思うのは
まだ早すぎるらしい。
「この家に住んでいる女としてなら分からなくもありませんわ」
朱乃さん?
「今度は私の番だ。負けられないと彼女は思ったんでしょう」
……もしかして、僕とリアスの関係を見てそう思ったんじゃ。
確かに嬉しいけど……なんだか複雑な気分だよ。
「小猫の体で妊娠すれば母子ともに死んでしまう可能性がある。
イッセー、絶対に子猫と子作りするなよ?」
「勿論です!」
まあ……その……初めてはリアスって決めてるし?
次の日の朝、僕はブラブラと散歩していた。
早くに目が覚めてしまい、二度寝をしようとしてもなんだか妙に目が
覚めてしまったから外を歩こうと思って、今に至る。
そういえばアザゼル先生曰く今日、僕たちのところにショック死してしまうくらいに
僕達が驚くものすごいビッグな訪問者が来るらしい。
「んん~にしても朝は気持ち……」
……今、通り過ぎたゴミ箱の上に体育座りをしたゴスロリ
衣装の見たことがある子がいたような。
僕は慌ててバックするとやはりそこにいたのは。
「久しい、イッセー、ドライグ」
うん、オーフィスがいたよ。
「え、えっともしかして今日の訪問者は君?」
彼女はコクリと首を縦に振る。
なるほど。僕は慣れているけど皆がオーフィスにあったらショック死しちゃうね。
えっと、ここに置いていても困るから連れていくか。
僕は彼女を抱きかかえてお家までテイクアウトすることにした。
「えいえい」
オーフィスはさっきから僕の頬をぺちぺちと叩いてくる。
うん……反撃したいのはやまやまなんだけどこの空気ではできそうにないんだ。
「アザゼル! これは協定違反よ!」
はい、リアスがめちゃくちゃ怒っているのです。
僕が玄関に入ったらリアスとあってしまい僕が抱えているオーフィスを見て
彼女はアザゼルに怒鳴り散らし始めたんだ。
「……アザゼル、これも協力体制のためなの?」
「ああ、もしかしたらこれ以上血を流さないで済むかもしれない」
……つまり、これ以上戦いはしなくてもいいって事!?
僕達の騒ぎを聞きつけたのか上から皆が降りて来て僕がだっこしている
オーフィスを見ると一瞬、驚いたような顔をするけどまた普通に戻った。
「お前ら驚かないのか?」
「何といいますか……イッセーさんですし」
アーシアの一言に皆が頷いた。
それはそれで悲しいような気もする。
「それで上でお茶でも出せばいいのかしら?」
すると玄関にもう一枚の魔法陣が出現した。
「にゃん☆」
「うぅ~また仮面の戦士に会えるなんて感激です!」
黒髪、黒い着物を着た小猫ちゃんの姉さんの黒歌と魔法使いの様な
出で立ちにとんがり帽子のルフェイさんが出てきた。
何故かルフェイさんは感動のあまり泣いていたけど。
「イッセー」
「ん?」
オーフィスに呼ばれて視線を下に向けた。
「遊ぶ」
という訳で僕は彼女たちを上のVipルームに連れていって
お茶を出しておもてなしをする。
「これで勝ち?」
「……5連続ロイヤルストレートフラッシュとかあり得ない!」
僕はオーフィス、イリナちゃんの3人でポーカーをしているんだけど
……何故かオーフィスは5回連続チェンジ無のロイヤルストレートフラッシュで
ストレート勝ちをし続けている。
つまり、引いた時点でそろっているということになる。
「まさかあの龍神様がトランプをするとわな」
アザゼル先生は興味深そうにその光景を見ていた。
部屋には異様なメンツが集まっているんだけどなんだか空気がいつもの
おちゃらけ空気と同じような感じがしていて全く緊張感はなかった。
「ドライグ……天龍辞める?」
突然、オーフィスが籠手が宿っている方の腕を見つめながらそんな事を尋ねてきた。
……はて、何のことやら。
「今の宿主……イッセーは今までとは違う。我不思議」
『俺もそうさ。なんせ覇龍を己の物にする宿主なんざこいつが初めてだ』
突然、籠手が勝手に現れ皆にも聞こえるようにドライグが話し始めた。
「覇龍は暴走。覇龍は闇そのもの……でもイッセー、
覇龍を光に変えた。我が知っている限りではありえない」
……と言われましてもいつの間にか覇龍を使えるようになっていましたしね~
『そうだろうな。俺の鎧が紅になるなんざ想像したこともない』
え~と、人間の僕には分からないドラゴンズトークですがアザゼル先生は
目を爛々とさせて興味深そうに聞いていた。
「そんな訳だ。これから数日間、こいつらを
この家に住まわせる。構わないか?」
「ええ、構わないわ。初めは警戒したけどイッセーとこんなにも
仲良しなら警戒するには値しないわ」
「そうか。悪いな、イッセー。毎度毎度、面倒事を持ってきちまって」
「構いませんよ。僕は龍ですから」
すると後ろから肩をトントンと叩かれた。
「ん?」
「あ、あの! こ、この間のバアル戦! 見ました!
と、とても感動しました! サインください!」
……やっぱり緊張感がないね。
僕はそう思いながらも色紙にサインをした。