「ヴァーリィィ! 覇龍でサマエルを消し飛ばす!」
「良いだろう!」
『『我目覚めるは』』
僕がそう言い放つとヴァーリも納得し、二人同時に覇龍を発動させる。
白と赤の籠手から覇龍へと導く呪詛が淡々と紡がれていく。
こいつらにだけは絶対にオーフィスは渡さない!
「ここでそれはまずいな。しかも二人だ。ゲオルク!」
『オオォォォォォォォォォォ!』
サマエルの右腕と左腕の拘束が解かれてものすごい速度で触手がこっちにくる!
僕は慌てて避けようとするけど、さっきまで
治療してくれていたアーシアさんが近くにいた。
僕が避けたらアーシアさんに直撃する!
僕はアーシアさんを巻き込むわけにはいかず、
彼女を触手が届かない範囲にまで押した。
「イ、イッセーさん!」
そのまま僕とヴァーリは触手に飲み込まれた。
「そろそろかな?」
『オオオォォォォォォォォ!』
サマエルが叫んだ途端に黒い塊から二人が吐き出されるけど
二人の鎧は地面に打ち付けられた衝撃で粉々に砕け、床に凄まじい量の血液が散った。
「アハハハハハハハ! どうかな神の毒は!」
毒の影響を受けた二人は口から血を吐きだしながらも立ち上がろうとするけど
力が入らず、そのまま床に倒れた。
「曹操!」
アザゼル先生が黄金の鎧を身に纏って曹操に向かっていく!
「ふふ、これはどうかな?」
曹操が片目を隠していた眼帯を外すと―――その眼は黄金に輝いていた!
「な、こ、これは!」
先生の驚きの声が聞こえたので、そっちを見てみると先生の足が石化していた!
まさか、あの目はメデューサの目か!?
「赤龍帝に砕かれた目の代わりとして移植したんだ!」
槍が先生が纏っている金色の鎧を貫通して、先生の腹部に深々と聖槍が
突き刺さり口から大量の血を吐いて倒れ伏した。
「さて、残りは取るに足らぬ強さだな」
『Longinus Smasher!』
「吹き飛べぇぇぇぇぇぇぇぇ!」
「なんだと!?」
突然、音声が周囲に響いたかと思えば大質量の魔力弾が
どこからともなく放たれてサマエルに直撃した!
『オオォォォォォォォォォォ!!』
叫び声を上げながらサマエルが消えていく!
それと同時に黒い塊からオーフィスが吐き出された!
「木場君オーフィスを!」
「わ、分かった!」
僕はイッセー君の言うとおりにオーフィスを回収した。
さっきの魔力弾はイッセー君がやったのか……毒を受けながらも
覇龍を発動させたら余計に体に広がるんじゃ。
「これは驚いたな。まさか、神の毒を受けてなお動けるとは。
ゲオルク、力はどれだけ取れた」
「4分の3強のところで邪魔が入った」
「十分だ……だが、君は本当に異常だ。神の毒を受けてなぜ動ける?」
曹操は驚きを露わにした状態で僕に話しかけてくる。
こんな神の毒なんかよりもバランス・ドライブの方が苦痛に決まってるじゃないか!
あれ使った後は全身が筋肉痛で動けなくなるし、喋れなくなるんだぞ!
「まあ、良い。後は君さえ倒せばミッションクリアだ」
「舐めるな!」
『BoostBoostBoostBoostBoost
BoostBoostBoostBoostBoost!』
籠手からいくつもの重なった音声が鳴り響き僕の魔力がどんどん倍加されていく。
「おぉ~これは、凄まじい魔力量だ。魔王並みじゃないのか?」
「黙れぇ!」
僕は高速で動きながら曹操に拳を突き出す!
「うえあぁぁぁぁぁぁ!」
槍と籠手がぶつかり合った瞬間、ロビーの床に亀裂が入る!
その瞬間、全身を凄まじい激痛が走る。
やっぱり毒を受けた状態での覇龍は余計にドラゴンを高めるから
毒が全体に回るのが早くなる!
「喰らえ」
曹操の目の前にエクス・デュランダルを破壊した時と同じ宝が現れた。
っ! あの武器破壊の宝をまた槍にしてぶつける気か!
「二度と喰らうか!」
僕は体勢を後ろに傾けて、スレスレのところで槍をかわし曹操に殴りかかろうと
するけど何故か、曹操はにやにや笑っていた。
何がおかしいんだ!
「良いのかい避けて? 愛しの女に穴が開くぞ」
「っ!」
僕は慌てて後ろの方を見ると――――槍がリアスの方に向かっていた!
しかも、リアスは全く気付いていない!
「クソォ!」
僕は慌ててノーマルのナイトにプロモーションしてリアスの方へ動き出した!
間に合ってくれ!
不快音が鳴った瞬間、部長の目の前で大量の鮮血が宙に舞った。
まさか、部長が!
僕は慌てて近寄るけど部長はピンピンしていた。
じゃ、じゃあ誰が。
「イ、イッセー?ねえ、イッセー。起きてよ」
っ! 部長の目の前に背中にぽっかりと穴を開けたイッセー君が倒れていた。
「イヤアァァァァァァァ!」
「イッセーさん!」
アーシアさんが慌てて回復していくけど流れ出る血液の方が多かった!
「アハハハハハハハハ! これでクリアだ!」
「曹操ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
僕は聖魔剣を握り締めて、怒りのまま曹操に振り下ろすがそれはあっけなく
聖槍に阻まれると同時に聖なるオーラによって僕の剣のオーラが弱くなった。
「許さない! 僕は君を斬る!」
「聖魔剣の木場祐斗。君じゃ僕には勝てないよ」
そんな事は分かってる! でも、剣士として! イッセー君の友達として
一太刀君にいれないと気がすまない!
「よっと」
曹操が僕から距離を取るとゲオルクが近づいてきて一枚の紙切れを渡した。
「……旧魔王派どもの恩の返し方はこうなのか。ま、分かっていたがな。
ゲオルク、ヴァーリチームがした入れ替え転移は出来るか?
俺とジークフリートを替えてほしいんだ」
「一度見ただけだがやってみよう」
曹操はバランスブレイクを解いて外へ向かう。
「曹操! どこへ行く!」
ヴァーリが憤怒の形相で曹操に問う。
「帰るのさ。あ、そうそう。ここにハーデスからの命で死神達が来る。
その残りカスのオーフィスを捕まえにね。ここから抜け出せるか、
そういうゲームをしよう」
そう言ってゲオルクと曹操は外へと出ていった。
「駐車場の方に相当な数の死神が来ていました」
ルフェイさんの報告に僕たちは微妙な表情を浮かべる。
あれからアーシアさんがイッセー君を回復し続けているけど
まだ山は越えていないらしい。
サマエルの毒に輪宝の攻撃を受けてなお生きていることが不思議なくらいだ。
既に他の怪我人は完治している。
ヴァーリはサマエルの呪いの影響で別室で激痛と闘っている。
「相当最悪な状況だ。満足に戦える奴の数が少なすぎる。
それにイッセーの回復にアーシアを取られている以上俺達が不利過ぎる」
この空間は特殊なもので覆われているらしく黒歌とルフェイの2人でも
外へ逃がせるのは2人が限界らしい。
「……なら、イリナとゼノヴィア。お前たち二人で外へ行け」
「分かりました!」
ひと先ず逃がす2人は決まった。
「リアス、俺と作戦会議だ」
「……え、ええ」
部長はイッセー君の方を見て悲しそうな表情をしながらも先生についていった。