ハイスクールD×D 気弱なイッセー   作:kue

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Life87

「はぁ!」

僕は両手に聖魔剣、それにドラゴンスレイヤーの

特性を付加させたものでジークフリートに斬りかかる。

しかし、ジークフリートもその手に握る魔剣で二本の刀を受け止めていく。

「やるねぇ!」

ジークフリートはニヤニヤといらつかせる笑みを浮かべながら僕の剣をいなしていく。

「あぁぁぁぁ!」

僕は怒りに任せたまま、二本の剣を動かしジークフリートに斬りかかっていく。

こいつたちのせいで! こいつ達が起こした事件のせいでイッセー君は!

「はぁぁぁ!」

僕が力任せに振り下ろした二本の剣はジークフリートに避けられ、ビルの床に

いくつものヒビを走らせた。

「おいおい、君の剣はそんなに殺気を乗せていたかい?」

「うるさい!」

僕は足にも両手に持っているものと同じ剣を作り出し、回し蹴りの要領で

彼の脇腹へと入れようとするけど、ジークフリートはそれすらも後ろへよけた。

「ふぅ……君と遊ぶのもいいんだが……僕は忙しくてね」

そう言いながらジークフリートは来ている服の胸ポケットから

何やら注射器のようなものを取り出し、自分の首へと持っていく。

「これは旧魔王、シャルバ・ベルゼブブとの協定により作ることができた

いわばドーピング剤だ。真の魔王の血と神聖なるアイテムが合わさればどうなるか」

ニヤつきながらジークフリートは注射器の針を自らの首にさし、入っていた

液体を自らの体内へと入れ込んだ。

――――――――少しの静寂の後、変化は訪れた。

ジークフリートの背中から龍の腕が生える……しかし、それは

以前見たものとは明らかに太さが違っていた。

完全に変化を終えたジークフリートは合計六本の腕と融合した

魔剣を持った、クモのような化け物のようだった。

『カオス・ドライブ。僕たちはそう呼んでいる。さあ、始めようか! 木場祐斗!』

四本の龍の腕が撓る。

僕はそれらが振り下ろされるよりも前に、その場から離れると

そこに渦巻き状に連なったオーラと氷の柱が生じ、次元の裂け目まで出ていた。

……なんだ、あの威力は。

『魔帝剣グラム、ダインスレイヴ、ノートゥング、バルムンク、ディルヴィング。

今言った魔剣の名前は僕が今、使っているものだ。行くよ!』

ジークフリートはそう言うと、僕に凄まじい速度で近づいてきて

全ての剣を僕に振りおろしてくる。

僕は高速移動で避けるけど、グラムから放たれてくるオーラで傷ができていく。

『ハハハハハ!』

ジークフリートが笑いながら剣を振り下ろしてきたのを僕は空中へ

飛び上がって、避ける。

でも、ジークフリートに足を持たれてそのまま地面に叩きつけらられた。

「ぐぁ!」

『防御が薄い君じゃあ今の一撃でやばいんじゃないかい?』

彼の言うとおりだった。

もう骨も何本折れたか分からない……意識も朦朧としてくる。

僕はどうにかして立ち上がり、距離を取ろうとした。

『させないよ』

「凍らせたのか!」

僕は足を見てみると、凍りついていたので炎の聖魔剣を創り氷を取り払おうとする。

でも、それよりも早く僕の両足を氷の柱が貫いた。

「がっ!」

『終わりだね』

動けない僕に向かって、ジークフリートが容赦なく剣を振り下ろしてくる。

僕は幾重にも剣を重ねて防御しようとするけどまるで紙のように

全て砕かれ、腕を斬り落とされた。

「祐斗……ッ!」

腕を斬り落とされてから僕は炎の聖魔剣を片腕でふるって、取り払い、

後ろに飛んで距離をとった。

ふと、視界に部長がイッセー君の駒を何かを待ち望んでいる様子で抱いていた。

……部長……そんな顔をしてもイッセー君は来ませんよ。

もう、意識も朦朧としている。

 

 

 

 

『もしも、僕が木場君よりも先に死んだとしたら』

 

 

 

 

 

ふと、以前イッセー君と話した内容が脳裏をよぎった。

『ひどい有様だ。あんな奴がいなくなっただけでここまで堕ちてしまうのか』

あんな奴………だと。

ジークフリートの一言に徐々に、腹の底から怒りが込み上げてきた。

そして、それと同時に僕は気付かされた。

……そうか……僕たちは頼っていたんだ……最強の赤龍帝がいる……

心のどこかで戦いを勝利へと導いてくれる……そう考えていたんだ。

……何がナイトだ……僕はナイトじゃなくて……ただの、ゴミ同然だ。

『赤龍帝は無駄死にだったね。シャルバなど後で消せたものを

順番を早くし過ぎた。やはり、そこら辺のガキと同じだったんだ』

ジークフリートのその一言を聞いて僕は完全に何かが切れた。

「おおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」

僕は何もかもを忘れて獣のように吠えた。

「彼は! イッセー君は君のような男が貶していい男じゃない!」

僕は斬りおとされた腕から溢れ出てくる血など無視して余っている

片腕に聖魔剣を呼び出す。

 

 

 

 

『リアスを………守ってほしい。そして、皆の前に立って戦ってほしい』

 

 

 

 

 

「な、なにこれ?」

視界の端に何やら紅色に輝く何かが見えたけど僕はそれを無視して彼の言葉を借りた。

「『お前の運命は僕が決める!』」

その直後、どこからともなく僕の目の前に刀身を

紅色に染めたアスカロンが地面に突き刺さった。

そうか……ありがとう、イッセー君!

『バ、バカな! アスカロンは赤龍帝が持っていたもの!

それがなぜ、今ここにあるんだ!』

僕はジークフリートなど無視して目の前に突き刺さっている

アスカロンを抜き取り、刃を彼に向けると刀身から膨大な量の

オーラが放たれ、ジークフリートの体に傷を与えていく。

『あ、ありえない! なんだそのオーラは! そんな』

すると、突然彼が持っていたすべての剣がアスカロンに同調するかのように

僕に向けて輝きを放っていた。

『バ、バカな! 魔剣が木場祐斗を認めたというのか!』

僕はアスカロンを片腕で持ち、それをゆっくりと空に向かってあげた。

『こんなこ』

彼が言葉を言いきる前に彼の複数あるうちの弐本の腕が宙を舞った。

僕はジークフリートが反応を起こす前に彼に近づき、彼をアスカロンで切り裂いた。

「……ようやく、僕も彼と同じ速度の領域に入れたみたいだ」

『くっ!』

ジークフリートは痛みに耐えながらも僕から離れようとした瞬間!

『がっ!』

突如、上空から落雷が何回もジークフリートに落とされた。

僕はまさかと思い、後ろを振り返ると堕天使と悪魔の翼を同時にはやしている

朱乃さんが宙に浮いていた。

「声が……イッセー君の声が聞こえましたの。止まらないでって」

「私もです」

近くから声が聞こえ、そちらを見ると切断された腕を持って淡い光を

発しているアーシアさんと、仙術の治療の気を送ってくれている小猫ちゃんがいた。

「イッセーさんが立ち止まるなって。もう一度、きっと会えるからって」

二人とも、泣くのを我慢して僕の治療を行ってくれていた。

「さあ、みんな!」

そこへ、部長が立つ。

「闘うわよ! 目の前の敵を滅ぼすのよ!」

……これでいいのかな……イッセー君。

 

 

 

 

 

『そ、そんなことが……駒だけになっても戦うなどそんな、うぅ!』

突然、ジークフリートが苦悶の表情を浮かべ、その動きを止めた。

魔剣のオーラがジークフリートにダメージを与えている……そうか。

そういうことか。

「魔剣達。僕を認めたというならばこっちに来るんだ……僕に従え」

そう言うとすべての剣が彼の手から離れ、僕の眼前の地面に突き刺さった。

それと同時に僕の切り落とされた腕も治療が完全に終了した。

僕はアスカロンとグラムを両手に持ち、ゆっくりとジークフリートへと歩んでいく。

『こ、こんなことが! こんな事があるかぁぁぁ!』

異常に太くなった龍の腕が僕に振るわれようとした瞬間、後ろから

部長の魔力が放たれ、四本とも消滅した。

「終わりだ!」

アスカロンとグラムの二つがジークフリートに突き刺さった。

『かっ……ぁ』

その直後、彼の体が崩壊を始めた。

『……兵藤一誠は殺しても戦うのか……くそっ……この状態では

フェニックスの涙の効力を弾いてしまう』

……だから、彼はフェニックスの涙を使わなかったのか。

『まだ、理由は分からないんだけどね』

「貴方の敗因は……イッセー君を侮辱したことだ」

もしも、あの言葉がなければ僕は今この瞬間、骸となって地面に

無様な格好で倒れていた。

『ハハハ……教会の戦士育成機関出身はロクな死に方はしない……か』

その一言を言い残してジークフリートは完全に消滅した。

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