ハイスクールD×D 気弱なイッセー   作:kue

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Life88

旧魔王派を退けた僕たちは、ようやく本題であるイッセー君の駒を見てもらうことが出来た。

アジュカ様がいくつかの魔法陣を展開して

駒の記録か何かを見ているようすが五分ほど続き、見終わったのか

アジュカ様は陣をすべて消して僕たちの方を向いた。

「八つの駒の中で、四つがミューステーション・ピースに変化している。

例のトリアイナと紅の鎧―――――バランス・ドライブが影響しているのだろう」

四つも変化しているなんて……本当に彼は予想外だよ。

部長が唯一、所有していたミューステーション・ピースは既に

ギャスパー君に使用したからね。

「それでほかに何か」

「うむ。結論からいえば駒の最後の記録は死ではなかったよ」

アジュカ様の言っていることにいまいち、僕たちは理解が進まなかった。

駒の最後の記録が死……ではない?

「君たちが分かるように言えば………彼はまだ、次元の狭間で生きている可能性がある」

僕たちの間に何とも言えない空気が流れた。

つまり……彼はまだ、死んでいない!

「ううぇぇぇぇぇぇぇん! イッセーさぁぁぁぁん!」

最初に感情を吐露したのはアーシアさんだった。

そして、それを皮切りに部長も、朱乃さんも小猫ちゃんも!

レイヴェルさんも! 僕も――――――泣いていた。

「よかった……彼はまだ生きてる!」

絶望しきっていた僕たちに一筋の希望の光が照らされた。

 

 

 

 

『んあ……寝てた?』

僕―――――兵頭一誠が目を覚ましたのは赤い地面の上だった。

なんか寝ていた間に夢を見ていた気がする。

ジークフリートと木場君が戦ってて、みんなに声を

かけた後にアスカロンを貸して……それとなんだっけ?

その続きを僕は忘れてしまった。

『よう、相棒。気づいたか?』

『ドライグ? 一体全体何が……な、なんじゃこりゃぁぁぁぁ!』

ドライグと話すべく、籠手のある腕を見た瞬間僕は驚いてしまった。

だって、籠手はあるのに腕はなかったもん。

『落ち着け。お前はサマエルの毒で滅びかけていたんだ。

だから、鎧にお前の魂を引っ付けている。簡単にいえばお前は今、魂だけだ』

ドライグからの説明を聞いたとしても、僕は驚きを隠せないでいた。

『じゃあ、僕は二度とアイスを食べれないの!?』

『……え? そこ?』

僕がそう言うと、なぜだかドライグのみっともない声が聞こえてきた。

『おぉぉぉぉぉぉん! アイスがぁぁぁぁ! あの甘い味! あのクリームを

二度と楽しめないなんて……はぁ……リアスにも会いたいし』

「もう直会える」

『……いつから僕の膝にいたの? オーフィス』

下から声が聞こえたから下を見ると僕の膝の部分にオーフィスが座っていた。

「あそこ、見る」

オーフィスが指さしている方向をみるとそこには、脈動している繭があった。

「あれ。我とグレートレッドの力で出来た体」

『あぁ、そうだ。相棒、反撃の狼煙を上げようか』

 

 

 

今、俺―――――アザゼルは数人のメンバーとともに冥府へと来ていた。

ここは死神どもが住む世界であり、ハーデスの住み家がある場所でもあった。

「お久しぶりです。魔王ルシファー……サーゼクスです」

ギリシャ式の神殿の中央の辺りに死神どもの長であるハーデスの姿があった。

≪コウモリとカラスの首領……そして、上位ロンギヌスが

二つとはいささか老人を相手するには多くはないか?≫

「それはさておきましょう……ハーデス様、貴方には

カオス・ブリゲートとの接点があるという疑惑があるのです」

あるもなにも俺たちが証言者だ。

クシャラボラス領でのサマエルの件、グリムリッパーどもの件。

もうすでにハーデスには逃げ場はないと思うんだがな。

≪下らんな。わしは暇ではないのだ≫

そう言ってハーデスはその場を去ろうとする。

あの野郎!

俺が追いかけようとした瞬間、サーゼクスに腕で止められた。

「ならば交換条件はいかがでしょうか? 私たちと魔獣騒動が

終結するまでの間、ずっとここにいることをお約束していただければ

私はある程度のことまではなんでもやりましょう」

その話を聞いたハーデスは動きを止めて、俺たちの方へと向いた。

≪ほう……ならば、おぬしの真の姿を見せろというのはどうだ≫

―――――っ! そうきやがったか!

俺はサーゼクスの方へと視線を移すが、何も表情を変えないサーゼクスがいた。

「いいでしょう。それでここに留まってくださるのなら安いものです」

サーゼクスは俺と、天界のジョーカーの青年に視線で後ろへ下がるように言うと

くれない色の魔力を全身から放出し始めた。

「これが私の……真の姿です」

神殿の揺れとともに紅色の魔力がサーゼクスを包み込んでいき、それに伴い

奴の意思とは無関係に滅びの魔力が放出され、グリムリッパーどもが

どんどん消滅していった。

 

 

 

そこにあったのは滅びの魔力が人の形をしたものだった。

『この姿になると滅びの魔力が意思に関係なく辺りに放出されてしまうのです。

特定の結界かフィールドを用意しなければすべてを無に帰す』

魔力も凄まじいことになっていた。

前ルシファーの十倍……まるで、イッセーを見ているようだぜ。

すると、ハーデスのもとに一人の死神が現れて、あいつに耳打ちをすると

ハーデスは近くにあった載火台の炎に手をやると、映像が映し出された。

『おらおらおら!』

映像には如意棒を振り回してグリムリッパーどもを薙ぎ払う、美候の姿や

黒歌、ルフェイの魔法攻撃なども見えた。

≪貴様ら!≫

「おい、骸骨爺。おれの生徒に手ぇ出してんじゃねえよ」

ひとまずは、ここはクリアだ。

イッセー……とっとと、帰ってこい。

 

 

 

アジュカ様からの希望の報告を受けてから僕たちはゼノヴィアと紫藤さん

、そしてロスヴェイセさんとギャスパー君たちと合流し、首都、リリスへ向かっていた。

英雄派とシトリー卷族が戦闘を開始したという報告を受けたからだ。

僕たちは急いで向かうと、目の前に集団が見えた。

「会長! 匙君!」

「おっ! グレモリー卷族じゃねえか!」

そこにいたのはヘラクレス、ジャンヌ、ゲオルクの三人だった。

よかった……みんなまだ、息はあるみたいだ。

「こいつら弱かったからお前が相手してくんない?」

ヘラクレスは血だらけの匙君を見下しながら、僕に指をさしてそう言ってきた。

……許さない!

僕がグラムを手に取り、ヘラクレスと戦闘を開始しようとしたとき誰かに

腕を掴まれた止められてしまった。

「俺がやろう」

後ろを振り返るとそこにいたのはサイラオーグさんだった。

「あ? てめえ、赤龍帝にやられたやつじゃねえか。

そんな奴がおれに勝てるわけねえだろ!」

ヘラクレスの煽りにもサイラオーグさんは一切、表情を変えずに

上着を脱ぎ棄てて対峙した。

「来い。貴様を倒そう」

「はっ! レグルスも使わねえてめえがおれに勝てるか!」

ヘラクレスはそう叫びながら走りだし、両手でサイラオーグさんの腕をつかむと

セイグリッドギアでの爆発を起こした。

「おれのセイグリッドギアは触れたところを爆発させんだ!」

体の表面だけだけどサイラオーグさんにダメージを与えた!

向こうの方でも爆煙が起きてるのが見えた! ゼノヴィアさんたちも

ジャンヌと戦闘を開始したんだ!

「ふむ……この程度か」

「ッッ! だったらこれでどうだ!?」

ヘラクレスが地面に手をつくと、連続した爆発が起こりサイラオーグさんを包み込んだ。

「アハハハハハ! 魔力が使えねえてめえが俺に勝てるなんて」

そこまでいってヘラクレスの口が止まった―――――サイラオーグさんの姿があったからだ。

体から軽度の傷を負っても、サイラオーグさんは腕を組んだまま立っていた。

「もう終わりか……これ以上は時間の無駄だな。終わらそう」

サイラオーグさんはそう呟くと、腕に力を入れて……そして。

 

 

 

 

――――――バコォォォォォォン!

「がっ!」

ヘラクレスが反応できない速度で目の前まで移動して、

彼の腹部に痛烈な一撃を加えた。

「な、なんだよこれ……」

「これはただのパンチだぞ? 赤龍帝は平気な顔をして殴りかかってきたが」

「クソがぁ!」

叫びながらヘラクレスはポケットから注射器のようなものを取り出して

自分の首筋にあてた。

カオス・ブレイクか!

「どうした? なぜ、それを打たない。それでお前が強くなろうが

俺はお前を超えていく! かかってこい!」

でも、なぜかヘラクレスは注射器を自らの首に打とうとはしなかった。

「くそがぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

ヘラクレスは目に涙をためて、注射器を捨てると拳を構えてサイラオーグさんに殴りかかった!

この場にいた全員が虚を突かれた。

「最後の最後で英雄の誇りを取り戻したが……だが!」

その直後、あたり小気味のいい音が聞こえヘラクレスが倒れ伏した。

 

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