ハイスクールD×D 気弱なイッセー   作:kue

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Life89

サイラオーグさんがヘラクレスを打倒して残ったのはゲオルクだけだった。

ビルの向こうでは極大の雷光と聖なるオーラが高層ビルの向こうで暴れているのが見える。

「こんな短時間で成長するのか……ッッ! グレモリー卷族は! 

となるとそこの猫又とヴァンパイアもそうなのか……末恐ろしいな」

ゲオルクは倒れているヘラクレスを一瞥しながら、二人を見ていた。

あの疑似空間での戦いから、小猫ちゃんの力が上がったわけではない。

先生曰く、これからだということらしい。

「今は亡き赤龍帝が残したものは……心か」

その一言を聞いて、ギャスパー君はあたりをキョロキョロと見まわしていた。

「あ、あのイッセー先輩は」

まだ、真相を知らないギャスパー君に部長が真実を言いかけようとしたけど

サイラオーグさんの顔を見て、口を閉じた。

「そうか、まだ知らなかったのか。教えてあげよう。

赤龍帝はすでに死んでいるのだよ。サマエルの毒でね。

彼は確かに強かったよ……だが、サマエルの毒の前では無力だったのさ」

その話を聞いていくにつれて、ギャスパー君の顔が死んでいく。

……後輩が絶望していく姿を見るのは耐え難い……でも、部長たちが

考えているのは……おそらく。

「イッセー先輩が……死んだ?」

彼の眼から一筋の涙がこぼれた瞬間、

≪死ね……≫

普段のギャスパー君からは考えられないほどの冷たい声が聞こえ、

彼の体から黒い何かが放出されてあたりの区域を全て闇に変えた。

「な、なんだこれは」

「バランスブレイクでも、魔法でも暴走でもない! これは」

魔法に詳しいはずのロスヴェイセさんとゲオルクですら

今の状況に驚きを隠せないでいた。

辺りの建造物がまるで幻想だったかのように消えていく。

≪オマエラミンナコロシテヤル!≫

闇からヒト型の何かが生み出されていき、少しづつ霧使いに近づいていく!

黒い化身となったギャスパー君が手……のようなものを突き出した。

それに反応してゲオルクも魔法陣を展開する……しかし、一瞬にして消え去った。

「くそ! こんなことが!」

ゲオルクは数々の魔法のフルバーストをギャスパー君に放つがそれら、

全てが闇に飲み込まれて消えた。

≪クッテヤル……ミンナ、ボクガクッテヤル≫

「バ、バカな!」

ゲオルクは目の前の光景に信じられないといった表情を浮かべながらも

転移魔法陣を足もとに一つ展開した。

ジャンプする気か!

しかし、ゲオルクの体に黒い炎がからみつき魔法陣が消え去った。

「させねえよ……てめえは俺のダチをやった仲間だ。逃がさねえよ!」

匙君だった。

ヴリトラの炎がゲオルクを捕まえたんだ!

「……くそ!」

そのままゲオルクは静かに闇に食われた。

 

 

 

 

全ての闇が払われ、ギャスパー君は地面に眠るように倒れ伏した。

「この子についてヴラディ家に聞かないといけないことがたくさんできたわね」

部長はギャスパー君を抱き上げ、彼の頭を撫でてそう言った。

「あれ? ゲオルクまでやられちゃった感じ?」

「っ! ジャンヌ!」

後ろから声が聞こえ、振り返るとそこには傷だらけのジャンヌが

幼い子供を抱えて立っていた。

「卑怯よ! 子供を人質に取るなんて!」

上空からゼノヴィア達が降りてきた。

「あら? これも立派な戦術よ。曹操が来るまでの間、こうやっておくわ」

くっ! なんて卑怯な!

すると、突然向こうの空が紅色に染まった。

 

 

 

 

 

「じゃあ、行こうか! オーフィス! ドライグ!」

僕は次元の狭間から出た瞬間に、龍の翼を羽ばたかせて宙を待った。

うん、新しい体も特に異状なし……ってなんじゃこりゃぁぁぁぁ!

次元の狭間から出てから気付いたけど、このでっかいドラゴンってグレートレッド!?

僕の後ろには以前、見たことのある大きな赤色のドラゴンの姿があった。

『今、気づいたのか?』

「うん……でも、それよりも今はあれかな」

僕はグレートレッドから視線を外すと、巨大な怪獣が町で暴れていた。

それに応戦している何人かの人も確認できた。

『……本気か?』

すると、驚嘆したようなドライグの声が聞こえてきた。

「どうしたの?」

『いやな、グレートレッドがあの怪獣にガン

飛ばされたからお前に力を貸すから倒せって』

ガンを飛ばす……いや、今のあいつの状況じゃ無理でしょ。

目の前で暴れている怪獣はとても、僕たちの方向を見ているようには思えない。

「つまり、偶然目が合った?」

『まあ、いいだろう。どうせ、倒さなきゃいけないんだ』

「よし! じゃあ行こう!」

すると、僕が着ている鎧から紅色の魔力があふれ出して、僕を包み込んだ。

その魔力から発せられる輝きで僕の視界が数秒ほど消え、魔力がはれて、

目の前を見るとそこには夢の光景が広がっていた。

そう……僕はあの特撮ヒーローみたいにでかくなったんだよ!

足もとに広がる町並みはジオラマにしか見えない!

『おおぉぉぉぉぉ! し、幸せだぁぁぁぁ!』

『喜んでいるところ悪いな』

すると、急にドライグの声が僕の頭に響いてきた。

『今のお前の巨大さでいつものように高速移動したらこのあたりの街はなくなるぞ』

『……ですよね~』

実は僕が高速移動をするたびに辺りにはソニックブームというものが広がっている。

その威力は僕が人間サイズだから気にしないけど、こんなにも

大きくなったりしちゃってたら確実にやばい。

「あの、もしかしてイッセーさんですか?」

『グ、グレイフィアさん!』

僕の近くで声が聞こえたからそっちの方を見ると、そこには翼を出して

空中を飛んでいるグレイフィアさんがいた。

「なぜ、そんなにも大きく」

『まあ、そこら辺……あ、そうか』

僕は会話の途中で作戦を思いついた。

『グレイフィアさん。あの怪獣を上空にあげることはできますか?』

「……そういうことですか。簡単ですよ。総司さん!」

僕が言おうとしていることを理解したグレイフィアさんは大声を上げると

地上で刀を振っていた男性がこちらを見上げた。

「ジャバオウックの足を切断してください!」

グレイフィアさんが濃密で大出力のオーラを出しながら男性に指示を飛ばした。

「わかりました!」

男性は刀を持ち、一瞬、動きを止めた。

そう思った直後にはジャバオウックとかいう怪獣の右足は綺麗に切断されていた。

す、すごい……ナイトの速度はあそこまで出せるのか。

「行きますよ一誠さん!」

痛みにのたうち回っている怪獣の下に大きな魔法陣が展開された直後、

凄まじい衝撃が生まれ、怪獣を空高く上げた。

「さあ一誠さん!」

『さ~てとドライグ』

『もう勝手にしてくれぇぇぇぇぇぇぇ!』

一瞬で理解したらしい。

『BoostBoostBoostBoostBoost!』

倍加された魔力が僕の両腕に集められていき、紅色に鎧が輝き始めた。

その光景を初めて見た時、僕もしたいと思った。生きてきて十七年。

ようやくその願いがかなえます! さあ、やりましょう!

『喰らえ!』

僕は左右の手首を十字に合わせると、そこからすさまじい威力の光線が

放たれ、一瞬にして怪獣を消滅させ空を紅色に染めた。

『チョーイイねぇぇぇぇぇぇ! サイコォォォォォォォォ!』

僕は夢のような瞬間を腕をいっぱい、伸ばして鎧の中で涙を流しながら喜んだ。

「へ?」

突然、ポン! と言う音が聞こえたかと思えば浮遊感が僕を襲った。

『ふん! あんな恥ずかしいことをした罰だ!』

「ひがぁぁぁぁぁぁ! 落ちるぅぅぅぅぅぅぅ!」

急に巨大化もバランスブレイクも解けたから僕はそのまま、一気に地面に

向かってまっさかさまに落ちて行った。

「やれやれ、締まりが悪いですね」

「グ、グレイフィアさん」

急に浮遊感が無くなったかと思うと、グレイフィアさんが僕を抱きかかえていてくれていた。

 

 

 

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい! ドライグ~機嫌を直してよぉ~」

僕は鎧の姿に戻り、龍の翼で空を飛びリアスたちがいる場所へと向かっていた。

さっきからドライグは機嫌を損ねたらしく、一言も喋ってくれない。

「イッセー、悪い。ドライグ、我同情」

オーフィスまでそう言うぅぅぅ!

『ふん! さっさと英雄派の暴動を止めるんだな!』

そう言ってドライグはおくそこへと眠ってしまった。

どうやら僕を復活させるために力を使い過ぎたらしい。

「イッセー。曹操に勝てる?」

オーフィスが僕にそう聞いてくる。

「もちろん。新必殺技もあるしね」

僕はそう答えてリアス達のもとへと向かった。




本当はあの光線には『ロンギヌウム光線!』という名前を考えていたんですが
流石にイタイのでやめました。
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