「な、なによあれ」
ジャンヌが向こうの空が紅色に染まっていることに驚きを隠せないでいた。
……今だ!
僕はジャンヌの意識が別の方向へ向いている間に高速で移動してジャンヌの手から
囚われていた少年を取り返した。
「あっ!」
「形勢逆転ね」
「それはどうかな~?」
部長が勝ち誇った様子でそういった瞬間、それを否定する声が上から聞こえてきた。
最強のロンギヌスを持った少年。
「曹操!」
僕は叫びながら彼を睨みつけた。
この一連の騒動を引いていた主犯格!
「遅かったじゃない。曹」
「君はもう用済みだ」
ジャンヌが安心しきった表情で彼に近づいた瞬間、その腹部を
トウルー・ロンギヌスで貫かれ、倒れ伏した。
僕たちはその光景に言葉を失った。仲間をあんなにも簡単に殺すなんて!
「おいおい、そんな顔で見ないでくれ。要らない物を
始末するのは普通だろ? なあ、プルート」
≪その通りですね≫
曹操がつぶやいた瞬間、彼の隣の空間が
ゆがみ、そこから見覚えのある最上級死神が現れた。
流石にこの状況はちょっとキツイね。最強のセイグリッドギアに
最上級死神……流石にやばい。
「やれやれ、英雄は要らない物を
救ったからこそ英雄と言われたんじゃないのか?」
さらに上から疑問の声が聞こえ、見上げるとそこには白い鎧を着た者がいた。
「ヴァーリ……そうか、サマエルの毒から復調したんだね」
曹操は驚いたような表情を浮かべて彼を見ていた。
「あぁ、お前のおかげでイライラが頂点を超えそうだ」
≪この状況でそう言えるのはあなただけですよ。曹操、彼は私が
始末してもよろしいですね?≫
プルートの質問に曹操は勝手にしろと言わんばかりに無視した。
「お前が相手か……まあいい。赤龍帝は歴代所有者の
怨念を光に変えたらしいが俺は違う」
その瞬間、ヴァーリが纏うオーラが特大なものに変化し、あたりを震わし始めた。
「俺は力で歴代所有者どもをひれ伏した。見ろ! これがもう一つの覇龍だ!
我、目覚めるは 律の絶対を闇に堕とす白龍皇なり」
彼の宝玉から歴代所有者と思しき声が辺りに響く。
『極めるは、天龍の高み!』
『往くは、白龍の覇道なり!』
『我らは、無限を制し夢幻をも喰らう!』
そのものたちの声からは怨念のたぐいのものは感じられない……イッセー君とは
別の方法で過去の所有者たちを抑えつけたと言っていた……戦いの中でわかりあったのか?
「無限の破滅を黎明の夢を穿ちて覇道を往く 我、無垢なる龍の皇帝と成りて」
ヴァーリの鎧が徐々にその形を変えつつ、光を放つ。
『汝を白銀の幻想と魔道の極致へと従えよう!』
そこに現れたのは純白の鎧に身を包みし、異次元の存在だった。
何もしていないのにもかかわらず彼の周囲にある建造物や車などが
ぺしゃんこにつぶれていく!
「覇龍とは少し違う白銀の極覇龍。とくとその身に刻め!」
そう言い放つヴァーリにプルートは刀身が赤い鎌をヴァーリに降り落とす!
直後、何かが砕ける音が僕たちの耳に入ってきた。
≪ッ!≫
あの不気味な雰囲気を放っている鎌を一撃で破壊するなんて!
プルートもそのことに驚きを隠せないでいたがそのまま、ヴァーリに
アッパーを加えられて空中へと飛んだ。
「―――――圧縮だ!」
『compression divider!』
『Divid! Divid! Divid!
Divid! Divid! Divid』
空中に放り投げだされたプルートの身体が縦に、横に圧縮されていく!
こんな事が起こり得るのか!?
≪こんな事が……ッ! ありえない……ッッッ!≫
「滅びの時だ」
ヴァーリが呟きながら、開いていた掌を閉じると完全にプルートは消滅した。
その直後、自動的にヴァーリの鎧が普段のバランスブレイク時の鎧に戻っていく。
ヴァーリは相当量の魔力を消費しているらしく、肩で息をしていた。
「俺の白銀の極覇龍は奴の禁じられた覇龍に比べて、自身に対する
負担や暴走の危険を可能な限り排除したものだ。それにより、
破壊力は奴よりも見劣りするが特殊な力を手に入れた」
そうか………負担を減らしたことで魔力の過剰なほどの消費を受け入れたんだ。
「……恐ろしいものだ、二天龍……いや、今は天龍と言った方が」
突然の破壊音に曹操を含めた僕たちの視線がそちらへと向けられた。
「お待たせ、曹操」
そこにいたのは赤色の鎧を身に纏い僕たちが待ちわびた者だった。
「お前……兵頭一誠か」
ヴァーリも、曹操も、サイラオーグさんも突然の僕の登場に驚きを隠せないでいた。
うふふ~驚いたかな?
「イ、イッセー?」
僕の名を呼ぶ人がいる方向へと向くとそこには僕が愛してやまない女性がいた。
僕は何も言わずに愛する女性のもとへと近づき、そのままギュッと抱きしめた。
「ただいま……リアス」
「イッセー……イッセー!」
「イッセー君!」
「イッセー先輩!」
「イッセーさん!」
アーシアさん、小猫ちゃん、朱乃さん、リアスが
涙を流しながら僕に抱きついてきた。
「そ、そんなに一斉に抱きつかれたらこけちゃいますよ」
そう言いながらも僕はこけないように両足をしっかりと地面に
つけて彼女たちを抱きしめた。
「帰ってくると信じていたぞ! 私は!」
ゼノヴィアさんは今にも泣きそうになっているのに必死に涙を
出すまいと唇をかみしめて立っていた。
「うぅ! 私は泣くもん! うわぁぁぁぁぁん!」
イリナちゃんは大声を上げながら泣き始めてしまった。
ロスヴェイセさんも眼の端に少し、涙をためていた。
すると、突然小猫ちゃんたちが僕から離れた……ありがと、みんな。
「リアス……戻ってきました」
「うん……うん!」
僕が笑みを浮かべてそう言うとリアスも笑みを浮かべ、僕の唇に自分の物をかぶせてきた。
その瞬間、彼女のポケットに入っていたであろう八個のイーヴィルピースが
ポケットから出てきて僕の体の中へと入っていき、背中に翼が生えた。
僕はそんな現象なんか無視して、リアスとキスをしながら抱きしめた。
――――――もう二度と、離しやしない。
僕は心の中でそう決意しながら、彼女から離れて曹操の方を向いた。
「これは驚いたな。まさか、お前が生きていようとは思わなかった」
「まあね……ここで死ぬわけにはいかないんだ……さあ、決着をつけよう曹操」
僕は籠手を曹操へ向けてそう言うと、みんなが僕の意思を汲んでくれたみたいで
僕から数歩後ろに後ずさった。
「我、目覚めるは 覇王の真理を天に掲げし、赤龍帝なり
無限の希望と不滅の夢を抱いて、覇道を往く 我、
紅き龍の覇王と成りて 汝を真紅に光り輝く覇道へ導こう!」
『Balance Drive!』
僕の鎧が赤色から紅色へと変化し、魔力も一瞬にして大幅に上昇した。
「良いだろう。ここで君を再び倒そう!」
「行くぞ!」
お互いが同時に動き出し、同時に槍と僕の拳が接触した。
もう少しで終わるぜ!