ごく普通の一般男子たちの異世界冒険論 作:クラウンフィールド・ソベルバレンタイン
「ご主人様!王都にはメイドさんがいるメイド喫茶があるらしいんですよ。もしよかったら行きませんか?」
ルームはぜひぜひといいたそうな表情で言った。
メイド喫茶か。普段から、ペンシルとロイドとルームがメイド服をきているので、あまり新鮮味を感じないものだが、しかしながら、この世界にもメイド喫茶なる場所があることが驚きだ。
「メイド喫茶か。僕がもともといた世界にもそういう店があったけどこっちの世界にも需要があるんだね」
「はい。メイドは金持ちの貴族しか雇えないので、それにあこがれている人が多いので、多くの人がメイド喫茶に遊びに行きます。メイドさんはみんなのあこがれですからね」
メイドへのあこがれ。二次元の作品に興味をもったひとにはそれを持っている人が多いであろう。こちらの世界のメイド喫茶というものがどのようなものかが良くわからないが非常に興味がある。
「なるほどねえ。どんな店か興味があるね」
「じゃあいきましょう。私も何か学べるものがあるかもしれませんね」
「もちろんだけど、君たちに不満があるわけじゃないよ」
「さすがはご主人様です。わかってますよ」
そういって、ルームは胸をなでおろした。
ルームに連れられてたどり着いた店「メイド喫茶パーラー・シュバルツドレス」に到着した。西欧風の木でできた扉にガラスがくっついていて非常に高級そうなつくりで非常におしゃれな感じがする。そしてドアを開けると、
「おかえりなさいませ、ご主人様、姫様」
茶色のメイド服を着たメイドさんは俺とルームを見てそういった。
ただ、ルームがメイド服を着ているからか少し、ほんの少しだけ微妙な間があった。まあそれも仕方のないことであろう。
「ご注文はいかがになさいますか?」
メニューを見ると、紅茶とか、ケーキやオムライスのようなもの、スパゲッティのようなものがあった。
この世界の料理は、俺がいた世界のものとはとてもかけ離れていたもので、あまり食べたことがなかったのであったがせっかくなので注文をお願いすることにした。
「えぇーと、ダージリンティーと、ウロボロス卵のオムライスください」
「承知しました。ご主人様」
ウロボロス卵というものが良くわからなかったが、オムライスということなのでおいしいのであろう。
「ご主人様は意外と庶民的なものがお好きなんですね。隠れ家にいるときは見たこともないとてつもなくおいしい料理ばかりお召し上がりになられているのでちょっとびっくりです」
ウロボロス卵というものはそんなに庶民的なものなのだろうか。名前だけで見ると結構高貴そうな感じがするものであるが。
「こっちの世界の料理は全然知らないんだ」
「そういえばご主人様はこっちの世界の料理を食べているのを見たことがありませんでしたね。知っているものは紅茶くらいでした」
確かにこの世界と元の世界で共通している飲食物は紅茶くらいであった。なぜ、紅茶だけ同じなのだろうか。
「お待たせいたしました。利き手はどちらですか?」
「右です」
「私は左です」
するとメイドさんは利き手に合わせてカップとスプーンを置き、紅茶を注いだ。この紅茶の注ぎ方はペンシルのものと同じように非常に紅茶に詳しいといった凄みのあるものであった。
「うん。おいしいねルーム」
「はい。隠れ家以外で飲む紅茶もなかなかおいしいです」
しばらくすると、ウロボロス卵のオムライスが運ばれてきた。
見た目は普通の卵で作った鶏卵のオムライスと同じような黄色でふんわりとした空気感があり非常においしそうであった。
「ご主人様!見てくださいこれ。メイドさんの絵が描かれていますよ」
オムライスにはソースで書かれたメイドさんの絵が描かれていた。
非常に手が込んでいるものであるということが良くわかる。
「ウロボロス卵もやっぱりよさがありますねえ」
ルームは懐かしいといわんばかりの表情でオムライスをほおばるのであった。
ルームのおいしそうに食べる表情を見ながら、そのオムライスを食べたが、鶏卵のものとは違い少しだけたんぱくな感じの味であり癖になるような味であった。
「おいしいね。こっちの世界の食べ物をちょっと拒否していた部分があったけどもったいないことをしていたかな」
「でもご主人様が教えてくださる料理は最高です!」
そして、ルームとしばらくこの喫茶店で過ごすのであった。
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