ごく普通の一般男子たちの異世界冒険論   作:クラウンフィールド・ソベルバレンタイン

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星空

後輩と僕を乗せた列車は、トンネルに入り10分ほど経過した。

 ガタゴトと短いレールをゆっくりと一定のリズムで刻んでいるその音は、僕と霧ヶ峰の間に流れる空気を重くしている。

 

――なかなか言い出せない

 

 なぜ自分は、異世界に行かなければならないのか。なぜ僕が必要とされているのか。それが全くわからないのだ。

 霧ヶ峰は車窓をじっと冷たい視線で眺めているので、余計に話しかけにくい。そう思ったその時であった。

 

「先輩って、中学のとき何を趣味にしていましたか?」

 

 突然の子の一言に少し驚きを隠せずにいる自分がいた。

 

「趣味カーッ。趣味と言えるかどうかわからないけど、LINEのグループで友人同士で小説を書いていたことがあったなあ」

 

 中学の頃、仲が良かった友人。そう、ルーフ・ベルファと桜柳咲蘭と一緒に小説を書いては、批評し合っていたものだ。

 

「先輩が小説ですか……いえ、何でもありませんがその……先輩が小説って意外ですね」

 

 ところどころ笑いを隠しながら言う霧ヶ峰。さっきまでの、重苦しい空気が少し、ほんの少しながら和らいだのがわかった。

 

「ルーフ・ベルファは、いわゆる、戦闘ものって言えばいいのかな。ラノベっぽい作品をよく書いていたよ。桜柳錯乱は、異世界に転生して、メイドさんとイチャイチャするような話を書いていたね」

 

 すると霧ヶ峰は、

「なんか本当に中学生って感じですねえ。ちなみに先輩はどんなものを書いていたんですか?」

 

「それは内緒」

 

 自分が描いた小説の内容は、非常に恥ずかしいので、あまり人には言いたくない。本当にあの頃の自分はどうかしていたのだ。ああ早く忘れたい。

 

「他人の黒歴史をばらして、自分のことは隠すなんて、本当に先輩らしいですね」

 

「うるさい」

 

そうこうしているうちに、列車はトンネルを抜けた。

 

「うわあナンダコレハ!」

 

 車窓には、一面に星空が広がっていて、まるで宇宙空間にいるかのようであった。すると霧ヶ峰はこういった。

 

「ここの世界はあなたの……そうですね、夢と現実の狭間にある空間です」

 

「はい?」

 

僕は霧ヶ峰が入っていることが、何を言っているのかさっぱりわからなかった。

 

「今から私達が向かう世界は、先輩の記憶の中に確実に存在した記憶をもとにして作られた世界なのです。なので、夢と現実の狭間である、このような空間を経由する必要があるのです。異世界に行くことができる人物は、先輩が元いた世界の元住人三人です。その三人により、これから向かう世界は作られたものなのです。つまり、私達がこれから行く世界は、その三人により未来が左右されるのです。これから私達が行く世界は非常に不安定で、もろく、デリケートな場所です。その世界の未来をささえ、正しい方向に持って行かせるためにも、先輩を初めとした三人の協力が必要不可欠であったのです。しかし、一人目は頭のネジが一本。いいえ、すべて狂い、ゆるみまくっているような人で、全く当てになりませんでした。それとあまり思い出したくないのですが……いいえ、この話は後にしておきます。さて、もう一人はですね、欲望が強すぎて、正義感の方向が狂っているといいましょうか、盲目的な人なんでしょうかね。まあとにかくおかしいんです。そのようなことなので、残りの一人である先輩の力が必要です。」

 

 霧ヶ峰は、原稿用紙1枚を軽く超過するかの勢いの分量で、今自分が置かれている状況を説明してくれたのであったが、

 

「ごめん、全く理解できなかった」

 

「……まあ、先輩ですし、そのようなものだと思ってましたよ」

 

「悪かったな」

 

「……とりあえず、この列車を乗り換える必要がありますので降りる支度をしてください」

 

 そういうことなので、列車を降りる準備をしていると、列車は星空空間の中の駅に停車した。

 するとホームの向かい側には、青い客車と蒸気機関車が停車した。




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