ごく普通の一般男子たちの異世界冒険論   作:クラウンフィールド・ソベルバレンタイン

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先輩の事は信頼していますが、上段に上ったら蹴落としますよ

客車の入り口には星のマークが3つ記されていた。

 

SLがけん引する寝台列車というものもなかなか趣があるものだと感心していると霧ヶ峰は、

 

「この寝台列車に乗って、桜柳咲蘭がいる世界に行きます。11時間程度の長い旅になりますが寝台列車ですので快適に移動できると思いますよ。」

 

11時間か長いな。現在の時刻を駅のプラットフォームの時計で確認してみると、午後9時半を示していた。

 

「30分後に出発しますので買い物でもしましょうか」

 

霧ヶ峰に案内されたので、駅舎の売店へと案内された。

するとそこには、マヨネーズクッキー、ゴキブリの素揚げ、ミルワームの岩塩焼き、砂糖マシマシ油そば、チョコレート焼きそばパン、ショートケーキカップラーメンといったわけのわからないものが置いてあった。

 

「おい、この世界の食事はどうなってるんだ?」

 

「ひどいですよねこれ。まあ砂糖マシマシ油そばはおいしいからいいんですけど」

 

そんなに砂糖マシマシ油そばが好きなのか霧ヶ峰は。僕にはその感覚を理解することがあまりできない。メニューに絶望していたのであるが、店の隅っこの冷蔵庫の中に牛タン弁当があったのでそれを購入することにした。

 

「牛タン弁当もなかなかおいしいですよね」

 

霧ヶ峰にもマトモな味覚を持っていたようで安心する。

 

 

なんだかんだで30分があっという間に過ぎ、ベルがホーム上に鳴り響いたので列車の車内に入ることにした。車内には古い客車特有の独特な消毒液のにおいが漂っていた。

 

そして僕たちは、2段ベットがある個室で寝ることになったのであった。霧ヶ峰が上段で僕は下段だ。

 

「なんか昔の列車って感じがするね。どうしてこんなに、その、僕の趣味にマッチしているような鉄道が走っているんだ?」

 

「さあなんででしょうね」

 

霧ヶ峰はその理由を聞くなといわんばかりの笑顔で答えるのであった。

この世界はいったいどうなっているのやら。

 

食事を終えた後、シャワーを浴びて列車内を徘徊していると車内の電灯が消されたので部屋に戻ることにした。

 

寝巻に着替えた霧ヶ峰は、

 

「一応先輩のことは信頼していますが、上段に上ったら蹴落としますよ」

 

「はいはい」

 

そして長い列車の旅が始まったのであった。

 

 

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

 

 

一方そのころ、桜柳は、王座奪還の準備を始めていた。

 

「ご主人様、持っていくものはミツマタだけでよかったですか」

 

ルームは桜柳に尋ねる。

 

「ああ」

 

ミツマタ。それはこの世界ではどのようなものにでも変化できる代物だ。

 

「これがあれば何も怖くない」

 

桜柳は自信満々に高らかに声を昂らせていった。

 

「さすがは、ご主人様です。ミツマタを持っているご主人様、いいえ、ご主人様に怖いものなんて何一つありませんね」

 

ペンシルが赤面を紅潮させながら言った。

 

「もう今回はみんなを危険な目には絶対に会わせないよ」

 

そういうことなので、ルームとペンシルあとロイドにスマートフォンを作って渡した。

 

「これは俺が以前暮らしていた世界で広く普及していたスマートフォンというものなんだ。こいつを持って異世界に転生した人は高確率で王またはそれに準じた、もしくは、それ以上の地位に着くっていうとてつもない実績があるシロモノなんだ。こいつがあれば絶対安心さ。」

 

「すごいです!私たちの王さま、ご主人様!」

 

スマートフォンは異世界では欠かせないアイテムとなりつつある。ということなのでミツマタを使ってスマートフォンを作ってみたのであるがここで問題点が生じた。電波がないのだ。以前ペンシルに渡したトランシーバーは基地局を必要としないものなのであるがスマートフォンは基地局を必要とするのだ。したがって、スマートフォンを今の時点ではまともに利用することができない。

 

ということなので、基地局の代替品となる移動基地局車も作り上げることにした。

 

「ご主人様、なんですかこれは。前回ご主人様が作ってくださった自動車に似ていますけど」

 

大型トラックの移動基地局車を見上げながらルームは俺に質問した。

 

「これは、さっき渡したスマートフォンを使えるようにするために必要な自動車なんだ」

 

「なるほど!さすがはご主人様です」

 

そして、俺と三人のメイドは移動基地局車に乗車して王都に出撃することとした。




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