無個性で普通の俺と魔獣母胎で病んでる彼女   作:鏡狼 嵐星

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自分の二作の小説書いてたら、FGO最近始めたプレイヤーから、ヤンデレティアマトってよくねって言われて、気づいたら5000字書いてた。勘を取り戻すために書いたから駄文かも。評価良かったり、感想めっちゃ来たら続き書こうかな。


とりあえず経緯から始めよう

個性。それは今の現在では当たり前になっているものと言っていい。確か『個性壊滅論』なんて論理さえ出てきているほど発達、複雑化しているのが個性の現状だ。

 

なんでこんな話をしているかって? まぁさ、俺も一介の学生だし、就職のためにいろんな知識をため込んでんのさ。このご時世大変だからな。

 

え? そういうことじゃない? じゃあ、本題にいこう。

 

「えへへ、しゅう~~」

 

「はいはい、俺も愛しているから」

 

「愛してないなんてありえないよね。こんなにもしゅうのこと好きなんだよ。……絶対に、ノガサナイカラ」

 

真正面から俺に抱き着く異形型の個性の女の子。白い体に、黒と金色で彩られた角。角は二回湾曲し、無限の記号の半分のような形になっている。それに、青みがかかった銀髪と真紅の瞳。多分、わかった人もいると思う。

 

そうこの子はティアマトだ。FGOシリーズにて第七章絶対魔獣戦線バビロニアにて、ラスボスであり、人類悪の一つ、ビーストⅡと呼ばれる最強の敵の一角だ。今、その子は俺にぞっこんすぎてヤンデレ状態なのである。

 

……無個性の俺を好いているのがヤンデレティアマト(個性が尋常じゃなく強い)な件について。

 

 

 

 

 

 

 

俺の名前は北水 柊。そして、転生者だと思う。思うっていうのは、いわゆる特典をくれる神様ってやつに出会ってないからだ。正直、僕ヒロで無個性だったことは結構ショックだった。まぁ、別に強い個性で無双したかったタイプではなかったので、そこまで気にしなかったが。

 

俺はいわゆる(ヴィラン)二世というやつで、親は個性を持たなかった俺をさっさと捨てた。元の世界で、アウトドアをよくやっていたので、子供でも何とか生きることができた。……もちろん全部を一人でやっていたわけではない。いろんな場所で非正規として雇われて金を稼いだりもした。

 

勉強よりも体を動かすほうが好きだったので、苦しかったがギリギリで生き延びていたそんな時だった。彼女に出会った。

 

最初、彼女をティアマトだとは思っていなかった。角がなかった(・・・・・・)からだ。ボロボロでおなかを鳴らしながら近づいてきた。めっちゃ可愛かったので、ご飯を分けたのがかかわりの始まりだった。

 

それから彼女はちょこちょこついてくるようになった。俺に家と言えるようなもんはなかったし、近くの山にあった洞穴みたいなものに住んでいたらいつの間にか隣にいた感じで馴染んだ。名前を教えてくれなかったので、ティアと呼ぶことにした。

 

美人だから全然問題なかったけど、しばらくしてから何があったのか聞いた。明らかに異形型なのだが、別に力が強いわけでも硬いわけでもなんでもなかったらしい。親に犯されかけて逃げてきたんだそうだ。

 

……少しその気持ちがわかると思ってしまった。それほどに人外的な美しさがあった。もちろん真正面からそんなこと言わないが。

 

すでに病んでいたわけではない(そんな子はあまりいないとは思うが)。なんというかクール系な女子だった。返事も「はい」とか「そう」とかだけだったし。ぶっきらぼう?というのだろうか。

 

このころから驚くことに角が生えてきた。最初はゆっくりだったが、次第に加速して、一か月たつ頃には羊みたいに小さく湾曲した角が出来上がっていた。さらに個性が発現した。

 

FGO経験者で七章をプレイした人なら知っているはずのもの、『ケイオスタイド』。聖杯の泥と同義とされるそれを、彼女はほぼ無制限に生産できた。追加して言うと、この泥を使って、個性を持った獣である『魔獣』を作り出せるというものだった。

 

ここで完全に気が付いた。FGOプレイヤーを苦しめた、ムシュフシュ、ウガムなどの魔獣たち、そしてラフム。それらの母体とされるティアマトの能力だと。

 

ティアマト。経験者ではない人のために、にわかではあるが説明しておこう。ティアマトと言っているが、正確にはそれは神であり、ボスの名だ。彼女自身の名称は『ファム・ファタール』。フランス語で『運命の女』。ティアマトの頭脳部分のような役割を持っていたというのが正しい。

 

あらゆる生命体のもととなる存在。生命を生み出す土壌。生命の源であるがゆえに死の概念を持たず、地球上に生きている生命体が存在する限り、その概念が消えることがない。

 

さらに彼女の原作のスキルとして、『生命の海EX』と呼ばれるものが存在する。これは彼女の黒泥(ケイオスタイド)、正確には彼女のスキルの影響下にある海に沈むと、細胞レベルで変化させられ、強制的に彼女の味方になるというものだ。

 

長々と語ったが、簡単に言えばドチートである。ここで確信したことが一つあった。

 

(これ隠さなきゃ相当やばくね?)

 

僕ヒロの世界では確かにチートだろと考えさせられる個性は存在する。オール・フォー・ワンとかオーバーホールとかがそれだ。ただ制限や弱点があるのも事実だ。だが、彼女の『ケイオスタイド』は彼女の意思が続く限り、生産が持続される。そこから質量分創るのにいるとは言え、個性を持った生物の生産し放題。強すぎて話にならん。

 

そこで、俺は危険だということを理由にして、どうにかこうにか使わないことを説得させた。この時、俺は十歳。聞けば、彼女も同い年。本来、小学四年生に持たせる能力じゃない。

 

そこから二年ほどは大きな事件もなく、どうにか生活できていたのだが、十二歳になったとき事件が起きた。二人分の食事を養うのも大変で、町への買い出しは俺が担当だった。普通に買い物して帰ろうとしたら、チンピラに目をつけられて、路地裏に連れ込まれてしまった。さらに、しばらく頑張って貯めた金もとられてボコボコにされてしまったことがあった。

 

帰ったら、もちろん問い詰められた。一応概要は説明したが、正直今更どうしようもないしとか、理不尽なことぐらいあるよなとか考えながら適当にしてしまった。いざ、彼女に注意を向けてみると、なんというかオーラみたいなのが上がっていた。

 

思わず声をかけようとしたときには、彼女の足元から黒い液体があふれ出た。そしてそこから出てきたのは、オレンジ色の体毛を持った獅子のような獣『ウリディンム』。それも十体ぐらい。何をしようと考えているか想像がついたので、止めようとしたが、それも遅く、獣たちは一瞬で消えてしまった。

 

彼女に止めるように言ったが、彼女の獣は「彼女の声が聞こえないと最初に指示された命令を実行し続ける」らしく、声が聞こえなければ、命令の書き換えはできないらしい。俺の顔は真っ青だったと思う。

 

一時間もしないうちに、一体がそのチンピラをボロボロの状態で引きずってきた。もちろん、それを追いかけてきたヒーローたちも周りにいた。シンリンカムイとかイレイザーヘッドやら五人ぐらいいたが。

 

「とりあえず、そのライオンみたいなやつを操っている個性を止めろ。話はそれからだ」

 

イレイザーヘッドの警告に素直に従うように、彼女に言い聞かせながら、二人でヒーローの前に出た。俺の姿を見て、表情を変えたイレイザーヘッドは状況の説明を要求してきたので、全員に説明した。状況を把握したヒーローたちはチンピラを運び、俺たちにも同行をお願いしてきた。断ったらやばそうなのでもちろん同行した。

 

警察署につくと、俺たちの身柄の検査が行われたが、住民票は俺にはなかったが、彼女にはあった。回帰母(かいきぼ) (あい)。それが彼女の名前だった。その名前じゃなくてティアって呼んでほしいといわれたので、ティアは続行だが。

 

住民票がない理由が(ヴィラン)二世だとわかったイレイザーヘッドこと相澤さんは、彼名義で住民票を作ってくれた。正直ものすごく申し訳なかったが、

 

「俺はヒーローだからな。人助けしないといけないんだよ。まったく合理性に欠ける」

 

めっちゃかっこいいっす。彼女も親がヴィランであったことから、親は自動的に逮捕。彼女の名義人に相澤さんがなってくれた。

 

ヒーローによって経営されている孤児院のようなものに入れてもらった。金は払えるようになったら払いに来いだと。相澤さんマジイケメン。絶対返しに行きます。

 

そのあとは残り半年ぐらいしかなかったが、中学受験のために勉強開始。俺は知識がもともとあったが、ティアはもとからできたんじゃないかってぐらいにめっちゃできてた。中学受験はもちろん成功。私立に通えることになった。

 

そこからはびっくりするぐらい普通の中学校生活になった。そこからはティアとの付き合いも少し少なくなった。俺は無個性だが、彼女は相当に強い個性。自然と距離ができたように感じていた。

 

もう一つ驚いたことに別クラスに主人公の緑谷 出久と幼馴染の爆豪 勝己の二人がいた。生で見れたのはうれしかった。二年生になった時、ティアと別クラスになり、二人と同じクラスになった。ティアも性格がそのままだったので反応はそっけなかったし、俺は二人に絡むことにした。

 

緑谷はすぐ仲良くなれたが、爆豪にはものすごい馬鹿にされた。ま、そりゃそうだよねー。

 

そのままなんだかんだで二人しつこくつきまとってみると、意外にすぐ受け入れられた、と思う。三年生では二人と別れ、ティアと同じクラスになった。そうって言われただけだったけど。高校もどうしようかなーなんてことを適当に考えていたころ。

 

女の子に相談があるって言われました。

 

前世では女子と話すことはできても付き合いはほとんどなかった俺は、正直ちょっと舞い上がった。その子は無個性だったし、罰ゲームとかって感じでもなかった。

 

帰る道で歩きながら、結構普通の会話をしていた。しっかり意識するといいにおいするんだなとか考えてしまう。描写へったくそだが勘弁してほしい。経験ないから。

 

その途中で女の子が何かにつまずいて転びそうになったのを助けて、抱きしめてしまったシーンがあった。女の子は真っ赤になって走って逃げてしまった。

 

やっちまったかと思いながら、孤児院から貸し出されているマンションの自分の部屋に入った。風呂に入ってゆっくりしていると、ティアからメールが来た。

 

『ちょっと部屋にきて』

 

一文、何とも簡素なものだった。彼女が苦手な虫でも出たのかと、そのマンションの上の階の彼女の部屋に入った。

 

リビングに入ってもだれもおらず、彼女の部屋にノックしたが反応がない。間違いメールかと思って帰ろうとしたその時、部屋の扉の隙間から伸びてきた髪の毛につかまって、部屋に連れ込まれた。

 

ベッドの上に押し倒され、その上に彼女が乗っている。髪がうねうねと動き、次第に腕やら足やらに巻き付いていく。

 

「ふーっ、ふーっ」

 

何やらうなっている。今までに感じたことがないくらいやばい雰囲気なので逃げたいが、無個性で普通の俺には絶対無理だ。

 

「しゅう」

 

今までにないぐらい甘ったるい声。背筋に悪寒が走った。そして、気づいたことに角が二回目の成長を始めている。それも目視できるほどに徐々に。追加して言うと太さも尋常でないほどに。

 

「今日の帰り道、なんで女に抱き着いてたの?」

 

声に殺気みたいなものが乗っている。体が震える。

 

「え、えっと、その、な」

 

「簡潔に」

 

「相談したいことがあるっていわれて、一緒に帰って、転んだのを助けただけですっ!」

 

俺の胸に顔をうずめながら、時折、ふふっ、って声が聞こえる。怖すぎて泣きたい。ティア自身の体の柔らかさとか気にしている場合じゃない。

 

「しゅう。変なの」

 

「な、なにが?」

 

ティアが顔を上げる。その表情が今まで見たことがないほどに、妖艶だった。両手をほほに当てて、口を開いた。

 

「体が疼いて止まらないの。ほかの女に抱き着いていた時から、想いが止まらない。今までずっととどめていたのに。もう止まらない。止められない」

 

体に抱き着いてくる。首筋を舐め上げられる。体をこすりつけてくる。この間もずっと角が成長し続けている。ミシミシと音も立てている。

 

「ずっと止めていたのに。抑えなければ、迷惑をかけると思って。もう止まらないからね。しゅうがわるいんだから。ふふっ、いいにおいがする」

 

顔を真正面から見てくる。目にハイライトがない。それに目にハートが見える。

 

「ほしい。いますぐ。しゅうのすべてが。からだも。こころも。ぜんぶ、ぜんぶ、ぜんぶっ!」

 

口づけされる。舌が入ってくる。口の中が蹂躙される。

 

「んっ。あぁぁっ、しゅうぅ。はらませて、しゅうのこを、はらませて」

 

え?

 

「ていこうしてもいいよ。いますぐおかすからぁ。はらむからぁ」

 

え? え?

 

「すき。すき。しゅう、だいすきだよ」

 

上から覆いかぶさられる。そこからは怒涛だった。夕方くらいからだったのにその日は寝かせてくれなかった。彼女の中で何度果てたか正直覚えてない。お互い初だったのだが、終わった後はもう何もする気力がないくらいから空っぽだった。

 

後から聞いた話だと彼女の角は何かを愛すれば愛するほど伸びるらしい。もうすでにもともと生えていた角の半径の二、三倍の長さと太さを持っていることには突っ込まないでおこう。

 

高校は俺は経営科に行くことにした。彼女と一緒に雄英高校へ。大変だけどやるしかないよね。逃げられないし。

仮免、誰がいい?

  • 炎の厄災
  • 獣の厄災
  • 呪いの厄災
  • 奈落の虫

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