夏休み入りました(単位1つ落としてそう)
カンペありなのにそれが意味を持たないテストってなんなんですかね(半ギレ
展開が長いとか言われてますけど、いうほど長いですかねぇ。そろそろ終わりますけど。
毎回書きますが、感想ください。かけー、かけー。
質問きましたが、オフェリアさんは後日談で出番があるかどうか(勢いでやった、後悔はしていない)
ふわふわのベッドの上で目がゆっくり覚めていく。太陽の光がまぶしくて、目を細めてしまう。まどろむ意識の中、周りを眺める。いつも過ごしているマンションの俺の部屋の中。そのベッドの上に寝ていた。
「……あれ、俺なんでベッドに……?」
確か俺はエミヤに銃弾で撃たれて、そのままティアにもたれかかって……。思い出せない。壁に手を置いて、体を起こす。
「しゅう?」
隣からティアの声がして、振り返ったと同時にキスをされ、ベッドの上に押し倒された。一分ほど口の中を蹂躙された後、ようやっと顔を見せてくれた。目に涙を浮かべながら、泣きそうな顔で見られると、撃たれたことが事実であると理解した。
「よかった、よかった……! しゅう、もうお腹痛くない? 他に変なところは? 苦しい? 痛くない? ねぇ、しゅう……」
「大丈夫、大丈夫。すっかり良くなってるし、違和感なんてないよ」
傷跡がさっぱりないし、痛みも全くない。黒泥から細胞を創り出して、ラフムで俺の細胞に変質させて埋め込んだんだろう。改めて考えるととんでもないことをされている。
「ねぇ、ティア。俺が撃たれた後はどうなったの?」
ティアは笑顔で俺に抱き着いて、耳元でささやいた。
「あの後は、ちょっと暴れちゃったけど、すぐにしゅうの治療をして、しゅうの部屋で寝てたよ? 何日も、ずっと一緒に寝てたよ? しゅうが起きるまでずうっと。だから大変なことは何もしてないよ?」
ちょっと。彼女の『ちょっと』が俺の想像するレベルの『ちょっと』なのか、そうでないのか、判断に迷うところだなぁ。それと分かったことが一つある。
「ティア、嘘はついちゃだめでしょ?」
彼女がビクッと体を震わせる。彼女の言うことが本当なら、いくら何でも時間がたちすぎている。俺が知る彼女は俺の怪我を直すことと同時に、意識を覚ますことを最優先にしているはず。そうでなければ、彼女は不安で不安でたまらないはずだし、暴走したままのはず。他のことに意識を割くなんてこともない。
「俺が起きて慰めるまで、ティアが暴走をやめることがないのは俺が一番よく知ってる。それにこの部屋、俺の部屋じゃない。見た目そっくりだけど、壁がほんのり温かいよ?」
マンションの壁を触れた時に、温かかった。それはいくら夏でも、太陽の光が当たっていたとしても、出せない生物的な温もり。つまり、この部屋自体が魔獣。隔離空間ともいえる。
ティアが抱き着いた状態のまま、徐々に力を込めているのがわかる。ティアの全力の暴走を止めることができるのは、俺だけ。無尽蔵に魔獣を生産できる彼女を止めるのは、いくら知性魔獣でも不可能だ。
「…………うして、どうして気づいちゃうの?」
部屋が徐々に輪郭を失い、黒く染まっていく。部屋に擬態する魔獣とは聞いたことはなかったけど、これは多分、ラフムの延長だ。ティアの髪の毛も巻き付いてきて、痛くはないが、全身が少しきつく感じる程度には力がこもっている。
「気づかなければ、全部終わるまでっ! 柊を傷付けるような奴が、いなくなるまで、柊は眠っていてくれてよかったのにっ!」
俺の胸に顔をうずめながら、ティアが叫ぶ。
「しゅうが、私の暴走に備えていたのは知ってた! スルトも、ドゥムジも、イヴァンも、項羽も、それに同意していたことも! 私だって、しゅうの望まないことをする気なんてなかった! でも、世界がっ、ニンゲンがっ、それを拒否した!」
この告白を俺は聞かなきゃいけないと思っている。俺が原因だし、なにより、聞くことができるのは俺だけ。
「しゅうから流れ出てくる血液が、苦しそうなしゅうの声がっ、血の味がするしゅうのキスがっ! しゅうを傷つけたこの世界が許せない、私はしゅうだけがいればいいのに! ニンゲンがそれを許さない!」
「ティア、あれは俺が」
「しゅうは何もしていない! ただニンゲンが自分のために、しゅうを襲って、傷付けただけ! しゅうは、ただ私と生きてきただけ! でも、あのままだったらしゅうはっ、しゅうはっ……!」
マグナムで撃たれた弾が、腕と腹を打ちぬいた。位置的に、ほっておけばそのまま死んでいた。それは事実だと思う。
「世界が私たちを拒否するなら、私はこの世界を壊してやる。しゅうが傷つかない世界を作って見せるっ」
ここで、出来のいい主人公たちはかっこよく彼女を正論でただすことができるのだろう。だけど、彼女がこうなったことに対して、俺がもっと警戒していれば変わったことがあったはず。俺が原作を知っているからこそ、原作との相違点が何かあるのではないかと疑問を抱くべきだった。エミヤがいい例だ。それに俺は彼女を正論でただすことができるとも思っていない。
「ねぇ、ティア。約束を覚えてる?」
俺とティアとの約束。ティアと恋人になった日にした、ティアをこの世界で普通の生活を送らせるための方法。
一つ、お互いの身の所有権。俺の肉体全てをティアが、ティアの体のすべてを俺が所有権を持つということ。
二つ、ティアの避妊と、俺の浮気禁止。
三つ、ティアが人間を殺さないようにすることと、俺がティアの夜の相手を必ずすること。
四つ、ティアが普通の生活をすることと、俺がティアから一日以上離れることがないこと。
最後に、約束を破った場合、破った相手に対して、相手に何でも一つ命令できる。この五つ。
「もちろん、おぼえてる! だから、私のしゅうを傷つけたあいつらを、私は許せないっ! だから全部壊してっ」
「ストップ。今回は俺が悪い部分もあるの。俺の予想と対策が甘かった。例え、敵のせいでも、俺が四つ目の約束を破ったことには変わりないから」
ティアは抱き着いているから、顔が見えないが、明らかに不機嫌だ。だが彼女を説得するなら、こうしたほうがちょうどいい。
「だから、ティア。君が約束を破っていない限り、俺は君の言うことを聞かなきゃならない。ティアが望むことを
ピクリと反応した。俺は最初、この約束を破る気はなかったし、破らせる気はなかった。最後の約束は保険のつもりだった。でも、今の状況なら『文字通り何でも命令できる』という言葉に大きな意味が出てくる。
「ティアは何をしてほしい? なんでもいいよ。ほしいものはある?」
彼女の耳元でささやく。彼女の欲しいものは何かわかるけど。
「……なんでも、いいの?」
「そういう約束でしょ?」
「ならっ、ならっ、しゅうの子供を! 孕みたい、孕みたいっ! 愛してほしいの、愛したい、しゅうをっ、愛したい、しゅうに愛してほしいっ!」
抱きしめる腕の力も、髪の毛の動き方も感情を抑えきれていない事がよくわかる。今の彼女はいろんなことがありすぎて、混乱してる。そこをつけ込むような感じだが、これが俺が思いつく一番確実に彼女を止める方法。
「うん、じゃぁ、そうしようか」
ティアが顔をあげる。涙でくしゃくしゃ担っているが、とても驚いている。
「いいの? いいの? むりだよ? とちゅうでやめるのはなしだよ?わたしとまれないよ?」
「大丈夫。でも、一つ確認したいんだ」
ただティアを救うなら、確認しなくていいかもしれない。でも彼女を人として生きさせるためには必要なこと。
「ティアは約束を破ってないよね?」
「え?」
「人を殺すようなことをしてない? 大きく傷付けるようなこともしてない?」
この空間の外で知性魔獣たちが戦っているとするなら。イヴァンや項羽なら問題ない。だが、牛若丸やクーフーリンオルタなら? 彼らの性格を考えると、独自の考えで半殺しにしていてもおかしくない。知性魔獣の特性がここであだになる。
「……してないよ?」
「本当?」
「うん」
「なら問題ないよ」
この状況ではそれを信じるしかない。はぁ、外、大惨事だろうなぁ。どうなっちゃうのかな、俺たち。
全てを壊す気だった。しゅうを傷付けた世界なんて、許せなかった。しゅうのすべては私のものなのに。絶対に、絶対にありえないし、絶対にしたりしないけど、私の許しを得たわけでもないのに。
だから私のすべての力を以て、思い知らせる気だった。大切な約束を破らないように。……暴れることをしゅうが望まないことを私はわかっていたつもりだった。でも、そう思っても無理だった、我慢できなかった。
危険を承知で、最近作った戦闘能力の高い牛若丸やキングゥを使った。禁止されていたベル・ラフムでさえ。
暴走していた時も理性をすべてなくしたわけではない。少なくとも人を殺すようなことをしないだけの理性は働かせた。知性魔獣たちが邪魔をしてくるのも、ほぼ無視していた。
しゅうは最初から私がこうなることを予想していたみたいだし、事実そうだった。スルトがわざわざ私をまるで敵に操られているかのように演出していたのはそのためだ。私が個人的な理由で暴走したように見せないために。
暴走すること、約束を守ること、魔獣を大量放出すること、知性魔獣を使うことまですべて。しゅうは私のすべてをわかってる。
全て私が悪いのに。しゅうはまるで自分が悪いように言う。否定しても甘い言葉で何も言えなくなる。
しゅうの子を産ませてもらえるなんて、言われて。私がそれに抗えないこともしゅうはわかっている。全部しゅうの掌の上のよう。私はそれでも一向にかまわないけど。
でも、もし私が約束を破ってしまったら、お互いに約束を破ったことになってしまう。そうなったらしゅうはお互いの命令権を無かったことにするだろう。それは困る。もうわたしはしゅうの子を孕みたくてしょうがない。
だから、あなたに動いてもらう。
大切な約束を破りかけるような愚か者は私の魔獣に必要ない。
もしそんな阿呆がいるならば、例外なくすべてに死を告げなさい。
私が眠っているほんの少しの間だけ、時間をあげる。邪魔なものは全て、排斥なさい。
罠を大量に用意した。作戦を大量に仕掛けた。ジーニストは作戦を立てることにおいては私よりも確実に優秀だ。その信頼は確かであり、失敗した気配などなかった。だが足りない。この黒い怪物を倒すのにはまだ足りない!
「ニ、人間ンんんン……! れレれ劣等種のブぶ、分際でェええっ! 平和の象徴ナドと、身に過ギタ名のクククせをシテいルごみのゴトき、アア蟻があっ」
私は何度もスマッシュを打ち込んだ。だが、コイツは何度打ち込んでもダメージをもろともしない。私の体もあとどの程度持つかッ!
「羊はん、あと何回殴ればええのん? もううち飽きてきたんやけど」
「んなこと言ってないで、さっさとしてください。あなたが主戦力なんで頑張ってもらわないと困るんで」
ベル・ラフムは依然巨大なまま、街中を大暴れしている。ヒーローたちが何人も様々な個性に対処しているせいか、決定打を与えられていない。何とか相手にできているだけで倒せるようには感じない。酒呑童子のおかげで戦闘してる位置が変わっていないだけだ。
「諦めかけてます? 無茶しなくてもいいんですよ、平和の象徴。休みます?」
「だれが、そんな事を言ったかなッ!!」
私が諦める? HAHAHA、冗談はよしてくれたまえ。倒せるように感じない? それは大した問題じゃあないなッ!!
「魔獣を大量に吸収している分、耐久力ありますね。確実に削っていますが、まだ余力ありそうです」
「現実は厳しいねェッ!!」
大量に前方からやってくる、巨大な黒い節のような腕たち。そのすべてを捌くのですら相当にきつい。何か打開策を見出さねば、こちらが押し負ける!
「もう、面倒ダ。遠慮なゾ、ももう、いらラらなイ。抵抗できヌぬように、てテ徹底的に思い知らせてやルゥうウ!!」
一つだった塊からいくつもの塊が出てきて、小さいベル・ラフムになっていく、だと!?
「今更分裂しないでくださいな!? いや、分裂数が少ない……? 流石のあなたでもそろそろ限界というわけですか」
本体は周りよりも一回り大きいが、五匹ほど分裂ができている。いくらここにトップヒーローたちが残っているとはいえ、一体ずつ相手にしていられるほどの余裕は、彼らにほとんどない!
「仕方ないわぁ。金髪はん、ある程度動きを止めたるから、真ん中の奴倒してしもてえな?」
酒呑童子がベル・ラフムと私の前に立ち、盃を高く掲げる。それと同時に私を除くヒーローが散開する。ボロボロの体を無理やり動かし、次の作戦にこたえるために。ならば、私もそれに答えねばならないよなぁ!!
「面倒やさかい、まとめて溶ろかしたろか? 『千紫万紅・神便鬼毒』。爪先からゆっくり……ゆ~っくり……」
高く掲げた盃から七色の液体がこぼれ出て、地面に落ちて広がっていく。薄く小さい波のように、ベル・ラフムのもとに流れていくそれは触れただけで、今まで罅すら入らなかった黒い殻を溶かしていく!
「操糸!」
ジーニストが服の繊維を操り、ベル・ラフムの節全てを糸で縛り上げる。私はその間に体の調子を整えなければ!
「燃えろぉ!」
ベル・ラフムの背後からエンデヴァーが最大火力で火を放つ。液体に引火したのか巨大な爆発のようなものが起こる。ベル・ラフムの周りの分身たちが次々と飛び出し、私のもとに向かってくる!?
「我々を忘れてくれるな」
エッジショットやギャングオルカたちが飛んできた奴らに対処してくれている。中心にいたベル・ラフムの本体が火を、個性の風で蒔き散らしながらこちらに……!
「貴様さエ、貴様サえ、潰せバ、後は烏合ノ集団。母様のたメに、生贄とナれぇ!!!!」
多数の足を異常な速度で動かし、そして無数にあった腕がねじれて混ざり合い巨大な一本の腕と化した。あれで私を押しつぶすつもりらしい。
「俊典、いったん距離をとれ!!」
わかっております、お師匠様。ですが、此処で引いてしまえば、もうチャンスは訪れそうにありません!! この機会を逃すわけにはいかないのです!!
「終ワれ、平和の象徴!」
私の身長を優に超える巨大な黒い拳が迫る。身近に、すぐそばに死が迫っているというのに、なぜか私は冷静だった。その理由はわからない。周りのヒーローたちが支えてくれたからか、北水少年と回帰母少女を救わねばと思っているからか。依然、私が平和の象徴であるという意地からか。いや、そうじゃない。
「私はね、伊達や酔狂で平和の象徴と言われていない。私は“柱”なんだよ。折れるわけには、いかないんだよ」
この場で、私という平和の象徴という柱が折れるところを見せてはいけないんだ!!
「『DETORIT SMASH』ッッ!!!!」
私の残った力から絞りだした一撃。迫りくるそれの真正面に入る。が、押し負けるっ。
「しょうがないですね、後で保険降りることを願います」
横から飛んできたドゥムジに体をぶつけられ、体をわずかに横にずらされる。私が拳の進む方向からずれ、拳がドゥムジに直撃し、遠方のがれきに直撃したっ!
「ドゥ、ドゥムジ、貴様ァぁァァーーー!!!」
巨大な拳を振りぬいた反動で、ベル・ラフムの胴は完全にがら空きだ。残った力をすべて出し切るために、なけなしの力で足を一歩前に出し、腰を入れることができる体勢を取る。
「『UNITED STATES OF SMASH』ッッ!!!!!」
全てを絞り切り、血まみれの拳を振りぬく。わずかに溶けた黒い殻にヒットした拳が、その体に巨大な空洞を開ける。最後の最後で巨大な傷を負わせられた。そして、私の中の残り火は消えた。
さらばだ、ワンフォーオール。
「…………………ぎ、ぎぎぎぎっぎいぎいぎいい」
な、まさか、そんな状態で、まだ!?
「わ、わが、かカカかラだ、はアあ、滅びは、しなあぁアいィぃーーー!!」
もう、私には何も残っていないっ……。
「いいえ、もう終わりですよ」
えっ、ドゥムジ!? さっきとんでいったんじゃ。
「ティアマトの黒泥の生産が終わりました。つまり、もう柊さんの説得が終わったということです。既に、あなたの一存でできることもやるべきこともありません」
「な、ナンだ、ト」
「それと、あなたへいいことを教えましょう。この場所で最も高い場所を見上げなさい。そこにあなたの死神が立っています!」
「魔獣とは母より産まれるものでありながら、死が存在しない。それは命がなく、生きるに能わない」
遠くに立つ、高いビルの上。その場所に黒い人影が立つ。
「我が身はただ一刀を振るうものでしかないが、死の代理者としての役割を果たさん」
蒼い炎のようなものが黒い影に巻き付く。月明かりがそれを照らし、髑髏の仮面がわずかに光る。
「同胞を食らう愚か者といえど、母の命令とあれば名乗らねばなるまい」
その黒い鎧を輝かせる月の光が強くなる。告死の剣を縦に構え、地面に突き刺し、それは語る。
「黒い泥の底より、暗き死を馳走に参った。山の翁、ハサン・サッバーハである」
感想、待ってますよ?
仮免、誰がいい?
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炎の厄災
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獣の厄災
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呪いの厄災
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奈落の虫