無個性で普通の俺と魔獣母胎で病んでる彼女   作:鏡狼 嵐星

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感想であったから言うんですけど、私は感想目的で書いてます。
なので、前書きとかで毎回感想くださいって言ってます。
うざいって思ったなら読み飛ばしてください。
あと、作品の感想を聞いてます。作者への文句は作者のメールボックスに送ってください。改善します。作品のここがダメって言うなら、このほうがいいな~とか簡単にでいいので書いてください。

しばらく簡単な小話を書いていきます。


ヤンティアさん家の風呂事情

時間は少し遡る。合宿の肝試しの前に、A組が風呂に入っていた時の一幕。

 

「柊くんたちもこの時間なの?」

 

「ミーティングがいいところだったから、少し伸びちゃって。A組が早く来たから同じ時間になったみたい」

 

A組男子全員と、経営科の二人が合宿所の風呂に入っていた。

 

「北水はヒーロー科と同席してるのに余裕そうだな。緊張しちまうよ」

 

「学生同士なんだから、固くならなくても」

 

「そ、そうだよ。僕たちは生徒だから。むしろ柊くんみたいに気軽にしてほしいよ」

 

北水と同じ、経営科の計 三貴は緊張していた。プロではないが、将来を担うであろうヒーローの卵たちが隣にいるからである。

 

「俺ら経営科からすると、将来の仕事の相手になるか、ライバルになるかだからさぁ。緊張もするさ。俺は北水と違って、仕事をする仲間を探さなきゃいけないしな」

 

「ティアのことだよね、それ。まぁ、間違ってないし、経緯は珍しいだろうけど」

 

三貴の言い分に白い眼を柊が向けるが、三貴自身は口笛を吹いて、知らないふり。

 

「お前の事情は珍しいなんてもんじゃねえよ。なにせ、経営科でも噂になったヒーロー科主席と付き合ってる上に、向こうが惚れこんでると来た。お前はラノベの主人公か」

 

「……改めて考えるととんでもない人生送ってるよなぁ、俺」

 

今更かよと、呆れられていることに柊自身は気づいていない。

 

「経営科だと、北水くんはどんなイメージを持たれているんだい?」

 

飯田の質問はヒーロー科故の質問だろう。現在の状況だと、ヒーロー科と経営科は接点が少ない。そのため、互いに知らないことが多いからだ。

 

「簡単に言うと経営科一のリア充」

 

「むしろ雄英でもトップじゃね? あんな美人なら、俺はナンパしたい」

 

上鳴の話に合わせるように、三貴は手をあげて、首を振る。

 

「一学期が始まって、ほぼ初日に彼女が迎えに来てよ。経営科の男どもは期待したもんだ。まぁ、誰にも反応することなく、北水のところに行ったから、全員打ち砕かれてたけど」

 

「その光景が容易に想像できるな。打ち上げの時も北水にべったりだったし」

 

切島がうんうんと頷く。

 

「ただ、俺から見ると、めちゃくちゃ愛が重く見えるぜ。サポート科の発目と北水が会話してた時に回帰母が入ってきたときはやばかった。うん、思い出したくねえ」

 

「その時はちゃんと俺がティアを止めたでしょうが」

 

「そういうことじゃねーよ。あの時の殺気はマジの奴だろ。ありゃ、いわゆるヤンデレってやつだ。ただそれだけならともかく、個性が強すぎて洒落になってない。北水はよくやってると思うよ」

 

ティアが経営科でもしでかしていることを理解したヒーロー科男子軍は、微妙そうな顔であった。

 

「そういうのどうでもいいんすよ。求められているものは違うんすよ」

 

峰田が壁に向かいながら、悟ったかのように上を見上げている。

 

「一応先に行っておくけど、覗きなんてやめときなよ」

 

「うるせえ! 彼女持ちのお前に俺の気持ちがわかるかってんだ!!」

 

「いや、割とマジで君の身を心配して言ってるよ。あの子がそういうことを対策してないわけないし」

 

柊の言葉は届くことなく、峰田は個性を使って壁を登る。本来なら止めるのは洸汰なのだが。先にそれを止めたものがいる。

 

「ぎゃあぁァァ!!」

 

「ほら、いわんこっちゃない」

 

止めたのは人の顔ほどある、巨大な虫の軍団。いきなり顔面に現れたため、峰田は驚いて落下した。

 

「あれは確かオールマイトの初授業の時に出てきた、爆豪と戦ってたやつ!」

 

「翅刃虫か。手加減する気ないなぁ、わかってたけど」

 

翅刃虫は峰田を落としたことを確認すると、ゆっくりと柊に近づいてくる。柊が腕を出すと、そこに着地する。

 

「最初は警戒だけにしておいてね、戻っていいよ」

 

その言葉を聞いた翅刃虫は空中に戻り、巡回を始めた。飯田が峰田の元に行き、更衣室まで運ぶ。

 

「疑問が一つあるんだがいいか?」

 

「障子くん、だっけ。どうぞ?」

 

柊の近くまで寄ってきた障子が質問を投げかける。

 

「なぜ回帰母の個性である魔獣たちが北水の言うことを聞くんだ?」

 

その一言はヒーロー科全員の耳を傾けさせるには十分な話題だった。

 

「あ~、確かに。あの子達が言う事聞いてくれるのはティア以外には俺だけだもんね」

 

「他にも回帰母の個性の反動はなんだ? 轟のように体温が下がったり、上鳴のようにショートしたり、個性の使いすぎには反動がつきものだ。だが、今まで回帰母にそれらしい反動があったことを見たことがない」

 

「それは俺も聞きてえ。回帰母自身は自分のことを話さないから、個性が魔獣を作ることぐらいしかわかってない。あいつへの対策をするには情報が少なすぎる」

 

ティアの個性の内容に、興味が強い轟が近づいてくる。爆豪も少しだけ近づいた位置に移動していた。

 

「……ティア自身は話さないだろうなぁ。障子くんの質問には同時に答えられるよ」

 

「どういうことだ?」

 

「簡単に言うと、ティアの魔獣は『愛している』という感情をもとに作られるから、魔獣は愛していたものに反応する。反動は感情を燃料にするから、その分の感情を失う」

 

一旦全員の反応が停止した。数秒したあと、瀬呂がおずおずと手を挙げる。

 

「なぁ、それってさ、えっと、回帰母が北水への恋心を使って、魔獣を作ってるってことか?」

 

「まぁ、そういうこと」

 

「感情を失う反動があるのに、そういった傾向が見えないってことは……」

 

「……恥ずかしいから、察して」

 

瀬呂が苦笑いしながら手をおろし、少しの間、気まずい雰囲気が周りに出来上がる。

 

「ただのノロケじゃねーかぁァァァッ!!!!!!」

 

更衣室の扉を開けて、峰田が叫んだ。

 

 

 

 

 

 

 

「男子共がうるさいなぁ」

 

「向こうは向こうで楽しんでるんでしょうよ、ケロ」

 

耳郎の文句を蛙吹がいさなめる。

 

「しゅうと一緒に入りたかった……」

 

「それはまずいですわよ、愛さん!?」

 

ティアの言葉に思わず八百万がツッコミを入れる。思春期の男女が一緒に風呂に入るのは普通はまずいのだが、彼女は普通ではない。

 

「……愛ちゃんの体、やばいなぁ。なんというか、女のうちから見ても、目に悪いわぁ」

 

「わかる~。ヤオモモもだいぶやばいけど、愛ちゃんはなんか、大人っぽい魅力というか! 両方ともやばすぎ、割とまじで」

 

麗日と芦戸が目の前で行われるツッコミを見て、声を上げる。

 

「みんな胸ありすぎじゃない? 私だけじゃん、小さいの」

 

「違うぜ、耳郎ちゃん。私見えてないだけでそんなに大きくないよ」

 

「透もまぁ、あるじゃん。水面でわかるよ」

 

「しまったっ!?」

 

耳郎のコンプレックスが話題に上がった。

 

「毎回思うんだけど、大きくするコツとかあるの?」

 

「え? 私は意識したことありませんけど……」

 

八百万の想像通りの返答にため息を吐こうとした耳郎だったが。

 

「そんなの簡単」

 

ティアの返答に思わず、その息を呑み込んでしまい、咳き込んだ。

 

「まじでそんな方法あるの!? 半分冗談だったんだけど!?」

 

嘘かもしれないと思いつつも、期待を抑えきれない耳郎に対して、ティアは普通に言い放つ。

 

「好きな人にいっぱい愛してもらえばいい。一晩中」

 

沈黙が、辺りを満たした。

 

「私はしゅうの恋人になったときはそんなに大きくなかったけど、毎日愛してもらっていたら、すぐにこのサイズになったよ?」

 

もう一度沈黙が降りた。耳郎はティアの胸を見つつ、言葉をどうにかひねり出した。

 

「…………それは、その、ごめん、今は無理」

 

「そう」

 

ティア以外がなんとも言えない雰囲気をまとっているため、これはどうにかしなければならないと蛙吹が動いた。

 

「あ、愛ちゃんは北水ちゃんと恋人なのよね? 北水ちゃんのどこが好きなの?」

 

「全部」

 

「嫌いなところはないの?」

 

「ない。全部、余すところなく、しゅうのすべてが好き」

 

「それはすごいのね」

 

蛙吹は少し疑問に思いつつ、流した。彼女にそれを突っ込む自信がなかった。

 

「じゃ、じゃあ、北水に惚れたのはどういう経緯?」

 

芦戸がフォロー。

 

「長くなるよ?」

 

「こうなったら付き合うよ! さあ、どんとこーい」

 

葉隠がフォローを増やす。ティアがニヤニヤしながら語りだす。

 

「しゅうは私に初めて、愛を教えてくれた人。初めて、人の暖かさを感じさせてくれた人」

 

「そういえば、愛ちゃんは親から逃げて、孤児院にいたんやっけ。家族もおらんかったってことやんな……」

 

「たしかに私の親は親と言えるような人じゃなかったし、私もひどい目にあった。でも、しゅうはもっとひどかった。親に子供とさえ思われてなかった。私がしゅうに会ったとき、しゅうは孤児院に入っていなかったけど、親はいなくて、誰にも頼らず、たったひとりで生きていけるようになってた」

 

孤児院で育ったと思っていたため、全員が目を見開く。柊自身は孤児院でティアにあったとは明言していないことを八百万は思い出していた。

 

「しゅうは誰にも愛されていなかった。愛されたことがなかった。そのはずなのに、自分の数少ない食べものを分けてくれた。泣いていた私に手を差し伸べてくれた。愛を教えてくれた、与えてくれた。だから、私が愛してあげたいと思った。過去の分も、今の分も、未来の分も。次は私が、愛してあげるの」

 

愛情を抑えきれないように見えた。感情が高ぶっているのを周りは感じつつ、その惚気具合に苦いものが欲しくなった。

 

「あぁ、しゅう。キスしたい、抱きしめたい……」

 

「せめて合宿中は我慢してください、愛さん」




ラブコメ難しい。
あ、小話で『何かしらの理由で柊が死んじゃって、ティアがタイムスリップして、柊として自我が出来る前の柊に会って、最初から愛しまくったらどうなるか』とかどうですか?
活動報告にアイデア枠を作っておきます。

仮免、誰がいい?

  • 炎の厄災
  • 獣の厄災
  • 呪いの厄災
  • 奈落の虫

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