リッチ少女のティリス放浪記   作:メメントロベリア

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文体も文章も模索中なのでこれからころころ変わるかもしれません。


第2話:旅立ち

 緊迫した空気と、ただ少しの沈黙が流れ──破ったのはロミアスだった。

 

「──君がまさか不死者だったとはな。ならばあの時、君を助けた事は大きなお世話だった訳だ」

 

「いえ、二人には本当に感謝しています。魔力に存在の比重が多少置かれた不死者といえど、戻る肉体がなければそのまま発散して消滅してしまいますから」

 

「...君は不死者でありながら、他の魔物のように凶暴化しているということはないようだな」

 

「私が不死者になったのは事故によるもので、それも偶然の積み重ねのような出来事でしたから。今、私が凶暴化してないのも、今まで運が良かっただけかもしれません」

 

 また少しの沈黙。ひとまずは敵ではないと分かって、二人の警戒は解かれたようだ。緊迫していた空気は薄らいで霧散する。

 そして、私はずっと言いたくて言えなかった言葉をここぞとばかりに放つ。

 

「...そして、遅くなってしまいましたが、助けて下さってありがとうございました」

 

 私は二人へ向き直り、深々と頭を下げる。

 

「あなた達の助けが無かったら私は死んでいました。既に死んでいる私が言うのも少し変だと思いますが...二人は命の恩人です、私にできる事なら何でも──」

 

「待った。私達は何も礼が欲しくて君を助けた訳ではない。面倒事が起こるのを疎んじて、その先ほんの気まぐれで君を助けたんだ。君の身の上も礼も興味は無い」

 

──そうだ。二人は異形の森の使者で、パルミアへ急務があるんだ。

──なら私が付きまとって、大切な時間を奪ってしまうなんて最悪だ。

 

「す、すみません!出過ぎた真似を...」

 

「私達は直ぐにここを発つ。君の無事が確認された以上、ここに留まるのは無意味かつ無駄だ」

 

 二人は足元に散らばる雑多な道具、大岩に掛けられたコートや、明かりの付いたランタンを素早く片付け身に纏っていく。そして焚き火を残し、最後にただ広々とした洞窟へと戻る。

 

 そんな二人を眺めていると、ラーネイレが近づいて来て地図を渡してくる。

 

「これどうぞ。あなたはここの大陸の人じゃないでしょう?これから旅するにしろ何にしろ、地図は持っていないと」

 

「あ、ありがとうございます!前大陸に居た時にもティリスの地図は見かけたのですが、あそこからは遠い土地という事もあって高くて...」

 

「どういたしまして。東にあるヴェルニースの町はここから子供の足でも一日かからないわ。あと、これも」

 

 ラーネイレから私へ手渡されたのは、少し古めかしさが残るも今だ輝きを失わない綺麗な首飾り。

 

「これはお守り、今はあなたが持っていて。いつか役立つ時が来るかもしれない」

 

 程なくして、二人は洞窟から出て行った。去り際にロミアスは振り向き一つせず、ラーネイレは少しこちらを見て手を振り。

  

「また巡り会う時まで、あなたに風の加護のあらんことを」

 

 

 

 二人が去って洞窟にただ一人。衣服も既に乾いて、朦朧していた視界と意識も回復して。立ち上がる事も難しかった身体も、二人の施した回復処置が効いてきたのかもう全く痛まない。

 

──旅立ちの時だ。

 

 新大陸での滑り出しは良かったとはいえない。けれど自分の乗っていた船が沈没したり、エレアの人と実際に話すことができたり。

 

──新しい発見と体験、沢山しちゃったな。

──きっとこれからもっと新しいことを知り、身に感じることができる。

 

 新大陸での旅を楽しみに、思わず頬がほころぶ。

 

──さあ、考えて想像しているだけじゃなくて歩みだそう。

 

 そうして私は薄暗い洞窟を抜け出そうと、光洩れる外界へと向かった

 

 

 




次から本筋の探索へ入っていく予定です...入っていけるといいなあ...
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