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「それじゃあまたね!」
「はい、ありがとうございました!」
ミシェスさんに見送られながら、ひとまずヴェルニースを後にする。遠く聞こえるザナン皇子の遊説も、結局はいつもの言い分だろう。
得た報酬で多めに食料などを買い込み、次に目指すは王都パルミア。なんてヴェルニースの門を出て地図を広げていると、後ろから一人の少女が駆け寄ってきた。
「ネリネお嬢様、ですよね?」
荒い息を整える、私よりも少し背の高い金髪の少女。
「リナリア!」
「ああっ...良かった。あの後探しに探して、船に乗り込んでいく姿が見えたからそのまま追って来たんだ。本当に、ご無事で...っ!?」
彼女が私の手を取る。不死者と化した証の、血の気が退いた青白い手を。
「...ごめんなさい。私、もう生者じゃないの。あの後
「...私が、付いていれば...でも、どんな形であっても、お嬢様が居てくれて良かった...」
彼女が私を抱きしめる。すすり泣く声、私が彼女を悲しませてしまった。
──私のせいなのに。
──私の身勝手が、彼女を悲しませてしまった。
私の旅着は意図せず、不死者であることを隠すのに都合が良くなっていた。丈の長いフード付きの
ミシェスさんには夜の中、暗い明かりのみだったから誤魔化す事ができた。朝は少し早めに起きて用意してフードを被ってしまって。
双方の事情を確認する。彼女はティリス到着後、冒険者として路銀を稼ぎながら私を探していたらしい。話し合いの結果、彼女も旅に同行してくれる事となった。前例がある事だし、危険な旅なんて止めようと言われたが、それでも譲る事が出来なかった。ここで私が家に戻ってしまったら、私は二度と出られないような場所へ幽閉されてしまうだろう。彼女にも酷い罰が下りてしまうに違いない。そして、私が不死者になった事を知られてしまったら...考えるだけでも恐ろしい。
二人の持ち物を確認しあい、必要なものは分け与え、受け取っていく。
「またよろしくね、お嬢様」
「ええ、でもリナリア。"お嬢様"はなしよ。他の人に聞かれたら、色々勘繰られてしまうかもしれないから」
「分かった...じゃあ、ネ、ネリネ」
「うん、よろしくねリナリア」
彼女が、私に対してこのような軽口で接するのは二人きりの時だけだった。その時からずっと思っていたのだ、"お嬢様"だなんて堅苦しいと。今回で改められて良かった。
こうして、
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今だ天頂に届かぬほどの太陽と、ただひたすらに澄み渡る空と、見渡す限りの青々とした草原。そして地に敷かれた、東に伸びる舗装された一本道。ヴェルニースとパルミアはこの道で繋がっている。この道を私と彼女の二人で歩く。
「思えば遠くまで来たものね...」
「エウダーナにも地平はあったけど、草原じゃなくてひたすら砂漠だったしね。この緑を初めて見た時には驚いたよ」
遠くに見える
「ネリネ、魔物が前から」
その声を聞き、即座に物質感知の魔法を走らせる。肉眼では見えないが、姿形はおおよそ分かった。それは人型で、武器のような物を持っているという事だ。それが数体。正確な数は分からない。思いを巡らせている内に、それは影を形取って向かってくる。
──コボルト。
──私を殺した、魔物。
自己の魔法領域から魔法記憶を引き出し、先んじようと右手を伸ばす。がしかし、手でリナリアに制止される。
「ネリネにはまだ見せてなかったね。私が戦うところ。この位の相手なら私一人でも大丈夫。そこで見てて」
彼女はそう言うと、コボルトに向かって一歩、また一歩と歩み出す。私はそんな彼女をただ黙って見守る事しかできなかった。
"私"は
コボルト、数は四体。凶暴化した魔物に統率も糞も無い。馬鹿正直にこちらへ走り向かってくる。
最初に接敵した一体目。大上段から力一杯に
次、二体目はすぐ傍まで来ていた。
三体目、
最後、
「ライトニングボルト!」
視界の端で来たるは直進する束ねられた黄雷。その一撃は軽く触れた身体を黒く焦げ付かせ、直撃したコボルトの右腕を焼失させた。振り下ろした勢いの余り、地面に倒れるコボルト。その背を前の相手が持っていた槍を拾い、突き刺し抉り地面に繋いでやる。起き上がれないともがいている間に、盾から剣を引き抜きそのまま首を刎ねる。最後に付いた血を剣と包丁ともども振り解き、鞘に収める。
咄嗟の判断だったけれど、念の為に事前に詠唱しておいて結果的に良かった。
しかし、リナリアがこうまで強いとは思ってもみなかった。紅茶を淹れる彼女。私にドレスを着付ける彼女。そのどれとも今の彼女のイメージは重ならない。
しかしあのライトニングボルト。もし私が撃たなかったとしても、きっと彼女はコボルトを殲滅できていただろう。それだけの戦闘熟練を彼女には感じる。
「お疲れ様。驚いたわ、リナリアがあんなに強いだなんて」
「ありがと。カッコいい所見せたかったんだけど、ちょっとヒヤっとさせちゃったかな?」
リナリアは少し微笑み目線を私に寄越す。
「うん、少しね。私も少しなら戦えるのだし、頼ってくれてもいいのよ?」
「我が主がそう言うならそれもいいけど、私は一度守れなかった無能な従者だ。だから、清算といっては何だけど今度こそは守りたいんだ」
「そう、ね。ごめんなさい...」
自分から彼女の元を離れてしまったのは私だ。私が、私の不意が彼女に責任を感じさせてしまっている。
「ああ!そういうつもりで言ったんじゃないんだ。とにかく!私が一緒に居れば大体は安全さ。だから今度はもう、絶対に離れないでね」
「...うん、分かったわ。ありがとう」
「ふふっ、なんてことないよ。私はネリネの
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周囲の安全を確保し、コボルト達の残した装備を纏める。この様に旅人や商人を襲って得た武具だろうか。その中でもまだ使えそうな物をのみを荷物へ纏める。パルミアに着いた時に売れば多少の足しにはなるだろう。私自身が鑑定魔法を使うことができれば、今ここで何が良い物かを判別できるのだが、まだ私は覚えられていない。
王都への道のりはまだ長く。そして、パルミアまで長い長い道を二人で歩く。
剣戦闘!一回書いてみたかったんだ!