Lv.0の魔道士 re   作:蓮根畑

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何故か長編オリジナルエピソードの方が先に頭の中で仕上がる件について。いつまで投稿出来るか分からないのでやりたいことはやっていくスタイル。この話は時系列で言うと本編終了後の話ということで。
マジですみません。でもこのエピソード前作の時点から考えていたものなので許してください。何でもしますから(なんでもするとは言ってない)


星帯遡行 フリンガル 黄金に燃ゆる黒
Lv.? いつの日か


 

 

 

 

 

いつぞやの夕べ。

もはや恒例と化したナツとグレイによる「突撃!ジョニィの晩御飯!」は今日も行われていた。グレイが買ってきた酒を飲み、少しほろ酔い状態になったせいかこんな質問をしてきた。

 

 

 

同じタイミングでも妖精の尻尾の女子寮にて、ジョニィのように突撃されたわけでもないがお菓子やジュースを用意してエルザ、レビィ、ルーシー、サクラ、カナ、リサーナ、ジュビアなどなど、キャッキャッウフフと話を盛り上げていた。そして女子といえば恋愛トーク。時計の針は12時を超え深夜テンションというのか、カナが頬を赤く染めた状態で勢いよく質問した。

 

 

「なぁ、ジョニィはサクラのことが好きなのか?」

「ねぇ、サクラはジョニィのことが好きなの!?」

 

 

一方は、口に含んでいた酒を垂らしながら。

もう一方は、キョトンとした顔で。

 

 

 

「「・・・は?」」

 

 

同じ日、同じタイミングで同じ質問、同じ返答。これを運命と言わず何というか。

この話は外伝と呼ばれるもの。物語に綴られることがなかったもう一つの物語だ。

 

 

 

 

 

星帯遡行 フリンガル

黄金に燃ゆる黒

 

 

 

 

 

 

 

 

「我々は長く生きすぎた(・・・・・・・)

 

どこか知らない暗闇。

そこを照らすのはホコリかがった大理石の机の上に一本だけ佇む蝋燭のみ。その蝋燭も蝋はほとんど溶け、支えとなっている皿にほとんど流れ、あと1分も経たずに消えることは明らかだった。暗闇を照らすには少なすぎる光量。一寸先も見えない闇の中から傷だらけ、そして歳によるせいか皺が入った手が蝋燭を支えている皿を持ち上げた。蝋燭の火が近づいたお陰で皿を持ち上げた腕の持ち主の顔が見えた。その顔は腕と同じように傷だらけ、皺だらけ。目は病によるものか瞳が白に変色していた。眉毛や髭はろくに手をつけられていないのかボサボサに生え真っ白。何も知らない人から見たら100歳をゆうに超えているだろうと思うだろう。本当に100歳を超えているとは誰も思わないだろうが。

 

「この蝋燭も人も皆『命』持っている。蝋燭は蝋のなくなる瞬間まで、人は寿命を迎えるまで・・・」

 

老人の手が蝋燭に近づく。すると時間が巻き戻るかのように皿に流れ落ちた蝋が、蝋燭を辿り戻ってゆく。近づけた手を離す頃には残り2cmもなかった蝋燭が15cm程に。火をつけた時のほとんど同じ状態に巻き戻っていた。

 

「例え時を巻き戻しても(・・・・・・・・)それは同じ。同じように限界が来る。我々と同じように」

 

時間遡行。それは竜と人の戦いにおいてウルティアが使った時のアークと全く同じ。

対象だけを巻き戻すことによって、巻き戻した分だけかかる負積を軽減したのだ。しかしそれでもおかしい。ウルティアは1分巻き戻すのにほとんどの寿命を使ったりのに対し、老人は対象を一つにすることで5分の時間を巻き戻したがそれでも負積は重い。100をゆうに越えている老人であれば使った直後に即死もあり得るというのに。だがそんなものは気にせんと言わんばかりに老人は話を続けた。

 

「我々は計画のために長く、長く長く生きた。人間が使ってはならぬ薬を使い、未知の鉱石を使い、魔法を使った」

 

蝋燭の灯りが老人の魔法により大きくなった。闇を照らし机を囲んでいた人影の姿も露わになる。

 

一人は片腕と片目をなくし、腰に吊り下げた錆びた二刀の短剣がかつて冒険者だったと思わせる老人が。

 

一人は両目を潰され、体全体に切り傷を負った老人が。

 

一人は片脚をなくし、胸に錆びた黄金のペンダントを付ける老婆が。

 

一人は叡智を思わせる目をした、白い鱗を持った竜人が。

 

一人は両脚をなくし、車椅子に乗りながらも目を爛々と燃ゆる悪魔が。

 

「魔法とは何か?私が思うに魔法とは正を目指すことを言う」

 

炎が辺りを照らし、物を焼く力を持つように。水が生きるために使われるように。土が作物を育てる力を持つように。風が正しき道を照らすように。

 

「魔法とは正を重んずることだと、長年思った。だが我々にとって正なる魔法とは何か」

 

魔法が正を行くもの。ならば寿命をとっくに通り過ぎたものにとっての治療の魔法とは何だろうか?妖精の尻尾の魔導師の一人であるウェンディ・マーベルは世にも珍しい治癒魔法を使えるが、それはこの老人とて出来ること。治癒とは体に負った傷や、病気が治ることを言う。

 

「そう。君達も気づいているように我々にとって正なる魔法とは安らかな死(・・・・・)なのだ」

 

限界を超え、死を無理矢理超えてしまったものには安らかな死をもって苦しまずに死を迎えることが何よりも正しい。だがそれではダメだと老人は見た目からは予想できない力で机を叩いた。

 

「我々は計画を成功させるまでは生きると決めた。その為ならどんな悪逆でも染まると決めた」

 

 

こんな所で死ぬわけにはいかない。

 

 

弱々しい言葉と裏腹に、魂にこびりつくような熱を感じた。

 

妖精の心臓(フェアリー・ハート)ではダメだった。魔力は足りるが、アレを発動するためには一度に多くの魔力を注ぎ込まなければならなかった。それから考えて考えて考えて考えた。が、何も思い浮かばなかった。まさしく絶望。だがついに神は我々を味方した」

 

老人はおぼつかない手で纏ったローブの中から黒い丸薬が入った瓶を取り出した。

 

「我々は正に行くことはもう出来ない。ならば負を行くだけだ。だがこれを飲むのには覚悟して欲しい。正が癒しであるなら、負は痛み(・・)だ。この世のありとあらゆる苦痛を飲んだ瞬間に味わい、負の命が尽きるまで続く。発狂死してもおかしくはないだろう。だが!!それでも!!己が願い、悲願を死を超えてでも望むと言うのならば!!」

 

 

──私に付いてきてくれ

 

 

5人が無い足を使い、千切れた腕を使い丸薬に手を伸ばす。

 

「我々は道は違えど願いは同じ。ならば拒む理由は一切なし。その身が尽きるまで汝に付き合おう」

 

暗闇を照らす蝋燭によって一枚の写真が照らされた。過去に撮ったものなのか少し黄ばんでいるが顔は見て取れた。絹のように白く滑らかな髪。瞳は本人を表しているかのような明るい黄色。腰には赤の鞘で包まれた刀を差し、腕には紋章が刻まれていた。

 

 

 

 




FGOの特異点の名前っぽくしたかったけど何も浮かばなかったので適当にカタカナ5文字打ち込んだらフリンガルだった。
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