Lv.0の魔道士 re   作:蓮根畑

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マリオオデッセイパワームーン多すぎ問題。スイッチ買ってマリオやってるんですけど幾ら何でもパワームーンが多い。一つのステージにつき100個近いって幾ら何でもやり過ぎだろ任天堂。



Lv.46 開闢の星

 

 

 

 

 

 

 

残り50メートル。ここまで来れたのが奇跡みたいな話だ。クリスティーナを囮に使う作戦を言ったのは俺だったが、高い金を払ってまで作り上げた戦艦を俺のために使ってくれるとは流石に申し訳なかった。しかし、そのおかげで奴の目前まで辿り着いた。ここでしくじる訳にはいかない。

 

「雑種共めぇ・・・!!」

 

砲門の数が倍に増えていく。空の景色よりも黄金の波紋の方が多く目に入る。刀を握り直し魔力を体内で練り上げる。制限突破──身体強化された体から青い魔力を炎のように漏れ出した。

 

「ジョニィ、行けるな?」

「上等ッ!!」

 

足に力を込め跳ねる。地が砕ける音より先に前へと飛ぶ。残り40メートル。

 

「図に乗るなああぁぁ!!」

 

一際大きな黄金の波紋が現れ、緑の宝石で装飾された巨剣が現れた。千山切り拓く翠の地平(イガリマ)と呼ばれるその剣は、ナツが食べた万海灼き祓う暁の水平(シュルシャガナ)の対となる「地平線」の概念を持つ。名の通り山を切り拓くことすら可能であろう巨剣は振り払うのではなく、今までと同じように射出された。刀で払うには大きすぎ、剣で受け止めるには大きすぎる。

 

「なら避けるしかないよな!」

 

前方へと飛び上がり、射出され斜めに突き刺さったイガリマの上へと着地し走り続ける。

 

「おのれぇ・・・!」

「バーカ!自分で道作ってどうすんだよ!」

 

そう、イガリマの全長は50メートル近くあり、それが地面に突き刺さったことで偽の英雄王までの道が出来てしまった。美貌を歪ませ怒りを露わにし砲門から武器を解き放つ。逃げ場のないように全方向から放たれる剣撃は一度当たるだけで弾け死ぬ。余計なことなど考えず目の前に迫りくる武器を全て払い退ける。

 

「「ハアァ!!」」

 

エルザと背中合わせになり互いの背を守り合う。更にヒビキの古代魔法により第三視点による死角の防御。手だけ動かしていたのでは間に合わない。脳を、体を、身体全てを活用する。

 

「クソ・・・こんなはずじゃ・・・!」

 

偽の英雄王は自分の手を頭に当てて苛立てる。英雄王の力を持つ自分こそが最強無敵のはずなのにこんなクソ雑魚に手間がかかるなんて。だがアレがある限り勝ちは譲らない。苛立ち混じりの中、勝つ自信がある。美貌に相応しくない邪悪な笑みを浮かべて変わらず武器を放ち続けた。

 

「やっぱり多いな・・・!」

 

ここ最近は無茶な行いをよくしてたせいで自然と体力が上がったのか、制限突破の活動時間にはまだ余裕はある。しかし、切り抜けられない。この剣群さえ突破できれば、やつの顔面に拳を叩き込むことが出来るのに。

 

「死ね死ね死ねぇ!!」

 

黄金の波紋がドーム状になり、完全に周りの景色が見えなくなる。外と中とで区切られた今ヒビキの古代魔法による支援は不可能。左右上下ともに逃げ場なし。

 

「ジョニィ!」

「分かってる!」

 

刀身変化(オーバー・エッジ)。右手で持っていた刀がどろりと溶け、拳にまとわりつく。弓を引くかのように大きく後ろへと振りかぶり、腰の捻り、拳を振るスピードを活かし地面を殴りつけた。

 

「──三龍牙!!」

 

籠手とかした刀は強度は変わらず、太陽に入れても溶けないとのお墨付きを貰った強度を持ってして殴りつけた地面は3度の衝撃を持って大穴を作り出した。

 

「死にやがれええぇぇ!!」

 

英雄王になりきる事すら忘れた偽の英雄王は絶叫と共に、構えていた全ての武器を射出した。一瞬、金色の閃光が輝いて見えた次の瞬間巨大な爆発が起きた。放ったものは全て武器であるにも関わらず起きた巨大な爆発。逃げ場もない2人が生き残る術などない。

 

 

「勝った・・・!」

「いーや、まだだ」

 

 

背後から声が聞こえたと同時に振り返る。視界に入ったのは鈍く光り輝く黒刀。顔に直撃することはなかったが、少しだけ掠めていった。

 

「──痛ッ!」

 

熱した鉄で直に焼かれたかのような鋭い痛みが奔った。咄嗟に手で押さえると、刀が当たった肌から温かい血液が漏れ出すのを感じた。英雄王となって初めて見る自分の血。

 

「体は英雄王でも・・・中身はまるでなってないな」

「お前ッッ・・・!」

 

神経が千切れるぐらい、内から湧き出る怒りが止まらない。偽の英雄王はもはやなりきる事すら忘れそうになった。だが──

 

 

「何を勝った気になっているんだアアァァァァ!!!!」

 

切札(・・)がある。黄金の波紋が一際大きく輝く。ジョニィはそれが来るのを分かっていたかのように走り出したが、その行動阻害するかのように剣がいやらしい位置で射出された。

 

「──原初を語る!天地は分かれ、無は開闢を言祝ぐ!世界を裂くは我が乖離剣!」

 

波紋から取り出されたのは剣と言う割にはあまりそうは見えない、円柱状の刀身が三段に重なっているドリルのようなものであった。

本来の英雄王であれば本当に認めたものにしか使わないとされるその剣は偽物によって矜持を踏まれ使用される。

 

「アイスメイク──槍騎兵!」

「火竜の咆哮!!」

 

そうはさせないと炎と氷が外から襲いかかるが、刀身が高速回転した途端溶けて消えた。

円柱状になっている刀身はそれぞれ右左右と別方向に回転しており、そこから発生した赤より禍々しい何かは竜巻を発生させた。

 

 

「星々を廻す臼、天上の地獄とは創世前夜の終着よ!」

 

乖離剣エアと呼ばれるその剣は宝物庫の最奥に収められており、「剣」という概念が生まれる以前に星に鍛え上げられた神造兵器でありる。天と地を分け、星の原初であるあらゆる生物の存在を許さない地獄が今ここに降臨する──!!

 

 

天地乖離す(エヌマ)───!」

 

 

とある世界。贋作者と英雄王の戦いを知っているだろうか?

異なる世界線にて運命に巻き込まれた少年は自身の心象風景である無限の剣の世界に引き込み、英雄王の放つ神代の武器を複製し、相殺する事でなんとか戦っていたのだがそれでも圧倒的な差があった。しかしそれでも少年は勝つことが出来た。それは何故か──?

 

 

『やつにはとっておきの弱点がある』

『弱点?そんなものなさそうだったのだがあるのか?』

 

戦いの前。ジョニィは皆に告げていた。

それは彼だから分かる致命的な弱点。

 

『あいつ自身大した力は持ってないけど、蔵に収められている武器がほとんど最強だ。だからあいつは自分の力に過信しているところがあるんだ。だからそこを突いたら勝機がある』

『・・・そこまで言うからには何かしらの作戦があるのか?』

『えぇ、とっておきのが』

 

 

 

開闢のほ(エリ)───!」

 

 

 

 

「待ってたぜ。それ使うの───!」

 

上空に掲げられた死を体現する赤い竜巻が振り落とされる正にその時、偽の英雄王の乖離剣の持つ手が急に姿を現した人影に動きを止められた。

 

「貴様!?何故・・・!?」

「俺の後ろ見てみな」

 

剣撃を弾け続けるもう一人のジョニィが白く染まり、砕けた。地に落ちたのは青く輝く氷の結晶。

 

「さっき潜った時に入れ替わったんだよ」

 

 

押し止められた死の竜巻が上空に向かって放たれた。三層からなる刀身は「天」、「地」、「冥界」を現し、それらを合わせ宇宙を体現する。放たれた一撃は上空に浮かぶ雲を容易に引き裂き更に伸び続ける。空間すらも破壊するそれは宙にヒビすら発生させた。

 

「さぁ仕置の時間だ。本物の英雄王に変わって代わりに俺がその根性叩き直してやる」

王の(ゲート・オブ)──!」

 

臨界点突破(リミテッド・オーバー)──六龍牙。

音に迫る速さで放たれた6の拳撃は的確に鎧の上を撃ち抜く。

 

「ぐ、おおおぉぉぉぉぉ!!??」

 

鎧の上から拳による攻撃など意味もないが、あいにくと六龍牙は内に響く攻撃だ。鎧に振動が伝わり、それが内部に浸透していく。限界を超えたことで骨が軋む音が内から響いたがそんなもの御構い無し。ただ全力で──!!

 

「吹っ飛べええぇぇぇぇぇ!!!」

 

ラスト6発目。全ての衝撃が中に伝わり偽の英雄王は空宙で5度のバウンドを繰り返し、最後の6発目で地に叩きつけられた。

 

「ハァ・・・ハァ・・!」

 

殴り抜いた右腕が震えて動かない。がやり遂げた。格上相手に死なずに済んだだけで大いに結構。安心したのは強張った体から緊張が消え、力が抜けてしまい未だ突き刺さったままのイガリマの上で転ぶかと思いきや、倒れる動きは停止した。

 

「凄かったです・・・本当に」

「そう言ってくれてどーも・・・」

 

戦艦からの砲撃をしていたサクラや一夜達はいつの間に降りてきたのか既にニルヴァーナの城塞にいた。土煙は浴びているが怪我はなさそうでよかった。

 

「私も強くならなきゃいけないですね」

「本当・・・俺が楽出来るようにもっと強くなってくれよ」

 

自分の為ですかと笑うサクラに肩を担がれイガリマを足場にし地上へと戻る。原作と乖離しすぎには程があるがこれで一安心だ。あとはニルヴァーナを動かす核さえ壊せば──

 

「離れろッッ!!」

「きゃっ!」

 

サクラの体を押し出す。こういうことを直感というのは何か背後から感じ、見てみれば何か黒い物体が放たれていたのだ。放たれた先には黄金のクロスボウを手に持つ血反吐を吐いた偽の英雄王の姿。もし体力が残っているのであればサクラを抱えたまま回避できたが、もうそれが出来るほど体力は残っていなかった。

 

「アルさん!!」

「クソッタレが!しぶといやつだ」

 

飛んでくる黒い物体に残りカスほどの魔力を注ぎ込んだ拳を放った。英雄王の持つ武器にこんなもので対抗できるとは思わないがやらないだけマシだ。

 

「うおぉぉぉ!!」

 

拳と黒い物体がぶつかる。が、空振りしたのかまるで当たった感覚がない。確かに捉えた筈なのに黒い物体は視界のどこにも

 

「がぁ!?」

 

黒い物体を殴った右腕から激痛が疾る。何事かと見てみれば黒い物体が俺の拳に付着しており、どんどん俺の体内に侵入してきていたのだ。一向に止まる気配はなく黒い物体は俺の中で脈打つ。

 

「アルさん!」

 

こちらに向かって駆け寄ってくるサクラ。心配そうな顔をしてこちらに近づいて来る姿を見ると───無性に殺したくなってきた。

 

「く、来るな・・・!

これはヤバイ!!」

 

意識が朦朧とする。自分ではない誰かに体が侵食され殺意が無限に湧いて来る。それと比例するかのように黒い魔力が俺の中に募って来た。

 

「離れろ・・・!」

 

サクラの肩を少し押しただけだった。だが俺の意識とは裏腹に体が動き、黒い魔力がサクラを払った。10メートル以上吹き飛びようやく動きを止めたサクラはゴホゴホと息苦しそうに呼吸をしていた。

 

「くそ・・・もう無理だ・・・」

 

視界が黒色に染まり、意識は消えた。





もうちょっとだけ続くんじゃよ

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