私のたったひとつの望み ・・・可能性の獣・・・希望の象徴
父さん、母さん、ごめん。・・・俺は・・・行くよ!(投稿)
ガンダムUC見終えました。泣けました。
とある村に一人の赤子が生まれた。しかし何故かすぐには泣かなかった。目が閉じて何も見えないはずなのに一度左右を確認するような動きをし、まるで生まれたことが不幸であるかのように、生まれたくなかったと思わせるような泣き声をあげた。
────痛い
火を宿した蹴りが腹を抉るように突き刺さる。魔力で身体を強化していても臓器は揺れ、胃液が逆流する。威力を逃すように、ほんの少しだけ足に踏ん張りを付けて勢いを止めようとするが止まらない。その結果派手に木にぶつかる。
────痛い痛い痛い
腹部を見ると写輪眼なんて使わなくても分かる傷が見える。皮膚は少し焦げ、軽く撫でただけでめくれそうだ。しかし、何故なのか。痛みではない何か温かいものが蹴られた腹部を中心に広がっていく。これが俗に言う仲間との信頼から生まれた何かなのだろうか?
────痛い痛い痛い痛い痛い
敵以外真っ暗に映る視界に光明が指す。そこからまるで導かれるように伸びる手が見えた。あれは誰だろうか?ナツではない。もっと別の、俺を救ってくれた人?
─────痛い痛い痛い憎い痛い痛い痛い
君もこっちにおいでよ、と幻聴が聞こえる。その手を握るのは簡単だ。だけど
「───ハッ」
払いどける。触れた瞬間、伸びてきた手は真っ黒に染められ、闇の中へと溶け落ちる。それは光明へと続き、視界は再び真っ黒に。闇一色。希望も未来もないただただ闇。
───憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い
あぁ、それでいい。人との関わり合いなんてもうごめんだ。それが本物の人ではなく、仮想に満ちた人だとしても、本当のことを伝えればきっと幻滅するだろう。そんなものはもう嫌だ。一人で、誰にも分からないように────
ジョニィの口から血が吹き出す。決して少なくはない量。立ち上がるのもやっとのはずだ。
「アルさん・・・」
ハァハァ、と呼吸が乱れる音が聞こえる。口周りについた血を服の袖で拭う。
「お前に教えてもらったことだ。どうだ、思い出したか?」
髪で顔が隠れてその表情は分からない。苦悶の表情なのだろうか。それとも───
「ハハ──」
嘲笑う。きっと苦しい筈なのに、口から血をこぼしながら笑い続ける。俯いていた顔がようやくあげられる。
「あぁ、これだ。この痛みだ。この痛みこそが存在の証明だ!」
闇が広がる。ジョニィの体から放出される黒い魔力は底が見えない。髪の隙間から血に似た赤い瞳を捉えた瞬間サクラは寒気を感じた。人間がこんな目を出来るのか。そもそも一体何がジョニィを突き動かすのか。分からない。
─────◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎
「?」
何かが聞こえた気がした。背後を振り返っても何もいない。気のせいなのだろうか、そう思い前に向き直す。すると30メートル先にいたはずのジョニィは消えており、サクラとジョニィを除くこの場にいる全員がサクラを見ていた。
「え?どうしたんですか?」
「さ、サクラ・・・お前」
自分の背後に、何かおぞましい、黒い獣よりも何百倍も恐ろしい何かが刀を振り抜いた状態で立っていた。まず最初に服が袈裟に敗れた。そしてプツリと血が皮膚に浮かび上がる。限界まで留められたマグマが噴出するように、多量の血液が噴出した。
(斬られたことに・・・後から気づいた)
自分が生み出した血溜まりに倒れこんだ。体の向きを変えていたのが幸いだったのか致命傷は斬られていないが、ドンドン意識が遠のく。
「1人目だ・・・次を、早く、お前達を、俺は・・・!」
その目は狂気に染まっておりながらも身についた動きは洗練された剣士そのものだった。彼は転生者だ。そしてこの世界を、人を知っている。だから弱点も分かる。そもそもの話、対集団戦において重要なものは何なのか?この中でトップであるエルザを倒すことだろうか?
──断じて違う
よく集団の中のボスを倒すと逃げていくシーンを見かけるがこれはあまり有効打にならない。この手段が使えるのはボスを一発で倒せる時だ。一発で倒せなければ取り巻きに囲まれてリンチにされるのがオチだ。
だからこそ一人一人、弱い順に戦うことが重要になる。
そしてサクラが倒れたこの場合、一番残しておいて面倒になる中距離からの敵。つまるところグレイが標的となった。
「アイスメイ────」
正確に両手首を打つ。アイスメイクを発動させる際にする条件として、広げた掌に、拳を置くという動作が必要である。片手でも出来るが、その場合威力が半減したりする。そしてグレイは師のウルに従い両手での発動を基本としている。だからこそ対処が出来ない。癖をいきなり変えるのは誰であろうとすぐには出来ないものである。
「クソッ・・・何て速さしてるんだ!?」
闇が絡まりついた刀が振り落とされる。
が、奇跡的に間に合ったエルザが金剛の鎧の籠手をグレイと刀の隙間に潜り込ませ、ガードする。
「ジョニィ!話を聞け!私達は───」
「うるせええぇぇ!!」
魂からの悲鳴のようだった。刀を引き戻し、その力で蹴りを放つ。過剰ともいえる魔力が乗せられた蹴りは金剛の鎧の装甲を軽々と破壊する。エルザの体は浮き上がり、かばったグレイと一緒に吹き飛ばされた。
「いちいち頭にくる声だ・・・纏めて消えろよ・・・!」
ジョニィの掌に魔力が収束する。純粋な魔力砲撃。シンプルだが強力であるその攻撃は無慈悲に放たれた。
「エルザ───!」
魔力砲が着弾する寸前、流星が地を駆けた。エルザとグレイの腕を掴み、なんとか魔力砲を避ける。放たれた魔力砲は当たらなかった二人を通り越し、木々を薙ぎ倒し、やがて放たれた所で巨大な爆発を引き起こした。
『聞こえるかい!みんな!』
「ヒビキか!?今こっちは話す余裕もないんだが・・・!」
『分かっている。だから端的に言うよ。
───このままだとジョニィ君は死ぬ』
襲われているエルザ達ではなくジョニィが?という疑問が浮かび上がり、問い正そうとするがそんな暇はないと追撃が飛来する。
『人の精神と魔力は絡みついている。ニルヴァーナの魔法によって魔力を周囲から取り寄せているんだけど、その際憎悪や憎しみ・・・言わば呪いのようなものが蓄積しているんだよ。人の器には限界がある。魔力は常時放出しているから関係ないけど、このままだと魂の器が呪いで壊される』
「とは言っても正直止めようがないぞ!?」
『一度隙を作ってくれ。無茶を言っていると承知しているが、倒す策はある』
「そんなこと言われなくても分かってんだよォ!!!」
炎が噴出する。宙に紅の尾を引き空を縦横無尽に駆ける。空から地に落ちる落下速度、そして回転による遠心力が加えられた蹴りはジョニィの頭に落ちようとしていた。
「───角竜・・・!!」
刻まれた傷から分かる、鍛え上げられた腕が肘から指先にかけて変形する。無骨で、美しくもない、純粋な角。だからこそ生まれる純粋な力。それを更に───
「
超える。変形した角が腕を保護するかのように、濃紺な青が角を覆う。そして一本の角であった腕が三叉に分かれた。ナツはその時、ジョニィの背後に巨大な何かが見えた。巨大で、ジョニィと変形した手と似た角を持つ、暴君。狂ったような赤い瞳で敵である自身を睨みつけた。
「滅竜奥義────!!」
だがそれが逃げる言い訳にはならない。角竜が睨みつける。その目を見ないように溢れ出る炎で────
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掻き消される。絶望的なまでの暴威を持ってして全てを蹂躙する。それは炎を操る竜の王であろうと関係ない。放たれた音の咆哮の源は変形した腕から打ち出された角。全てを塵にする。地面であろうと、空気であろうと塵魔の名の下に粉砕する。だからこそこの音は空気が悲鳴を上げている音なのだろう。
「滅竜奥義──塵魔破砕角」
暴君が迫る。足をアンカー代わりに地に打ち込んだのは、衝撃を逃さないようにするためだろう。自身が蟻のように見える巨大な敵の角は、塵魔の異名どおりに腹を貫いていた。
書いてる途中に強くしすぎたか?と思ったがそのまま止まらず突き進む─────!