結構無理矢理終わらせてしまった感はあるがそれはそれ。早く進むぞ!
曇りがかった夜空が晴れ、空には満点の星空が写った。星霊魔導師最強の一撃とも言える魔法を防御も何もせずに受けたジョニィは受け身も取らず地面に落ちた。完全に意識を失っているのか体は動いていないが、ニルヴァーナの魔法が未だジョニィの体を動かそうと周囲から憎悪を集めていた。
───さぁ、今だよ
サクラの内からそんな言葉が聞こえた。残った体力を使い切るように走り、横たわるジョニィの横に座り、刀の柄を両手で持ち上げた。
「
静かに紡がれたその一撃はするりとジョニィの心臓の上を貫いた。本来であれば血が噴き出すはずだが、何故か吹き出さない。その代わり銀に輝く刀身上に一際輝く一点の光がゆっくりと刃先に向けて落ちて行き、そしてジョニィの体内へと入っていった。
憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎いお前が悪いお前が悪お前が悪いお前が悪いお前が悪いお前が悪お前が悪いお前が悪いお前が悪いお前が悪お前が悪いお前が悪いお前が悪いお前が悪お前が悪いお前が悪い死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね
精神世界とも言えるそこにあったのは人の暗黒面だけであった。その中心に立つサクラは怯えずに刀を構えて振るう。ビュッ、と辺りを黒に染める憎悪が切り払われる。拓けた道を通り前へ前へと進むたび、再び黒に埋め尽くそうと奥から呪いが湧いて来る。
「邪魔───!!」
それでも前へと。何度目かも分からない刃を振るい続け、ようやく見えたのは黒白の円環。そこから呪いが漏れ続けていた。それこそがニルヴァーナであると理解したサクラは覚悟を決め呪いの中を走った。
「ハアアアァァァ!!」
呪いが「来るな」と言っているように、体内に刃が刺さり続ける。痛みではない何かに耐え続けサクラはその円環に刀を刺した。
直後、強い光が放たれると同時に呪いの排出が中止された。
「これで・・・」
終わったはずだ、と安堵するが暗闇は晴れない。静寂にして無。存在としてあるのは自身の肉体だけであった。人の心というのは喜びや悲しみ。愛情や憎しみと言った複雑な感情が網羅しているはずだ。だと言うのに──
「何もない・・・」
ジョニィ・アルバートという人間の心には何もなかった。普段ナツ達と笑っている喜びも、暴走した時のような憎しみもない。諦観したかのような悲しさだけがあった。
───・・・た・・い
「───!?」
聞こえた。微かにだが確かに聞こえた。それは繰り返し発せられる。何を言っているかは分からないが声の元が分かっているのであれば向かうことは出来る。サクラは一寸の光もない暗闇を闇雲に走る。
───死にたい
そう呟く少年は何もない暗闇の中で一人蹲っていた。後悔するように、求めるように。それがジョニィ・アルバートだと言うことは顔を見ずとも分かった。
「アルさん・・・」
手を伸ばす。仲間であり、そして師であるジョニィを放っておくわけにはいかない。その手がジョニィの肩に触れようとした瞬間、暗闇の中から突如現れた手により防がれた。
「やめとけ。お前じゃ無理だ」
「なっ!?」
反射的に手が伸びた先を見る。そこには髪が真っ白に染まり、肌が浅黒く染まったジョニィがこの精神世界に似た暗闇のような瞳を向けていた。
「貴方は・・・」
「分かってるだろ?俺はアイツだよ」
見たくないものを見るようにもう一人のジョニィは座り込んだジョニィを見た。
「自分に幻術をかけ忘れようとした者の余り物さ」
「余り物・・・?」
言葉の意味が分からなかった。ジョニィは諦観した瞳で何も見えない空を見上げた。
「どれだけ過去の罪を忘れたくても、許されたとしても、罪ってやつ死ぬまで一生付いてくるんだよ」
自嘲する笑みを浮かべた。
「だから主人公やヒロインが話しかけようと、ましてや俺たちみたいな存在に俺自身が救えるわけがない」
体が後ろに引っ張られる。異物を排除しようとジョニィの精神世界から追い出されそうになるのを必死に留まる。
「そんなことさせません!貴方が望まなくても私は貴方を救います!」
「ハッ、口では何とだって言えるんだよ」
体が空中に浮かび上がり後ろへと吹き飛び続ける。手を伸ばしても、ジョニィはまるで見もしない。そして───
「アルさん───!!」
俯いた少年の顔は最後までサクラの方を見なかった。
「うっ・・・あ・・?」
ジョニィが目を覚ました時、空には満点の星空が写っていた。それを綺麗だと思う前にある一つの疑念を抱いた。
「何があったんだ・・・?」
自分は偽ギルガメッシュを倒し、そして──そこからの記憶がない。
「・・・ま、今は気にしても仕方ないか」
そうしてジョニィは眠気に誘われるがままに寝た。ただ起きた事象は変わらない。自身が暴走したことも、切り捨てたことが帰ってきたことにも。それを示すようにジョニィの人差し指に黒い円環の痣が刻まれていた。
取り敢えず次回はニルヴァーナのまとめをサクッと書いて、エドラスへの導入をしていきたい