戦闘以外書くのは苦手なんや・・・許してクレメンス
まるで御伽噺のような世界。見たことのない鳥、空に浮かぶ川、様々な花が入り混じり鼻孔をくすぐる美しい花々。そして何より空に浮かぶ大地───
とは言えども地上にた時から魔法が使える時点で御伽噺みたいなもんだな。
天空に存在するもう一つの世界、エドラス。そこにミストガンの魔法でやって来たものも───
「ここどこ・・・?」
ストーリーの流れは知っていても流石に場所までは分からない。取り敢えず王都を目指さなければならないが、方向すら分からない。ミストガンめ。送るなら王都に近いところにして欲しかったものだ。
「アルさーん。見たことない生き物が居ますよー!」
「遠足じゃないんだぞ・・・」
サクラは4枚耳のウサギと追いかけっこしていた。思わず頭を抑える。てっきりナツ達と同じでエドラスの妖精の尻尾に辿り着くものだと思ったがそうではない。
「うわー。モフモフしてますー」
キューキューとまるで助けを求める鳴き声を上げるウサギもどきを無視し、サクラは顔を真っ白なお腹にダイブさせていた。こいつは現状を考える力はないのか・・・?
「おいサクラ。遊ぶ暇があるならもう少し頭を使ってこの状況をなんとかしてくれ」
「そんなこと言われてもですねー・・・」
まぁ何をどうすればここから先に行けるのか俺にも分からない。
「はぁ、タクシーでも来ないかなぁ」
「こんな大自然に囲まれた場所に来るわけがないですよねー」
思わず地べたに大の字に寝転がる。意気揚々として来たはいいが、まさかここで飢え死に・・・?
「あれ?何か聞こえません?」
サクラが抱いていたウサギもどきから手を離した。ウサギはキュー!と叫びながら颯爽と茂みの中に入り何処に行ったのか分からなくなった。俺は耳を地面に当て、音を調べる。何かが唸るような断続音。しかもかなり早い。
「これは・・・本当に車なんじゃないのか?」
「いやいや、まさか・・・」
音が近づく。期待の眼差しを音のする方向へと向けた。聞き慣れたエンジン音。地面を滑走する4つの車輪。
「タクシー来たァーー!!」
「アルさん!」
「応よ!!」
車体の上にTAXIの文字はないが、現地人に会えるだけ嬉しい。俺は車の行く手を遮るように正面へと立ち、運転手に見えるように親指を立てヘイタクシー!と叫んだ。後になって恥ずかしいと気づいたがそれだけテンションが上がっていたのだ。仕方ないだろう。
「よかったですね。これで話が聞けそうです」
「あぁ、あの車も止まってくれそう───ん?」
赤い車体が急ブレーキをかけた。その勢いで空中へと飛び上がる。そして───
───車体が変形し始めた
「「え?」」
サクラと思わずシンクロしてしまう程の驚愕。車体はそれこそロボットアニメのようにガキンガキン!と鉄の擦り合せる音を響かせ変形する。4つのタイヤはそれぞれ拳と足に、立方体に近い車体は細長く変形し、胴体へと。ナツが見れば目をキラキラと輝かせるのだろうが俺は思考が停止してしまった。
────ズンッッ!!
地上に降り立った衝撃で足元が揺れた。何の特徴もない車が突如トランスフォームし、ロボットへと。頭部であるヘッドライトが輝き、俺とサクラに向かって叫んだ。
「こんな所で何してんのか分からねぇけど・・・倒す!」
俺はただ一言しか話せなかった。
「なぁにこれぇ?」
ジョニィとサクラが突如のトランスフォームに驚いているその頃───
「ジュビアちゃん!俺もクエストに着いて行っていいかな・・・?」
「嫌よ。熱苦しい」
「そんなぁ・・・」
「なっ・・・!!??」
顎からガコッと嫌な音がした。明らかに顎が外れた音だが戻すこともせずナツは窓の外から見る妖精の尻尾の様子に驚きを隠せなかった。ハッピーも似た様子だったが、意識はそのままに、ごく自然にナツの顎を押し込み、元の位置に戻した。
「エルフマン!お前また失敗したのか!これで何度目だ!」
「お前は本当にダメだな!」
「すみません・・・!」
「ど、どうなってるの・・・?」
ウェンディは顎の関節を外すことはなかったが同じく驚きを隠せなかった。地上で見た光景と真逆のことが起きていたのだ。
次第にどうなっているのかとギルドに入るためのドアについているガラスに近づこうと体重が前に前に傾いた結果転ぶのは当たり前だった。ズシャァと転ぶ2人に巻き添えになったハッピー。シャルルは1人離れていたので巻き込まれなかった。痛ててて、と呟く2人の前にしゃがみ込む影───
「おい、何者だテメェら」
その声に聞き覚えはある。ただ話し方はかけ離れているが。何だか嫌な予感がすると直感が囁くも、ゆっくりと顔を上げるとそこにはファンキーな服装をしたルーシィが中々にドスの効いた目をこちらに向けていた。
「ルーシィーーーー!!??」
「さんんんんんん!!!!」
普段とのギャップのせいか、思わずさん付けしたハッピー。ファンキーなルーシィはナツの顔をジロジロと見つめ、ハッとした顔でナツに抱きついた。
「ナツ・・・お前何処に行ってたんだ・・・心配してたんだぞ・・・
「ルーシィ・・・」
話し方が違えど心配する気持ちは同じだった。取り敢えず歓迎されているようだと思うと同時にルーシィの拳がナツの頭の両側に押し当てられた。
「人に心配させやがって・・・お仕置きだ!」
「ギャァァァァ!!何時ものルーシィじゃねえぇぇ!!」
「はぁ?何言ってんだ?」
いつもであればナツに付き合わされルーシィが泣くのが当たり前のようになっていたが、ここでは逆になっていた。何時ものルーシィっぽくない。それだけではない。寒がりで服を重ねて雪だるまのように横へと肥大したグレイ、いつもの酒豪は宇宙の彼方へと吹き飛んだのか大人しいカナ。男らしくないエルフマン。目を点にするのが限界である。しかしそんなナツ達の前に1人の少女が2階から降りてきた。
「ジェット、ドロイあんまりお兄ちゃんをいじめないで。これでもお兄ちゃん頑張っているから」
白のショートヘアを揺らしながら、諫める声に聞き覚えがあった。もう二度と聞けないはずだった声。ミラジェーンとよく似た顔の少女にナツはルーシィのグリグリから素早く逃げ飛び込んだ。
「「リサーナーーーー!」」
「何しとんじゃワレェ!」
「へぶっ!?」
ルーシィの回し蹴りがナツの頬に突き刺さった。随分とアクロバティックになったルーシィにハッピーはカチカチと歯を鳴らした。恐るべしルーシィさん。
「だってよ・・・リサーナがよぉ・・・」
「だってもクソもあるか。全く、リサーナ見るなり飛び込んだりして・・・」
「どうして・・・みんな変わってる」
「違うのよ。この妖精の尻尾は私たちの探しているものではないわ・・・
シャルルが思い立ったかのようにギルドを出る扉へと向かった。何だ何だ?と言葉の波が広がり外へと飛び出そうとした時───
「───妖精狩りが来たぞ!!!」
それは悲鳴であり叫びだった。ほんの数秒前まで笑いあっていたというのに、皆が皆顔を蒼白とさせ頭を抱えた。
「あいつら・・・もう見つけたのか・・・!」
「幾ら何でも早すぎるだろ・・・!」
止まることのない絶望を前に、怒りを吐き出す。しかし、それをしても時間の無駄と分かっていたルーシィは顔を歪ませながら、操縦席にいる、レビィへと、溜め込んだ怒りを吐き出すように叫んだ。
「おい!クソレビィ!早くしやがれ!」
「分かってるよクソルーシィ!」
何も分からないウェンディは「あ、性格の良さも逆転しているんだな」と内心思った。
遠くから何かの咆哮が聞こえた。
ナツは顔を窓へと押し付け空を見上げた。
空を見上げら地を照らす太陽が何かによって遮られた。最初は点であった何かが近づく。その度、点は徐々に形を表し───
「◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎ーーーーーーーーー!!!」
「何だアレエエェェェ!!??」
翼の生えた魔物だった。一本の木の中に作られたギルドを優に超える巨体。人間なんてそれこそ直視しただけで固めることが出来るような魔物がギルドに向かって突撃しようとしていた。
「転送するよ!みんな何かに捕まりな!」
レバーが引かれた。
魔物の爪がギルドへと突き刺さるその直前、ギルドが地面へと沈んだ。ギルド内が大きく揺れる。何も捕まってなかったナツはその衝撃で体が浮き上がり地面に叩きつけられた。
「いってぇ・・・何で急に襲われたんだ?」
「久しぶりに帰ってきて頭おかしくなったの?」
「あ、もう1人の私」
地上のウェンディと比べて、身長も高く何がとは言わないが何かが大きい、グラマラスなウェンディは呆れた目でナツを見た。
「私達はこの世界最後のギルドにして──」
「闇ギルドじゃない」
当たり前のように放たれた言葉に、ナツは本日2度目になる顎の脱臼を経験することになった。
なおこの後エルザが敵だと知るため3度目の脱臼を経験することになるナツなのであった。
次回はようやく戦闘シーン。頑張って書いていきたいと思います。