幻想と忘却   作:けんちく

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おしゃー書くぞー


第十一話 迎え

「お前!ちゃんと力入れろ!!」

その怒号に、木々に止まっていた小鳥達が、一斉に空に放たれた。

ここは戦闘部隊の訓練施設らしい。

何故俺がこんな所にいるのか

答えはなんとも単純。

朝寝てたらアカネさんに片手で勢いよく掴まれ

ここまで引きずられてきたのだ!

なんだってこんないい日にこんな事になるんだ

まだ寝てたかったのに…

 

セト「あの、アカネさん、いきなりなんですか」

 

眠くてしょぼしょぼした目をできる限り見開き質問した

アカネは呆れた表情をし、息を吐いた

 

アカネ「いきなりってお前なぁ…

前から言ってただろう

顔ぐらい出したらどうなんだ全く…」

 

それにお前はあーだこーだ来て見りゃ寝てるしだのなんだのとグチグチと1人で喋っている

 

…相当怒ってらっしゃる

 

セト「すみません、色々と事が重なって…」

アカネ「言い訳はいい、現にこうして見学してるんだからな」

来てくれるだけでも充分さ

そう言ってアカネはおもむろに歩き、色々な施設の説明をし始めた

まず基本的な戦闘訓練所

地上から空中

弾幕を鍛える場所もあるようだ

しかし、あまり人は居ない

理由を聞いたら、まず弾幕を使えるものが少ないそうだ

それに水中の訓練施設もあるらしい

訓練だけでなく図書館や食事処などの施設もある

かなり充実した場所だった

 

アカネ「どうだ?戦闘部隊も悪くないだろう

皆と仲良く出来るよう泊まる場所もあるぞ」

それに、と付け加え

アカネ「前にも言ったがお前には素質もある、と思う…

ここで訓練して山の平和を守ってみないか、な?」

 

何故そこまで言うのだろう

少し疑問に思ったが考えれば分かる

恐らく毎日死ぬか殺すかなのだろう

こんな危険な仕事、好きでやるやつなんてそうそういない

この訓練施設でも、烏天狗達は沢山居るがこれでも足りないのかもしれない

しかし、求められる事は嫌では無かった

行くあてもなければこれから食ってけるのかも分からない

それに、この山の、文さんや、天魔様にも感謝しなければならない

どうせあの時、住処を追い出された時、

使い道のなくなった命だ

なら誰かのために命を使うのもいいかもしれない

そう思った

 

セト「分かりました、俺でも役に立てるなら」

 

そういう事で俺は妖怪の山の戦闘部隊の一員になった

これからまったり暮らすことは出来ないかもしれないが

それもまぁ、、、

休みくらい…あるよね

 

 

その日の夕方、

何周か訓練施設を回った後、帰ることにした。

なんでもこれから禍が現れる時間らしい。

アカネさんはカズハと呼ばれていた女性と話している

二人とも真剣な面持ちで、

これから起こるであろう戦闘について話しているのだろうか

流石に内容までは聞こえなかったが

その場には居づらかった

 

 

帰り道、何者かが行く手を塞いだ

セト「…ヨルト?」

それは確かにヨルトだった

ヨルトの形をしたなにかだった

薄く青を体の表面に浮かばせ

少し透けている

 

ヨルト?「キテ…キテ」

のろりと右腕を上げ

ちょいちょいと小さく手を招いている

そのまま林の奥に消えていった

 

セト「不気味だなぁ」

そう言いつつも、好奇心は隠せない

ヨルト?の言う通り着いていく事にした

 

歩いて、歩いて、

途中、何度か話しかけてみたが

「キテ」としか言わず自然と対話を試みる事もやめた

川を渡る時も少し浮きながら移動し

足だけ動かしているのを見ると変に律儀で少しおかしかった

 

歩いて、歩いて、

日が落ちたのか

いや、光が差し込まなくなったのか

いつの間にか暗い森に入っていた

 

歩いて、歩いて、

どれくらい歩いただろうか

相変わらずヨルト?はキテと言いながら

浮きながら歩いている

 

そして、ここが来たことのある場所だと思い出す

ヨルトの居る場所、魔法の森だ

そして何も無い所でヨルトの影は止まった

そしてまたのろりと手を挙げ

目の前の空間に手をかざした

 

セト「何してんだ」

と言いかけた所で目の前に見覚えのある建物が現れた

なるほどこうやってヨルトは暮らしているわけか

関心した所でヨルトの影は消えてしまった

 

 

ヨルトの家の扉を開ける

酷く散乱した部屋が目に止まったが

ヨルトの姿は無かった

 

セト「ヨルト?居るか〜?」

とりあえず声をかけてみたが、

自分の声が奥に消えただけだった

まだ地下室が残っていたのでその階段に向かった

ヨルトが魂の研究をしてる場所だ

 

1歩2歩と階段を降りる

セト「ヨルト〜?」

そう声をかけると

奥に動く影を見つけた

 

セト「なんだ、無事…」

そう言いかけた瞬間

 

ヨルト「ぁぁぁぁあアアアああ!!!

君は!キミはぁぁ!!あはハハヒひふー!ふははは!

確か!誰だ!!誰だ貴様!!セトだろうが!セトくんだろうが!!なぁぁにいってヤガルぅう!!!」

そこには完全に狂ってしまったヨルトがいた

 

セト「お、おいどうしたヨルト」

そう声をかけてみたが

まるで聞く耳を持たない

あーーとかうーーとか叫んでいるだけだった

 

ヨルト「思い出した!!思い出したぞ!!

そうだそこの棚の棚の棚のたのたのたのしぃなぁ!!

そうだなぁふふふふあーー!!薬だ!青い薬をとりやがれ!!そレで、青くて酸っぱくて、さーさささーささーーーー」

少しは意識があるのだろうか

必死に棚の方に指を指している

その先には青い小瓶があった

 

セト「これか?これを渡せばいいのか?」

そう確認すると

夜とは目を上に下に忙しなく移動させながら

カクカクと頷いている、ように見える…

正直どの挙動も狂っているもののそれだった

 

ヨルトは青い小瓶を奪うようにとった後

ごくごくと中の液体を飲み干した

そのあとはペタリと座り込み、

少しの間何も喋らなくなった

 

セト「ヨルト?大丈夫か?」

そう恐る恐る声をかけると

 

ヨルト「ん、あぁ、君か

ごめんね、研究をしてるとたまにああなるんだ

君の魂は少し特殊でね

僕の使い魔を君に送っただろ?

危なかった、久々に、、ふひひ」

最後の気味の悪い笑い方からしてまだ少し残ってそうだがとりあえず大丈夫そうだった

 

ヨルト「それと、君の魂、魂、あぁ魂のね、

研究をしてたんだよな、してた、してたね

そしたら色々わかわかってきたたたたんだが」

何だかおぼつかない話し方をしていたヨルトは

ふと立ち上がり

 

ヨルト「ごめん、もう少し休ませてくれ

ろれ、ろれつが回らないんだ」

そう言うとヨルトは奥の部屋に入っていった

 

セト「な、なんなんだよ全く」

思わず口に出ていた

今の今までずっとまともな呼吸が出来ずにいた

初めてヨルトを怖いと思った

 

 

しばらくするとヨルトが戻ってきた

ヨルト「ごめんなほんとにごめん

もう大丈夫、さっきも言ったけど魂の研究しているとたまにああなってね

そして君の事について分かったことがある」

そう言うヨルトの目はいつも通りで

むしろ、いつもよりキラキラしていた

 

ヨルト「まず君の魔力、これはとてもいいものを持っているね

流石悪魔という所か

そこらのやつよりも強いよとてもいい

そして君の過去とかも分かったんだけど

辛かったね」

 

セト「いや、良いんだよ

君が気にする事じゃない」

 

ヨルト「それも、そうだね

あー、それと君をここに呼んだ理由は

僕を救って欲しかっただけだから

どうする?今日泊まっていくかい?」

そう尋ねられたが、今日は泊まる気分でも無かった

なんせあんなもの見せられたもんだから

 

セト「今日は遠慮しとくよ

研究も程々にな」

そう言うとヨルトは罰が悪そうな顔をして

確かにそうだねと笑った

 

そのままヨルトの家を後にし

家に帰った。

 

 

 

 

 

ヨルト「うーん、あの事は黙っておこうかな…

さて、これからどうなるのかね…」




珍しく話が思いついたので書いたんですけど
やっぱりベースとなる考え?とかあるとやりやすいなーと感じました
そんなこんなでこれからもよろしくお願いします〜
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