髪に掠る、足に掠る、羽に掠る。
セト「うわっ!」
危ない、少し遅かったら当たっていた。
目の前には、視界を覆うほどの光の玉が散りばめられていた。
光の玉は大小様々、色はキラキラと変わり続け、星型のものが多かった。
それらはセトに当てるために散りばめられた星屑。
スピードも様々で、こっちに避ければ、遅くやってきた光の玉に当たってしまう、あっちに避けても密度が高く避けきれない。
まさに、星空の檻だ。
羽ばたくのにも気を使ってしまう。
それらに翻弄されていると、この光を散りばめた本人が得意げに叫んだ。
魔理沙「どーした!セトよぉ!弾幕ごっこってのは
避けられない弾幕は張らないんだぞーはははは」
魔理沙から同心円状に放たれる光の玉達。
魔理沙は自分が放った弾幕に、翻弄されるセトをにやにやと見ながら、箒に跨り、空を飛んでいた。
確かに避けられない事はない、がこの弾幕の隙間は、狭すぎる。
セト「クソッタレ...!」
小さく叫び、セトは魔理沙に腕を伸ばす。
瞬間、セトの手のひらからレーザーが放たれる。
これも一種の弾幕だ。
しかし、魔理沙は、何だこの程度、と言うように
ひらりと身を返してみせた。
魔理沙「そんなんじゃ私に当てるのなんて10、、いや5000年早いよ!」
その間も、弾幕は絶え間なく放たれ続け、
セトのスタミナをじわじわと奪っていく。
セト自身、まだ弾幕というものにも慣れていない。
それに対抗出来る術もまだ身につけていない。
さっき撃ったレーザー、そして、この弾幕を避けきるので精一杯だった。
その様子を見かねた様子で、やれやれと魔理沙はポケットから紙切れを取り出す。
そして、何かを叫んだが、セトには聞こえなかった。
その後のことは覚えていない。
広がるのは清々しいほどの青空。
背中にはジャリジャリした土の感触。
しばらく状況を理解出来ず、仰向けに寝転がっていると
魔理沙さんが顔を覗かせてきた。
魔理沙「やっぱり何も教えてない状況で弾幕ごっこは無理があったか」
そう言ってにししと笑う、その横から霊夢さんが顔を出した。
霊夢「当たり前でしょう。全く、それにしてもあんたの弾幕も変わらないわねー。お茶1杯分楽しませてもらったわ。」
ほら、立ちなさいと霊夢さんが手を伸ばしてきた。
その手を掴み、ふらふらとバランスを崩しそうになりながら、なんとか立った。
ぱっぱっと服の埃を払い、周りを見る。
ここは、博麗神社、か。
えーと...?
あー、思い出した。
あれは、何時間か前、、、
ほわんほわんほわんほわんほわわーん
何だこの音
魔理沙「あれ、セトじゃないか
どうしたんだ、というかよく迷わなかったなぁ」
眼鏡をかけて、片手に本を抱えながら出てきたのは
魔理沙さんだった。
ここに来る途中は、確かに迷ったが、
何となく勘を頼りに進んでいたら目の前に家があったのだ。
その家が魔理沙さんのだという確信はなかったが
とりあえず心細かったのでノックしたまでである。
なんとも不思議な話だが結果オーライという事で気にしない事にした。
玄関先で、一言二言会話を重ねた後、
魔理沙さんの家で話す事になった。
中は、見た事のない植物やら、薬やら。
本棚には、本がびっちりと並んでおり、ベッドの上には
本が散乱していた。
汚い。
その様子を見て魔理沙は
魔理沙「き、汚いのは気にしないでくれ
なんせ客人なんてそうそう来ないもんだからさー
あははー」
と、手で頭をかき
恥ずかしそうに笑った。
気にするな、と言われるとむしろ気にしてしまうものだが、今日は魔理沙さんに頼み事があってきたのだ。
掃除をしろと言いに来たのではない。
そう思い、まだ座ってもいないが、単刀直入に聞いた。
セト「魔理沙さん、俺に弾幕を教えてくれませんか」
そう、弾幕についてだ。
その後、魔理沙さんとは、色々話をした後、魔法の森だと戦いにくいから、という理由で博麗神社に行く事になったのだ。
博麗神社に着くや否や、俺と一緒に飛んできた魔理沙さんを見て霊夢さんに嫌な予感がする、と言われてしまったが弾幕ごっこくらいなら、という事で了承を得た。
そして、基本も何も教えられてない状況で
いきなり弾幕ごっこが始まり、今に至るのである。
とりあえず休憩。
博麗神社の縁側に座り、空を眺めた。
今、目の前に広がる青空が見えなくなるほどの、弾幕を張っていたんだなぁと思うと、魔理沙さんもやはり只者ではないと感じざるを得なかった。
しかし今日は訓練を休んでまで来たのだ。
何か得られるものがあるといいが。
すると、居間からせんべいを2枚持ってきた魔理沙さんがトコトコと歩いてきた。
居間では、霊夢さんがぼーっとしながらお茶を飲んでいる。
魔理沙さんはせんべいの1枚を俺に渡した後、バリッと音を立てながらせんべいを食べ始めた。
魔理沙「弾幕ってのはなぁ、パワーなんだよ、
お前のあの1発だけで、相手が都合よく当たるわけがない」
そう言うと、奥で話を聞いていた霊夢さんが
出た、魔理沙のパワー論、と言いクスッと笑った。
その様子を見てうるせぇなぁーと魔理沙さんは叫んだ。
霊夢「パワーも大事だけどいかに相手を追い詰めるかも肝心
だけど、弾幕ごっこは避けられない弾幕は張っちゃだめ。
まぁ、結局の所バランスよねぇ〜、死ぬわけでもないんだし、あなたが使う事もそうそうないと思うわ」
でも、あって損ではないけどね
と言いずずーっとお茶をすすった。
確かに、俺が使う機会なんて、
いや、出力とか変えると戦闘には使えるかもしれない。
魔理沙「まぁ、お前がやりたいってんなら私はとことん付き合うよ
んじゃ、早速練習するか!」
そう言って魔理沙さんは勢いよく立ち上がり、
歩いていった。それを急いで追いかける。
魔理沙さんは意外と教えるのが上手く、
すぐに弾幕の出し方のコツなどがわかった。
人間と妖怪だと少しやり方が違うようだが、それでも難なくこなす事が出来た。
途中ちらっと霊夢さんの方を見ると
見覚えのある人と話をしていた。
紫さんだ。
久しく見ていなかったが相変わらず空間を裂き、そこから上半身だけを出し霊夢さんと話をしていた。
こちらに気づくと笑顔で手を振ってきたので、振り返した。
魔理沙さんの指導を何時間か受けた。
小さい弾幕から大きな弾幕、それに合わせて、レーザー状の弾幕を合わせるなど、色んな技を習得できた。
こんなに練習しても、力が尽きない事に、魔理沙さんは驚いていたが、これもヨルトが言っていた魔力が高い事に関係あるのだろうか。
試しに、この弾幕を圧縮するイメージで放ってみたら少し土が抉れたので、確かに威力はある事がわかった。
しかし、その弾幕を見た魔理沙さんは
弾幕ごっこではそれは駄目だ、と怒られてしまったので
気をつけようと思う。
なんでも相手を傷つけないように作ったルールらしい。
確かにこれでは傷つけてしまうな。
そして、また練習が始まる。
途中から、実戦という事で魔理沙さんとは
何度か弾幕ごっこをした。
相変わらず魔理沙さんの弾幕は避けにくかったが、
こちらも負けじと弾幕を放つと、少しは焦ってくれたみたいだった。
魔理沙「これで、軌道も思い通りに出来るようだと、尚いいんだがな。」
と、魔理沙さんは言っていた。
さすがにまだそこまでのレベルには達してないが
これから練習を重ね、習得していこうと思う。
...また、休む時間が減ってしまうな。
そして、一通り教える事は教えたようで、最後に紙切れを何枚かくれた。
なんだこれと、パタパタやっていると
これがスペルカードなるものだと教えてくれた。
スペルカード自体、どんなものでもいいらしいのだが
これは、弾幕ごっこの際使うらしい。
言われてみれば、弾幕ごっこの途中、魔理沙さんは紙を掲げ、何かを叫んでいた。
あれがスペルカードの使い方、という事だろうか。
この紙に技の名前みたいなものを書き、それを掲げ、宣言する。
その技は自分が考えた組み合わせの弾幕の事らしい。
魔理沙「基本的には〇〇符「なになに〜」って感じだがぶっちゃけどんな形でもいいんだ。
相手にスペルカードだと分かってもらえれば」
と説明してくれた。
ゆっくり考えていけばいいさ、と魔理沙さんはいつもの笑顔を見せた。
そして博麗神社の方に歩いていくと
ようやく終わったの?
と言った感じで霊夢さんが出てきた。
魔理沙さんは霊夢さんに、こいつ意外と覚えるの早くて助かったわ、と笑ったが、もう日が沈んでるけどね、と霊夢さんは返した。
言われるまで気づかなかったが、もうすっかり日は沈んでしまい、奥に少しオレンジ色の光があるだけで、肌に触る空気に、夜の気配を感じさせていた。
あ、もうこんな時間になってたのかと魔理沙さんは
焦りだし、また教えて欲しい事があったら来いよ、と言い箒に跨り飛んでいってしまった。
魔理沙さんに会うために、またあの暗い森を歩くのかと思うと少し、気分が落ちた。
今度ヨルトにでも地図を描いてもらおうか。
それじゃ、俺もそろそろ行きます、と言うと、いつでも来てね、暇だから、と言い霊夢さんは手を振った。
帰る途中、弾幕について考えた。
スペルカードと言っても名前とか思いつかないなぁ。
組み合わせなんて、どうすればいいんだ。
などと巡らせてみても思いつかないものは思いつかなかった。
それにしても、帰る時間はいつも禍が出る時間だなぁ。
そして、にとりさんの工房に向かう途中で出会った禍の事を思い出す。
戦闘部隊になる以上、禍に対しても
遠距離攻撃としての弾幕を使えるようにならなきゃな、
そう思いながら、涼しい風の吹く夜空をのんびりと飛んでいた。
里に降り、家に向かって歩く。
里は平和だ。色んな所に丁寧に手入れされた畑があり、
笑い声が漏れる家がある。
里の周りには特に白狼天狗達が多く配備されており
この平和を守っているらしい。
そういえばあの後、椛さんは大丈夫だったのだろうか。
こんな事情がある山の中だから、少し気になった、が
確認する術もないのでどうしようも無かった。
家の前に来ると郵便受けに手紙が入ってる事に気づいた。
この俺に手紙を送るヤツ...
わからん。
手紙を見ると差出人はヨルトだった。
何故俺の家が分かったのかと疑問に思ったが、ヨルトの事だし気にしない事にした。
手紙の内容を読むと、俺の能力についてだった。
俺がヨルトを正気に戻した時、伝え損ねたのだとか、
まぁあんな状況だしなぁ。
なんでも、恐怖心を操る事が出来るらしい。
やり方については分からないそうだ。
ただ、上手く使えばかなり便利な能力だ、と
確かに、そうだ、後で試してみよう。
試すものの目星はつかないけど。
そして、夜ご飯を作りカラス達に食べさせる。
俺は縁側に座り、酒を少し飲む。
星空を見ながら鼻歌を歌った。
夜空には息を呑む程の美しい星空が広がっていた。
セト「こんな綺麗な星空、あっちの世界じゃなかなか見られないなぁ」
そう零したあと
風が心地よく吹き、流れ星が通った。
あ、歌符「星空に歌を」とかどうだろうか。
長ーい!
この話は前々から書こうかなって思ってた話なんですよね、
魔理沙、霊夢登場した話頃から
話が浮かんだかなぁ
まぁこうやって無事に消化できて良かったです。
それじゃーまたね!