機動戦士インフィニットストラトス 怪盗が奏でる六つの協奏曲   作:ジャッジ

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あけましておめでとうごさいます。
新春としましてスペシャルと題して協奏曲はいつもより長く、TGGMでは番外編をすることにしました。
これからも私、ジャッジメントXとそれぞれの主人公である如月烈花、峰・怪斗・ルパン四世をよろしくお願いします!


第九話 「中国娘はご機嫌ナナメ」

怪斗side

 

パーティの翌朝の午前六時、僕は寮の周りをウロウロと徘徊していた。どうも昨晩早く寝過ぎた用でこんな時間に起きてしまったのだ。と言ってもただ歩いているわけでもない。

さて、この辺でいいだろう。そこの木立に入り素早くタブレットのタッチパネルを操作して電話をかける。もちろん相手はスコールだ。

 

『もしもし、久しぶりねジョーカー?』

「久しぶり?僕が任務を受けてからそんなに日は経ってない気がするが。」

「そうかしら、あなたもオータムもいないから寂しくて。そのせいかも。』

「なるほど、愛しのオータムぁいないからか。」

 

そうからかいを込めて言った途端電話を切られた。どうやら触れてはならない所を触れたようだな…

仕方がないもう一度かけ直そう、今回ばかりは完全に僕が悪い。

 

『おいジョーカー、スコールに何を言ったんだ?』

「やぁマドカ、でそのスコールは?」

『…さっきの電話以来膝を抱えてベッドの端っこにいるが?』

「…すまないと伝えてくれ。」

『わかった伝えておく。それで、他に何か伝えることは?』

 

そうそう、本題を忘れていたのだよ。危ないところだった。

 

「ああ、Xナンバーの所在がわかった。数は二機。」

『ずいぶん早く見つかったな。私が代わりに聞こう、どの機体が見つかった?私のバスターはあったのか、早く答えろ。さぁ…さぁ!』

 

すごい大声だな、少々耳が痛い…

マドカはバスターの専属パイロットに選ばれた時えらく喜んでいたからな。仕方がない、か…

 

「ああ、バスターとデュエルだ。所持していたのはイギリス候補のセシリア、イタリア候補のメーヤだ。

念を押すが、だからと言って…」

『皆まで言うな、イギリスとイタリアを火の海にしてくる。一週間ぐらい…』

「いや待て、わかった。必ず取り戻すから火の海はやめろ、頼むからっ!」

『…今、スコールにも同じ事を言われた。それに私のブルーティアーズは改修中だからな、今は出せん。』

 

ブルーティアーズの改修?まぁガンダムに対応するほどの性能を引き出さねばならないから必要かもな…

 

『そういえば、篠ノ之博士が連絡してきてくれと言っていたな。」

「束女史が?わかった、後で連絡する。」

 

と言ったものの、もうすぐ皆が起きてくる時間だしな…放課後でもいいだろう。

そう思い寮に戻る、近くの木の上で僕の話を聞いていたであろう水色の髪を持つあの人を無視して。

 

さて、部屋に戻ると時間は六時半。普通なら起きて準備をし始める頃だが…

 

「くか〜…すぴ〜…」

「起きるのだよ江理華、遅刻するぞ。」

「ふにゃあ…あと三十分…」

「それだと遅刻決定だ。それから、たまにはベッド周りを片付けてはどうだ?」

 

江理華のベッドの周りにはお菓子の袋やら空のペットボトル、ファッション雑誌にマンガなどが散乱しており、とても足の踏み場がある状態ではない。

 

「ええやん生活できたら…だから寝かせてぇや、それにまーやんなら許してくれるし…」

「今日のHRは織斑先生だが?」

「よっしゃー!今日も一日頑張るでぇ!」

 

…織斑先生と伝えただけで飛び起きたな、たぶん遅刻したら出席簿アタック(一夏命名)が炸裂するからだろうな。と言ってる間にもう十分経ってしまったな、さっさと着替えよう。

 

僕も江理華も準備が終わって食堂に着いたのは七時、IS学園は八時半からSHRなので皆は大体七時半に集まってくる。流石に早すぎたか?

 

「ほら見てみぃ!まだほとんどおらんやんけ!」

「早いに越したことはない、所で江理華。お前ちゃんとノートとっているか?」

 

そう聞くとプイッと横を向いて目をそらした。まさかコイツ…

 

「…ノートを見せるのだよ。」

「やだ。」

「だから見せるのだよ。」

「やだやだ!」

「いいから見せるのだよ!」

「いーやーだー!」

「もういいよ盗ったから。」

「せやから嫌って…ウソん⁉︎ほんまや無くなってる!」

 

昨日のポーカーの時に使った手口の応用版さ、さて見せてもらうぞ………これは…

 

「お前…一行もノートを書いてないじゃないか!」

「いやぁ授業全然わからんくて、とってもとらんでも同じと思えてきて…」

「朝食終わった後、教室で特別授業だ。」

「そ、そんな殺生な!なんもこんな朝からすること…」

「では織斑先生に頼むか。」

「よ、よろしくお願いしゃ〜す…」

 

江理華side

 

怪斗の特別授業宣言から約一時間ぐらいたった頃、ようやく授業が終わりウチは解放された。

てゆーか、教室に来た時誰もおらんかった現象初めてや。小中学校と遅刻の常習犯やったウチからしてみれば信じられへんわ…

 

「だぁ…つ、疲れたぁ…」

「何を言っているのだ、これからまた通常授業だぞ。」

「うげぇ…こらぁキツいでホンマに。気分転換にちょいと一夏らと話してくるわ。」

「では僕も行こう、僕も彼に用がある。」

 

へぇ〜、怪斗が一夏に用事があるとは珍しいな、何の用なんか気になるわ。

そんな事でいちかの席に来ると本人の他、セッシーにメーやん、モッピーとミッピーといったいつものメンバーがそこにいた。

 

「おはよ〜皆、五人集まってどないしてん?」

「うっす江理華、それに怪斗も。いや、さっき巻紙先生が言ってたんだけど…どうも二組に転校生が来たらしいんだよ。」

「転校生…この時期にか?転入条件はかなり厳しいはずだが。」

「いんや、どーもそいつが中国の国家代表候補らしくてよ。

まっ、たぶんアタシの存在を危ぶんでの行動だろうけど。」

「違いますわメーヤさん。私とデュエルの存在を危ぶんでの行動でしてよ。」

 

おろ、代表候補生同士の意地の張り合いか?ちぃとオモロイけど…

それより怪斗の用ってなんやろ?

 

「一夏、来月のクラス対抗戦だが…一位のクラスには学食デザートの半年フリーパスが配られるそうだ。

がんばってくれよ?…因みに僕は甘党だ。」

「地味に変なプレッシャーをかけないでくれ怪斗!」

 

へぇ、怪斗って甘党やったんや。言われてみればお昼ご飯の時いっつも何かしらのデザートを頼んでたしな、以外な発見や。

 

「それより一夏頑張れよ。専用機持ちのクラス代表はお前だけらしいからな。」

「その情報、古いよ。」

 

ふと、教室の入り口から声が聞こえた。そこには見たことのないなんとも小柄な女の子がおった。

ツインテなのはともかく、その胸や。B…いやAぐらいか?ウチやメーやんでもDやし、セッシーはたぶんEでミッピーはF、そんでもってモッピーはGぐらいか?

 

「ちょっとそこの青髪!さっきからどこ見てんのよっ!」

「んでもってタッパも145...いや150ぐらいか?」

「んな⁉︎なんで知ってんのよ!」

 

おお、やっぱ合っとったか。まぁどうでもええけどな。その時、一夏がえらい驚いた顔してその子を見つめていた。

 

「鈴…お前、もしかして鈴か?」

「そうよ、中国国家代表候補の凰鈴音。二組のクラス代表になったの。今日はその宣戦布告に来たってわけ。」

 

なるほど、あの子がウワサの転校生かいな。そういや二組のクラス代表は確か黒川さんやったはずやけど…まぁ、気弱そうな人やったからムリヤリ交代させられたんやろな。

 

「何で格好つけてるんだ?全然似合ってないぞ。」

「う、うっさいわね!ほっときなさいよ!」

「えっと、凰だったか。後ろを見ずに早急に教室に戻った方がいいと思うが…」

「なんでよ、第一あんた誰なの…」

「おい。」

「何よ!話してるのがわからないわ…け……」

 

声がどんどんしぼんでいき、消えた瞬間バシンッ!と音が響き出席簿アタックが炸裂する。

もちろんそれをやったのは…織斑先生や。

 

「もうすぐSHRの時間だ、さっさと教室に戻れ。」

「は、はい!待ってなさいよ一夏!」

「鈴のやつ、ISの操縦者だったのか。しかも代表候補生だったのかよ。」

「…一夏、今のは誰なのか詳しく教えて欲しいな。」

「一夏さん!今のは一体誰なのですか!」

 

その後も複数名同じ質問を繰り返してたけど、全員先生の餌食となって出席簿アタックを食らった。

そして、その中にはモッピーにメーやん、そして怪斗までおった。

え、ウチ?ウチは先生が来た瞬間席に戻ってたから大丈夫やで!

 

箒side

 

「お前のせいだ一夏!」

「あなたのせいですわ一夏さん!」

「お前たち自身のせいだバカ者!」

 

そう言って一夏に詰め寄っていた二人にゲンコツを食らわせる。

この二人、午前中だけで山田先生に注意を六回、織斑先生の出席簿アタック四回、計十回も注意されてる。

大方、あの凰という奴と一夏との関係が気になって集中出来ないのだろう。

全く、恋する乙女の恋心も少々困ったものだな。

 

「お前らどうした。具合でも悪いのかよ、全然集中出来てねぇじゃん。」

「いえメーヤさん。そういう事ではなく…」

「はぁ?んじゃどういう事だよ?」

「メーヤこっちに来い、教えてやるから。」

 

二人を見て理解不能な顔をしていたメーヤを怪斗が手招きして何かを話している。少し時間がかかりそうだな。

 

「うーん、じゃあ鈴の事は食堂に行ってから話すよ。そんなこれと言って言うことはないんだけどな…」

「そうなのか!…で、でも一応聞かせてもらおうか。」

「そうですわね、行っておきますが一応でしてよ!」

「先に行っててくれ、メーヤと怪斗を待ってから行く。それに江理華を起こさないとな。」

「おう、わかった。」

 

その後、自席で真っ白に燃え尽きている江理華を起こしに行った。

何故こんな事になっているかというと、こっちは午前中ずっと集中していて逆にダウンしてしまった様なのだ。

 

「大丈夫か江理華、もう昼休みだそ。」

「う〜ん…まだお昼かいな、こっから午後もあるとか死にそうやで…」

「お前、どうやって入試を突破したんだ?」

「そんなん気合でなんとかなった!」

 

気合って…逆に凄いな、そんなもんで突破出来るのか?

いや、本来は無理なんだろうけど。

 

「ほんじゃ、切り替えてお昼ご飯食べに行こか。」

「こっちも話が終わった。四人で行こう。」

 

話が終わった怪斗達も引き連れ急ぎ足で進んでいく、流石に待たせるわけにはいかないからな。

食堂に着く直前に合流し改めて中に入ろうとすると、話題の種である凰が仁王立ちで食堂前に立っていた。

 

「ふふふ…待ってたわよ一夏!」

「だから何で格好つけてるんだ?全然似合ってないって。」

「んな…何よ!こっちだって結構恥ずかしかったのよ!」

 

じゃあなんでやってたんだ?とりあえず食券を買っておこう。

私は天ぷらうどん、江理華はカツ丼、メーヤは日替わりランチ、怪斗はチャーシュー麺と杏仁豆腐を買って全員が席に座ると実が口を開いた。

 

「それで一夏、こいつとお前の関係はどういうものなのだ?」

「そうですわ一夏さん!も、もしかして…つつつ、付き合っていらっしゃるのですか⁉︎」

「べ、別に付き合ってる訳じゃないわよ!」

「そうだぞ、ただの幼なじみだ。」

「「「……………」」」

「な、何で睨んでんだよ…」

 

ああもう、どうしてお前はそうなんだ一夏!一気にまた気まずい空気になってしまったじゃないか…

そして、その気まずい空気を破るように怪斗が口を開いた。

 

「んんっ、始めまして凰鈴音。黒崎怪斗だ、よろしく頼む。」

「あ、うん。よろしく〜」

 

怪斗轟沈…お前はよく頑張ったよ。次に話しかけた江理華、そしてメーヤも共にやられ、向こうは向こうで彼女らだけの空間を創り上げていた。

 

(よし、さっさと食べて教室に戻ろう。それからチャンスを伺えばいい。)

 

しかし、その時にはすでに天ぷらは完全にふやけ、うどんは伸びきり、スープも冷めかけていた…

 

ところが、凰と話す機会は以外にも放課後まで引き伸ばされた。

一夏がセシリア達との訓練を終え帰ってきたすぐ後に彼女が訪れたのだ。

 

「えっと、確か箒さんだったわよね。」

「ああ、何か私に用でも?」

「ちょっとお願いがあってね、部屋替わって欲しいのよ。今すぐにね。」

「なっ…今すぐにか?」

「そうよ、なんか初日にケンカしたそうじゃない。もしかしたら男と同室なのは嫌なんじゃないかなって思ったからさ。」

 

別に嫌という訳ではないが…弱ったな、一夏はいろんな意味で人気者だ、そこを利用して他のXナンバーについて探りを入れようと思っていたのだが…

しかし、こいつの恋愛も応援してやりたいし…うーむ、どうしたものか。

 

「ところで一夏さ、約束覚えてる?」

 

…………カチン

 

「いい加減にしろ…人の話をちゃんと聞けぇ!」

「ああ、馬鹿!」

 

凰の態度に思わずカチンときた私は、そこにあった竹刀を振り下ろす。

一夏の声でハッと我に返った時にはもう遅く、バシィとものすごい音が響いていた。

 

「ハッ…すまん!大丈夫か⁉︎」

「大丈夫に決まってるでしょ、代表候補生舐めないでよね。」

 

見ると当たったのは頭ではなく、部分展開されたISのうでだった。

驚いたのはその展開速度ではなく…その腕の形状だ、キレイな淡紅色でクローが格納されておりその形自体がアストレイのそれと似ていた。

こいつ、まさか…

 

「ところで鈴、約束ってのは…」

「うん。お、覚えてる…わよね?」

 

この凰の態度…ははん、コイツ一夏に惚れているな?

なるほど、だから部屋を替わって欲しいとか一夏のそばに居たいというアピールを。

 

「えーと、確か鈴の料理の腕が上がったら毎日酢豚を…おごってくれるって奴か?」

「「………はい?」」

 

思わずハモってしまった、何も知らない私でも判る…そこは食べて欲しいたろう!

 

「いやしかし、俺の記憶力に感心感心…」

 

パァンッ!バシィンッ!バタンッ!

 

…今の音を説明すると、最初は凰の平手打ち、次は私の竹刀による面、最後は一夏が倒れる音だ。

 

「サイテーッ!女子との約束を覚えてないなんて、男の風上にも置けないわよ!」

 

すると素早くバックを持ち、ドアを蹴破るような勢いで出ていった。その音を聞いて我に返った一夏を睨んで私も言った。

 

「一夏…馬に蹴られて地獄に落ちろ。」

 

という捨て台詞を吐いて部屋を出た、別に部屋を替わってもいいぞ。あいつの唐変木を治すという条件付きで。

というわけで怪斗の部屋に来たのだが、どうもカギがかかっている。留守なのかと思っていたが…ノックして名を名乗るとすぐ開いた。

 

「なんだ箒か、丁度いい入ってくれ。」

 

丁度いい…何かあったのかと思うと室内には江理華と長ラン長スカートを履いた女の子が…この姿。

 

「スケバン刑…」

「それ言うたら負けやモッピー!」

 

…意味がわからんが、とにかく突っ込んではいけないという事だろう。

とりあえずベッドに座っている江理華の横に腰かける。

 

「紹介しよう、更識簪。この学園の生徒会長である更識楯無の妹で風紀委員会の副委員長だ。

実は彼女が僕たちに依頼したい事があると言ってきてなら本題を聞こうとした時、丁度お前が来たという訳なのだよ。」

 

仕事の依頼…どうやら亡国関連のようだな。なるほど、だから丁度いいという事か。

 

「それで簪、その仕事というのは?」

「…………」

 

少し間を開け、彼女は深呼吸する。そして…彼女の口から出されたのはとんでもない依頼だった。

 

「依頼内容はたった一つ、更識楯無を…殺して欲しい。」

 

第九話完




さて、何時もよりは長いと思います。てかいつもが短いのか…

簪からの依頼の真の意味、そして揺れる鈴の心。
そしてそれは対抗戦前日まで縺れて…
次回
機動戦士インフィニットストラトス
怪盗が奏でる六つの協奏曲
第十話
「クラス対抗戦前夜」

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