機動戦士インフィニットストラトス 怪盗が奏でる六つの協奏曲   作:ジャッジ

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第十一話 「亡国を装う短剣」

鈴side

 

(…ついにこの時が来たわね。)

 

アタシは一人ピット内で瞑想をしていた。中国の教官にこれをすると集中力が高まって試合でもいい結果が残せるって言ってた。

まぁ、ホントに集中力高まっていい結果が残せたんだからOKなんだけどね。

 

「凰さん、そろそろ時間よ。」

「…わかりました。」

「あなたが強いことは十分わかってるわ。でも油断しないで、彼は織斑先生の…」

「言われなくてもわかってますよ、幼馴染なんですから。」

 

担任のエレン・マーロウ先生に念を押されつつもISを展開、カタパルトまで移動する。

そしてふと、あいつの顔が思い浮かんだ。本気で一夏に約束忘れられて、それで慰めて(?)もらったあいつの顔を。

 

「ふん、なぁにが精々頑張りたまえよ、勝ってあいつにもぎゃふんって言わせてやるんだから。」

 

赤を基調とした装甲に人間に良く似たフレームと頭部の大きなセンサーが私のISの特徴だ。

盗まれた『甲龍』よりもスペックの高いこいつは色と言い性能といい、結構気に入っている。その名も…

 

「凰 鈴音、赤龍出るわよ!」

 

カタパルトを出るとアリーナの中央には一夏の『白式』が待っていた。

にしても白式って…ホントに真っ白なのね、太陽の光が反射してちょっと眩しいくらいよ。

 

「待たせたわね一夏。私が勝ったらちゃんと謝りなさいよ。」

「ああ、約束だからな。ちゃんと俺の約束も守れよ。」

「ええ守るわよ、私に勝てたらの話だけど。」

 

そう言われムッとした顔になり、手元には近接ブレード『雪片弐型』が現れる。まさに臨戦態勢ってわけね。

私もバックパックから大型ブレード『斬妖剣(ザンヨウケン)』を引き抜き上段に構える。

 

『それでは、一回戦。

織斑一夏 VS 凰 鈴音…試合開始!』

「うおぉぉぉぉぉ!」

 

ブザーが鳴った瞬間、白式がもの凄いスピードで迫ってくる。

これが白式の加速力…いや違う!

 

(瞬時加速(イグニッションブースト)…!試合開始すぐに⁉︎)

 

刀の峰で右胸に押し付けられ、そのままアリーナの壁に押し付けられる。しかも両手足押さえ付けられて身動きもとれない。

 

「この戦法…千冬さんや習ったものじゃないわね…!」

「ああ、メーヤに教えてもらった瞬時加速(イグニッションブースト)を使った奇襲攻撃さ。本当ならナイフでやるらしいんだけど。」

 

そう言って刀を構える、その形は誰がどう見てもナイフにゃ見えないけど?

 

「でも、使い方次第でこいつは…ナイフにだってなる!

零落白夜…ダガーモード!」

 

そう言うと一夏の刀の刃部分が展開し、ナイフのように短いビーム刃が現れる。

ははぁん、そういう事。でも残念ね!

 

「いい感じに奇襲かけたみたいだけど、無駄だったみたいね!」

 

私は背部ユニットから隠し腕を展開し、腕部ビームソードを発振して一夏のビーム刃を止め、もう片方の隠し腕で一夏を殴り飛ばす。

 

「くっ、隠し腕かよ。結構かっこいいじゃねぇか。」

「ふふん、そうでしょ。アタシも気に入ってんのよ。

それにしても、変な奇襲かけられてこっちもイライラしてんのよ。悪いけど手は抜けないからね!」

「そいつはこっちのセリフだぜ鈴。今度こそ!」

 

私は改めて斬妖剣を振りかぶり最大加速で突っ込む。

この斬妖剣は中国(アタシの国)に伝わる宝剣の名前。その全長は3.5m…あいつの刀より1.5倍のリーチがある超大型剣なわけよ!

 

「はあぁぁぁぁぁぁ!」

「なっ⁉︎

 

ガギンッ!っていう大きな音が響き、一夏の刀が吹き飛ばされる。

かなり驚いた顔してるから予想外の事だったみたいね。

 

「言っとくけど一夏。大剣ってのは日本刀みたいに刺したりするもんじゃないわ。重さで装甲とかをぶっ壊す為に作られたんだから。」

「くっ、こんな事なら徒手格闘でも習っとくんだった。

でも、今そんな事言った所でた…なるようにしてやる!」

「何もかも甘いのよ!」

 

アタシは斬妖剣をバックパックに収め逆に隠し腕を展開する。

これの隠し腕は全部で四本、そして元々の手足も四本。さらにその全てからビームソードが出せる。

全部で八本のビームソード、それが今まさに殴りかかろうとしている一夏の拳に…

ズドオォォォォンッ!

 

「な、何よ⁉︎」

「おい鈴!なんか出てきたぞ!」

 

アリーナの遮断シールドを突破して何かが侵入してきたって、大事件じゃないの⁉︎

舞い上がっていた砂が落ち着いてきてそこにいる機体が見えてきた。

様々な武器で武装した頭部にバイザーをつけたのが十機と六本足の昆虫のような脚部ユニットを持った機体がいた。

 

「何よあんた達!試合邪魔して、どうなるかわかってるんでしょうね!ま

『………………………………』

「なるほど、聞く耳持たないってわけね。いいわ…力尽くで聞き出すから!」

 

アタシは腹部ビーム砲『スキュラ』を昆虫モドキに向けて放つ。こいつはSE(シールドエネルギー)を二桁ほど削る威力を持っている。

これで貫けないシールドはない…っと思ってたら昆虫モドキは巨大なエネルギーシールドを展開してスキュラを防いだ。

 

「まさか…陽電子リフレクター⁉︎

どこの国も開発されてないもんをどうして!」

「来たぞ鈴!試合は後だ。

今はこいつらを倒して皆の安全を守る方が先だ!」

「そんなもん言われなくてもわかってるわよ!」

 

斬妖剣を構え戦斧を持った奴と切り結ぶ。瞬時に足のビームソードを展開して腕を切ろうとするが寸前で戦斧を格納、シールドを掲げて防がれる。

 

「そんなちゃちなシールドで赤龍のビームソードが防げると思って⁉︎

 

いつの間にかそいつの後ろにいた両手にキャノン砲を持った奴が撃つ弾や、シールドを格納してガトリングを構えて打ってくる。

こんなの避けるのに精一杯で反撃できないじゃない!

 

「だらしないぞ鈴、こんな薄い弾幕に手こずっているのか?」

 

すると上からビームが飛来してガトリングを破壊する、そいつは地上に降り立つと背中のビーム砲を跳ね上げ二問のキャノン砲を破壊する。

もしかしてこいつ…

 

「た、助かったわ怪斗。

っていうかあんたの助けがなくても、あれぐらい出来たわよ!」

「ほう、ちゃんと名前も覚えてくれていたか。ありがたいね。

でも、果たしてそうかな?随分追い詰められていたようだが。」

「あっ!あの後、ものすっごい切り札があったんだからね!」

 

はいはい、と返事をする片手間で接近してきたバイザー野郎に両刃のビームサーベルを尽きたて頭部ユニットを破壊しどうやったかわかんないけど左腕を切り落とす…って落とした所から血が…出てない?

 

「血が出てない…か。思った通りこいつらは無人機というのが証明されたな。」

「ちょっと待って、ISの無人機ってどこの企業も国家も作ってない筈じゃ?」

「現実にあるのだからどこかが開発したのでしょう、先ほどの陽電子リフレクターもしかりです。」

 

すると、怪斗の前に赤色化した槍と赤龍とは比べものにはならない程の大型ビームソードを持った黒い機体が突然現れた。

 

「今度は何!あんたは味方、それとも敵なの⁈」

「まず最初に、私は味方です。

そして我が名はミレイナ・アルフォース、ギリシャ代表候補生です。そしてこれが私の専用機であるブリッツ、ブリッツガンダムガウェインです。」

「というわけだ。ああ、一夏の援護には箒と江理華が向かってるから大丈夫だ。」

「へぇ…あの二人も専用機持ちだったの?」

 

知らなかったのかという顔をする二人。本国からの情報じゃ専用機持ちは三人だけってことじゃなかったっけ?

 

「さて、一機破壊したとは言え敵は向こうの圧倒的に方が多い。

分かれて戦うのは得策ではない、箒らと合流するぞ。」

「わかりました、今はあなたに従いましょう。

管制室と連絡が取れません。おそらく奴らが何らかの妨害を行ってるんでしょう。」

「とにかく一夏と合流すればいいんでしょ?これからの事はそこからでもいいんじゃない?」

「ふむ、それもそうか。」

 

その一言がきっかけでアタシ達は一夏らと合流することになった。

にしても、怪斗が助けてもらった時に感じたあれは何?

助けに来てくれてありがたいっていうか…あいつに助けてもらって嬉しいっていうか…

ああもう!自分でもわからなくて腹が立つ!

 

怪斗side

 

箒らと合流した僕たちは彼女らに襲いかかっていたバイザー顔の無人機を撃退する。

流石に大破とまではいかないが部位破壊などで少々敵の戦力を削ぐことは出来た。

 

「ひー、ふー、みー、よー…あと八機もおるで、どないするん?」

「どうするのかって、僕はまだ思いついてない。箒はどうだ、何かいい案とか?」

「私もこれと言って思いつかん…っ⁉︎」

 

少しの間話してる間に三発のミサイルが放たれ、そこから細かい弾がミサイルから放たれる。

拡散弾とは粋なものを使うじゃないか、これじゃおちおち作戦を練ることも……まてよ。なるほど、それなら色々と繋がる!

 

「さて、ショーもここまでにしてそろそろ種明かししたらどうだい!」

 

僕は鉛弾をシールドで防御しつつビームライフルを昆虫モドキに放つが、それはシールドを持った無人機によって防がられる。

 

『種明かしとはどういう意味ですか。陽電子リフレクターを突破する方法でもあるので?』

「アルフォース。ここはプライベートチャンネルでなくても大丈夫だ。

改めて問う、君は有人機ではないのかい。そこの昆虫モドキさん!」

 

瞬時に双刀ビームサーベルを収め今度取り出したのは『ゲイボルグ』という名称がついたレールバズーカだ。

さらにオオワシのビーム砲とビームライフルを掲げてのフルバースト。今度は陽電子リフレクターを展開して防ぐ。

 

「おかしいと思っていた。無人機にしては情報処理能力が低すぎるとね。

そして思いついたのが…彼らは無人機ではなく遠隔操作機ではないかという事だ。」

「遠隔操作機…そうか!それならこちら側がアクションを起こす後手に回る戦い方をしていたのはそれでか!」

『…ばれてしまっては仕方がありませんね。』

 

プライベートチャンネルに聞いた事のない声が流れる。やはり昆虫モドキは有人機だったか。

 

「あなたは何者なのです!IS学園にこのような事をして、何が望みなのですか!」

「せや、鈴と一夏の勝負邪魔して何の得があんねん!

こんなんただの喧嘩の延長戦やろ、潰してもしゃーないやん!」

「私の幼馴染の真剣試合を妨害するとは…覚悟が出来ているのであろうな。」

 

箒たちが反応している…なるほど。

遠隔操作機のコアネットワークを通じてそれぞれからプライベートチャンネルを発信、アンテナ代わりに使ってるのか。

 

『私は亡国機業のジョーカー。

国家代表候補の君たちなら名前ぐらいは知ってるんじゃないかな?』

「ジョーカー…ですって⁉︎」

「知ってんのか鈴、それに君も?」

「詳しくは後ほど説明しますが。とにかく悪い奴らだと思っておいてください。」

 

悪い奴らねぇ、本物は君たちの隣にいるのに。それにしても亡国に装うとは…いい気持ちではないな。

それに僕の名を勝手に使うのも…心外だ。現れるなら堂々と予告状を出して…ん?予告状………

 

『更識楯無を殺すために来たのだが。君たちの妨害で予定が狂ってしまった。

まぁいい、本物の無人機を向かわせてるからね。』

「な、なんやと⁉︎まさか、ウチらはここで足止めされてたんか!」

「やられた…楯無さんが危ない!」

 

それよりもなぜだ…なぜ僕たちの更識楯無殺害予告を知っている⁈

楯無がどこかに情報を流したのか?それとも誰かが聴いていたのをリークした?

早くなんとかしたいが、通信ができないんじゃオータムに連絡とることも…

 

『ふふん、お困りのようだねかーくん!』

 

いきなりプライベートチャンネルから声が上がる。この声…そしてこの呼び方は!

 

「た、束女史⁈どこにいるんですか!」

『IS学園に決まってるじゃん!鈍いな〜。

それよりかーくん!束さんとの約束を破るなんて酷いじゃん!プンプン!』

 

はて、約束なんかしてたか?

………………………あっ、そういえばマドカが束女史に電話するようにって言ってたな。すっかり忘れていた。

 

『もう!かーくんはすぐ約束を忘れるんだから!そういう所はいっくんに似てるよねぇ。』

「その事は謝りますから、とりあえず今は知恵を貸してください!

陽電子リフレクターを突破する方法を教えてもらいたいんです!」

『まぁまぁ落ち着いて。先に言うけど、楯無の方にはオーちゃんと金髪の子が向かってるから安心してね!』

「そっちについては安心しましたけどね!こっちは大ピンチなんですよ⁉︎エネルギーも結構減ってきてますし!」

 

とその時、センサーが反応し上空から招待不明のISが降りてきている事を示す。まさか増援⁈そんな事されたら!

 

「よしっ、間に合った!喰らえよ!」

 

だが、そのISは僕の予想を反して遠隔操作機に向かってバルカンを撃ち、背中に背負った二本の剣を構え地上に降りる。

 

「な、何者ですあの人は?」

「ちょい待てぇい!ウチらを助けてもらったんはありがたいで。

せやけどどこの誰かは言ってもええんやないか!」

「江理華の言う通りだ。名を名乗れ!」

 

すると、先ほど降りてきた機体は剣を柄の部分で連結させ頭上で振り回しそれを昆虫モドキに向けて名乗った。

 

「俺は…五反田弾!そしてこの機体は俺の相棒。インパルスガンダムだ!」

 

第十一話完




さて、最後の方がまたもや駆け足気味になっちゃいましたね…
反省すべき点が大量にありますね…さて次回予告

弾とインパルスが到着する数分前。
オータムと簪は束の話を聞いて楯無の救出へと向かう。
次回
機動戦士インフィニットストラトス
怪盗が奏でる六つの協奏曲
第十二話
「幻影の名を持つ外道」

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