機動戦士インフィニットストラトス 怪盗が奏でる六つの協奏曲   作:ジャッジ

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第十三話 「魔女と呼ばれた女」

「織斑君!凰さん!黒崎君!三条さん!篠ノ之さん!アルフォースさん!

ダメです、アリーナ内部との連絡は一切取れません。何らかの妨害電波が流れている様です。」

「通常回線も無理です。さっきから携帯も繋がらないし…セシリアやメーヤとも連絡が取れません。」

「そうか、厄介な事をしてくれたものだ。」

 

アリーナに並立している司令室。ここでアリーナ内部で戦闘している生徒の機体データを見ることが出来る。

 

そんな場所に三人。山田真耶、篠ノ之実、そして織斑千冬はいた。

 

この司令室でも対抗戦は視聴でき、実の願望もあってここにいるのだが。あの遠隔操作機達が現れてからは唯一の扉もロックされその場から動けない状態になっていた。

 

そして千冬は今アリーナで剣戟戦を行っている赤いIS…インパルスを見つめながら真耶は呟いた。

 

「五反田弾。先日見つかった三人目の適性者…ですか。そして彼の専用機インパルス…」

「開発はオーストリアのリヴァル開発局から日本の草薙研究所に移籍した機体。日本名は衝撃だそうだが…どこまで本当なのかは知らん。」

 

まるで敵を見るかの様な鋭い目つきでインパルスを見る。続いてブルーフレーム、アカツキそしてレッドフレームを見た。

 

突然専用機を手に入れた箒と江理華を千冬は疑っていた。学園上層部は亡国機業のスパイがいる可能性がいるとして全生徒のプロフィールを洗ってはいるがそんか奴はいなかった。

 

「まぁその事についても後だ。我々がここを動けない以上、奴らに任せるしか無いだろう。」

 

 

 

そしてそのアリーナでは今も激しい攻防戦が繰り広げられていた。

 

弾は二本の長剣『エクスカリバー』を振り回して遠隔操作機達に攻撃を仕掛ける。その巨大さゆえ一つ一つの動作は重いが、一撃で盾と左腕を粉砕した。

 

「へへっ、並の盾じゃこのエクスカリバーは防げないぜ。

こいつはビーム刃と実刃を併せ持つすっげぇ剣だ!折るんだったらチェーンソーでも持ってきやがれ!」

「弾!後ろだ!」

「うおっとぉ!?」

 

後ろから迫っていた一機がバックパックのバーニアを切り裂いて小爆発が起こる。

 

「ちっ!うおぉぉぉぉぉぉ‼︎」

 

だが、弾もそのままやられるわけではなく爆発の勢いを使って回転切りで前後の敵を両断する。

 

「うわっ、バーニアざっくりやられてんなぁ…これじゃPICで上下にしか行けないじゃん。」

「大丈夫かよ弾。」

「あんた、後ろもちゃんと確認してないからそんな事になんのよバカ弾。」

「誰がバカだ!けど、こんなので終わるインパルスじゃないぜ。

こいつには今までのISにはないシステムが内蔵されてんだ。来い!フォースシルエット!」

 

そう言うとインパルスのバックパックが二本の剣を装備したものから大型のバーニアと翼を持つものに交換され、色も赤から青に変化した。

 

シルエットシステム。それはインパルスが持つ換装式バックパック交換システムによる万能化を図ったシステムで、彼が今装着したのは機動性重視ほフォースシルエット。先ほどのが近接戦闘重視のソードシルエットだ。

 

「何よそれ!ある意味一人軍隊(ワンマンアーミー)じゃない!ちょっと所じゃなくってずいぶんチートに思えるんだけど⁉︎」

「残念なことにシルエットはフォースとソード、そしてあと一個の三つしか無いんだと。

俺はもうちょい欲しいんだけどなぁ…」

「欲張り過ぎるのもダメじゃ無いのか?

とりあえずここを凌ぐ事を優先しよう。あのデカイのは怪斗達がなんとかしてくれるだろうし!」

 

ほとんどエネルギーが切れかけの一夏は遠隔操作機の持っていた剣を奪って戦っていた。

 

雪片よりもリーチの長いそれはちょっと使い勝手は悪いが鈴に吹き飛ばされた雪片は今も地面に突き刺さったままだ。

 

取りにいけたら幸いだが、そんな暇も無いから無人機の剣を勝手に使っているわけだ。

 

「一夏、エネルギーヤバくなったら引きなさいよ!後はアタシらでなんとかするから!」

「なんとかするって言っても、鈴も人の事言えないだろ!

お前だけ置いて戻れるかよ!」

「あんたバカなの?アタシは世界人口第一位の中国の代表候補生なのよ?

他の代表候補生と一緒にされちゃ困るのよっ!」

 

ふんっと鼻を鳴らしながら斬妖剣を振るい薙刀の中央部を真っ二つに切り裂く。そして頭部バルカンで足の関節部を狙って動けなくしてから両足のビームソードで肩ごと切り落とす。

 

そして斬妖剣を肩に担いで悪っぽい笑みを浮かべる。まるで先日ズルをしながらもポーカーでセシリアに勝った時のような悪い笑みを。

 

「何カッコつけてんだ?だから全然決まってないぞ。

それに今の、まるっきり怪斗のマネだろ?」

「う、うるさい!黙ってなさいよ!」

「お前らなぁ…ってまた増えたぞ!」

 

アリーナの上空から次々と新たな無人機が降り立つ、数はおよそ七機。未だ健在の奴を合わせるとなんと十二機の無人機が目の前に立っていた。

 

「おいおい、これってちょっとした戦○無双じゃね?」

「確かに、この数といいこの増え方といい。戦国○双ね…」

「お前ら、意味わかんねー事言ってんじゃねぇよ!」

 

今度はカタパルトハッチの方からミサイルが飛来して無人機達を爆撃する。

 

カタパルトハッチには両肩のミサイルポッドを開け大型のビームライフルを腰溜めに構えたバスターガンダム…メーヤが立っていた。

 

「ふぃ…先輩に手伝ってもらってやっとカタパルトが開いたぜ。」

「メーヤ!ありがとう、助かったよ。」

「礼には及ばねぇぞ一夏。お前もよく頑張ってんじゃん、凰も…そこにいる誰かさんも。」

「誰かさんって、もうちょっとマシな呼び方ないのか?」

 

弾がビームサーベルを二刀流で振りつつ尋ねる。しかしメーヤは笑ながら肩をすくめてごまかした。

 

そしてその直後、ビームが次々と無人機達に襲いかかる。そこには青い流線型のビット兵器が浮かんでいた。

 

「散りなさい!セシリア・オルコットとデュエル・ガストサファイアが奏でる行進曲(マーチ)で!」

 

これまた上空から飛来した青いガンダム…デュエルとパイロットであるセシリアのスターライトMk-IVを使って狙撃する。

 

すかさずメーヤも両腰のライフルを連結、超高インパルス狙撃ライフルとして面での攻撃を仕掛ける。が思った以上に命中せず彼女は顔をしかめた

 

「セシリア!もうちょい狙いを甘くしてくれ!

ノルマの撃破数まで全然足りてないだからさ!」

「メーヤさんこれはゲームでは無いんですわよっ!

実戦と競技とを一緒にしないでくださいまし!」

「ゲーム感覚でやんねぇと調子出ねぇんだよ…

それより、あっちは大丈夫なのか?」

 

メーヤが示した方向には例と昆虫モドキと数機の遠隔操作機。

そしてミレイナのブリッツガウェイン、江理華のブルーフレームセカンドL、箒のレッドフレーム。そして怪斗のアカツキが奮戦していた。

 

 

推奨BGM

「GO ON A FORAY」

機動戦士ガンダムUC

 

ブリッツガウェインを纏っているミレイナは陽電子リフレクターを突破する方法をひたすら考え込んでいた。

 

(ランサーダートやピアサーロックは効果なし。トリケロスのレーザーライフルではあれを突破できない。となると篠ノ之さん達の力を…)

 

彼女は目の前に迫ってきた無人機をビームソード『ガラティーン』で右手足を切り落として箒に近づく。

 

「篠ノ之さん。何かあの昆虫モドキについてわかったことはありますか?」

「いや、私たちもまだ活路を見出せなくて困っている。だか、どこからに弱点が…」

「うーんなんか弱点なぁ…

あの陽電子リフレクターってビームのバリアやんな?」

「ええ、恐らく。ビームバリア…?」

 

そう言うとミレイナはその場で止まり少し考えるそぶりを見せる。そして、何かを思いついたかのようにそうか!と声をあげた。

 

「そうです!あれがビームのバリアなら対ビームコーティングしているものなら突破出来る。

後はこの場に対ビームコーティングをした武器があれば…」

「私のガーベラストレートとシールド。

江理華のはタクティカルアームズ、そしてコンバットナイフに対ビームコーティングがしてある。

それに、あいつはもっとだ。」

 

そう言った彼女の視線の先には怪斗が一人、大型剣のグランドスラムを振り回してまた一機の機体を粉砕した。

 

「なるほどね、対ビームコーティングをした物をぶつけてあれを突破しようと言うのか。

なら、僕とこのアカツキが特攻の役割を担おう。僕以上の適任は居ない。」

 

怪斗はグランドスラムを格納し腕を組みニヤッと不敵に微笑んでそう言った。

 

その意味を知っている箒と江理華は愛想笑いを浮かべていたが、その真意を知らないミレイナは小首を傾げていた。

 

「どう言うことですか?

あなたには彼女達よりも多くのビームコーティングをした武器を所有しているのですか?」

「いいや、このアカツキと言う機体はどうしてこんなに金ピカなんだと思う?

それはこの機体の全身がヤタノカガミという特殊な装甲で出来ているからなのだよ。」

「ヤタノ…カガミ?

確か、古代日本より伝わる三種の神器の一つにその様な名前が…」

 

物知りだな。と怪斗は付け加え後ろから迫ってきていた一機に向けビームライフルを打ちながら答える。

 

「このヤタノカガミは相手のビームを収束させたまま跳ね返す効果がある。

いわば、この機体は全身をビームコーティングしている様なものさ。」

「そんな機体が存在しているとは…!

ですがこれはチャンスです。篠ノ之さん、三条さん。黒崎さんの援護を、私にはやるべき事が。」

「ミレイナに任せよう、行くぞ。後ろは任せる。」

「「了解(やで!)」」

 

オオワシバーニアを吹かして怪斗は突っ込む。その最中にも無人機はビームライフルを打つが高速で移動するアカツキを捉えることは出来なかった。

 

そして、そのまま展開されていた陽電子リフレクターを突破しオオワシのビームライフルを構え虫で言う顔の部分のリフレクター発生装置を破壊する。

 

『ば、バカな…陽電子リフレクターを気合いで突破したと言うのか⁉︎』

「まさか、そんな非科学的な事があるとするならたまったもんじゃないのだよ。

アカツキは全身をビームコーティングしてある…とだけ言っておこうかな?

今だぞ。箒、江理華。」

 

そう言うと彼の後ろから箒と江理華が飛び出す。実は怪斗が先に接近して来ていて気付かれなかったが箒と江理華も彼の後ろから速度を落として近づいて来ていたのだ。

 

「戦力が怪斗だけやと思ったら大間違いやで、ウチらだってある程度は戦えんねんからな!」

『ぐっ、小癪な!』

 

偽ジョーカーは江理華に向けてバズーカを撃つがそれはソードモードにしたタクティカルアームズで防がれる。

 

だが、その隙に迫っていた大型クローに捕まってしまう。

 

「なんやコレ⁉︎鬱陶しいわ!離せ〜!」

『ふんっ、このまま握りつぶしてくれる。』

 

大型のクローに捕まったブルーフレームの装甲をメキメキッと砕けていく音が響く。

 

「あ、あほ!このままやとブルーの装甲砕ける!」

「江理華!貴様っ!」

「待ちたまえ箒、今は耐えろ。」

「なぜ止める怪斗!江理華をこのまま見捨てろというのか⁉︎」

「そうではない。まぁ見たまえ。」

 

そう言っている内に江理華を掴んでいたクローが突如バラバラに切り裂かれたのだ。

 

そして、その場に突如として大きなビームソードを持った一機のISが現れる。ブリッツガンダムガウェインだ。

 

「何も無いところからいきなり…それにハイパーセンサーにも反応しなかったぞ…?」

「これは、ブリッツに搭載されている第三世代兵器…『ミラージュコロイド』です。」

 

姿を表したミレイナはロケットアンカー『ピアサーロック』を壁に突き刺し昆虫の背中に次々にビームソードで切り傷を入れていく。彼女に続いて箒がガーベラストレートを抜き両方の脚を切り裂いて行く。

 

「ここならあなた自慢のリフレクターも張れないでしょう!」

「脚さえ無くなれはこっちの物だ!」

『この!舐めるな小娘どもがぁ!』

「舐めとんのは明らかそっちやろ。

純情乙女の底力、たっっっぷり見せたるわ!おんどりゃぁぁぁ!」

 

江理華は咆哮と共にタクティカルアームズを振り回し反対側の大型クローを真っ二つにする。

 

脚とクローが全て切り落とされ背面部の幾つもの斬撃を喰らった昆虫部分は黒煙を吐きつつ機能を停止した。

 

『う、動け!動けゲルスゲー!』

「ゲルスゲー…なるほど、それがそいつの名前か。

さて、機体が動かなくなった所でさっさと出て来てもらおうか?」

『貴様ら、わかっているのか…

我々亡国機業に歯向かうという事が何を意味するのかを…!』

 

その言葉を聞いてフッと鼻で笑いプライベートチャンネルに繋いで言葉を続けた。

 

『それはこちらのセリフだ、君の様な奴は僕は知らないぞ?』

『な、何をバカな事を!私は…亡国機業のジョーカーだ!

お前の様な小僧が亡国機業の…裏社会の何を知っている!』

『…一部さ、僕が知っている世界の悪意は本の一部分に過ぎないかもしれない。だが…偽物のジョーカーにそんな事を言われたくないね!

さて、改めて名乗らせて貰おう…僕が怪盗ジョーカーこと、峰 怪斗・ルパン四世だ。』

 

怪斗はビーム砲を跳ねあげて最後に残されたゲルスゲーを貫く。

 

それと時同じくして弾達が相手をしていた遠隔操作機達が一斉に動きを止めた。怪斗が言ったとおりこの機体は遠隔操作されていたと言うのの証拠だ。

 

それを操る為にはとても大きなユニットが必要となる。それがこの昆虫ユニットだったと言うことだ。

 

『ほ、本物の怪盗ジョーカーッ⁉︎

どうやってIS学園に入ったの!』

『それは君の知った事じゃない。

もしもその事をここで大声で叫んでみろ?今度は君自身をこのビーム砲で貫くぞ。もう無いんだろSE(シールドエネルギー)が?』

 

怪斗はアカツキのビームライフルとビーム砲、そしてゲイボルグを構えて本体部分に狙いを付ける。

 

『む…無理よ!あなたに…人を殺せるはずが!』

『どうかな?エネルギーが切れたのがわからなかったといえば…ね。』

『わ、るかったわ…だ、だから…お願い…』

「…僕は悪くない。」

 

通常チャンネルに切り替えた怪斗は本体では無く虫型の再びユニットを攻撃し、耐えられなくなったそれが次々と小爆発を起こして対に壊れる。

 

その黒煙から飛び出した本体の部分は一心不乱に逃げていった。

 

「あいつ、分離出来たんかいな!こりゃ一本取られたわ…」

「今追っても捉えることが出来ないでしょう。私とした事が、あいつを逃すとは…」

 

江理華とミレイナは悔しそうに逃げていった方向を見つめている。箒はそんな彼女らを横目に見つつ怪斗に近づいて行く。

 

そして、プライベートチャンネルを開けると止まった遠隔操作機の側で何やら作業している怪斗に話しかけた。

 

『何をしているんだ?』

『ん?ああ、バイザーを割っているんだ。こんな物を着けていると言うことは何かしらの秘密があると見たのだよ。』

『なるほどな。しかし、奴らが私たちの作戦を知っていたことが一番気がかりだ。

私は楯無本人が他者に話したと睨んでいるが…どう思う?』

『さぁね、おっと割れたな。さてさて、お顔を拝見させてもらうよ。』

 

バリバリッと顔に着いたバイザーを外していく怪斗。全てを剥がし終えた時、アカツキのフェイスアーマーの下の彼の顔からは笑顔が消えていた、理由は遠隔操作機のフェイスアーマーの形にある。

 

『こいつは…ストライク!

いや、形状とか色々簡略化されている、と言うことはストライクの量産型だと言うのか…』

『量産型…つまり、ガンダムが量産されたのと同じと言うことか…』

『ああ。だが、この装甲を作っている企業から逆算して行けばどこが量産に成功したのかにたどり着く。』

 

セシリアのデュエル、メーヤのバスター、鈴のイージス、ミレイナのブリッツ。

 

それらを見回しながら怪斗は一つ、ある事を思いついた。

 

(もしも、彼女達のガンダムも量産されたら…⁉︎

そうなる前に回収しなければ…!)

 

その後、回復した通信によって千冬から休む前に事情聴取を行うと言われ素直に従った。

 

アリーナから出る前に彼は先ほどの有人機の消えていった方を見つめて呟いた。

 

「全く…僕の負けだよ。だが、負けたとしても君たちのやろうとしている事は阻止させてもらうよ。」

 

第十三話完

 




なんとか今話中に纏めようとしたら六千字突破…
無理やり詰め込んだらダメですね…さて次回予告

突然の襲撃も終わりホッと一安心している一夏達。
だが、その裏では様々な思惑が飛び交っていた。
次回
機動戦士インフィニットストラトス
怪盗が奏でる六つの協奏曲
第十四話
「揺らぐIS学園」

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