機動戦士インフィニットストラトス 怪盗が奏でる六つの協奏曲   作:ジャッジ

18 / 27
さぁ長らくお待たせしました、ようやく更新です!


第十五話 「ゴールデンウィークはデート日和?後編」

箒side

 

トイレの個室で今まで着ていたジャージを脱いで、私は怪斗に買ってもらった服に着替えている所だった。

特にこの服は私の好きな色の赤が入ってるのも大きな要因だ。もしかしたら、怪斗はそれを知っていたのかも…

 

「こ、こんな感じか…うむ!なかなか似合っているな。」

 

二人とも似合っているとは言っていたが、自分でも確認する暇が無かったから今見るのが始めてなのだ。

鈴に選んでもらった服とジャージを袋にいれて二人のいるアクセサリーショップへと急ぐ。

 

「おーい二人とも…っ!」

「ねぇ怪斗、これなんてどうよ?最近流行ってんのよ?」

「ふむ…にしても大きくないか?もう一回り小さくしても…」

「あんたバカァ?これでちょうどいいのよ。でもね…こっちもいいのよねぇ。」

 

私が二人が向かったアクセサリーショップでまるでカップルのように仲良く買い物をしている様子を見てしまった。

まるで本物のカップルみたいに仲良くしていて、思わず胸がちくりと痛んだ。

 

そして同時にどうして鈴の場所にいるのは私じゃないんだ…と思ってしまう。

頭を振ってそんな考えを片隅に押しやって笑顔のまま店の中に入った。

 

「む?ほほう、やっぱりよく似合ってる、僕の目に狂いは無かったようだな。」

「あ、ああ。とても気に入ったよ、本当にすまないな怪斗。

私も少しずつ服に関して勉強しなければ…」

「はは、違いないね。やっぱり年頃の女の子はこうでないとね。」

「年頃の女の子って、あんたどこのおっさんよ?」

 

ひょこっと怪斗の後ろから鈴が現れまるでネコのような笑顔を浮かべてにひひと笑っている。

 

その耳には大きなパールのような宝石をあしらったピアスのようなモノを付けていた。

 

「それはなんだ?確か学園の校則ではファッション目的でピアスをつけるのは禁止のハズじゃ?」

「はぁ…あんたなんにも知らないのね、これはイヤーフックって言って耳に挟んでるだけなのよ?」

「だそうだ。僕も詳しいことはあまり知らないんでね。」

 

そう言いながら彼女の耳からイヤーフックを外して値段を確認すると、うん。と頷いてレジへと持っていった。

 

「そういえば…怪斗が支払ってる所を見たこと無かったな。」

「そうねぇ…あいつ、今日いくら持って来てんのかしら?」

「ほほう、そんなに気になるのならついて来たまえよ。最初に言っておくが、今日はあまり持って来てないぞ?」

 

興味本位でついて行ってみると、怪斗は硬貨もお札も出さずに一枚の黒いカードを取り出していた。

 

「ちょっ⁉︎あれってブラックカードってやつじゃないの!」

「な、なんでお前こんな物を…?」

「む?そうだね……秘密は多い方がいいなら、教えないでおこう。」

 

それっきりカードについての説明を一切受け付けない怪斗はレゾナンスのパンフレットを見ながら何かを考えているみたいだ。

 

「どうした怪斗、このまま町へ出るんじゃ無かったのか?」

「ふむ…そのつもりだったのだが。

よし、街案内はまた別の日にして今日は一日ショッピングと行こうじゃないか。」

「いいわねそれ!まっ、いざとなったら怪斗におねだりするんだけどね〜。」

「さっきそれを買ったからもう君の為には使わんぞ。」

「冗談よ、冗談。そんな事するわけないじゃないの!」

「その前に…もう昼前だ、混む前に昼食でも採っておこう。ちょうどそこにオープンテラスもあるしね。」

 

怪斗side

 

僕たちが入ったオープンテラスのカフェは昼前とあってあまり混んでいなかったが、僕たちが入って五分と経たずに席はどんどん埋まっていった。

 

「怪斗の判断、正しかったようだな。」

「場の状況を把握して、判断するのには慣れているんでね。」

「今度は作戦司令官みたいなこと言っちゃって、あんた本当に何者なの?」

 

何者ねぇ…確かに僕が亡国機業にいる時は、何度か作戦立案を手伝わされたし、それも高確率で成功してるし。作戦司令官でも間違いではない…が。

今回だけは注文したチーズリゾットを食べて話をそらしておこう。

 

話をそらされムッとした顔をしつつ鈴は日替わりパスタを食べている。その様子を見つつ箒もラザニアを口に運びつつやれやれと首を振っている。

 

「さて、僕はこの後ここに行きたいのだが…ついて来るか?」

「なになに…小物店か。へぇ、動物型のペンケースや竹刀を入れておく袋まで売っているのか。」

「面白そうじゃない。ってかあんたここで何買う予定なのよ?」

「うん?それも…秘密さ。」

「全く…あれ?」

 

何かを見つけたような顔をしている鈴の視線の先を見てみると、何やら頭を抱えて唸っている女性がいた。

 

「ああもう…どうすればいいのよ…」

「…なぁ、怪斗。」

「ふっ、お節介もほどほどに…ね。」

「わかっているさ。」

 

そういって箒は先のほどの女性に近づいて言った。箒はああいう困った人を見ると助けたくなる性格だと言うのは知っている。

 

よく見るとあれはイイとこのスーツだ、大手企業のキャリアウーマンか?

 

「あの、どうしました?」

「え?…………これだわ!」

「は、はい?」

「ねぇ、あなた達。バイトしない⁉︎」

「「へっ⁉︎」」

「やっぱり…やめさせた方が良かったか。」

 

 

 

「いやね、今日来る派遣の子達がインフルエンザで来れなくなっちゃったのよ。あはは…」

 

彼女は近くのレゾナンスの中にある喫茶店の支店長だと、僕達は説明を受けた。

この喫茶店は他の所とは違い接客する店員は女ならメイド、男なら執事にコスプレするというなかなか面白い喫茶店なのだが………

なの……だが…………

 

「どうして僕までメイド服なんだ!

どう考えてと燕尾服の方がいいに決まってるだろう!」

「いやいや、私の目に狂いは無い…君は燕尾服よりメイド服の方が似合っている。

グフフ…男の娘メイドもなかなか…じゅるり。」

「いや待て!とんでもなく恐ろしい言葉が聞こえたように思えるのだが⁉︎」

 

そう、隣にいる箒や鈴はもちろんの事、なぜか僕までメイドになっているのだ。

黒髪はまるでセシリアのような金髪のカツラをかぶり目は元より蒼いので変更なし。後は二人よりも多くフリルをあしらったこのメイド服を着てるくらいだ。

 

流石の僕も潜入とかで変装する時は男にしていたから、女装したのは今回が初めてだけどね。

 

そして何やら、隣の二人は悶えてるようだが…面白がって笑うのを堪えているのか、はたまたあまりに可愛くて普通に悶えてるだけなのか。

前者なら、君たちをこれから軽蔑しようとかね…

 

「な、なぁ怪斗。声を作っても構わんから『いらっしゃいませ』と女声で言ってくれないか?」

「はぁ……ゔんっ!

いらっしゃいませ、ご主人様!」

「「「完璧だろ!」」」

 

と言うわけでメイドとしてバイトに参加したわけだが…このハイヒールはなんとも履きにくいな…

 

「怪斗ちゃん。六番テーブルにアールグレイとロールケーキ四つずつ持って行って〜!」

「わかりました。」

 

四つのティーカップと皿を乗せたトレイをそれぞれ両手に持って移動する。

これ(ハイヒール)は使い勝手は悪いが、慣れればそうでも無いね。

 

「お待たせしました、アールグレイティーとロールケーキでごさいます。」

「あ、はい…ありがとうございます…」

「すっごい美人…もしかして外国の方ですか⁉︎」

「女性だと思います?けどごめんなさい。僕は男だ。」

 

そう言うとまさにティータイムを楽しんでいた四人の女の子達は一斉は一斉に目を点にした。

その間にごゆっくりどうぞ。と言って戻ってくる。接客業もなかなか大変だ。

 

一方、箒と鈴はと言うと…

 

「お、お待たせしました。ご、ご注文は?」

「あ、はい。放課後ティーセットを二つお願いします。」

「か、かしこまり…ました…」

 

こんな感じで箒は人前に立って何かするのは苦手みたいだし。

 

「はいはーい、ご注文のミルクティーとホットコーヒーです!」

「ねぇ君、どこの学校の子?

小学生がこんな所でバイトしてちゃ…」

「はぁ?誰が小学生よ!」

 

鈴は鈴でこんな感じでお客に突っかかっていくした。まともに出来てるのは僕ぐらいだよ。

 

「あ、あの!そこの金髪メイドさん追加お願いします!」

「あ、こっちもお願い!」

「こっちはコーヒー下さい!ポニテのメイドさんで!」

「ちびっ子メイドさんをぜひ!」

「出来れば連絡先も教えて〜!」

「最後のには答えられませんが…かしこまりました〜!」

 

その後もひっきりなしにオーダーが続き、さらには記念写真を撮りたいと言う者やさっきみたいに連絡先を教えて欲しいと言うものまで現れ、その相手でてんてこ舞いだった。

 

そして、そんな時に事件は起きた。

 

「おらおら!全員静かにしろ!」

 

突如覆面を被った男達が拳銃を掲げて店に入ってきた。数は…三人。

 

突如起こった状況を店内にいる全員は理解できていなかったが。

大柄の男が天井に向けて一発の銃弾が放たれた瞬間、一斉に悲鳴が上がった。

 

「きゃあああ⁉︎」

「うわあああ!本物の銃だ!」

「うるせぇ!騒ぐんじゃねぇよ!」

 

今度は小柄な男がもつマシンガンから弾が乱発、さらに周りがパニック状態に陥る。

彼らの足元に目を移すと大量の一万円札がはみ出していた。

大方、どこかの銀行か現金輸送車を襲って逃げてる最中って所か…ボロい商売だ。

 

「あー、犯人達に告ぐ。君たちはすでに包囲されている。大人しく投降しなさい。繰り返す…」

「ど、どうしますアニキ!こ、こここのままじゃ全員!」

「うろたえんじゃねぇ!こっちには人質がいるんだぞ。サツも迂闊に入って来れないさ。」

「そうそう、これもあるんだからね!」

 

今度は長身の男が手にもつショットガンを頭上に向けて放つ。

それが蛍光灯に当たってさらに周りのパニックを煽る。

 

(ほう、所持武装はUZIとウィンチェスターM1887それから…ベレッタM92FSねぇ、ラッキーだな。)

 

そんな中、僕は冷静に相手の武器を観察し頭の中で作戦を立てる。

現段階でパターンは17通り…だが奴らはシロウト、なら予想外の行動をする可能性もある事を考慮しても約13通り…許容範囲内だ。

 

「おいそこの金髪メイド!飲み物とメニューを持ってこい!」

「え?あ、はい。」

 

さてチャンスだ、ここで結構すべく僕は盆の上にカップとポットを載せて大柄の男の前に立つ。

そして、少しの恐怖も見せず僕はにっこりと微笑んだままそいつを見た。

 

「お客様、おめでとうございます。」

「あぁ⁉︎何がめでたいんだよ?」

「あ、きっとアニキが何人目かの記念の客なんですよ!」

「なるほどなぁ。んで、何が貰えるんだ?」

「はい!コーヒー無料券と…刑務所行きの片道切符だ、受け取りたまえ!」

 

ポットのフタを外し中に入れてあった液体をさっきの男にぶち撒ける。

 

しかも中身はさっき湧いたところの熱々コーヒーだ。顔に被ればどうなるかは、考えたくないな…

 

「ぐあぁぁぁぁぁぁ‼︎」

「あ、アニキ⁉︎おいコラ、テメェ!」

「舐めた真似しやがって、死ねぇ‼︎」

 

アニキと呼ばれた男の悲鳴を聞いて、それぞれショットガンとマシンガンの銃口が僕の方を向く。

だが…トントンッという音と共に彼らの手に銀のナイフが刺さっていた。

 

「い、痛えぇぇぇぇ⁉︎」

「な、今度はどこのどいつだ!」

「…あれ?な、ならおかわりはいかがかな!」

 

ナイフがての甲に刺さった二人に盆とポットを額に向け投げつけ見事命中、一人はその衝撃で倒れ気絶、もう一人は受け身も取らず後ろに倒れ後頭部を強く打ったようだ。

 

後ろでポカンとしていた箒と鈴を見る。二人ともパニクった客を宥めるので手がいっぱいようだから無理だな。

 

じゃあ誰が…?と思った時、目の端に銀髪と紫髪の少女が映った。その時だった。

 

「この野郎…舐めやがって…!」

 

熱々のコーヒーを被った男がその水たまりから銃を拾いその銃口をこちらに向けている。けどまぁ…ねぇ。

 

「やめたまえ、高温のコーヒーの中で水浸しになっていたんだ。撃てるのかい?」

「へっ、やっぱ何も知らねぇガキだな。冥土の土産に教えてやる。

最近の銃は泥水に三十分浸しても使えんだよ!死ねぇ‼︎」

 

勢い良く引き金が引かれガキッ!という音が辺りに響き渡る。だがそれとは裏腹に弾丸は発射されなかった。

 

「な、なんでだ!このポンコツが!」

「ははっ、君は熱膨張を知ってるかい?」

「あぁ⁈んなもん知ってるに…

ま、まさか…ぐふっ!」

 

彼の返事を待たずに僕はその体に飛び蹴りを食らわせ後ろにぶっ倒れる。

 

「銃のパーツだって同じなのだよ。熱湯の中に放り込めば小さな部品は膨張、よって撃てなくなる訳さ。」

 

そしてその騒ぎを聞きつけて機動隊が突入してきた…ってまずいじゃないか!

急いで鈴と箒の元へと駆け寄りそっと耳打ちする。

 

「二人とも、早く逃げるぞ。」

「はぁ⁈それだけじゃ全然意味わかんないわよ!」

「どういう事か説明してくれ。」

「このまま警察の言う通りに動けば事情聴取でかなり時間を取られる。

そうなれば門限なんか軽く過ぎてしまう。そしてその後は、もれなく織斑先生からのお説教が待っていると言うわけさ。」

「「それは絶対回避!」」

 

二人は僕に従い、店員用の扉をくぐって更衣室へ逃げ込みささっと着替えて裏口から外へと出た。

 

逃げ出した直後、改めて店の方を見ると業務員や一部の客達が事情聴取の為とパトカーで警察署に連れて行かれるのを見ていた。

 

「あっぶなぁ…もうちょいでアタシ達もああなる所だったのね。

それにしても凄いじゃん怪斗!銃持ってる強盗を三人も倒すなんて。」

「ああ、やっぱりお前は強い。私が見込んだだけはあるな。」

「ふぅん、一応褒め言葉として受け取っておくのだよ。」

 

この後、二人と話した内容を僕はあまり覚えていない。理由はただ一つ、あの時ナイフを投げた少女、

僕の目が確かなら彼女は……………

 

No side

 

事件が終結したものの、まだレゾナンス店内は報道関係者や警察官などでごった返しだった。

そんな中、警察を見ながら紫髪と銀髪の少女ベンチに座って談笑していた。

 

「お疲れ様だね〜、立て篭もり犯だけでこんな大騒ぎだなんて。日本って平和だなぁ〜!」

「それだけこの国の治安が良いと言うことだ。あと、この国の報道機関の記者は根掘り葉掘り聞いてくる。

もううんざりさ。」

 

実際、彼女らは立て篭もり事件のあった店@クルーズから出た時には何十人もの記者達に囲まれてほとんど身動きが取れずに十分以上も囲まれっぱなしだった。

 

「にしてもさ〜、なんで怪斗はメイド服で働いてたんだろうね〜。」

「私に聞くな。あいつにまさか女装癖があるとは思えん。

何かしらの事情があったと推測できるな。」

「そうそう、そんなわけないよね。ふぁぁ…眠いなぁ、ねぇもう帰ろうよ〜。」

 

何食わぬ顔でアクビをした紫髪の少女はベンチの手すりに結んであった風船の紐を解いて手に持っている。

 

銀髪の少女もそれに習い、黒を基調としウサギのマークが入ったカバンを持って立ち上がった。

そして携帯の画像フォルダを開き、金髪碧眼のメイドの写真を見た。

 

「ふふ、よく似合ってるじゃないか。後でスコール達にも送ってやらないとな。」

「何してるのラウラ〜!早く帰ろうよ〜!」

 

連れの少女に急かされ銀髪の少女…ラウラ・ボーデヴィッヒは間借りしているホテルへと向かった。

 

第十五話完




次回からは本格的に二巻の内容に入っていきます。
それでは次回予告。

なんの前触れも無く三人の転校生がやって来た。そしてその内の一人、シャルルにホモ疑惑が浮上その相手は一夏?また別所では怪斗が付き合うことに?
そしてその二人を見ながら、五反田弾はどうでもいい事で悩んでいた。

機動戦士インフィニットストラトス
怪盗が奏でる六つの協奏曲
第十六話
「五反田 弾の憂鬱」

感想、ご意見お待ちしております。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。