機動戦士インフィニットストラトス 怪盗が奏でる六つの協奏曲   作:ジャッジ

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第十七話 「シャルル初陣」

怪斗side

 

「相変わらずアホだな君たちは。」

「「それを言うなよ…」」

「えっと、二人とも大丈夫?」

 

織斑先生の話を聞きつつ僕は肩を竦めてそういう。

弾と一夏は今も後頭部を押さえて痛そうにしている。いつ見ても喰らいたくないね、織斑先生のアレは。

 

どうやら二人は着替えに手間取って授業開始時間に少し遅れてしまったと言っているが…

アリーナで授業がある日は下にISスーツを着ておけとあれほど言ったのに、全く。

 

「説明は以上だ。さてと、その前に模擬戦をして貰おうか。デュノア!篠ノ之妹!前に出てこい。」

「え、僕もなんだ。」

「早く行きたまえデュノア、このアホ二人のように成りたくなければな。」

「う、うん…そうするよ。」

 

微妙な笑みを浮かべて彼は前に出る。いや、果たして彼なのか…それとも彼女なのかは不明だがな。

 

それについては根拠がある。まずスコールから何も報告を受けていない。

これは各国に亡国機業の工作員が入り込んでいるから何かしらの情報が入ればすぐに対処できるはず、しかしそれが無いとなると…少し怪しく思える。

 

そして何より二つ目の理由として…これは僕の記憶が正しければの話だが、彼女の実家であるデュノア社。

確か社長の子は二人とも女だとそこに潜入してる工作員から聞いたような…

 

『なぁ怪斗、ちょっといいか?』

『何なのだよ弾、それにわざわざプライベートチャンネルを使うとは…』

 

突然プライベートチャンネルを使って弾が話しかけてくる。一体なんなのだ、こっちは必死に思い出しているというのに!

 

『いやあのさ、デュノアの事なんだけど…ちょいと気になることがあって…』

『むっ?何なのだ、言ってみろ。』

『いや、さっき思ったんだけど……デュノアってホモ、痛ッ!』

 

最後の一言を聞いた瞬間、思いっきり踏みつける。全く、興味を抱いたこっちがバカだったのだよ。

すると今度は後ろのメーヤが話しかけて来た。

 

「なぁ怪斗よぉ、シャルってもしかしてゲイじゃね?」

「…ノーコメントだ、ノーコメント。」

 

No side

 

箒とシャルがは織斑先生に言われて前に出た。

双方とももう臨戦態勢という形でISも準待機状態に移行していた。

 

「デュノアだったか。悪いが私とて剣士だ。誰であろうと手加減はしないぞ?」

「大丈夫だよ篠ノ之さん、僕も強いから。」

「ほほう、かなり強気だな。では見せてもらうぞお前の実力とやらを。」

 

そう言って彼女はレッドフレームを展開する。今回はフライトパックを装備せずノーマルのレッドフレームだ。

 

「じゃあお構いなく、来て『ストライク』‼︎」

(なっ‼︎ストライクだと⁈)

 

その名前を聞いて思わず箒は息を飲んだ。そこには青、赤、白(トリコロール)の装甲を持つ機体…間違いない、ストライク…

 

「ガン………ダム?」

「えっ?うーんちょっと違うよ?

これはGAT-X105ストライクっていうんだ。

でも…ガンダムの方が強そうだしかっこいいと思うな。」

 

と言って笑顔で返答すると、きゃぁぁぁ〜!と歓喜の悲鳴が上がる。

いや、まぁ確かにあの笑顔は魅力的ではあるが…と思ってハッとなった。

 

(って、私は何を言ってるのだ⁉︎

いやいや、それよりもこの事について確認を取らないと。)

 

確かにあの機体はストライクにそっくりだ、だがもし違ったら?

他人の空似ならぬ他機の空似かもしれないと思ったからだ。

 

『大丈夫だ箒、あの機体は間違いなくストライクだ。と言うより他機の空似とは何なのだよ。』

 

急に怪斗の声が聞こえて思わず箒は飛び上がりそうになる。

いつの間にかアカツキを準待機状態にしていた怪斗はプライベートチャンネルで箒に話しかけて来たのだ。

 

いや、それよりも…と箒は思っていたことを真っ先に彼に伝えた。

 

『お、お前!なんで私が考えていたことを読んでいるんだ⁉︎』

『まぁその事はいい、それより油断するな。あの機体は…』

「では、試合開始!」

 

織斑先生の大声にびっくりした箒は間違ってプライベートチャンネルを切ってしまった。

しまった!と思うがここは仕方が無い、怪斗の忠告は気になるが相手はビームライフルとシールドだけという簡単装備だ。舐めてかかる気は無いが…ここは慎重にいこう。と考えていた。

 

「篠ノ之箒…レッドフレーム参る!」

「シャルル・デュノア、ストライク行くよ!」

 

推奨BGM

ガンダムSEED

「Strike出撃」

 

ビームサーベルを上段で構えスラスターを全開にしてストライクに迫近、それを振り下ろす。

 

それに対してシャルはそれを左手のシールドで防いで右手のライフルを収納して腰パーツを展開して小型ナイフで突き返してくる。

 

「てりぁ!」

「ふんっ、これほどか!」

 

箒も右側のスラスターだけを展開して無理やり押し込んでシールドを吹き飛ばしシャルは後方にスラスターを展開して距離を取る。

 

それを詰めようと箒は一気に詰め寄り下段に構え直して逆袈裟斬りを食らわせんと思いっきり振りかぶる。

 

「もらったぁ!」

「さぁて、それはどうかな!」

 

その瞬間、ストライクの背中が一瞬光ったと思うとガシャン!と音を立てて緑の大型砲が腰ために構えられその砲口がまっすぐレッドフレームに向く。

 

「いっけぇ!」

 

大型砲から放たれた極太のビームがレッドフレームを襲う。

箒はそれをシールドを投げつける事で回避する時間を作りそれをなんとかかわした。

 

「な、なんだあれは!高速切替(ラピッド・スイッチ)という奴か?」

『違う、あれがストライクの最大の特徴。ストライカーパックシステムだ。』

 

怪斗の説明を要約すると…

高機動、近接、遠距離戦など特定のコンセプトに沿った武器やスラスターなどを複合したもので高速で切り替えるシステムの事だそうだ。

 

その事を右肩に追加されたバルカン砲と時々撃たれる大型砲『アグニ』の攻撃をよけつつ話に耳を傾ける。

 

「つまり弾のシルエットシステムのようなものだと、そういうことだな。」

『まぁ……そんな感じなのだよ、ランチャーはエネルギーの消費が早い、勝負所はエールに換装してからだ。』

「わかった、なんとかやってみるさ。」

『うむ。ああそれと、僕からプレゼントがある。格納領域(バスロット)見てくれたらわかるとおもうよ?』

 

そう言って怪斗は一方的に通信を切った。

箒もさほどそれを気にする様子もなくビームライフルで牽制する。

 

シャルもそれをよけつつ肩の二連ポッドからミサイルをうつ。そしてその瞬間、再び背中が一瞬光って猛スピードでレッドフレームに迫る。

 

「ストライカーパックはランチャーはだけじゃない、どんな場合にも対応できるように四種類のパックが用意されているんだよ!」

「四種類…だと?」

 

シャルの繰り出すビームサーベルの剣戟をガーベラストレートで捌き、時々反撃もする。

 

怪斗は確かこのエールストライカーを出してきたら勝負所だと言っていた、それにプレゼントとは…?

箒は急いで格納領域(バスロット)を確認する、レッドフレームのそれにはフライトパックぐらいしか入っていないはずだ、他には…

 

「なっ!ふふっ、これがプレゼント、か…あいつらしい。」

 

箒side

 

私はそのプレゼントとやらを見て思わずそう言ってしまった。

いや、プレゼントと言うか使わないから厄介払いに…というのが近いだろうな。

 

「もらったよ!」

 

いつの間にか接近していたデュノアがビームサーベルを振りかぶって今まさに振り下ろそうとしている。

さて、と…

 

「残念だ…」

「え…、一体何が…?」

「残念だがこのバトル、終わらせてもらおう!」

 

バッ!と右手を伸ばし私は怪斗からのプレゼント…陸奥守吉行を取り出してビームサーベルと受け止める。

 

そう、怪斗が渡したのはこの陸奥守吉行、確かに切れ味はいいが使いにくいと言っていたしな。

 

「てりゃあああ!」

「遅い!」

 

一度離れ再び迫ってきたデュノアに向けてガーベラストレートを一閃、ギンッ!と言う音を立ててビームサーベルが落下していく。

 

さらに連続して吉行を振るうが咄嗟に掲げたシールドで防がれる、だがこのままでは終わらん!

 

足のスラスターで一度離れ、フライトパックのブースターで最大加速!そして両手の刀を思いっきりシールドへ振り下ろす!

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎‼︎」

「うわぁ⁉︎」

 

シールドと共にデュノアも吹き飛ばされ胴体がガラ空きになる。隙だらけだ、もう一撃!

 

『そこまでっ!そこから先は後に個人でやってもらおう。二人とも降りてこい。』

「わかりました、それにしても凄いね篠ノ之さんは。僕、本物の二刀流なんて始めてみたよ。」

「鍛錬を重ねれば誰だって出来るさ。お前もなかなかやるな、感心したぞ。」

「ありがとう、また機会があったらよろしく頼むよ。」

 

そう言ってデュノアは降りていく。さて、私もさっさと降りて授業を聞きつつ怪斗へ文句を言ってやろうか。

 

しかし、実習の授業で怪斗と話をする時間もなく。結局、怪斗が昼休みに言うこととなってしまった。

 

その昼休み、私たちは校舎屋上の丸型テーブルに座っていた。なんでも作戦会議をするから来てくれと言っていた。

 

「さてと、皆に集まってもらったのは他でもないXナンバーの事だ。」

「それより怪斗。」

「おや、なんなのだい簪?」

「そこのチビ二人、なんなんだその二人?」

「むぅう、チビっていうなぁ!」

「お前も人のこと言えんだろ。」

 

…簪が言うようになぜかは知らんが先ほどの転校生、リューカとラウラもこの場にいる。明らかに部外者の二人をどうして怪斗は…?

 

「おっと、江理華に話して君たちには話していなかったね。

と言うか江理華、君から全員に伝えておくと言ったはずだが?」

「ゔっ、それがその…忘れててん、堪忍なぁ〜。」

「全く、君はそういつ奴だと言うことを忘れていたのだよ。」

 

そういつ奴ってどういう奴や〜!と反論する江理華を怪斗はどこ吹く風で聞き流して再び口を開く。

 

「彼女らは僕と同じ亡国機業のスコール隊に所属しているれっきとした構成員の一員だ。

特にリューカはブリッツの正規パイロット、ラウラはXナンバーのテストパイロットもしていたのだよ。」

「ヘェ〜、そうだったのかよ。全くそんな事聞いてなかったからさ。」

「はいはい、ウチが悪ぅございました。」

 

なるほど、あの二人も亡国機業の…あれ?ならどうして怪斗は…

 

「ならどうして山田先生が転校生が来たと言った時に驚いていたんだ?」

「僕は二人と聞いていたんだ、三人とは聞いてなかったのだよ。

そうそう、今回集まってもらったのにはその事もあるのだよ。」

 

そう言いつつ怪斗はカバンの中からタブレットを取り出す、そこにはDNA Ceux avec une personne appropriéeとデュノアの顔写真とCharlotte Dunois une femme 16ans…などと言った文字が書かれていた。

一番上書かれている国旗は…フランスのものか?

 

「なんだこれ?フランスの国旗だからフランス語なんだろうけど…」

「どういうサイトかは知らないけど、僕フランス語ならわかるよ〜!

えっと…DNA該当者有り、シャルロットデュノア、女性、十六歳…だって!」

『えっ⁉︎』

 

怪斗とリューカを除く全員から驚きの声が出た。いやだって…シャルルが女?

 

しかし、彼…いや彼女は四人目の男性パイロットとして入学して来たはずだ。どうしてそんな性別を詐称するような事を…?

 

「デュノア…そうか、もしかしてこいつはデュノア社の!」

「流石ラウラだ察しがいいね。そう、彼女はデュノア社長の娘さ。」

「デュノア社?っと、どっかで聞いたことがあるようなぁ…」

 

確かに私も聞いたことがある、つい最近だった気がするのだが…

その様子をみたラウラが説明するには、あのラファール・リヴァイヴの開発元だそうだ。なるほど、通りで聞いたことがあるはずだな。

だが、ここ最近は業績が伸び悩み経営不振に陥って来ているらしい。

 

怪斗が推測するに、そこの社長がシャルロットにガンダムか男性パイロットの機体データを盗んでくるように命じたのだろうと言っていた。

 

「しかし酷い親だな、実の娘をそんなことに利用するとは…」

「実の娘ならそんな事はさせないのだよ。どうして彼女がこんな事になったかはわかるよ、彼女はおそらく…愛人の子だ。」

「うっわぁ…何やねんその朝ドラみたいなドロドロ感は?」

「それを言うなら昼ドラだろう?…怪斗の言う通りだろう、実の親がすることでは無い。」

 

さっきまでとは打って変わり一気に重い空気になってしまった。

流石に愛人だとか、そう言う話は危険だったようだな。

 

「しかし、僕たちからすればこれはまたとないチャンスだね。」

 

その空気を断ち切るかのように怪斗が言った。チャンスと言うのは…一体どういう事だ?

 

「彼女にはXナンバーを為のカギになってもらおうじゃないか。

簪、あるものを手に入れて欲しい。出来るか?」

「ブツによるが…尽力しよう。」

「お、おいおい怪斗。一体どういう作戦なんだよ?」

 

どんどん進んでいく話について行けなくなったのか弾が慌てて質問する。

と言うより、怪斗以外誰もわかっていなかったと思うぞ?

 

「なぁに、簡単な事さ。

シャルロットデュノアを……………脅迫するのさ。」

 

その一言を皮切りに怪斗は自分の立てた作戦を説明する。それは、私たちが思っていたよりも非情なものだった…

 

第十七話完




テスト終了!メチャメチャ大変でしたよ、ホントに…
さて、今回はフランス語の綴りも少しだけ登場しますが…言い回しはあれで合ってるかな?
では次回予告。
シャルルが女である事を理由に彼女を脅迫することにした怪斗達、だがそれは意外な方向へと進んでいく。

次回
機動戦士インフィニットストラトス
怪盗が奏でる六つの協奏曲
第十八話
「Xナンバー奪還作戦」

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