機動戦士インフィニットストラトス 怪盗が奏でる六つの協奏曲   作:ジャッジ

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恒例の試験突入!☆
これでまた執筆時間が無くなっていく、おのれディケイドォ!


第十九話 「黒い月、満たされる時」

No side

 

昨日までの晴天とは打って変わり、曇天の日曜日の午前九時。

 

IS学園の第三アリーナからは朝にも関わらず、激しい戦闘が繰り広げられていた。

 

青い機体が放つビームを黒い機体は軽々とよけ、赤い機体の繰り出す斬撃をしゃがんだり体を逸らしたりしてかわしている。

 

青、赤い機体はセシリアと鈴のデュエルと赤龍。黒い機体がラウラのシュヴァルツェア・モントだ。

 

「なんなのよあんた!

いきなり撃ってくるなんて常識はずれにも程があるってのよ!」

 

鈴は左腕のビームソードを展開しラウラに斬りかかる。だが、彼女は別に慌てたり反撃する様子もなく…ただ敵を睨んでいた。

 

「相変わらずの接近戦か。無駄だと言うのがわからんのか、このシュヴァルツェア・モントの停止結界の前では。」

「ぐっ、やっぱり相性悪いか…」

 

AIC。ラウラの機体に搭載されている第三世代兵器の事で相手の動きを完全に止めてしまうものだ。

 

それによって鈴の赤龍の隠し腕もビームソードも左腕の以外は破壊され斬妖剣もラウラに奪われてしまっている。

 

「けどねぇ、つかうにはかなり集中力使うんじゃない?

それと同時に二つの物を止めることは出来ない!だから…」

「ですから、同時攻撃を仕掛ければ!」

 

飛び上がったセシリアのデュエルが持つスターライトMk-IVと四機にまで破壊されたブルーティアーズMk-IIからビームが放たれる。

 

だが、それらもラウラの最小限の動きでかわされる。

 

「「なっ⁉︎」」

「さて、これで終わりにしてやる!」

 

ラウラは腕に搭載されたビームトンファーを展開しキィン!という音と共に最後のビームソード発生装置を破壊し腹を思いっきり蹴り上げる。

 

「きゃあ!」

「鈴さんをよくも!」

「人の心配をする暇など、ナンセンスだな!」

 

背中から発射された二本のワイヤーブレードがセシリアに襲いかかる。

 

巧みにかわしつつブルーティアーズをチャージする為に呼び戻して射程の短いビームライフルを取り出す。

 

するとラウラはそのワイヤーブレードを引き、それの軌道を変えてライフルをはたき落とす。

 

「そんなっ⁉︎」

「ふん、後ろがお留守だぞ。」

「えっ…ぐぅ⁈」

 

もう片方のワイヤーを後ろから接近させ腕に絡みつかせる。

そのまま起き上がろうとしている鈴に向けて一気に振り下ろす!

 

ドンッ!という音が響き、二人は地面に叩きつけられる。そして…

 

「仕舞いだ、派手な花火でも上げてやろう。」

 

背中のバズーカを展開、さらにその砲身を延ばし威力を上げた別のバズーカへと変貌する。

バチバチと紫電がほとばしり、臨界を示すように白く輝き、セシリアと鈴に向けて極太のビームが発射される。

 

地面をえぐりつつ二機の装甲を溶解させて破壊する、掃射が終わった時にはセシリアはグッタリとして動かなかった。

 

「う、うう……」

「ま、まだまだ…」

 

方や鈴は一生懸命にまた立ち上がろうとしている。そんな彼女にラウラは歩み寄って胸ぐらを掴み強制的に立たせる。

 

「なぜそこまでして立ち上がろうとする?そんな意味のないことを。」

「ふんっ、あんたなんかにはわかんないでしょうね…

…何度やられても立ち上がる根性、それが本当の強さって奴だからよ。」

 

ニヤリと笑みを浮かべる彼女の脳裏には、中学時代に喧嘩でボロボロになってでも立とうとする一夏と弾の姿。

そして、圧倒的不利な状況であろうと常にヘラヘラと笑っている怪斗の顔が浮かぶ。

 

だが、ラウラはそれらを嘲笑するかのように吐き捨てる。

 

「愚かな、敵わない相手に足掻いた所で結果は同じだ。

もういいだろう、今すぐ楽にしてやる。」

 

ラウラのビームトンファーが振り下ろされようとしたその瞬間。

 

まるでガラスの割れたかのような音が響き高速で接近してくるのは、一夏の白式だ。

 

「その手を、離せぇぇぇ!」

「そうだ、貴様を待っていた!」

 

デュエルのバックパックからビームサーベルを奪い取り振り下ろされた雪片を紙一重でかわして胴を薙ぐ。

 

「うわっ!」

 

バランスを崩して土ぼこりを巻き上げながら不時着する。

 

自身が起こした土ぼこりの中から中段の構えで突進するが、眉一つ動かさず冷静にAICで止める。

 

「安直で直線的、教科書に書いたようなやり方だな。」

「お前!なんで鈴やセシリアを!」

「貴様にいう言葉などない。」

「くそぉ、動け白式!」

「どきな一夏ぁ!」

 

ラウラが立っていた所に向けて拡散弾が放たれる。

咄嗟の事に急いでそこから離れた彼女は突然見えない何かに切り裂かれ、追撃を避けるため空中に逃げようとする、が。

 

「逃がさないよっ!」

 

エールストライカーを装備したシャルのストライクがビームライフルを連射する。

 

すかさずワイヤーブレードを振り回し、彼女がライフルの照準を合わせる隙を与えない。

 

一人では無理だと悟ったのかシャルは一夏の横に着地。

それと同じく対装甲散弾砲を構えたバスターを纏ったメーヤと、大型ビームソードを構えたブリッツガウェインを纏ったミレイナがそこに立った。

 

するとメーヤが砲口をラウラに向けて言った。

 

「ボーデヴィッヒよぉ、私らは途中からしか見てねぇからあの二人がなんかしたのかはわからねぇ。

けどなぁ!こちともここまでダチを傷つけるのは許さねぇ!」

「それは私も同じてす。

あなたのやっている事は相手に何の敬意もない…ただの破壊です!」

 

そう断言したメーヤとミレイナをラウラは鼻で笑いイージスから奪ったライフルを向ける。

 

「何がおかしいのかな?僕は二人の言う通りだと思うけど。」

「別にその二人はどうでもいいのさ。私はただ、織斑一夏。貴様と決着をつけたかったのさ!」

「てめぇ!」

 

ライフルを撃ち合い手にしたビームサーベルで剣をを受け止め、ワイヤーブレードで牽制して、ラウラは立った一人で四人を相手していた。

 

「(ちっ…流石に四人は厳しいか、エネルギーも僅かか…)むっ?」

 

どうやって倒すかの戦術を立てている時、プライベートチャンネルに通信が入る。

戦闘中に…!と毒づくがそれでも耳を傾ける。

 

『おいラウラ、お前なにやってんだ!』

「弾か、見てわからんか?Xナンバーの奪還と織斑一夏の粛正だ。」

 

そんな事はわかってる!と大声で返事する弾。

 

彼はアリーナからの轟音を聴いてルームメイトの簪、偶然近くにいたリューカと共に経緯を見ていた。

 

「大丈夫な訳ないだろ、四対一だぞ!俺たちも加勢する、それまで…」

『ダメだ!これは私の意地だ、邪魔するな!ぐっ⁉︎』

 

シャルの射撃に気を取られ一夏の斬撃を受けるラウラ、加えて畳み掛けるように放たれるミレイナのランサーダートをかわすが、メーヤの放つミサイルが命中し、バズーカが誘爆する。

 

「マズイな、多勢に無勢だぞ。このままじゃ…!」

「何とかできないの弾⁉︎」

「ちっくしょう…そうだ、怪斗に指示を!」

 

今度は怪斗へプライベートチャンネルを飛ばすが…繋がらない。

ならばと思いケータイで江理華へと連絡をとる。すると寝ぼけた声の彼女が出た。

 

『ふぁいもひもひ…?なんや弾かいなぁ、こんな朝からなんなん?』

「朝じゃねぇ!てゆーかそれより大変なんだって!」

 

かくかくしかじかと今までに起こった一部始終を出来るだけ手短に伝えた。

 

江理華はとても驚いていたが、おそらく一番驚いたのは横で聞いていた怪斗の方だろう。

彼は江理華からケータイを奪い矢継ぎ早に指示を出した。

 

『十分で着く、それまでラウラを援護していてくれ。他の奴には僕から連絡しておく。』

「あっ、ちょっ怪斗!」

 

ちょっとだけ考えてからケータイを巾着の中に入れてから、改めてアリーナを見る。

 

どう見てもラウラが劣勢、さっきまでピカピカだった装甲も今は傷だらけだ。

 

「弾、私はもう我慢できないぞ…」

「うん、僕もだよ。これ以上ラウラを傷つけられるのを見るのは嫌だ!」

「…ったくわーったよ。俺たちの手でラウラを助けるんだ、いくぞ!」

 

そう言って弾はフォース装備のインパルスを、簪はミラージュフレームを展開する。

 

リューカも同じくレッドやブルー、ミラージュと似たようなフレームを持つ緑の機体を展開する。

アストレイグリーンフレーム、戦闘支援AIとそれと連動したセンサー強化がされている機体だ。

 

一番最初に突入したのはそのグリーンフレームだった。

バスターのビームライフルをそのシールドで防ぎ、ビームライフルを構える。

 

「ねぇ…ラウラを傷つけたのお前達だよね?」

「その声…リューカか?」

「お前達かって聞いてるんだよ?」

 

一夏の問いかけを無視してさらに質問をする。弱々しく答えた彼にリューカはツインビームライフルを構える。

 

「お前達なんだ。じゃあ怒るよ、いい?いいんだね?」

「ちょっと待てよリューカ!

先にセシリア達に食ってかかってきたのはあいつの方だ、お前が怒る必要があるんだ?」

「だって、ラウラを傷つけたのお前らなんでしょ?仲間だもん、仲間を傷つけられて黙ってるなんてできない!」

 

推奨BGM

仮面ライダーカブト

「Full Force」

 

ツインソードライフルの銃尻にある斧を構える。

さらに遅れてやってきた簪と弾も各々が武器を構える。

 

「あなたは簪さん…どうしてですか⁉︎

あなたにとってラウラさんはどういうかんけいなのですか!」

「例え悪人でも、守らななくちゃいけない時があるのさ。

確かに一人じゃ無理かもしれないけどな、だからこそ助け合って一緒に支え合う相手が必要なんだ!世界じゃそれを『仲間』って呼ぶんだとよ。」

「おい弾テメェ、そいつを庇うのか!」

「あったり前だ、仲間だもんな!」

 

そう言って弾はビームライフルを発射、それに呼応するようにシャルもビームライフルを撃つ。

 

簪とリューカはBソードと斧を用いて一夏、ミレイナと獲物を交える。

ギンッギン!と斧と刀、実体剣とビーム刃がぶつかり合い火花を散らす。

 

「ソードストライカー!」

「ソードシルエットォ!」

 

シャルと弾は互いに近接戦闘用のパックに換装、シュゲルトゲベールとエクスカリバーを交える。

 

さらに今度はランチャー、ブラストパックに換装し弾幕シャルはメーヤと協力し互いに弾幕を貼り。

続いてはエールとフォースに戻りライフルとサーベル、をシールドで防ぎながら相手を落とすチャンスを伺う。

そして再びソードへと換装する…

 

シャルはエール、ソード、ランチャーストライカーを。弾はフォース、ソード、ブラストシルエットを巧みに利用し、それぞれの特徴に合ったオールラウンダーに相応しい戦いをする。

 

名付けるなら『換装合戦』とでも言うべき激しい戦いが二人の間で繰り広げられていた。

 

そしてこっちも。

 

「「たぁぁぁぁ‼︎」」

「「「はぁぁぁ‼︎」」」

 

ガギィン!という音を立てて五つの刃が交わる。

雪片弐型、天羽々斬、ガラディーン、斬妖剣、ツインソードライフルが双方の敵へと向けられそれを防ぐ音と守りを崩す音が連続して響き渡る。

 

斬妖剣を振るうのは鈴からその剣を借りたメーヤ、大きく振りかぶったそれが簪の天羽々斬を吹き飛ばす。

 

「ちっ…デカイ上にリーチも違うわけか!」

「簪、僕の動きにあわせて!」

「…わかった。」

 

右手をスナップさせるように手首を払いリューカの支持に従う。

以外にもその指示は細かく、一瞬でも気を抜けばタイミングが遅れてしまうような物だった。

 

ちっ!と舌打ちをしたメーヤが超高インパルス狙撃ライフルを、冷静に動きを観察したミレイナがヒートランス『トリシューラ』を投擲しようとしている。

 

「今だよ!右に動いてその後ジャンプ!」

「なんほど…大体わかった。」

 

二人とも息のぴったり合ったコンビネーションで動き、メーヤとミレイナを翻弄。そして狙いを定めやすいようにワザと止まる。そして…

 

全く同時にジャンプした二人の下をビームと槍が通過していく。

そしてそれは同士討ちの相打ちとなった。

 

「ぐぅ!」

「きゃあ!」

「メーヤ!ミレイナ!お前らぁ!」

「今だよ簪!」

「もちろんだ。」

 

そう呟いてから簪は迫ってくる一夏に背を向けたまま横目で一夏を見て、何やらボタンを押すような仕草をする。そして…

 

「うぉぉぉぉ!」

「ライダー…キック!」

 

簪の振り返りざまの回し蹴りが一夏に炸裂し、彼はその場に倒れこんだ。

 

そして悠然と右手人差し指を空に掲げる。が黒雲が立ち込めて太陽が出ていない事がわかると天羽々斬を拾い刀身を撫でる。

 

改めて弾の救援に行こうかと思ったその時。

 

「ぅぅぅ…ああぁぁぁぁ!」

「ら、ラウラ⁉︎」

「なんだこの激しい放電は!」

 

ラウラ…いや、シュヴァルツェア・モントを中心に電気がほとばしっている。

 

落雷か⁉︎と思った次の瞬間、彼女の機体がドロドロと溶けていくのを見て彼女たちは戦慄した。

 

「なにが起こっているの⁉︎」

「今度はなんだってんだ!」

 

放電が収まったその時、ラウラが立ったていた場所にいたのは…黒い騎士だった。

 

第十九話完




いかがだったでしょうか、では次回予告。

ラウラを包み込んだ黒い装甲、今まで刃を向けあっていた皆が協力する。一つの『敵』を倒すために。
そんな協調性を打ち砕くかのように黄金の機体が乱入する。
次回
機動戦士インフィニットストラトス
怪盗が奏でる六つの協奏曲
第二十話
「たった一人守れないで」

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