機動戦士インフィニットストラトス 怪盗が奏でる六つの協奏曲 作:ジャッジ
怪斗&ラウラ、戦闘開始
銀魂
「バクチダンサー」
衝突から約一週間後、ついに学年別タッグトーナメントの開催日となった。
第一回戦、その組み合わせは。
織斑一夏&シャルル・デュノアVS黒崎怪斗&ラウラ・ボーデヴィッヒペアとなった。
もちろん、それは偶然…ではない。
「頼んだんだ、巻紙先生…オータムに。トーナメント表を弄ってくれとね。」
「それはありがたいな、礼を言わねばならなん。なにしろ、面倒事が早く片付く。」
ビットのカタパルト前で、怪斗とラウラは機体のチェックをしていた。
両機とも、新武装が施されているからだ。
全てのチェックが済むと、アカツキに乗り込む。ラウラもまた、ゴールドフレーム天へと乗り込み、カタパルトへと歩を進める。
「黒崎怪斗。アカツキ、行きます!」
「ラウラ・ボーデヴィッヒだ。ゴールドフレーム天、出るぞ!」
勢いよくカタパルトから出た二人は、アリーナへと降り立つ。
すると、程なくして向こう側から白式と、ストライクが出てくる。
「いやはや、奇遇だね。こうも早く君たちと決着が着けられるなんてね。」
「怪斗。僕はまだ、君を…君たちを許したわけじゃない!」
「怪斗!流石に今回のは見逃せない、ちゃんと二人に謝ってくれ!」
「それはこっちのセリフだ。
私も、貴様らを許した事など。一度もないし、謝るのはそっちの方だ!」
ビッーー!
ラウラの言葉が終わると同時に、試合開始のブザーが鳴る。
それと同時に、一瞬だけ目を合わせた一夏とシャルは、一気にラウラ達に迫る。
「見せてあげるよ、僕たちの一週間の成果!」
「ああ、俺たちの、コンビネーション!」
『うおぉぉぉ!』
一夏とシャルのコンビネーションという言葉で、様々な意味で盛り上がり、歓声が響く。
アリーナにいる全員が、このペアの勝利を確信した。
一夏は雪片弐型、シャルはビームサーベルを構えて挟み込むように旋回する。だが。
「…何を勘違いしているのだよ。」
「ただの仲良しこよしは。」
「「コンビネーションじゃない!」」
バキッ!ギャリィ!
怪斗の裏拳と、ラウラの回し蹴りが一夏達に炸裂し、砂埃を立たせながら、アリーナの地面を転がる。
すると、さっきまでの歓声が、嘘のように静まり返える。
すると、ラウラはおもむろに、ゴールドフレーム天の頭部を解除し、左眼にしてあった眼帯を取る。
左眼の色は、右のそれとは違う金色。両の眼の色が違うオッドアイ。
それを見せると、再び頭部マスクを展開する。
怪斗もまた、マスクの下で一度目を閉じ、再び開けた時には、その目は真っ赤に染まっていた。
「私たちが見せてやろう。本物のコンビネーションとやらをな。」
「そうだね。もう謝っても許さない。ここからが、僕たちの本気さ。」
そう言って、二人は一夏とシャルに対して、親指を下に向ける。
『さぁ、地獄を楽しみな!』
その言葉と同時に、アカツキとゴールドフレーム天が飛び出す。
それぞれの獲物、ストライクと白式に向かって。
怪斗は腰に携えていた、伸縮型ハルバード『ダーインスレイヴ』を、ラウラは、両刃の剣『ムラクモ』を手に持って疾走する。
「せいやぁ!」
「はぁ!」
ガンッ!バチィ!
二つの斬撃を、一夏が雪片と、ストライクのシールドを使って受け止める。
「うおぉぉぉ!」
白式のフルパワーで、それらを弾き返し、雪片を横薙ぎに振る。
一夏の斬撃をよけた二人に、サブマシンガンを両手に持ったシャルが襲いかかる。
二手に分かれてよけたラウラに、一夏が接近戦を仕掛ける。
すぐに援護を。と考えた怪斗に、ミニガンを構えたシャルが立ちはだかる。
「君のアカツキ、その特性は聞いたよ。ビームを弾く特殊装甲だって?
けど、このストライクには実弾兵装しか搭載してないんだ。残念だったね。」
「ふっ。」
「…何がおかしいのかな?僕は真剣なんだけどなぁ!」
ガガガガッ!
ミニガンから連続して放たれる銃弾を、怪斗はシールドを使って防ぐ。
すぐさまライフルに持ち替え、応戦するが、今度はコンバットナイフ「アーマーシュナイダー」による接近戦に切り替えられる。
相手が接近戦に持ち込もうとすると射撃戦に、射撃戦に持ち込もうとすると接近戦に切り替える。
これこそシャルの得意技、
そして、ラウラに攻撃を仕掛けた一夏もまた、自分が得意とする
「くらえ!」
「ふんっ。」
ギンギンギィン!
実体剣どうしがぶつかり合い、幾重にも火花が散る。
一夏の雪片弐型が1.6mなのに対し、ラウラのムラクモは1.0mと少し短めだ。
その剣と、アストレイ共通のシールドを巧みに使って、受け止めていた。
唐竹、袈裟斬り、横薙ぎ、居合い、逆袈裟斬り…と連続して放たれる一夏の斬撃を、ラウラは防戦一方で受けていた。
そして、再び一夏が唐竹の構えをとった時、頭上に掲げたシールドを一夏の蹴りで吹き飛ばされる。
怪斗もまた、ソードストライクのシュゲルトゲベールによる一閃で、シールドから手を離してしまう。
さらにいつの間にか、二人は背中合わせになるように追い詰められていた。
しかし。そんなピンチに対して、マスクの下では二人とも…ニヤリと笑っていた。
「行くぞ怪斗。」
「そろそろ、頃合いだと思っていたのだよ。」
それと同時に、二人は自分のエモノを空高く、放り投げた。
『キャスリング…ターン!』
そして、二人は仲良しみたいに腕組みをして、時計回りに回った。
構図的には。怪斗VS一夏、ラウラVSシャルになるように。
互いの敵と、武器を交換した二人は、虚を付かれ動けなくなっている隙を突く。全て、計算通りに。
そんな中、来賓用の特等席で怪斗とラウラの戦いを見ている女がいた。
その女の名はスコール・ミューゼル。怪斗とラウラの隊長を務めている彼女は、ドイツ軍関係者という名目で、ここに来ていた。
「なかなか面白くなって来たわね、あなたもそう思うでしょ。篠ノ之箒さん?」
「え、ええ…まさか、怪斗があそこまで強いとは…」
スコールの目の前の席には座っている箒は、怪斗の戦いっぷりに見惚れていた。
確かに、あいつには潜在能力がある。と前々から思っていたが、まさかここまではとは…
それが、箒の正直な感想だった。
「相棒との場所を入れ替える『キャスリング・ターン』に、空中に投げた武器を交換する『バトンタッチ』どれもこれも、あたしとスコールの連携技さ。
あいつ、いつの間に覚えやがったんだ?」
「流石あの二人って事かぁ?ったく、見せてくれるじゃねぇか。」
「ホンマそれやわ〜。怪斗のヤツ、めっちゃイキイキしとるで。」
もちろん、ここにいるは二人だけではない。
江理華や弾を始め、オータムに簪、リューカも来ていた。
今までの怪斗なら、あんなに凝った作戦はせず、中央突破で瞬殺される…のだったのだが。
今回は違う、全力で一夏とシャルを潰しにかかっている。
「それにしても〜、なんで二人とも本気出さないんだろうね?」
「なっ…あれで本気じゃないのか⁈」
「当たり前だよ〜!
あ、そうか!本気だったらすぐ終わっちゃうもんね〜!スコールもそう思うでしょ?」
「え?えぇ、確かにそうね。特に怪斗はね。」
「それはどういうことですか?怪斗には、まだ隠している才能があるってことですか?」
簪の質問に、スコールは少し困った表情を浮かべる。
「才能…なのかしらね、アレは?
まぁいいわ、教えてあげる。怪斗は知的障害があるの。」
『…え、えぇ⁉︎』
全員が、すっとんきょうな声をあげて驚く。
まさか、あの怪斗に知的障害があったなんて…と思っていたさなか、江理華が疑問を抱いた。
「おろ?ちょい待ちぃな。それやったらさ、怪斗って授業とかついていけんようになるんとちゃうん?」
「ああ、だかあいつは優等生。どこに知的障害があるんだ?」
「おいおい、何も知的障害は頭が悪い奴とは限らねぇんだぜ。
怪斗はその逆、特に計算能力が高過ぎるんだ。いや、もう演算って言ってもいいレベルだな。」
そう言いながら、オータムは再び、アリーナへと視線を戻した。
再びキャスリング・ターンとバトンタッチをして、相手をシャルに戻した怪斗は、ダーインスレイヴの斬撃で、彼女を追い詰めていた。
「最初の威勢はどうしたんだい。やっぱり、君はその程度なのか?」
「ぐっ…うぅ!」
先ほどとは打って変わって、今度はシャルが防戦一方となっている。
アサルトライフルによる射撃も、まる最初から狙いがわかっていたかのようにかわされ、ストライクの
しかも、怪斗はシャルの得意技である
ビームサーベルを使おうとすると、ビームライフルで。実弾ライフルを使おうとすれば、ハルバードで押し返される。
「調子に…乗らないで!」
シャルは、弾切れとなったアサルトライフルを投げ捨て、サブマシンガンを構え、自分も
「(あ…れ…?)うわぁ⁉︎」
いつも通りのはずなのに、体勢を崩し、シャルは墜落する。
「ダメだよシャルル。それはもう、君の技じゃない。」
「させるか!」
ダーインスレイヴを握る手を狙った一夏の斬撃も、ちょっと手首を返しただけで防がれ、そのままラウラの所まで後退する。
「その技はもう、僕のものだ。」
「ぅぅ…一体、どんなトリックを?」
「演算模倣、私たちは怪斗のこれをそう呼んでいる。
まぁ、一度マネされたしばらく使えないと思え。」
これこそ、怪斗の能力を最大限に使った、ある種の必殺技。演算模倣。
今回の場合では、怪斗の特出した演算能力でシャルの筋肉、ストライクのスラスターなどの動きを、全て0と1に還元して、模倣する。
怪斗の異常過ぎる演算能力あってこその技だ。
むやみやたらと使っていいものではないのだが…とマスクを掻きながら、怪斗はそう呟く。
「それより、まだ続ける気なのかい?見るからに、君たちの方がダメージは大きいと思うけど?」
「今ならまだ、許してやるぞ。コイツは許さんと言っていたがな。」
「…んなわけねぇだろ。」
シャルに肩を貸しつつ、ゆっくりと一夏は立ち上がり、キッと怪斗とラウラをにらんだ。
シャルが自力で立ったのを確認してから、雪片弐型を右手で構えて、その切っ先を二人に向ける。
「許してやるとか、許さないとか。それって、お前らそんなくだらないもんの為に戦ってんのか⁉︎
俺が今、刀を向けたのはトーナメント戦だからじゃねぇ。セシリアと鈴の敵討ちとか、ましてやあいつらを傷つけたからじゃねぇ!シャルを、護るためだ。
だから!お前はあの時、俺に剣を振るったんだろ⁉︎」
「…………ッ」
「みせてやるよ、護りたいものがある奴の力を…本当の強さって奴を‼︎」
その言葉の受け取り方は、会場にいる者それぞれだった。
その通りだと感心する者。かっこいいと憧れる者。青臭いと吐き捨てる者。嫌悪感を抱く者。
だが、それで十分だった。その言葉はしっかりと、怪斗とラウラに届いていたのだから。
そして十分だった。
「…なに悟ったように説教してんだよ…あぁ⁉︎」
「そんな事など釈迦に説法。貴様なんぞよりも深く、心得ている!」
そう、二人の堪忍袋の緒を切るには、十分だった。
『来いよ勘違い!テメェの(お前の)強さなんて、鼻で笑ってやる!』
第二十一話完
いかがだったでしょうか?流石に、三つは大変ですね…(汗
もう少々お待ちください。では次回予告。
二人の強さに翻弄される一夏とシャル、冷静さを欠いた怪斗とラウラは、彼らを止めるために割って入った彼女にも、刃を向ける。
次回
機動戦士インフィニットストラトス
怪盗が奏でる六つの協奏曲
第二十二話
「怒りの矛先」
感想、ご意見お待ちしております。