機動戦士インフィニットストラトス 怪盗が奏でる六つの協奏曲 作:ジャッジ
怪斗side
箒にレッドフレームを渡して一週間後の放課後、僕はアリーナへと向かっていた。無論、クラス代表戦に出るためである…だが。
「なぜついてくるのだ箒、そして江理華も!」
「私は付き添いだ。べ、別にお前の事など心配しているわけじゃないんだぞっ!」
「おやおや〜?モッピーって意外にツンデレやったりするん?」
「だ、誰がツンデレだ!それにモッピーって呼ぶな!」
全く、こいつらは仲がいいのか悪いのか…僕はその様子を苦笑しつつ見守る。時々、保護者みたいな感覚に陥る時もあるがな。
「何、女子の話聞きながらニヤついとんねん、変態か!」
「誰が変態だ!それに、そろそろ着くぞ。」
アリーナのピットに入ると、先についていた一夏と実が何やら口論をしていた。
なんでもISの事を教えてくれなかったとかどうたらこうたら、そしてその理由が一夏の専用機が到着してないからだとか………あ。
「ぼ、僕の専用機も到着していない…のか?」
「んぁ?おう怪斗!どうやらそうみたいだな、流石に不戦敗は嫌だけど…」
「ここは、共感させてもらうのだよ…」
全く…スコールは僕の為に専用機を送ってくれると言っていたのに、もし到着しなかったらミラージュで戦うしかないな。
「お、織斑君!黒崎君!二人の専用機が届きましたよーー‼︎」
おお、ようやく届いたか。
助かった、無闇にアストレイを出すわけにはいかないからな。すると、ピットの搬入口が開き二機のISが現れる。
すると、そこには『白』と『黄金』があった。
「左のが織斑君の専用機『白式』で右のが黒崎君の専用機『暁』です!」
山田先生がそう言うと搬入口のライトが点灯する。あまりの眩しさに僕達は目を背けるが、そこには変わらず太陽の如く光を発する黄金の機体…アカツキガンダムがあった。
「かなり派手な機体だな。しかし、ほぼ全身装甲とは珍しいな。」
「にしてもホンマ金ピカやなぁ…秀吉の黄金の茶室みたいやで。」
まぁ、これには特殊な装甲を持っているからこの色なのだが…まさかアカツキを送ってくるとは…予想外だったな。
アカツキはXナンバーと同時期に開発されていたが、装甲システムや専用武装の開発が難航した為、完成が遅れていたのだ。
「織斑、すぐに装着しろ、フォーマットとフィッティングは実戦の中で済ませろ。いいな?」
「はい!」
「いや、無理があるやろ…」
対戦の組み合わせはセシリア対一夏を一番初めにして、二番目にセシリア対僕、最後に一夏対僕ということになっていたが…
実戦中にそれらを済ませるなど正気の沙汰じゃないぞ。
「負けるなよ?」
「ああ。………実、箒、怪斗、江理華」
「「ん、なんだ?」」
「なんなのだよ?」
「なんやなんや?」
「………行ってくる」
「あ………ああ、勝ってこい」
「頑張れ一夏!」
「善戦を期待するぞ。」
「頑張りや〜!」
最後に僕達との会話をして、一夏はアリーナに飛び出した。さて、僕はフォーマットとフィッティングを行わないとな。
僕はアカツキに乗り込みフォーマットを開始する。
ーーキャリブレーション取りつつ、ゼロ・モーメント・ポイント及びCPGを再設定ーー
?なんだこれは…誰か話しているのか?
「どないしたんや怪斗?
鳩が豆鉄砲くらったような顔して?」
「声が…聞こえる…」
「声?なんも聞こえへんけど?」
そう話している間にも謎の声は話し続ける。
ーー擬似皮質の分子イオンに制御モジュールを直結ーー
僕は今までこの声が言っていることを復唱する。
……そうか、これはアカツキのOSか。だが一体誰が?
ーーニューラルリンゲージ・ネットワーク、再構築、メタ運動関数、コリオリ偏差修正、運動ルーチン接続
システムオンライン、ブーストラップ起動ーー
声が終わるとアカツキは起動し始めた、起動プログラムと共にOSがウインドウに表示される。
General
Unilateral
Neuro-Link
Dispersive
Autonomic
Maneuver
Synthesis System
G.U.N.D.A.M.
M.O.S
ACCESS
よし、OSはXナンバーと同じか、助かる。次は武装だな。僕は現在使用可能な武装一覧を呼び出す。
現在使用可能武装
基本装備
12.5mm自動近接防御火器×2
73J2式試製双刀型ビームサーベル
72D5式ビームライフル『ヒャクライ』
試製71式防盾
後付武装
350mmレールバズーカ 『ゲイボルグ』
グランドスラム
斬機刀「陸奥守吉行」
…待て待て、ちょっと待て。
肝心のオオワシパックもシラヌイパックもないじゃないか!
しかもそれを補うかの様に別の機体から持ってきた武装もが半数を占めている。
くっ、やはり未完成品か。仕方ないこれは防御に徹した機体だからな。と、その時、ブザーが鳴った。どうやら織斑VSオルコットの試合が終わったようだな。
さて、次は僕の番だな。
「まったく、あの馬鹿者め。あれだけ持ち上げて置いてこれとは……」
織斑先生はうんざりとした様なことを言ってるが、その顔は少しだけ安堵しているように見えた。
実はというと、『心配して損したな』と言いたそうな顔をしている。
全く、素直に安心しておけばいいものを。あんたらの方がよっぽどツンデレだ。
「ドンマイやったな一夏。まぁ、頑張った方ちゃう?」
「まあな…だが、ビーム兵器を実装してる機体なんて始めて見た。」
ビーム兵器だと…?少し嫌な予感がするな。それも確かめる為にも行くか。
「では、黒崎。行け。」
「頑張れよ怪斗!」
「負けたらウチと箒にラーメン奢りや〜!」
「なんでそんな事を…だがまぁ、考えておく。」
そう言ってニヤリと笑う、そしてカタパルトに歩を進め接続する。
黒崎怪斗。アカツキ…行きます!」
カタパルトに接続されたアカツキがゲートへ向けて射出される。その時ハイパーセンサーが敵を捉えた。
ーー戦闘待機状態のISを確認しました。ライブラリ照合…『デュエルガンダム』です。ーー
再び声が聞こえ、その事を教えてくれた時には僕はアリーナ中央に佇むデュエルを視認していた。
「あら?随分と派手な機体ですわね…ってわたくしのデュエルと似ている…⁉︎」
「全く、そんな事は本当にどうでもいいだろう?」
実際は『君の』デュエルではなく『僕の』デュエルなんだがな。
まぁ今は、アカツキがあるから大丈夫だけど。
「黒崎さん、最初に一つ言ってもよろしいでしょうか?」
なんだいきなり?
ここで降参すると言ってもくれれば僕も助かるんだが、そうしてくれないかな?
「わたくしは今まで男の事を…」
「君が男の事をどう思い、これからどう変えていくのかなど知った事ではない、さっさと始めてくれないか?僕とて暇じゃないんだ。」
すると、オルコットはポカンとした表情を浮かべる。何故そこまでポカンとする必要があるのだ?
暫くすると今度は怒ったような表情を浮かべてこっちを見た。
「……あらそうですか、でしたら早速落とさせていただきますわ!」
推奨BGM
(ガンダムSEED DESTNIY)
GAIA×CHAOS×ABYSS
ーーデュエル、戦闘モードへ移行しました。一秒後にビームが来ます回避して下さいーー
再び声が響き、そう促してくる。従ってみると僕がさっきいた場所にビームが走っていった。
「まぐれでかわしても、次はありませんわよ!
さあ踊りなさい!わたくしとデュエル・ガスト・サファイアの奏でる円舞曲で!」
「まぐれなのかどうかは、僕が決めることだ。そして、君と踊る気はないのだよ!」
デュエル・ガスト・サファイア?
確かにあの姿は強化武装であるアサルトシュラウドに似ているが…あんなスカートパーツは無かったな、あれが追加されたからか?
そんな事を考えながらも、僕は声が指示するようによけていく、もちろん自分で予測してもいるがこの声の方が正確だ。
避けるのも飽きたな、そろそろ攻撃へ転じるとするか。僕は格納領域からグランドスラムを取り出す。ただし、折り畳んだ状態でだが。
「そんな剣でわたくしに勝とうなど、笑止ですわ!」
「ふん、今に見ていろよ?」
僕はオルコットに見えないようにグランドスラムを伸張させる。この剣は刃の部分が3.5mもある巨大な剣だ。持ち手の部分を合わせると4.5mにもなる。
そして、その体制のまま右斜めに向けて逆袈裟斬りを放ち、手のスナイパーライフルごと右肩のレールガンを切り裂く。
「な…そんな馬鹿げたサイズの剣があるだなんて…⁉︎」
「言ったであろう?今に見ていろと!」
「…その言葉!そっくりそのままお返ししますわ!
行きなさいブルーティアーズMK-II!」
すると、腰のスカートパーツから八つの青いパーツが射出される。名前からしてブルーティアーズ型に搭載されていたものの発展型だな。
僕に盗まれて新たに作り直したな、と思うとおかしくてたまらなかった。
「さあ、これでチェックメイトですわ!」
「さあ?どうかな?」
僕はビットかが放たれるビームをかわしつつアカツキのある機能を発動させた。
ーーヤタノカガミシステム起動、発動限界時間まであと495秒ーー
そして、ビームが放たれるとそれははねかえされ。ビットに当たり爆散する。
これがアカツキの特殊装甲システム『ヤタノカガミ』黄金に光るその鎧はあらゆるレーザー、ビーム攻撃を収束したまま跳ね返す能力を持っている。
僕は驚きのあまりその場に立ち尽くしているオルコットの隙を突き、破壊出来なかった残りのビットを手に持ったグランドスラムで破壊する。
「どうした⁉︎信じられない光景に魅せられたか⁈」
「こ、こんな事が…⁈」
彼女はそう言うと、ビームサーベルを引き抜き僕に斬りかかる。だが、それは僕が素早く振るった双刀型ビームサーベルで発信部を切り裂かれて爆散する。
「そんな…曲芸じみた事まで…⁈」
「さあ、フィナーレだ!」
そしてその勢いのまま奴にグランドスラムを振るい、残った武装も破壊して剣を格納する。
もちろん、トドメはさしていない。
「な、なんの…つもりですか…?」
「十五秒だ。」
「わたくしをここまでした時間ですかっ!」
「そんなわけないだろう?十五秒待ってやると言っているんだ。
その間に降参したまえ。」
すると、彼女は一瞬息を飲んで唇を噛んで血を流している。しかも目尻に涙を貯めて今にも泣き出しそうとは…どこまで悔しがっているのだ?
そこまで負けるのが嫌なのか?だったら…
「わかりました…わ、降参……いたしま………
…ぐぅっ⁉︎」
瞬間、デュエルの装甲に真一文字の切り込みが入り墜落していく。
僕が切った、この残機刀でな。しかしかなりの斬れ味だな、気に入ったぞこれ。
「こうさんと……いった…の…に……」
「だから十五秒以内に降参しろという気が変わったのさ。
すまないな、僕は気が変わりやすいんだ。」
「おお……うそ……つ…き………」
「そうだな、だが覚えておくがいい。人は誰だって嘘をつくという事をな。」
「何言ってやがるんだ…この卑怯者がぁ!」
そういう声が響き、ミサイルが僕を狙ってくる。僕は頭部バルカン砲とビームライフルで迎撃する、そしてミサイルが飛んできた方向を見るとそこには…
ーー戦闘状態のISを確認しました。ライブラリ照合…『バスターガンダム』ですーー
バスター…マドカの専用機として開発された、対要塞攻略用IS、コードネームは〈破壊〉
まさか、今日だけで二機のXナンバーと出会えるとはな。そして、僕が卑怯者だと?そんな馬鹿な事があるか。
「お前…一体誰だ?僕を卑怯者呼ばわりするとは。」
「メーヤ・ビショップだ、覚えてるだろ!
お前…自分で自分を卑怯者だと思ってないのか!」
「ああ思っていない。それに残念だが僕より卑怯者はいるぞ?」
「なに…?」
「そうだな…例えば、人から奪った機体を我が物顔に使ってる奴とか…試合開始の合図もないのに、僕を後ろから斬ろうとしてる奴とかな!」
僕は後ろに向けて吉行を振るい背後から迫っていた刀と斬り合う、そしてそこにいたのは…圧倒的までの純白に覆われた機体、一夏の白式だった。
「何やってんだよ怪斗…なんでこんな事を!」
「何をって、模擬戦だが?」
「そうじゃねぇ!俺は!」
「待て織斑、多分こいつに何言ってもわからねぇだろうな。
だから…体で覚えさせる!」
全く…何故僕が悪いのだ?
僕としては強奪機を我が物顔で使ったり、不意打ちしてきたお前らの方がよっぽど悪者に感じるんだが?だから…
「僕は悪くない。」
第四話完
では、今回の紹介はセシリア専用機『デュエル・ガスト・シュラウド』を紹介します!
デュエル・ガスト・サファイア
機体解説
デュエルガンダムアサルトシュラウドのデータを流用しイギリスが開発した追加装備、ガスト・サファイアを装備した機体。
各部に追加されたバーニアによりオリジナル機よりスペックが上昇していて、スカートにビット兵器を搭載されている。
装備武器一覧
スナイパーライフル『スターライトMk-IV』
五連装ミサイルポッド
レールガン『シヴァ』
ビームサーベル×2
175mmグレネード装備ビームライフル
ブルーティアーズMk-II×8
以上でセシリア専用機の説明を終わります、では次回予告です。
突如始まった一夏&メーヤVS怪斗の戦い。
巻き込まれた怪斗は如何に戦い、そして勝つことは出来るのか。
次回
機動戦士インフィニットストラトス
怪盗が奏でる六つの協奏曲
第五話
「全く、また……か」
感想、ご意見お待ちしております