~翌日、公園~
俺となのは、そしてユーノは、高町家の近場に公園に訪れていた。
「んで、なのはは、昨日ユーノからリンカーコアについて教えてもらったんだよな」
リンカーコアとは、魔導師の魔力生成元だ。リンカーコアが小さくなったり、弱くなったりすると、魔導師が魔力を(一時的に)使う事ができなくなってしまう。
「う、うん。他にも、魔力運用とか、魔法の危険性とか色々かな」
ふむ。必要最低限のことは伝えられているようだ。ちなみに、周囲にバレないように最低限の結界を張っている。
「了解だ。んじゃ、なのは。始めるぞ」
俺が懐から取り出したのは、空き缶だ。
「まずは、魔力のコントロールからだ。基礎ができてなきゃ、どんな魔法を覚えても意味がないしな。こんな感じにコントロールしてみ――」
上に空き缶を投げると、俺の周囲には漆黒の魔弾が5つ展開。
缶と魔弾が衝突し、空き缶は空に舞い上がっていく。
「(セレイナ。今どれ位だ?途中から数えるの忘れた)」
『えーと、今は11だったかな』
「(了解)」
20連打を終えた所で俺は、
「――シュート!」
最後に5つの魔弾を集束させ、空き缶を大きく正面に弾く。目標は、数メートル前にあるゴミ箱である。そして、ゴミ箱の縁に当たったが、無事捨てることができました。……うん、何とも締まらない結果である。
「……まあこんな感じだ。なのはは、50回を目標に頑張ってもらいたい。まあアドバイスとしては、イメージを大切に、だ」
余談だが、俺の最高記録は134回である。
「これができるようになったら、俺と模擬戦な。砲撃(俺の魔法も)は実戦で身につけた方が効率がいいだろ」
「ちょ、ちょっと待ってよ、千尋。魔導師になったばかりのなのはに、対人戦は早過ぎる」
意を唱えたのはユーノだ。確かに、ユーノの言う通りなんだが――、
「……そうなんだが、あの金髪少女と戦えるようになるには、このくらいの荒療治は必要になる。……たぶん、次の衝突までは時間がない気がするし」
「うん、わかった。これができるようになったら、模擬戦をしよう、千尋君。――いけるよね、レイジングハート」
“Yes、my.masta”
レイジングハートの即答である。
まあうん、ギリギリのラインで止めるので問題はない……と思う。
♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦
なのはたちが特訓してる中、俺はあの金髪少女のことを考えていた。
あの子はどう見ても、俺の
安否を確認するにしても、俺は事故に巻き込まれ次元の狭間に飛ばされたから、事件後どうなったかを知る事ができない。じゃあ、金髪少女は誰?ってなるんだけど。つーか、俺死んだことになってんじゃね……。
「……俺生きてるんだけどなぁ」
と、愚痴を零しても、意味がないんだけど。
『……千尋、
「……解らん。でもプレシアさんは、魔導師ランクS+。アリシアもあの人の子供だ。そう簡単にくたばらないだろ」
俺みたいな平凡な子供が生きてるんだから、きっと生きてるだろう。
『千尋は自分のことを平凡な子供っていうけど、AAAランクの魔導師なんだけどねぇ。管理局にはバレてないけど、カートリッジシステムをデバイスに組み込んだ人でもあるし』
「……まあ、そうなってるみたいだけどな」
俺が思うに、なのはも金髪少女もAAAの魔導師に近い実力を秘めていると思う。――要は、“天才”ってことだ。
カートリッジシステムについては、不安定要素がありすぎる。組み込むまではいいが、使用となるとそれなりの実力が必要になるし、使用のし過ぎは体に相当の負担があるだろう。
と、その時、
「千尋君っ!50回終わりましたっ!」
「……マジで?まだ数時間しか経過してないんだけど……」
いや、早すぎでしょ……。魔力運用が得意な俺も2日は掛かったぞ……。
「ユーノは見てたんだろ?なのはが言ってることは本当か?」
ユーノは苦笑し、
「僕も信じがたいんだけど本当だよ」
俺は、そうか。と前置きをし、
「んじゃ、ユーノ。強固な封時結界を張ってもらえるか。軽い模擬戦をするから」
封時結界の中ならば、物を壊しても魔力で元に戻す事ができるので、結界内でならば魔法戦を行っても心配はいらないだろう。まあ、魔力を流し込まなかったら物は壊れたままだが。
ちなみに封時結界は、通常空間から指定した範囲の空間を切り取り、時間信号をずらす魔法なので、結界内部でいくら魔法を使おうと、結界を感知できない普通の人間にはバレない。
「了解。――封時結界、展開!」
ユーノがそう叫ぶと、周りの景色が若草色に染まっていく。
そして、
「――セレイナ、セットアップ」
『りょうかい、千尋』
「――レイジングハート、セットアップ」
“Stand by ready. set up”
漆黒の閃光の中からは、真っ黒いバリアジャケットに、左手に片手直剣を持つ俺が。
桜色の閃光の中からは、白いバリアジャケットに、左手にレイジングハートのキャノンモードのデバイスを持つなのはが姿を現す。いや、何。なのはさん、俺に砲撃する気満々だよね……。
「光よ。我が手に力を――ディバインシューター!」
なのはは自身の回りに桜色の魔弾を展開し、俺に放つ。
俺は空中に飛びそれを回避するが、
「(って、やっぱりホーミング性能があるのね)」
まあ、先程の特訓でホーミング性能の鍛える事ができるし、当たり前かも知れんが。
「(――セレイナ!)」
『任せて!』
だが、俺はその魔弾を片手直剣で切り裂くが、爆風で回りが確認できなくなる。
「ディバイン……バスターっ!」
地上からなのはの砲撃攻撃。この砲撃は、なのはが最初にジュエルシードを封印した砲撃だ。
技のバリエーションこそは無いが、一撃をまともに食らうとアウトだろう。なので、俺は防御魔法陣を展開し、砲撃を耐え凌ぐ。
「はああぁぁああ!」
なのはは空を飛び、レイジングハートをデバイスモードで俺に振るってきたが、俺もそれを愛機で受け止め火花を散らす。所謂、鍔競り合いである。
俺がそれを強引に弾き、一旦距離を取り魔弾を打ち込むが、なのはも自身の魔弾で相殺。
煙が立ち込め視界が悪くなるが、俺は煙の中を駆け抜けインファイトに持ち込み、デバイスがぶつかり火花を散らす。
するとなのはが、
「……にゃはは。千尋君、私そろそろ限界かも……」
「ちょ、なのはさん!?」
俺は、力が抜けていくなのはの体を優しく支える。まあ確かに、コントロールの練習に軽い模擬戦でも、魔力の消費はハンパないだろう。この結果は、当然だったのかも知れない。
こうして、初めての模擬戦が幕を閉じたのだった。
千尋君とプレシアさんは知り合いだったのだ(笑)
てか、なのはさん。あなた魔導師の天才やね。
追記。
カートリッジシステムに関しては、今回は使用しない感じです。まあ、肝心のカートリッジがありませんしね。
ちなみに、千尋君の家族はご存命ですよ(^O^)