FAIRY TAIL ~妖精の使徒~   作:一時停止

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第十三話

「ハァ、ハァ、・・・・・・ふぅー」

 

大技の影響で荒れた息を何とかしずめる。・・・・・・やったか?

強いのはわかっていたが、まさかこの状態にさせられるとは思わなかった。

ジジイには隠しておけと言われている滅竜魔法。

俺のはナツと違って魔水晶(ラクリマ)を埋め込んだニセモンだが十分強力だ。

残りの魔力を全てつぎ込んだ全力の咆哮。アイツの出した技も打ち破った。

しかし反動がひどい。体がフラつき、気を抜くと倒れそうだ。

アイツの姿は見えない。咆哮の威力によって辺り一面が砂塵に覆われているからだ。

それでもあの一撃を受けて無事であるはずがない。これで俺の勝ちだ。

少しずつ砂煙が風に流され、しばらくして視界が開けた。

・・・・・・何だあれは?

眼前にアイツの姿はなく謎の物体、ウニを彷彿とさせるようなトゲの壁がそこにはあった。

あまりの事に呆然としていたが、ソレがパラパラと崩れていく。

そして、全て崩れたそこにはボロボロになったアイツが立っていた。

・・・マジかよ、もうガス欠だぜ。だが・・・、俺は負けねえ! 俺が、最強だ!!

 

 

 

 

 

危なかった。ギリギリで間に合った。

天針(ヘブンコンパス)を使った技、加護の針 東ノ罪(イーストクライム)

本来は対象を完全に覆う防御の技だが咄嗟だったため前面だけに出して盾にした

とはいえ直撃を防いだだけでダメージはかなり受けた。

体がかなり痛む。魔力も振り絞ったから殆ど尽きた。まさに満身創痍だ。

ラクサスの様子を見るとあちらも似たようなものみたいだ。

しかし、目はまだ死んでいない。

だがこちらも気持ちは同じ、勝つのは俺だ!!

 

「「おおおおおおおおッ!!」」

 

同時に飛び出し、拳を繰り出す。

互いの拳が互いの顔面を捉え・・・・・・、双方共に崩れ落ちた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺たちが倒れてから数分程たっただろうか。

先に口を開いたのはラクサスだった。

 

「・・・・・・おい」

「あん?」

「今回は引き分けだ。だが次は俺が完璧に勝つ!」

「・・・・・・できれば俺は戦いたくねえな。お前との勝負はしんどすぎる」

「けっ。逃がさねえよ」

 

そう言いながら近くの木に移動し、もたれるように座るラクサス。

そして先ほど脱いだ上着から葉巻を取り出して吸い始める。

やはりまだ移動する程の体力は戻ってないようだ。

同じように俺も煙草を取り出して吸い始める。

煙草に興味があるのかラクサスが話しかけてくる。

 

「見ないタイプだな。どの銘柄だ?」

「ああ、コレは俺のオリジナルだ。俺の魔力は少し特殊でな。それを安定させる、まあ言っちまえばリラックスのための道具だ。通常時は特に必要もないしな。」

 

ちなみに無臭という嫌煙家に配慮したモノになっている。

だから形だけで本質は煙草と違くね、と最近思ったのは内緒だ。

 

「コートに煙草、あとティムキャンピーとかいうゴーレムだったか?色々作っているようだがお前本当に魔道士か?なんか微妙だぞ」

「だからエクソシストって名乗ってんだよ」

「それもどういう意味なんだ?」

「・・・・・・秘密だ」

 

うん、説明しづらい。これまでも聞かれたことはあるから、その度に自分なりに色々考えてみたがまとまらなかったので途中で諦めたのだ。

元々意味なく名乗ってたからなあ。前世の説明する訳にもいかんし。

でもこれからも聞かれるのか?だとしたらやっぱり考えるべきか?

などと、俺が思考のスパイラルに入りかけたのを止めたのは体の痛みだった。

 

「―っ!! ・・・・・・痛え」

「はっ。なんだこのくら―っ!!」

「お前も痛がってんじゃねえか」

「ちぃ・・・」

「はあ。しょうがねえな」

 

コートの懐から天針(ヘブンコンパス)を収めている巻き布を出す。

針を2~3本引き抜き、少しだけ回復した魔力を込める。

 

「動くなよ?」

「は?――ッ!?」

 

針をラクサスに向けて投擲する。

反応しようとしたみたいだが、やはりダメージが深いのだろう。

まともに動けずに針が体に刺さる。

 

「テメェ、何を!?」

「落ち着け、痛みはないはずだ」

 

そう一声かけ、同じように自分の体にも針を刺す。

針が刺さった箇所から体がじんわりと温まり、疲れを癒していく。

ラクサスも気づいたようだ。目が説明を求めている。

 

「針治療って知ってるか?」

「・・・・・・確か人体にあるツボを針で刺激することで効果を得る療法のことだよな?」

「・・・・・・・・・・・・」

「どうした?」

「いや、見た目によらず博識なんだな」

「うるせーよ!! ・・・・・・で、これはその針治療なのか?」

「ああ、俺の魔力を込めているから効果は更に高くなる」

「便利なモンだな」

「あ、でもあまり動くなよ。あくまで自然治癒力を底上げしてるだけで回復魔法とかじゃないからな。無理をするとクセになるぞ」

「じゃあもう少し休むか・・・」

 

俺も幾つか知りたいことがある。

昔の記憶も薄れていることだし、本人の口から直接確認しとくに越したことはない。

ちょうどいい機会だから色々と聞いておくか。

 

「ところで、お前の滅竜魔法はナツとは違う感じがしたな」

「あ? 炎と雷だから当たり前だろ」

「そうじゃなくて・・・・・・。何ていうか天然と養殖みたいな?」

「・・・・・・」

「それにお前の体内魔力の流れが普通と違ったしな」

「んなもんどうやって見たんだよ」

「俺の左目はそういうモンなんだよ」

「・・・・・・俺は滅竜魔法の魔水晶(ラクリマ)を体に埋め込んだ擬似的な滅竜魔道士(ドラゴンスレイヤー)なんだよ。ジジイに言われて隠してるからな、誰にも言うんじゃねえぞ」

「なるほど、わかった。あ、もう一ついいか?」

「んだよ?」

「お前とマスターの関係は?」

 

その言葉にラクサスはピタリと動きを止めた。

訝しむような視線を向けつつ口を開く。

 

「・・・・・・どう言う意味だ?」

「左目でみた魔力が似てるんだよ。血縁関係でも中々ないレベルだからな。少し気になった」

「確かに俺はジジイの血縁だ。だがな、俺は俺だ。断じて【マスターの孫】なんて存在じゃねえ!! 俺は【ラクサス】だ!!」

「お前・・・・・・、なに当たり前の事言ってんだ?」

「!?」

「そりゃあ魔力の質が親に似ることはありうる事だがな、同じように親が魔道士でも魔法が使えない、あるいはその逆だってこの世界には腐るほどある当たり前の事だろ? だったらお前の力はお前のモンだ。わざわざ主張するほどの事か?」

「だ、だがお前も気になったんじゃ――」

「だから言ったろ、【血縁関係でも中々ないレベルだから気になった】って。それ以上の意味なんか別にねえよ」

「・・・・・・」

「さて、ぼちぼちいいだろ。帰るとするか」

 

何か思うところがある様だが、俺にはもう聞きたいことはない。

話しているうちに体の疲れも大分とれたし、もう針を抜いてもいいだろ。

腹も減ったし、何か食いたいな。

 

「おい・・・・・・、アラン」

「ん、どした?ラクサス」

「酒は飲めんだろ?少し付き合え」

「いいけど飯もあるところにしてくれよ?」

 

どこか清々しい顔になったラクサスと、俺はマグノリアへと戻った。

ちなみに荒地とはいえ流石にやりすぎてしまったようだ。

私闘がマスターにバレてたっぷりと絞られたのは余談である。

 




テテテテン♪ ラクサスの好感度が上昇した。
はい、という訳でアランとラクサスはそこそこ仲がいいです。
時々、煙草や葉巻を吹かしながら酒を飲む仲です。

今回出た『針治療』は独自の解釈に基づきます。
また『針』の漢字は『鍼』だったりもしますがこの作品ではこちらの『針』で通します。
天針ですしね。

ちなみに次回から原作に突入する予定です。
その前にアランのステータス紹介なんかを入れようかなあ、などとも考えています。

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