皆さんもお気を付けて。
日が沈みかけてきた頃、俺たちは定例会の会場であるクローバーの街へとたどり着いた。
そしてカゲを発見したがその前には我らが
(なんだ、心配いらなかったな)
エルザ達はすぐに飛び出そうとするがそれは2人のギルドマスターに止められた。
見覚えがある方だったので挨拶をするとしよう。
「お久しぶりです。マスターボブ、マスターマインゴールド」
「おう、久しいな」
「あら~、相変わらず可愛いわねアランちゃん♡」
俺達がのんびりと挨拶を交わしているとエルザが声を荒げる。
「何を呑気にしているのだアラン!! 早くカゲを止めねば!!」
「黙ってなって、面白い所なんだからよ」
「そうよ~、邪魔しちゃだ~め♡」
「面白いかどうかはともかく、俺達の出る幕じゃねえよ。他のマスター達も気づいているようだし何も問題はねえ」
「で、でも大丈夫なの!?」
「心配すんなルーシィ。俺らのマスターを信じろ」
その後、マスターの全てを見透かした言葉によりカゲは戦意を喪失した。
マスターの語ったギルドの在り方にはカゲだけでなくナツたちも感服したようだった。
周りに弛緩した空気が広がっていく。
これにて一件落着かと思われた。
がしかし、幕はまだ降りていなかったようだ
「腹が減ってたまらん。貴様らの魂を喰わせてもらうぞ」
「魂って喰えるのかーー!? うめえのか!?」
「味は知らんが少なくともうまそうには見えん」
「知るか!! アランも答えんな!!」
平常運転のナツとアランにツッコミを入れるグレイ。
そんな2人を無視してマインゴールドが説明をする。
あの怪物が
魔法界の歴史上最も凶悪だった黒魔道士ゼレフ。
彼が作ったとされる生きた魔法――――アレと同じ。
ドクン!!
鼓動が高鳴る。
アレとは違うし比べてもはるかに弱いだろう。
だが・・・・・・
ドクン!! ドクン!!
どうしても鼓動の高鳴りが止まらない。
頭では分かっていても体が反応してしまう。
俺ってこんなに執着するタイプだったか?と思いつつも、もう止まれないことは理解した。
――――ぶっ潰す。
そんな俺の心情を察した訳でもないだろうがララバイが口を開いた。
「誰の魂から食ってやろうか」
「おい、そこのウドの大木」
「む?」
「俺の魂は如何かな? 極上モンだぜ?」
『アラン!?』
「はっはっは。面白い、貴様の魂から喰ってやろう」
「って訳だ、お前ら手ェ出すんじゃねえぞ」
「ア、アラン」
「エルザ、皆を下げといてくれ。危ねえからな」
「!・・・・・・わかった」
どうやらエルザは察してくれたようだ。
グレイやルーシィに声を掛けて下がってくれるが例外が一人。
「引っ込んでろナツ」
「嫌だ!! 俺もやるぞ!!」
「悪いが譲れねえ。 ゼレフ書の悪魔には少なからず因縁がある。 アイツは俺の得物だ」
「・・・・・・わかった。その代わり帰ったらお前も俺と戦え!! それが条件だ!!」
「くっくっく。あいよ」
思わず笑ってしまった。
ぶれねえなあナツは。
「別れの挨拶は済んだか?」
「ああ、待たせたな」
「お前の魂を頂く!!」
それしか言えねえのかコイツは。
繰り出してきた拳をバックステップで躱す。
仮にもゼレフ書の悪魔なんだし加減は必要ねえよなあ。
――イノセンス発動。
アランの両肩に半円状のスパイクが付いた肩当てが出現する。
そのままゆっくりと手の先へとソレは移動し
「なぶれ
アランが両手を合わせると一つの輪になった。
そしてその輪から二つの刀身が姿を現した。
神気が感じられるがどこか禍々しい刃が光る。
「こいやあああぁあああああ!!」
アランの咆哮。
それを受けてララバイが再び拳を繰り出す。
それをかいくぐって足を切りつけるアラン。
「そんなもんか?」
「小癪な」
「おっと――――ってオイオイ」
『うおおおおおおおぉ!?』
ララバイが口を開き無数の光弾を打ち出す。
避けたが光弾はそのまま周りのギャラリーに向かって飛んでいく。
アランが現在使用しているのは元帥のイノセンス。
この場合他のイノセンスの同時発動はできない。
よく防御に使う
グレイが防ごうとしているが一度手を出すなと言った手前、他の手を煩わせるのは許容できない。
となると打てる手は1つ。
懐に手を入れて取り出すは数枚の札。
その中央には『防』の字。
その札を光弾の向かう先に放つ。
「秘術”
「――なんと」
ギャラリーの前に出た札が障壁を広げ光弾を全て防ぐ。
あらかじめ魔力を込めておいたので札はそのまま障壁を展開し続ける。
この闘いの間位は持つだろう。
呆気にとられる周りをおいて、再び
その後の戦闘は一方的だった。
アランがひたすらに切り刻む。
ララバイが反撃するも躱され、防がれ、流される。
時間にして5分もしないうちにララバイはボロボロの姿になっていた。
左腕に至っては完全に千切れ、傍に転がっている。
「くううううぅ!!」
「ゼレフ書の悪魔と言ってもこの程度か」
「もうよい!! 貴様ごと全員滅ぼしてくれるわ!!」
「いかん!!」
自棄になったララバイが大きく息を吸い込む。
集団呪殺魔法
その力を完全に発揮しようとする。
だが・・・・・・
「かっ!? な、何だ!?・・・体が、うご・・・か・・・・・・ん」
「秘術”
ララバイの体が盛大に光る。
いや、正確にはララバイの体に貼り付けられた大量の札が発光している。
先程の札と違い、中心には『縛』の文字があった。
「気づかなかったか? 切りつけると同時にお前の体に張り付けていた」
アランがララバイを一方的に追い込めたのは此処にも理由がある。
”縛羽”は相手の動きを止めるものではない。
相手の動きを遅くするものである。
徐々に遅くされていたララバイはそれに気づかずにいたため、アランの動きに追いつけずにそのまま圧倒されたのだ。
まあ、”縛羽”を使ってなかったとして2、3分寿命が延びた・・・か?といった程度だが。
それほどの実力差なのに何故相手の動きを封じたか。
細かい理由は多々あるが、一番の理由はコレだ。
「
ララバイを完全に消滅させる。
そのための一撃には少々魔力を込める時間がいる。
更に、完全に制御しきれていない技なので相手が動かない方がいいのだ。
そして今、その準備が整った。
「魂を失うのはお前の方だったな」
「ま、待て・・・・・・」
「断る。あばよ」
アランの一撃がララバイの中心を打ち抜く。
恐るべき魔法界の負の遺産は只の木屑と化した。
飛び散った木片も炎が燃やし、浄化していく。
というかあっちでナツが火を食べようとしてるし。
「熱っ!! 何だこの炎熱すぎる、食いづれぇ!! はふっ・・・・・・ふー、もぐもぐ。!!・・・・・・うめえーーーー!!」
あ、食べた。
多少神気が混ざってるけど喰って大丈夫なのか?
まあ、ララバイは間違いなく消滅した。
これで一件落着だな。
「愚かな悪魔に十字架の断z――――あっ」
最後にエクソシストとしての言葉を紡ごうとしたが出来なかった。
ララバイは完全に消滅したが威力が強すぎた。
対象を打ち抜いた
定例会の会場に見事命中、粉々にしたのだ。
(久々に派手にやったなあ)
何時ものアランなら直に謝罪と賠償を済ませ、復興に力を貸すのだが今回は違った。
ゼレフ書の悪魔を倒し、普段なら使用を控える力を派手にぶっぱなした。
つまるところ、高揚していた。
「・・・・・・逃げるか。ハハッ」
駆け出したアランにエルザ達が続く。
炎を食べ続けていたナツはハッピーが回収した。
並走していたマカロフが口を開く。
「アラン、お前だけはまともだと思ってたんじゃがなぁ」
「悪いなマスター。今日だけは勘弁してくれ」
「・・・・・・ま、偶にはええじゃろ」
走り続ける
会場を破壊された他のギルドマスターたちが彼らに視線を向ける。
やはりアイツ等は滅茶苦茶だ。
そしてマスター達の視線は先頭を走る男に集まる。
非常識なギルドにおける唯一ともいえる常識人だったはずだが遂に毒されたか。
銀髪にローズクラウンが刺繍されている黒いコート。
その顔の左目には
先程の戦闘で見せた雰囲気は何処へやら、仲間たちに快活な笑顔を向けている
男の名は アラン=クロスフォード
これからも
取り敢えず、今の自分たちがするべき事は
『捕まえろーーー!!』
「逃げろーー!!」
なんか終わりがグダグダに、あれー?
これにてララバイ編は終了です。
まあ、事後処理の話が残ってるんですけどね。
鴉の秘術について
色々調べても曖昧な点が多かったのでオリジナルで。
勿論原作通りのもありますし、出ます。
が、原作通りじゃないのもでる予定なのでよろしくお願いします。
そして少し解説を
鴉の札はあらかじめ魔力を込めて作成済みです。
札を持って少し魔力を送るだけで起動するためほぼノータイムでの使用が可能。
勿論イノセンスより攻防力は低いです。
しばらく使わないと魔力が抜ける使い捨ての札ですので時々新たに補充・作成をしています。
悪魔の島に入る前にオリジナルをいれようかなぁとも考えてます。
といっても単発の話ですけど。
前にも述べた通り、各キャラのアランとの出会いの過去編や日常編かなぁ。
ヒロイン勢でカナやレビィが全然出れてないので彼女らとのデート話もいいかも。