FAIRY TAIL ~妖精の使徒~   作:一時停止

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大分期間が空いてしまいました。
感想やメッセージを下さった方に返事することも出来ず申し訳ありません。
また、まだ連載するのは不可能に近いのでまた期間が開いてしまうと思います。
詳しくは活動報告に載せたいと思いますので宜しければそちらをご覧になって下さい。



番外編01 レビィとアランの出会い

とある日の妖精の尻尾(フェアリーテイル)

 

「アラン遅いね」

「もうそろそろ来る頃でしょ」

「「そうそう、気にすることねえよレビィ~」」

 

魔道士ギルド妖精の尻尾(フェアリーテイル)は今日も平常運転だ。

幾つかの集まりに分かれているようだがどこもかしこも騒がしい。

唯一静かなのはギルドの中でも良識のある2人、レビィとルーシィが会話をしているこのテーブルだ。とはいえ彼女たちの後ろで野郎が2人言い争っているのであくまで周りと比較して静かという具合だが。

 

これもいつもの光景ゆえに誰も気にしていない。言い争う2人、ジェットとドロイはどちらもレビィに片思い中(2人とも告白はしたが瞬殺だった)であり、レビィの気を引こうとして衝突しているのだが当の本人、レビィも気にしておらず、最初は戸惑っていたルーシィも今では完全なスルーである。

 

まあ不憫な2人はほっといて話を戻すとしよう。

彼女らが話しているのはいつもの本の事ではなかった。いや、関係ある事ではあるのだが直接本の内容などではなかった。

彼女らの手にはある魔法アイテムがあった。

『風詠みの眼鏡』・・・・・・品質にもよるが2~32倍の速度で本が読める

 

「私のも少し前のタイプだけどレビィちゃんのって結構古いタイプよね?」

「そうだね。ずっと使い続けてるからコレ」

「へー。何か思い入れでもあるの?」

「えへへ。ちょっとねー」

「えー、なになに?教えてよー」

「ダーメー。秘密だよー」

「ええー?」

 

何とも微笑ましい光景である。周りで騒いでいた奴等もその様子を見ており、言い争っていたジェットとドロイに至ってはレビィをみてデレデレの状態だ。

だが例外はあるもので騒ぎ続けている者達の姿もあった。

これもお馴染みのナツとグレイの喧嘩である。

いつも通りの日常の中のいつも通りのやり取り。

しかし今日はそんないつも通りの中にイレギュラーが起こる。

 

「オラァッ!!」

「ぐほっ!?」

「「きゃああっ!?」」

 

ドグシャア、ズザザザザピシッガラガラガラ

 

ナツに殴られたグレイが吹っ飛び2人のテーブルに激突。

イスやテーブルを巻き込みながら崩れ落ちる。

 

「イタタ・・・・・・」

「ちょっとアンタたち!!」

「わ、悪い」

「すまねえ、大丈夫か!?」

 

テーブルなどが壊れるのは何時もの事(それもどうなのだと思わないこともないが)だが今回はそれにレビィとルーシィが巻き込まれた。

とはいえ、2人とも妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔道士だ。

女とはいえ荒事の経験もあるし、怪我もそれなりにしてきた。

だからこそ今回のコレも文句こそあれ、咎めるほどのことじゃない――はずだった。

レビィの傍に彼女のモノである風詠みの眼鏡が落ちていなければ。

いや、レンズにヒビが入っていなければ――だ。

そしてそれに最初に気づいたのはルーシィだった。

 

「レビィちゃん、それ」

「あ、ああ……」

 

ゆっくりとヒビの入ったメガネを持ち上げるレビィ。

流石に周りも静かになっており、元凶であるナツとグレイも神妙な顔で黙っている。

そしてレビィの目から涙がこぼれた。

 

「「レビィーーー!?」」

「「ゴメンナサイーーーー!!」」

 

普段から明るく笑顔を振りまいているのがレビィという少女である。

今回のような事も苦笑ですまし、たとえ怒っても可愛らしさが前に出てしまう。

そんな少女の涙は周りの男達を狼狽させるには十分すぎる代物だった。

ちなみに前者がジェットとドロイ、後者がナツとグレイである。

 

「だ、大丈夫だから……」

「でもレビィちゃん」

 

大丈夫と言うもののレビィの涙は止まらない。

必死に止めようとしているのか体が小刻みに震えているが涙は止まらない。

ジェットとドロイが必死になだめているが効果は皆無であり、ナツとグレイに至っては土下座をしてゴメンナサイゴメンナサイとひたすら謝り続けている。

そんな様子を見ていたギルドの古株であるマカオが口を開き、同じテーブルにいたワカバにカナ、そしてロメオと会話を始める。

 

「別にアイツらをかばう訳じゃねえが……」

「だなぁ。アランのヤツがいなくてよかったじゃねえの」

「女を泣かしたとなるとアランは容赦無いからねえ」

「やっぱ魔道士ってスゲエんだな」

 

約一名感想がズレている者もいるが彼らの意見は正しい。

男女問わず仲間を大切にする男だが女には更に優しい。甘いとさえ言える。

しかも今回はナツ達に一方的に非がある。

これをアランが知ろうものなら血の雨が降るかもしれない。

そして彼らは知らなかった。

その説明は完全なるフラグであるという事を。

 

「ういーす。おはようさん」

 

妖精の使徒(エクソシスト)の異名を持つ黒衣の断罪者がギルドにやって来た。

 

 

 

 

○○○

 

 

「ん? ヤケに静かだな、何かあったか?」

 

質問を投げかけるアランに何と答えたらいいものか分からずに押し黙ってしまった周囲を訝しみながらもアランは周りの視線の先へと自らも目を向ける。

よく見えないが聞こえてくる声からジェットたちだと判断して歩み寄るとそこには一人の少女が項垂れていた。背を向けているので確証はないが、何やら様子がいつもと違うことに気づき声を掛ける。

 

「レビィ、どうした?」

「!!」

 

アランの声を聞いた瞬間、レビィは見えないようにゴシゴシと涙を拭い立ち上がった。

アランに見えないように眼鏡を背後に隠し、そのまま笑顔で告げる。

 

「あはは、ちょっとこけちゃって。でも大丈夫」

「おい、レビィ――」

「あ、仕事行かなきゃ。ごめんねアラン、また後で」

 

何か言いたげなアランに一方的に告げ、レビィはそのままギルドを出て行った。

その後をルーシィがそそくさと追いかけていく。

しかし、アランは見逃さなかった。

レビィの頬にうっすらとだが涙の跡が有り、歯を食いしばって出ていくのを。

気になるが今すぐ追いかけても恐らく無駄だろう。

逃げるように去っていった彼女の姿を見てそう考えたアランはその場にいた男達へと意識を移す。

 

視線を向けた瞬間に首が飛ぶんではないかという程の勢いで横に降ったジェットとドロイを見て、次にナツとグレイに視線を向ける。

2人は汗をダラダラと流し絶望的な表情をしていた。

ほぼ間違いはないと思ったが、念の為に周囲にグルッと視線を向けるとギルドにいた全員が一斉に首を縦に振った。

決まりである。2人の顔面を掴み上げ、力を込めながら問いかける。

 

「さて、詳しく聞こうか?」

「「ぐあああああああっ!?」」

 

メリメリと頭にアランの指がめり込む。

周りもその光景を見て痛々しい表情をしており、中には実際に受けた時の記憶がフラッシュバックしているのか頭を押さえてうずくまる輩もいる。

 

「は、話す!! 話すから離してくれー!!」

「ダメだ。そのまま話せ」

「し、死ぬ!! 左腕は死ぬーー!!」

「安心しろ。しばらくしたら右手と左手入れ替えてやる」

「「ぎぃやああああああああああああああああああああ!!」」

その後しばらく妖精の尻尾(フェアリーテイル)から悲鳴が聞こえ続けた。

 

 

 

○○○

 

 

「はぁ、はぁ。……グス」

 

咄嗟にギルドを飛び出したレビィはしばらく走り続けた後に立ち止まった。

荒くなった息を整えると改めて悲しみが湧き上がり、再び涙が溢れた。

 

「ふう、やっと追いついた。急に飛び出すんだもん」

「ゴメン……」

「ううん、気にしないで。取り敢えず魔法屋に行ってみよ?もしかしたら直せるかも知れない」

 

結果として眼鏡の修理は不可能だった。

店主が言うには型が古すぎてダメらしい。

今の型だとレンズが割れてもレンズを入れ替えて治せるが、レビィのモノだとフレームと一帯になっていてレンズのみの交換ができないと言われたのだ。

今は在庫も切れていて明日には入荷するからまた明日来てくれと言われた。

明日までに壊れた眼鏡を元に準備しておくと言われたので、眼鏡を預けて2人は店をあとにした。

そしてやって来たのは小さな公園だった2人でベンチに腰をかける。

しばらく飲み物片手に座っていたが、意を決してルーシィは聞くことにした。

 

「あの眼鏡の事、聞かせてくれない?」

「・・・・・・アレは、アランに貰ったモノなんだ」

「アランに?」

「うん。まだ私が小さい頃だったなぁ」

 

 

 

△△△

 

 

 

小さい私はまだ魔法が使えなかった。

それは普通のことかもしれないけど周りの子供たちは魔法を既に使える。

ナツにグレイ、エルザやミラ、ラクサスなんかもそうだ。

エルフマンとかも未熟ながらに練習して魔法に慣れようとしていた。

でも私は全然だったんだ。

いつか私もって思っていたけど不安はずっと心にあった。

 

その日もそうだった。

ナツ達が喧嘩を始めて、エルザとミラが便乗する。

最初は只の殴り合いも徐々に魔法の応酬になった。

エルザ達は魔法がなくても強かったけど私はそれもダメで。

だから私は逃げるようにギルドを後にしたんだ。

それなら魔法の練習でもするべきなんだろうけど、あの時の私はそんな事からも逃げていた。だから私はいつものように本屋に行っ(にげ)たんだ。

 

最近毎日のように来ている店だけあって店員さんとは顔見知りだ。

カウンター奥に座るお爺さんに挨拶をして店の中を見て回る。

この店は立ち読みを許してくれているのでお小遣いに限りのある子供には非常に助かる。

勿論できれば買いたいがここぞという時のために我慢も必要である。

そして今日、その我慢を解き放つ時が来た。

大好きな小説の最新刊。それも最後の一冊である。

自分はとても好きなのだがあまり大衆には広まっておらず、読書家たちのみぞ知る隠れた名作となっている。そんな理由から発行数は少数であり初版を逃すと手に入れるのが非常に困難である(一度経験したがとてつもなく苦労した)。

発売日を忘れているとは自分も相当キテいるなと思いつつも、気持ちを切り替えて財布を覗く。・・・・・・足りない。

もともと立ち読みを前提に来ていたため手持ちが少なかった。

お爺さんにまた来ると言って店を飛び出す。

一度寮に戻って貯金を引っ張り出し、再び店に戻った。

そして本は――――そこには無かった。

焦りでいっぱいになりながらもお爺さんに聞いてみようとした私はそこで見た。

銀髪に黒いコート、左目の上に刺青をした男の人が例の本の会計を済ませている姿を。

 

 

 

 

△△△

 

 

「もしかしてそれが?」

「うん。アランとの出会い」

「へぇー。あれ、でもそれって結構昔の話だよね? アランの姿が今と変わってなくない?」

「(あはは、何で思考が見えてるんだろ?)それは色々と事情があるみたいだよ。今はまだ話せないけど時期が来たら話すって言ってるから皆待ってるんだけどね。」

「き、気になるけど取り敢えず続きを聞かせてくれる?」

「あ、うん」

 

 

 

 

 

△△△

 

私は勇気を出してその本を売って欲しいって頼んだんだ。

結果から言うとアランは私に本を譲ってくれた。それも無償で。

自分は旅の途中で今すぐ読める訳でもないし他の街でも買えるからって。

その後はその本や他の本の話でとっても盛り上がって気づいたら日が暮れかけてたよ。

アランはそれまでに読み終わって持て余していた本を沢山くれてマグノリアを出て行ったんだ。

今思えばその時にはもうアランに惹かれていたのかもね。

 

次にあったのはそれから約半年後だった。

相変わらず魔法が使えなくて、その日も私はギルドを出てたんだ。

公園でベンチに座ってずっと自己嫌悪。

考えれば考えるほどグルグルと悪い思考が回り続けて、最終的には魔道士になるのを諦めようかな・・・・・・なんて考えるくらい。

あはは、バカだよね。でもその時の私は真剣だった。

そして、そんな時にアランが現れたんだ。

思わず抱きついちゃってね、そのまましばらく泣き続けたんだ。

アランは何も言わずに受け止めてくれた。

子供だからって軽く考えないで私の話を真剣に聞いてくれた。

そしてアランは自分の事も少し話してくれた。

今でこそ自分は魔法を使って旅をしているが魔法を使えるようになったのはつい最近だとも。

 

 

「よしレビィ。魔法の練習をしよう」

「え?」

「最近覚えた魔法があるんだけどそれがレビィにピッタリだと思う。俺も少しししか出来ないけどやってみようぜ」

「・・・・・・うん、わかった!!」

 

 

そして私が教えてもらったのが今使っている文字魔法だったんだ。

本に書いてあった魔法だったからソレを読んだり、アランに魔法のコツや感覚なんかを聞きながら私は頑張った。

そして―――初めて魔法が使えたんだぁ。

fireの字から出た火はライター程度の大きさだったけど、凄い嬉しかった。

思わずまたアランに抱きついちゃったりして・・・・・・。

あの時の感動は今でもはっきり覚えてる。

 

そしてアランは喜ぶ私を連れて魔法屋に行ったんだ。

私はよくわからなかったけどアランが店の人と一言二言交わして暫くすると、店の人が何かを持ってきてアランに手渡した。

そしてそのままアランは私の顔にソレを掛けたんだ。

 

「うん、よく似合ってる」

 

ソレは最近発売されたばかりの『風詠みの眼鏡』だった。

 

「え、アランこれは?」

「プレゼントだ。魔法成功の記念に」

「ダ、ダメだよこんな高いモノ貰えないよ!!」

 

時が経ち、ありふれた物となったモノも発売されたばかりの当時はとてつもなく高価だった。

勿論、既に愛書家となりつつあった私も欲しかった。

だけど一子供が手を出すことなどとても出来ないような値段だったから諦めてたし、断ったんだけど結局なし崩し的に貰う事になってしまった。

 

そしてアランが街を出て行く時間になってしまった。

もう遅いし今日は宿に止まればとも言ったのだが、仕事がちょっと遅れ気味だと言って出て行く姿勢を変えなかった。

そんな状態なのに自分に時間を割かせてしまって私はまた自己嫌悪に入ってしまったのだが、アランもどうやら失言だったらしく必死に慰めてくれた。

笑いながらレビィのためなら安いもんだと言われた時には顔が熱くなった。

アランを見送るために話しながら来たのだが、街の出口に着くとアランが真面目なトーンになって口を開いたんだ。

 

「それとな―――」

「え?」

「さっき自分の事をいてもいなくても同じ存在って言ってたいたがそれは違うぞ」

「・・・・・・」

「レビィが皆のことを大事に思っているように、皆もレビィの事を大事に思っているさ」

「でも私、皆みたいに強くない」

「いいじゃねーか、それでも。たとえ前に出れなくとも、影となり後ろから支える。それこそ誰にでも出来る事じゃない。何事も本当に大事なのはそういった支えてくれる存在だ。魔導4輪だって見た目がいくら立派でも中の歯車が一つでも狂えば役に立たない。だからもっと自信を持て」

 

ニカっと笑いながらそう言ってアランは街を出て行った。

 

 

 

 

△△△

 

「これが私とアランの昔の出来事。その後もマグノリアや仕事先で偶然出会ったりもしたけど」

「なるほどね、そんな事が。もしかしてレビィちゃんのチーム名のシャドウギアって」

「うん。その時聞いた話からね」

「なるほど。そんな事があったんだんね」

「まあ、他の皆もアランとは色々あったみたいだけどね」

「へー。でもその割にはアランってギルドに入ったの最近だよね。誰も誘わなかったのかな」

「ううん。私も含めて大勢が誘ったみたいだよ。私の時は『今は色んな所を旅して魔法を鍛えたり見聞を広げたい』って断られちゃったんだけど」

「私前にアランの旅を本にしたら凄い売れるって聞いたことがあるけど、話を聞く限り本当にそうなりそうね」

「あはは、実際にオファーがあったらしいよ。断ったみたいだけど。私達には偶に話してくれるから今度聞いてみなよ。小説のネタに出来るかもよ?」

 

 

そのまま2人は話を続けた。

暫く話し続けて街が夕焼けに染まりつつなった。

そろそろ帰ろうかと2人が話しを切り上げようとした時、公園に一人の人物が姿を現した。

 

「ここにいたのか」

 

今日の話の主軸であったアラン・クロスフォードその人だった。

 

 

 

 

□□□

 

「アラン何でここに?」

「ナツとグレイをシメて聞き出した。眼鏡、壊れちまったんだってな」

「うん・・・・・・。ごめんね、アランに貰った大切なモノなのに」

「違うのアラン、レビィちゃんは悪くないわ!!あれはナツたちが――」

「わかってるわかってる。周りにも聞いたしアイツらの仕業って事も聞いたよ」

「でも・・・・・・」

「俺としちゃあこんなに長い間使ってくれてたことが凄い嬉しいよ。ありがとなレビィ」

 

ポンポンとレビィの頭を撫でるアラン。

瞳を潤ませながらコチラを見上げてくるレビィの仕草に思わず抱きつきかけたが、グッと堪えて本題に入ることにする。

 

コートの内側からある物を取り出しレビィに手渡す。

それはパッと見、長方形の箱だった。

しかしレビィには見覚えのあるデザイン。

それもそのはずで件の風読みの眼鏡を入れていたケースだったからだ。

眼鏡とセットで貰ったものなので眼鏡と同じで愛着がある。

 

「開けて見な」

 

言われるままに開けてみるとそこにはレンズが直っており、フレームや塗装なんかもしっかりと修繕されたレビィの眼鏡だった。

 

「え、何でこれ?」

「最初に魔法屋に行った時に店主に聞いて預かった。そしてそのまま自宅で直してきた。だいぶガタがきてたみたいだからレンズだけでなくフレームなんかもしっかりしといたよ」

「ありがとうアランっ!!」

 

感激のあまりアランに抱きつくレビィ。

アランもレビィの背に手を回して優しくさする。

2人の周囲にピンク色の空気が充満する。

そしてレビィが顔を上げてアランを見つめる。

レビィがそっと目をつぶり、アランが顔を近づける。

そのまま2人の影がかさな――

 

「あー、ごほん!!」

 

――る前に、見事取り残されて空気となっていたルーシィの大きな咳払いが2人を現実へと引き戻した。

レビィが顔を真っ赤にしてアランから離れる。

本当はまだくっついていたかったがルーシィの前では流石に恥ずかしいようだ。

ちなみにアランは気にしていないようだ。豪胆なものである。

 

 

 

 

3人でギルドに戻る道すがら、アランは事の次第を2人に話していた。

 

「え!?じゃあ直したっていうより作り直したの!?」

「ん。まあ、そうなるかな」

 

アランはただ修復したのではなく、新しいレンズに魔法を掛けて作成したのだ。

 

「あれ?でもソレってやばいんじゃ・・・・・・」

 

ルーシィの疑問ももっともで、今回のアランの手法は商品の権利侵害に当たってもおかしくはない。そんな心配は無用とばかりにアランは2人に問いかける。

 

「2人とも風詠みの眼鏡の発明者の名前を知ってるか?」

「えっと、確かフォード社のラン・アクロスって名前だったような」

「うん。他にも色んな魔法アイテムを生み出してる天才発明家よね」

「そういう事だ」

「「?」」

 

疑問符を浮かべる2人に軽く笑ったあと、光ペンを取り出して空中に文字を綴る。

 

Ford company = Lan Across

 

そしてペンをシュッと振るとcompanyの部分が消え、他の文字が動き出した。

そうして入れ替わり完成したのは次の文字。

 

Alan = Crossford

 

「と、いう訳だ」

「「ええぇーーーーっ!?」」

「ま、とは言っても俺の研究を知人に提供しているだけさ。作っても問題にはされないけど権利はあっちのものだし」

「何かさらっと言ってるけど・・・・・・」

「うん。とんでもないことだね」

 

そのまま歩き続けてルーシィとは彼女の自宅で別れた。

レビィはそのまま一緒に歩いている。

そしてアランの自宅へとたどり着いた。

 

「さて、着いたがどうする? 泊まっていくか?」

「ううん、今日は帰るよ。一度ギルドに顔出して来る」

「ナツ達なら多分ダウンしてるぞ?」

「あはは、でも他の皆にも会っときたいし」

「そうか」

「ありがとね」

「眼鏡の事なら気にしなくていい」

「ソレもだけど・・・・・・、昔の事とかね。アランがいないと今の私はいなかった」

「それこそ気にしなくていい。アレは俺がしたくてやったことだし――」

 

最後まで言うことは出来なかった。

レビィが急に俺を引っ張り口を塞がれたのだ。――キスによって。

急なことに反応が遅れた俺にレビィはニコッと笑っていった。

 

「それでも私は救われた。ありがとうアラン。大好きっ!!」

 

そう言ってレビィは走って行ってしまった。

 

「不意打ちはずるいな・・・・・・」

 

俺の顔は夕暮れと合わせてとても赤くなっているのは明白だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

×××

 

 

本日のボツシーン

 

アラン「特性魔改造による機能をご紹介しよう。元来の速読昨日は勿論、赤外線機能や暗視効果に望遠モード。録画モードで撮った映像を魔水晶で確認可能。更に今回のようなことがあっても大丈夫なように衝撃に対して瞬間的に簡易防御魔法を発動し傷つかない。極めつけはコレ、レーザービーム発射機能。出力MAXで打てばナツの咆哮並みの威力が出る」

レビィ&ルーシィ 「「スゴッ!!」」

アラン「ちなみに一般発売するとしたらお値段800万ほど」

レビィ&ルーシィ 「「高ッ!!」」

 

 

 

 




しばらく更新できないと思うので今回は番外編です。
レビィだけでなく他のメンバーとの出会いなんかも書ければいいなあと思っていますが今回はこんな感じになりました。

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