「もうやめよう、エルフ兄ちゃん」
霞む視線を向けるとリサーナが両手を広げ立ちはだかっていた。
その後ろの方ではミラが倒れている。
おそらく動けないであろうミラはそれでも必死に声を上げ続ける。
「止めろリサーナ!!」
「大丈夫だよミラ姉。」
一度振り向きミラにそう返すと、エルフマンへと振り向き声をかける。
「もうやめようエルフ兄ちゃん。もう大丈夫だから、ね?」
それでも止まらない。
ゆっくりとした足取りだが確実にリサーナに近づいていく。
「リサーナぁ!!」
「バカ野郎!! さっさと逃げろ!!」
ミラに続いてアランも声を張り上げる。
が、聞く気がないのかリサーナはエルフマンに向かって話し続けている。
「ほら、早く帰らないとみんな心配するよ? マスターにも怒られちゃう」
そして遂にリサーナの前に立つ。
その腕がゆっくりと振りかぶられていく。
そして・・・・・・
「「逃げろぉおおおおおおおおおおおお!!」」
「
・・・・・・その腕がリサーナに振るわれた。
△
自分の体ほどある腕に殴られたリサーナは、何度かバウンドを繰り返しミラのそばに吹き飛ばされた。
「・・・・・・リサーナ? おい、・・・・・・リサーナ!」
ミラが呼びかけるが反応がまるでない。
必死に呼びかけ続けるミラに対して近づくエルフマン。
それを見た瞬間、俺は弾かれたように走り出す。
とはいえダメージは大きく、視界は歪み足がふらつく。
それでも走り続ける。
これ以上はやらせない!!
【同調/シンクロ】率を上げながら、右手で左手首を掴む。
そのまま左腕を引き抜かんばかりに強く引く。
徐々に左腕が姿を変えていく。
ソレはこの8年間の修行でも未だ完璧には扱えない。
十字架の描かれた大剣、
その剣を逆手に持ち直し走る。
しかし、奴は既に二人の目の前にいた。
再び振り上げられる腕。
ミラはリサーナを庇う様に抱きしめるとその目を閉じる。
腕の上昇が止まる。あとは振り下ろすだけだろう。
いい加減にしろ!!
大事なもんだろうが!!
守るべきものだろうが!!!!
「テメエ!! 家族じゃねえのかよ!!!!」
ヤツの動きが一瞬停止する。
頼む
「おらぁああああああああああああ!!」
雄叫びを上げながら、退魔の剣を走っていた勢いのままに投擲した。
剣はヤツの胸に刺さり、その体ごと吹き飛ばして後方の大木に縫い付けた。
そして俺は勢いのままに転倒し、無様に転がり続けた結果、ミラ達の少し隣でやっと停止した。