「おい、大丈夫か?」
地面に寝転がったまま、ミラに声をかける。
俺の声を聞いて、おそるおそるといった感じでミラは目を開いた。
「ど.どうなったんだ?」
声を出すのもしんどかったので、視線と共に指をさす。
その方向ミラが目を向けると、一度大きく目を見開く。
そして(今までもうっすらと涙を浮かべてはいたが)ボロボロと泣き出してしまった。
「エ.エルフマン・・・・・・ひっく・・・。」
「お、おいおい泣くなよ」
な、何で泣くの!? 俺何かした!?
もう一度確認してみよう。
・・・うん。エルフマン(獣形態)が左胸に大剣が刺さった状態で動いてないね。
・・・・・・ってまさか。
「迷惑かけたな・・・ぐすっ・・・。あいつを止めてくれてありがとう。遺体は私が責任を持って片付ける・・・・・・。」
だあぁああああああああああ!!
やっぱり盛大に勘違いされてるうぅうううううううう!!
あまりの事に疲労や痛みも忘れ跳ね起きる。
「ち、ちがう!! あれは・・・」
「いいんだ・・・。あのままだと近くの町にも被害が出てたかもしれない。あんたのした事は正しいよ。」
「い、いやだから・・・」
「いいんだって!!全ては弱い私に責任があるんだ!!それより先にリサーナだ」
「だから・・・」
「おい!! お前も左腕ヤられてるじゃねえか!!早く治療を「アイツは生きてる!!」・・・え?」
「驚かせてすまない。あいつは生きてるよ」
「で、でも心臓にあんな大剣が」
「あの剣は肉体を傷つけない。あいつを操っていた内側の精神と暴走していた魔力だけを攻撃したんだ。だからあいつに外傷はない」
「じゃ、じゃあエルフマンは」
「ああ、見てみろよ」
二人であらためて目を向けると巨大な体躯が少しずつ縮んでいく。
しばらくするとソレは完全にエルフマンの姿へと戻った。
そしてゆっくりと目を開いた。
「うう・・・・・・、あれ? 姉ちゃん?リサーナ?」
「エルフマン!!」
歓喜の声が上がる。
これでひとまず安心か。
そう思ったが俺たちは未だ危機の真っ只中にいたことを思い知る。
△
しばらくしてマズイ事になった。
エルフマンを正気に戻した。
多少の怪我や疲労感はあるだろうがそれだけだ。
問題はそこじゃない、リサーナだ。
ミラとエルフマンが必死に呼びかけた結果、目を開けたがその後に異変が起こった。
リサーナの体が光りだしたのだ。
そして徐々に薄くなり、光の粒子となり天へと昇っていく
ミラとエルフマンは涙を流し続けている。
理屈は解っていないだろうがこのままだとマズイ事になるのは明らかだ。
俺は思い出した。確かこれはアニマとかいうモノの仕業だったはずだ。
アニマが弱っているリサーナを魔力として吸収しているのだろう。
だったらやりようはある。
アニマを逆流させればリサーナを救えるはずだ。
今日は力をかなり使った。さらにコレは俺の苦手とするモノだ。
これまで以上の負担となるだろう。
だが、それで諦める理由にはならない。
集中だ。これまでにない程に。
範囲はここら一帯だ。
「イノセンス発動!!
発動と同時に天空に大きな時計盤が出現する。
二人が驚いているようだが気にしている余裕は無い。
「
対象空間の時間を逆流させ、空間内を一定の時間がたつ前の状態に戻す技だ。
巻き戻した時間はそのままである。
もちろん強力な分リスクが存在する。
まず生物には作用しない。
つまり俺が指定したのはリサーナではなくアニマだ。
その結果アニマは逆展開を始める。
天へ昇っていたリサーナがゆっくりと降りてくる。
それをミラとエルフマンが受け止める。
透けていた体も元に戻ったが、リサーナの怪我自体は変化していないため危険な状態には変わりない。すぐさま治療が必要だ。
「ぼーっとするな!! 早く医者に連れてけ!!」
「あ、ああ!!」
「お前は!?」
「俺は今動けん、いいから行け!!」
まして膨大な集中力と魔力を使う
二人は少し逡巡したが、リサーナを背負って走りだした。
二人が走りながらもこちらに振り向き声を掛けてくる。
「すまない!! 恩に着る!!」
「あんたも無事でいてくれ!!」
悪いが二人に返事をする余裕は無い。
かろうじて小声で声を出す
「ティム、二人について行ってくれ」
俺の声を聞いてそれまで服の中に隠れていたティムキャンピーが顔を出す。
こちらをジッと見つめて迷っているようだ。
「俺なら大丈夫だ。行ってくれ」
その言葉を聞いてティムはすごいスピードで二人の走っていった方向へと飛んでいった。
ティムの姿が視界から消えてしばらく待った。・・・・・・そろそろいいか。
俺は
そして・・・・・・・・・・・・
「ガハッ!!」
俺は盛大に吐血し、倒れ込んだ。