暴走神に敗れし者、この地に現れる   作:弓風

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11:武偵殺し

 沢山の雨粒が空から降り注ぐ今日この頃。

 私が学校で一時間目の授業を受けている最中、ゆとり先生からのお呼び出しが掛かって、授業中の教室から廊下へ出る。

 私に何の一体なんだろう?

 

大和 「どうしました?」

ゆとり先生 「ごめんなさいね、授業の邪魔してしまって。実は神崎さんから緊急の依頼があるから電話を掛けたらしいのですが、応答がなかったから伝えてって言われたの。」

 

 緊急の依頼と来てピンと来た。

 なるほど、先日キンジが折れたと言った約束かな。

 一回だけしかやらない条件だから、アリアは選別して選ぶと思ったけど実際は予想より遥かに早かった。

 つまり緊急かつ、アリアの基準を容易に超える危険度の高い依頼となるのかな。

 凄く手間の掛かりそうな事件かなぁ。

 

大和 「分かりました。直ちに行動します。」

ゆとり先生 「アリアさんの事ですから、きっと難しい依頼なんでしょう。ですがきっと大丈夫ですね!そうでしょう?絶対守護さん?」

 

 私が居れば無事達成出来ます的な雰囲気を持つゆとり先生に、何とか私は期待に答えようと一言言う。

 

大和 「ゆとり先生、私は仲間の盾です。命に変えても仲間は護ります。」

 

 私の発言に、ゆとり先生は表情を一変させて悲しそうな顔をする。

 

ゆとり先生 「宮川さんは自分をないがしろにする傾向があるので。先生、凄く心配です。」

大和 「こればっかりは変えられませんし変えません。もし、何かあったら───その時はお願いします。」

ゆとり先生 「わかりました・・・それでは、依頼頑張ってね。」

 

 心配そうなゆとり先生と別れて授業中に着信のあった番号に電話する。

 携帯同士が繋がってから一回すらコールせずにアリアが出た。

 

アリア 「「遅いっ!!何やっていたのよ!すぐにC装備に武装して女子寮の屋上に来なさい。時間が無いの!」」

大和 「話は向こうで聞くよ。」

 

 電話を切ったら装備室へ駆け出し、アリアに言われたC装備を着始める。

 C装備───それら武偵の使う装備の一種で、危険な事件を扱う時に装備する物。

 これを用意しろって事は、危険な事件でほぼ確定だね。

 さて、武器をどうしよう。

 私は窓から軽く外を見渡す。

 ここから女子寮までそこそこ距離あるし、結構強い雨・・・ていうかゲリラ豪雨並みの雨が降っている状況。

 拳銃とナイフだけで、刀は移動の邪魔になるから置いていった方がいいかな。

 装備が揃えたら外に飛び出し、平賀に追加で改造してもらったフックショット改めアンカーショットを使って豪雨の中、女子寮を目指した。

 

 

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 任務のコンディションとしては最悪の一言と呼べる大雨の中。

 俺達は女子寮の屋上でローターが回転するヘリに乗り込んで、大和の到着を待っている所だった。

 アリア、俺、レキ、大和の四人のパーティーで行く予定だったが、大和と連絡がようやくついたらしく到着が遅れている。

 俺は武偵高側の街中を遠くまで目を凝らして眺める。

 やっぱり駄目だな。

 外は大雨で極端に視界が悪い上、来ているのかも良く見えねぇ。

 

アリア 「時間切れよ。上げて。」

 

 大和の到着を待たず、アリアはヘリを上げるようパイロットに指示を出す。

 

キンジ 「おい、大和はどうするんだよ。」

アリア 「残念だけど今は時間が惜しいわ。私達三人で対応するしかない。」

 

 ヘリが屋上から離陸しゆっくり上昇に転じた瞬間、カンッ!と金属が接触する音が鳴った。

 

キンジ 「なんだ?うおっ!」

 

 俺が訝しげに開いたままのハッチから覗き込むと同時に、豪雨でびしょ濡れの大和がヘリ内部に突入してきた。

 

大和 「ごめん、遅れた。」

アリア 「遅い!でも、今回はギリギリ間に合ったからいいとしましょう。アタシは忙しいから事件の内容はアイツから聞いてちょうだい。」

 

 何かの作業をしつつアリアはそう言う。

 アリアにとってのアイツって、どう考えても俺を指しているよな。

 無視すると後で何されるか分からんから、観念して俺は大和へ向き直る。

 

キンジ 「大和。えっと、それがな───」

 

 俺は大和に対して知っている限りの内容を簡潔に伝えた。

 武偵高の通学バスが爆弾によってハイジャックされ、アリアは犯人として、絶対あり得ないはずの逮捕されたはずの武偵殺しが犯人とほざいているとかを伝え、そして話し終わったタイミングでレキが声を発した。

 

レキ 「見えました。」

 

 レキの覗くヘリ右側の窓を全員が外を確認する。

 外は随分ぼやけているが、なんとか台場の建物や湾岸道路が目視出来た。

 というか、バス何処だよ。

 

キンジ 「何も見えないぞレキ。」

レキ 「ホテル日航の前を右折しているバスです。窓に武偵高の生徒が見えています。」

アリア 「よ、よく分かるわね。アンタ視力いくつよ。」

レキ 「左右ともに6.0です。」

 

 サラッと超人的な数字を言ったレキに、俺とアリアは顔を見合わせてしまう。

 

大和 「流石レキ。」

 

 ヘリの操縦者がレキの指示する通りに降下するにつれて、バスが車を何台も追い越しながら猛スピードで走行中なのが俺の視界にも入る。

 

アリア 「空中からバスの屋根に移るわよ。アタシはバスの外側をチェックする。キンジは車内で状況の確認。大和は周囲の監視。レキはヘリでバスを追跡しながら待機。」

 

 簡単な指示をテキパキ伝えると、アリアは降下用のパラシュートを天井から取り外し始めた。

 

キンジ 「おいアリア、もし中に犯人でもいたら人質が危険だ。」

アリア 「武偵殺しなら車内に入らないわ。」

キンジ 「そもそも武偵殺しじゃないかもしれないだろ。」

アリア 「違ったらなんとかしなさいよ。アンタ達なら、どうにかできるはずだわ。」

 

 おいおい、ふざけるなよな。

 アリアのやろうとしている事は、セオリー無視を通り越して常軌を逸している。

 確かにスピードが命の事件ではその場で判断して、対応し解決するのは十分理解できる。

 だがな───まともな計画どころか状況の判断を全て個人個人に任したら、パーティーとして連携が取れず足を引っ張る結果になってしまうだろ。

 そんなのパーティーとは程遠い。

 これはアリアが殆どソロで戦ってきた弊害か?

 

アリア 「行くわよ!」

 

 アリアが先頭に俺、大和の順でヘリのハッチから空へ飛び出す。

 ある程度勢いがついたら、空中でパラシュートを開きつつ俺は自由落下するようにバスの屋根に転がった。

 

キンジ 「あっ、しまッ!」

 

 最近はまともな依頼をこなしていなかったのと雨のせいで、危うくバスから滑り落ちそうになる。

 すると、バスから落下しそうになる俺をアリアの手を持って支えてくれた。

 

アリア 「ちょっと!約束に従ってちゃんと本気でやりなさいよ!」

 

 イラッとした声で叫ぶアリアに───

 

キンジ 「本気だって・・・これでも、今は!」

 

 落ちないよう支えてくれてる間に体勢を立て直し、バスの屋上から周りを見渡す。

 んっ?待て、大和がいないぞ!

 アリアも大和が居ない事に気づいたらしく、慌てて辺りを見回す。

 まさかあいつに限ってミスって落ちた訳ないよな!

 

大和 「───勝手に殺さないで欲しいなぁ。」

 

 ハッとなり声のする方に視線を動かした瞬間、バスの屋根から死角になっていた側面から大和が飛び越え現れる。

 突如現れた大和は俺の頭上を飛び越え、アリアのすぐ傍に着地する。

 

アリア 「心配かけるんじゃないわよ!」

大和 「私はこっちの方が慣れているから使ったけど、心配させてごめんね。」

 

 アリアの叱責に軽く謝罪をしつつ、大和は腰にあるフックショットを手で叩く。

 んっ?大和のフックショットの形状が前と違うな?

 いや、今はそんな事を考えている暇は無いか。

 

大和 「それとアリア。爆弾は多分車体の下にあるよ。」

アリア 「本当?分かったわ。キンジも動きなさい!」

 

 アリアの言葉をキッカケにそれぞれが動き始めた。

 俺は鏡付きの伸縮棒で、バス内部に怪しい奴がいないか確認する。

 パッと見た目の感じはバスの中は生徒ばっかりで、特に怪しそうな奴がいないと判断して、窓から車内に侵入する。

 後々考えてみれば、これだけ武偵が居れば変装してもバレるから車内には居ねぇよな。

 

武藤 「キンジ!」

 

 中に突入した先に聞き覚えのある声が耳に届く。

 声のした方向に顔を動かすと、今朝バス停で俺を見捨てた武藤がそこにいた。

 

キンジ 「よう!今日会うのはこれで二回目だな武藤。バス停で置き去りにしたの忘れてないからな!」

武藤 「あれば仕方無かったんだからしょうがねぇだろ!お蔭様で今日は最悪の日だぜ!───それよりあの子だ!あの子!」

 

 武藤に案内され視界に入ってきたのは、俺の後輩の一人である眼鏡をした少女が、酷く怯えている様子で携帯に握り締めた。

 近づく俺に後輩が気付き、震えながら声を荒げる。

 

後輩 「と、ととと遠山先輩!助けてっ!」

キンジ 「落ち着け。どうした?何があった。」

後輩 「い、いい、いつの間にか私の携帯がすり替わっていたんです。そ、それが突然喋り出して!」

犯人 「速度を落とすと、爆発しやがります。」

 

 ───そういう事か。

 後輩の持つ携帯から、この前食らった俺のチャリジャックの際に使われたボーカロイドの音声が流れる。

 これは今回の犯人は俺の時と同じ犯人で間違いないか。

 

 

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 取り敢えずバスの屋根で周囲を監視しているところだけれども、相変わらずの豪雨で周りが視界不良。

 冗談抜きで本当に視認性が悪い。

 キンジは中で状況の確認、アリアは爆弾を探していて、アリアの方はそろそろ見つけられる頃のはずだけど───

 その時、アリアの報告が無線機を通じて届く。

 

アリア 「「キンジに大和、どう!状況を報告しなさい!」」

大和 「「周囲に異常なし。」」

キンジ 「「車内犯人は居ねぇ。お前の言った通り遠隔操作だった。そっちは?」」

アリア 「「あったわ!カジンスキーβ型のプラスチック爆弾、武偵殺しの十八番よ。炸薬は最低でも・・・3500cm³以上あるわ。」」

 

 えっ3500立方cm³?

 それはつまり、約5kgのプラスチック爆弾?

 高層ビル用の極太H鋼ですら簡単に爆風で破断する量。

 構造上耐久性に欠けるバス程度はおろか、軍用軽装甲車輌ですら容易に吹き飛ばせる量じゃん!

 

アリア 「「潜り込んで解体を試みてみるわ!」」

 

 アリアが爆弾の対処を行おうと途端、バスの後方側から甲高い高回転のエンジン音が少しづつ近づいてくる。

 んっ?雨でよく見えないけど、あれは────

 無線機のボタンを押しアリアに通信を繋げる。

 

大和 「アリア、解体は止めておいた方がいいよ。」

アリア 「「どうしてよ!」」

大和 「お客さんのご登場だよ。」

 

 私の視野範囲に入ったのは一台のオープンカー、ルノー・スポール・スパイダー。

 ルノーはドンドン加速しスピードを上げて、真っ正面からバスに突っ込む形を取る。

 この行動に大半の方は運転手は何を考えているのかと思われそう。

 でも運転手席は無人で誰も乗っていない代わりに、カメラ付きの短機関銃のUZIが乗っていた。

 無線機のボタンから指を離してホルスターから銃を取り出して、ルノーの右前方のタイヤを撃つ。

 しかしルノーのタイヤがパンクする様子はなかった。

 一瞬ミスった?と思ったけど、違う。

 これは───防弾タイヤ!

 通常のタイヤならいざ知らず、防弾タイヤは拳銃程度の高速弾じゃあ駄目、少なくともライフル弾並みじゃないと撃ち抜けない。

 これならSVU持ってくれば良かったと後悔する暇もなく、ルノーは全速力でバスに突撃し接触する。

 ぶつかった衝撃でバスが瞬間的に加速し左右に大きく揺れ、雨で濡れた屋根から落ちないよう屋根にアンカーを打ち込んで体を支える。

 やがて揺れが収まってから、バスの後ろ側から爆弾を解体しようとしたアリアの方が心配になり無線を送る。

 

大和 「アリア大丈夫?」

 

 アリアからの応答がない。

 まさか落ち───てなかった、何とかバスの下に引っ付いているね。

 存在感知で全員の位置を確認する。

 

キンジ 「おい!大丈夫か!?」

大和 「両方大丈夫だよ。───全員伏せてッ!」

 

 伏せてと叫んだ後、私も言葉通り自分の身を低くする。

 側面に回り込んで同行するルノーのUZIの銃口が、バスに向く。

 皆が私の警告で身を低くした瞬間、UZIから無数の銃弾が放たれた。

 いくら防弾製とは言え元が脆弱なバスの窓ガラスは、大量に放たれた銃弾によって全て粉砕、破壊する。

 ルノーからの銃撃が終わった途端、バスが妙な揺れ方をしながら速度が下がり始める。

 あっやばい、これは運転手をやられたっぽいね。

 バスがどんどん車線から大きくはみ出ていく。

 

大和 「キンジ、運転手はどうなっているの?」

キンジ 「「さっきの銃撃で肩を負傷した。今、武藤に運転を替わってもらってるところだ!」」

 

 キンジの声に紛れて武藤の声が奥から声が聞こえて、バスが再び加速し始める。

 幸いにもこの世界の物はヘッドフォンから石鹸まで防弾性ばっかりだから、このバス本体もそこらの9mm弾程度じゃあ破損はしても簡単には大破しない。

 しかし問題はどの方法も有効打に欠けるこの現状。

 爆弾を止めようとすればルノーの邪魔が入る

 ルノーを破壊しようとしても勿論ルノー自体も防弾製。

 このまま待機してもジリ貧。

 対応を考えている間にバスは有明コロシアムを通りすぎ、レインボーブリッジへと走っていく。

 レインボーブリッジの入り口付近の急カーブを、乗客全員の重心移動で片輪走行になってでも曲がり切る。

 ギリギリで曲がれて一瞬だけ安心する。

 ふぅ~、車輛科の優等生の武藤じゃなかったら多分横転してたよ。

 そしてカーブを通り過ぎた後のレインボーブリッジには、このバス以外の車が一切走っていない。

 多分、警視庁か東京武偵局が手を回してくれたのかな。

 

アリア 「アンタ達、大丈夫!」

 

 ルノーが衝突してからずっと車体の下にいたアリアが、バスの後ろ側からワイヤーでよじ登って使って上がってきた。

 しかし登ったタイミングが悪かった。

 待ってッ!!アリアからは死角になって気づいていなかっただろうけど、そこは!

 私の視線の先には、先程までバスに随伴していたルノーがバスの後方を走行していた。

 ルノーの銃座が、背中を見せている無防備なアリアに照準を合わせる。

 まずい、どうしよう!

 アリアに伏せるように叫ぶ?

 いや、アリアはルノーに気づいていないから手遅れになる。

 お兄さんの使った銃弾撃ち?

 UZIの弾幕を拳銃で防ぐのは流石に無理。

 魔術?

 詠唱が間に合わないし、間に合っても効果は私だけだから意味がない。

 ナイフで弾く?

 銃座はもう照準を合わせているか、今からだと不可能───

 ─────こうなったらッ!

 私は素早くアリアの手を掴み、思いっきり私の方に引っ張る。

 

アリア 「きゃっ!?」

 

 アリアは軽く悲鳴を上げてバランスを崩し、バスの屋根に倒れる。

 そして私はアリアの上から隠すように覆い被さる。

 アリアに被さった瞬間、私の背中全体からハンマーで殴られたような衝撃を何度も受け、骨が軋み悲鳴を上げる。

 

大和 「ッ───!!」

 

 背中に受けた衝撃が内臓にまで伝わりダメージを与える。

 まるで、全身をミキサーにかけられるような感覚が全身に及ぶ。

 次いで呼吸が遮られ、肺が酸素を求め大きく喘ぐ。

 が、更に弾が命中し呼吸する暇すら与えられない。

 そんな状態に置かれた結果、私の意識は即座にブラックアウトする。

 

 

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アリア 「えっ、ウソっ!!」

 

 ルノーから数発の銃声が聞こえた後、バスの屋根からアリアの悲鳴の混じった声がバスに響いた。

 俺は心底嫌な予感をしつつワイヤーを使って屋根の様子を確認する。

 するとそこには、屋根に倒れたアリアと、倒れるアリアを庇うように覆い被さってる大和の姿が!

 

キンジ 「何っ!?一体何が起きっ!」

 

 大和のような奴がそう簡単にミスをするとは考えにくい。

 ルノーの位置とさっきの銃声、二人の位置を見ると自然と予想が浮かんできた。

 あのバカッ!!自分を犠牲にして盾になりやがったな!

 俺が事態を把握した頃、後方にいたルノーが加速してまたもや側面に回り込み始めた。

 おいおい!このままだと側面から撃たれるぞ!

 

キンジ 「おいアリア逃げろ!」

 

 俺はそう叫ぶが、アリアはどう動くか迷っているようだった。

 クッソ!!今までソロでやって来たせいで、仲間に庇われたこの状況で何をしていいか分からず大混乱してやがる!

 側面に回り込んだルノーがアリアに射線を通す。

 ───撃たれる!

 俺が肝を冷やした瞬間、一発の銃声が響いた。

 ・・・・・銃声が鳴ったのはずなのに、アリアに撃たれた反応は無かった。

 アリアが撃たれていない?

 もしかしてUZIは弾切れ?または外したのか?

 いや待て、あの低い銃声は9mmじゃねぇぞ。

 確か授業で聞いた・・・そう、7.62×54R弾。

 これはライフル弾だ!

 俺は慌ててルノーを確認すると、UZIの銃座が完全に破壊されていた。

 状況が読めない俺の驚く間に、再びもう一度銃声がルノーとは違う遠い距離から来ている事に気が付いた。

 そして今度はルノーが急激なスピンを始め、ガードレールに衝突した。

 あまりに急な変化に唖然としてる所で、ヘリのローター音が接近している事実に意識がようやく行った。

 バスに並走する形で武偵高のヘリが飛んでおり、大きく開かれたハッチから、膝立ちの姿勢で狙撃銃を構えているレキの姿があった。

 

レキ 「「───私は一発の銃弾。」」

 

 インカムからレキの声が聞こえてくる。

 

レキ 「「銃弾は人の心を持たない。故に、何も考えない───」」

 

 これは、レキや他のスナイパーの使う自己暗示か?

 

レキ 「「───ただ、目的に向かって飛ぶだけ。」」

 

 タタタァーン!!

 

 レキの狙撃銃の銃口から光が三度漏れる。

 三回の着弾音がした後、何かの部品がバスの後方に転がっていく。

 あれは・・・バスに付いてた爆弾か!

 

レキ 「「───私は一発の銃弾───」」

 

 レキがそう呟いて、再度発砲。

 高速で転がる爆弾から花火が上がり、着弾の衝撃を受けて橋から落下、海面に没する。

 水面に落ち、一拍置いて爆音が轟き水柱が噴き昇る。

 動きを制限していた爆弾が無くなった報告が車内に届くと、武藤がブレーキで減速し、バスが停止する。

 

キンジ 「まさか死んでないだろうな!本当に頼むぞ!!」

 

 動きが止まったバスの屋上に移動し、全身に冷や汗を流しながら俺は大和のすぐ傍に駆け寄った。




 亡くなる定めの農家:まただ。ここ最近地震がよく起こる。それも俺の家の周囲だけだし、それにこの前も金縛りも食らった。何か関連しているのか?
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