暴走神に敗れし者、この地に現れる   作:弓風

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すいません。リアルが忙しいのと別ゲーをやっていてサボっていました。これからは更新速度を上げて行きたいと思います。


14:序曲の終焉

 白い壁や天井、そして突き当たりには日差しの入る大きな窓が配置され、左右対象にスライド式のドアが立ち並ぶ長い廊下。 

 ここは私がバスジャックの後に運び込まれた武偵病院の二階の廊下だや。

 私は一人で廊下を歩き、何度も看護師や他の患者とすれ違う。

 ここに来た理由は別に私が怪我をした訳ではない。

 どこぞのお人好しさんが、空飛ぶジュラルミンの塊を島に落として怪我をしたから様子を見に来ただけ。

 にしてもまぁ、あのハイジャック事件も表向き解決した事になっているよ。

 しかし実際事件は解決してないし、犯人も捕まっていない。

 ちなみにそのお人好しは想像通りと言うか、打撲やら捻挫やらで苦しんでいるっぽいけど、そりゃそうよねって。

 ジェット機の操縦席の中で衝撃によりミキサーされれば誰でもこうなる。

 だからこうしてお見舞いに来た訳だけど。

 んー、あの事件を思い出してみればあれだね。

 ANA600便を誘導した後、まさかナークティトの障壁を減速用に展開する羽目になるとは思わなかったよ。

 まぁ幸い誰にもバレない様子だったから問題なしという事で。

 私は廊下の名札を確認しながら、そのお人好しの名前を探す。

 

大和 「えーと、あった。」

 

 私は名前の書いてあった病室のドアを開ける。

 そこには病室のベッドに寝転がっているお人好し、通称遠山金次がいた。

 

キンジ 「おっ大和か。」

大和 「まさか私が退院してすぐ、キンジが入院する事になるなってね。」

キンジ 「まったく厄介な話だな。それで何の用だ?」

大和 「そりゃあ、お見舞いに来たに決まっているよ。」

 

 するとキンジの顔が明らかに嫌そうに歪む。

 何でそんな嫌な顔を・・・あぁ、あれらが原因かな。

 原因だと考えたそれは、ベッドの傍の机に置かれていた。

 ヨーグルトにチーズ、漬物とかの発酵食品が山積みされていた。

 誰かは知らないけど、何故微妙なそれを選んだのか正直聞きたい。

 確かに発酵食品は体に良いし、だから沢山食えって事だろうけどね、

 少しばかり量が多くない?

 それにまだヨーグルトなら分からない事もないよ。

 でも病院に納豆はいけないでしょ。

 

キンジ 「見舞い・・・か。何を持ってきたんだ?」

大和 「んー?食品とかは嵩張りそうだからやめたのは正解だったよ。その発酵食品の山を見たらね。」

キンジ 「こいつら武藤達から渡されたんだ。このままにしておいたら医者とかに怒られちまうから持って帰ってくれねぁか?」

 

 どう見ても一人分の量じゃないのよね?その袋一杯の量は。

 しかも私、あまり大量食べれないから暫く毎食これらになるんだけど、仕方ないかぁ。

 

大和 「私が引き取るよ。あとこれ、キンジが一番嬉しいと思う物を持ってきたよ。あまり量は多くないけどね。」

 

 発酵食品に対してため息を付きながら椅子に座り、懐に入っていた封筒を手渡す。

 

キンジ 「なんだこれ?」

 

 キンジは封筒を渡されて困惑する。

 渡した封筒の中身は若干のお金。

 前回の試験以降Eランクに下がったキンジは、節約生活を強いられているらしくて、物を渡すよりいいかなって。

 ただ、中身を伝えたら遠慮しちゃうだろうから誤魔化しておく。

 

大和 「中身は後で見てね。ところでキンジ、武偵殺しを会ったんでしょ?」

キンジ 「はぁ~・・・概ね、お前の予想通りだったよ。」

 

 犯人が私の予想通り、そして最悪の場合を考えたら・・・そっかぁ。

 

大和 「理子かぁ。」

キンジ 「なぁ・・・お前、どうやって理子が犯人ってわかったんだ。」

大和 「情報と勘、かな。あくまで一つの可能性として考えていただけだから、あまり当たってほしくなかったけどね。」

キンジ 「そうか。あっ!えっと、やま・・いや、でも・・・・・」

 

 キンジが突如何か言い掛けては言い淀むを数回繰り返す。

 どうもキンジが何かを伝えるか、伝えないかで随分迷っている気がする。

 

大和 「別に話したくないなら話さなくてもいいよ?」

 

 それからキンジは数分間悩み続けた。

 首をかしげて難しい顔なって腕を組んだり、いきなり納得した様子に変化したと思ったら、また悩むループに突入したりととんでもなく迷う。

 そして───

 

キンジ  「───いや、やっぱり伝えておいた方がいいか。」

 

 言葉から察するに、何か重要で面倒な内容を言うつもりらしい。

 他人を巻き込む事を嫌がるキンジにしては珍しいね。

 

キンジ 「大和はハイジャック中の状況をどの程度知っているんだ?」

大和 「私は通信が繋がったところ以降かな。その前となると、多分理子が逃亡したんだろなぁってくらい。」

キンジ 「大体の区切りが理解できた。実は機内だとな、こんな事があったんだ。」

 

 と前置きをしつつキンジが当時の行動や状況を説明し始める。

 キンジが言うには、私が電話して後、理子と会って何故か聞いてないけどヒスったみたい。

 そしてその時アリアが危険な状況だと気づき、空港に向かいANA600便を止めようとしたけど不可能だったので、仕方なく搭乗し機内でアリアと出会った。

 機体離陸した後にコックピットから銃声が聞こえて様子を見に行った。

 そこには操縦士達を撃ったアテンダントがおり、煙幕で取り逃がしてしまった。

 しかし機内のバーでアテンダントに変装した理子と勝負した時、アリアがやられて一時的にピンチになる。

 でも幸いな事に私の渡したお札の効果で持ち直し、逮捕まであと一歩のところで理子は機体の外壁を破壊して大空へ逃げ去った、と。

 その後は私の知っている通りだった。

 

大和 「ふむふむ、理子の祖先はリュパン。ここまでわかったけど、私に伝えたい事ってこれなの?」

 

 キンジは首を左右に振って否定する。

 

キンジ 「それもあるが、正確に言えば理子が逃げる時に口にした言葉についてだ。あまり外で言うのはあれだが理子はこう言った。イ・ウーの教授はみーちゃんの事が気になっているぽいから、気をつけた方がいいかもねぇ~っとな。」

 

 一言で言うならとんでもない人物に目を付けられている。

 それに教授って、言い方的にその組織のトップか幹部でしょそれ。

 

大和 「随分面倒そうな人に目を付けられているのは勘弁して欲しいね。」

キンジ 「そもそも面倒で済むかどうかだぞ。」

 

 キンジも私と似たような心境のご様子。

 

大和 「それに理子の所属しているイ・ウーて、どんな組織だろう?」

キンジ 「さぁな。むしろ俺よりお前の方が知っているんじゃないか?」

 

 キンジはそう話すけどね~───イ・ウーか。

 私だってそれなりに調べ物は出来ているけど、ほんの僅な噂を聞いた事があるような無いような。

 うーんよく思い出せない、また調べる必要があるね。

 と言っても今まで表に出なかった名前だろうから、ろくな情報はないと思う。

 もっと身の回りも気を付けないといけなくなったなぁ。

 

キンジ 「俺も最初は巻き込まない方がと思ったんだ。だがよくよく考えてみたら、既に巻き込まれているから伝えた方がいいだろうからな。」

大和 「相変わらず迷惑な話だよね。」

キンジ 「安心しろ。俺も同意する。」

 

 相変わらずと言うか何と言うか、私とキンジが目線を合わせて同時にため息を吐き出す。

 

大和 「それじゃあ長く居るのもあれだろうし、私は帰るよ。」

 

 食品の入った袋を持って椅子から立ち上がり、ドアに取り付けられたパイプ製の取手を握ったまま、体をキンジの方に振り変える。

 

キンジ 「じゃあな、次は学校で。」

大和 「じゃあね、キンジ。」

 

 

▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲

 

 

 ANA600便のハイジャックから少し経った頃、退院したキンジはアリアとパートナーを組んだみたい。

 詳しい理由は聞いてないから知らないけど、あのお人好しの事だから、自分に言い訳をして組んだろうなって。

 それか機内で何かしらあったのかも知れないね。

 でもこれでアリアも少しは大人しくなっ・・・・・

 

 ───パンパンッ!!

 

 二発の銃声が下のグラウンドに鳴り響く。

 私が居る強襲科用建物の屋上から、落下防止フェンス越しに下を見渡すと、アリアが相変わらずキンジに向かって発砲していた。

 

大和 「・・・変わらないねぇ。」

 

 私は下の様子を眺めるながら苦笑いする。

 キンジは全力で逃げている中、数m後方のアリアが二丁拳銃のまま追いかけている。

 この光景は前と変わらない───けど、なんとなくアリアの様子が若干明るくなった気がする。

 パートナーが出来たからなのか、キンジのお陰だからなのかはわからない。

 とは言えこのままだとキンジが不憫過ぎるし、今度退院祝いでも持って行ってあげようかな。

 ただアリアも危なっかしいから、せめて銃口管理はちゃんとやって欲しいと思う。

 まぁ今の私達の日常はこんな感じ。

 ───果たしてこの日常は一体いつまで持つんだろう?

 この日常は台風一過ではなく、嵐の前の静けさだと考えている。

 今の間に何が起きても大丈夫なように備える準備期間だと、私はそう思考する。




 植物学者の言葉:金属的な灰色をした木が生えているので、近づいて行ったら、その木に襲われる羽目になるとは思いもしなかった。
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