暴走神に敗れし者、この地に現れる   作:弓風

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3:学校生活

 ちょうど正式に東京武偵高で入学式をたった今終え、自分の教室に向かっている途中、色々と多分初めての感覚に若干戸惑う。

 私が東京武偵高の制服に身を包み、高校内を歩いているなんて全く予想してなかったよ。

 学生服なんて初めて着たよ、多分。

 まぁ晴れて武偵高の生徒となった訳で、私は一年A組となったよ。

 講堂から教室に行く為の廊下を歩きながら周囲を同じく歩く生徒に目を向ける。

 周囲の生徒を一言で表すなら個性的、と言えるかな。

 ヘッドフォンをつけている子や随分と元気な金髪の子などがいて、武偵って皆こんな人達ばっかりなのかな?

 それと学校に来てからだけど、なんかいろんな視線を感じるのよねぇ。

 視線には尊敬や畏怖の感情。行動面では観察してくる様子やひそひそと話す人達もいた。

 最近よく思うんだよ。

 本当に私、何かしたっけって。

 うんまぁ一応記憶を探ってはみるよ、でも基本的には特に思い当たらない。

 はぁ~、分からない事を考えても仕方ないので受験から今日までを軽く振り替えってみようかな。

 例の入試試験の数日後、合格発表が部屋に届いた。

 勿論合格にちょっとだけ喜んだりもしたよ。

 しかし考えてみると、逆に落ちたらそれはそれで何をやらかしたのか?と思われそうだよね。

 そのあと制服やら装備の準備やらいろいろ大変だったけど、やっぱり一番大変だったのはお金が残り少ないことかな。

 一応少しはあったけど入学資金やらで結構飛んで、現在昼抜きの生活を実行中、朝も夜も周りから見たら貧相と言われそうだけど。

 と言うわけで、早く依頼を受けれるようにしないと冗談抜きで餓死しちゃうかもしれない。

 などと振り返っていると、1-Aの教室の前に到着する。

 扉に手を掛け普通にガラガラと開ける。

 中は良くある教室で、数人程度の人が座って仲良さそうに喋ったりしていた。

 そして先に席座っていた人達が私に気づくと、ここに来るまでと似た好奇心の目を向けてきた。

 結局私は見られる根本的な理由が分からないので、視線を気にせず自分の席に座って何気なく外の風景を眺めていたら、先に来ていた一人の男子生徒が近づいてきた。

 

男子生徒 「ちょっとゴメン。お話したいけど、いいかな?」

 

 ある一人の男子生徒は笑顔で話しかけて来て、整った顔に優しい雰囲気を出しつつ自己紹介をしてきた。

 

不知火 「初めまして、僕の名前は不知火亮。科は強襲科だよ。」

大和 「よろしく不知火。私は宮川大和、大和って呼んで。それで私に何か用事?」

不知火 「ちょっと噂になってる人を見つけたから、話をしたいと思って。」

 

 私は何の事やら分からず首を傾げた。

 というか私って噂になっているの?

 でもなんか見られる理由が分かったような。

 

大和 「噂って?」

不知火 「もしかして知らない?試験の時に教官を倒したSランクだって、もっぱらの噂が流れているよ。」

大和 「───なるほど。だからさっきから好奇心の視線を向かれる訳ね。今の私はあまり情報網が広くなくて気づかなかった。」

 

 そう言って私は教室内をもう一度見回す。

 言われてみれば試験で倒した生徒が何人か含まれているね。

 教室を見渡す私の様子に不知火は納得するように言う。

 

不知火 「その様子だと本当に知らなかったみたいかな。というと、大和さん以外にも教官を倒した人がいる事も知らない?」

大和 「そうなの?」

 

 その時再び教室のドアがゆっくり開き、廊下から疲れた雰囲気を撒き散らしながら見覚えのある人物が入ってくる。

 不知火はその人物を見て答えた。

 

不知火 「今入ってきたあの遠山君だよ。」

大和 「へぇーキンジって強いのね。」

不知火 「あれ?もしかして大和さんって、遠山君とお知り合いだったりする?」

大和 「試験日の時にキンジが困っていたから、その時助けてあげただけだよ。」

不知火 「大和さんは優しい人なんだね。」

大和 「私の手に届く範囲であれば助けるだけだよ。」

 

 と、こんな風に不知火と話していると声で気で気がついたのか、キンジが私の傍まで近づき声を掛けて来た。

 

キンジ 「ちょっといいか?試験の時、助けてくれてありがとう。お蔭でなんとかなった。」

大和 「どういたしまして。それより、噂になってるねぇキンジ。」

キンジ 「うぐっ!」

 

 私がニヤニヤしながら喋ると、キンジは大変困った様子に変化して、心底勘弁してくれと言いたい感じで口を開く。

 

キンジ 「それは言わないでくれ・・・つーか、それは大和もだろ。」

大和 「噂くらいでヒィーヒィー言ってると、この先大変だよ?あと不知火、キンジに自己紹介をどうぞ。」

不知火 「大和さんありがとう。」

 

 不知火が丁寧に私にお礼を伝えてキンジに自己紹介をする。

 

不知火 「僕の名前は不知火亮、強襲科所属だよ。」

キンジ 「噂で知ってると思うけど、俺は遠山金次。よろしく頼む。」

不知火 「よろしく。でもすごいよね、強襲科に今年は二人もSランクがいるなんて。」

 

 不知火は心から感心したように言葉にする。

 しかし不知火の言葉にキンジは相変わらずなんとも言えない微妙な顔をしているね。

 すると今度はバァン!と扉が大きな音を立てて開かれる。

 

謎の少女 「天才美少女武偵りこりん!いざ参上!」

 

 扉を大きな音を上げた少女はポーズを決めて教室全体を見渡す。

 本当にこの学校は変わり者が多いのかな?

 というかあの子、さっき廊下で見た金髪の子だね。

 更にその少女と私達の目が合うと、こっちに駆け出し目を輝かせる。

 

謎の少女 「わぁー!噂になった人達だぁ!えーと、遠山金次と宮川大和だったかな!」

大和 「その通り。で、貴方名前は?」

理子 「はい!峰理子になります!」

 

 私が少女に名前を聞くと、名前と共に笑顔で敬礼して挨拶する。

 そして理子は敬礼を止めて考える様子をしたと思ったら、今度はピカッと何かを閃いたようでキンジに指差す。

 

理子 「えっと、遠山金次だから・・・キーくんだ!」

キンジ 「・・・うん?」

 

 キンジはあれ?とばかりに困惑する。

 

理子 「それで宮川大和だから・・・やーちゃん・・いや、みーちゃん!」

大和 「えーと?」

 

 理子は私達二人にそれぞれ指を指して宣言して顎に手を当てて何かを考える。

 

理子 「うーん二人とも強いのかな?まっ、すぐわかるからいっか!」

キンジ 「ちょ、ちょっと待て!!」

 

 この状態・・・なんか理子は一人で納得してるし、不知火は笑顔のままで、キンジはなんか反論している。

 この学校、大丈夫かな?




 精神の種族:彼らは地球の生物の体をしているが、地球の生物の身体をしていない。
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