暴走神に敗れし者、この地に現れる   作:弓風

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4:学校生活2

 学校が始まってしばらく経ったある日。

 私は身体を動かしながらふと思い更ける。

 入学当初から今までの間はあまり退屈する事はなかったよ。

 ある時は白雪って名前の子が「キンちゃんから離れろぉ!この泥棒猫ー!!」とか叫びながら日本刀を降りかぶって攻撃されたり、その次の日に何故か白雪が落ち込んで、更に何故かキンジがその原因とか言われてクラスメイトがキンジに決闘を挑んだりしていた。

 外から見た限り、何がどうなってそうなったんだろうね?

 予想は出来ても本当に合っているかは分からないし。

 そして今日は・・うんうん、日光が降り注いで暖かい良い天気だね。

 さーて・・・こう理子の腕を掴み、自分の体を回転させ重心を下げてからほいっと───

 

理子 「ゴッ!!」

 

 理子が背負い投げで宙を舞い、背中から地面に叩きつけられ鈍い声を上げる。

 現在一年A組の強襲科はグラウンドで近接格闘の訓練の真っ最中で、私は理子に一緒にやろうと誘われたから理子の対戦相手になっているところ。

 ていうかほぼ毎回対戦しているから、ある意味恒例みたいになっていたり。

 さてさて、私は地面に倒れる理子を立ったまんま見下ろす。

 誘った本人である理子は悔しそうな視線を向けてくる。

 

理子 「うぐぐ・・・もぉーまた負けちゃったぁ!みーちゃん、強すぎだってぇ~、ずーるーいー!!」

 

 倒れても変わらず元気な理子に笑顔で答える。

 

大和 「まぁまぁ、今回は私が勝っただけだから。」

理子 「いつも同じ台詞言って勝つじゃん!もぉー次は絶対理子が勝つから逃げたらダメだぞ、逃げたらガオーだよ!」

 

 倒れた状態から立ち上がった理子が、頭に手を置いて鬼の角のように人差し指を立てる。

 鬼のポーズを取った理子に軽く笑いながら言う。

 

大和 「別に逃げたりしないよ。いつでもどうぞ。」

理子 「いつでも?言質は取ったから!」

 

 なんというか、理子はすごい元気だよねぇ。

 明るく元気だから、クラスのムードメーカーで皆から凄く人気があるのも納得だよ。

 こんな感じに理子と会話していると、蘭豹先生から大声が発せられる。

 

蘭豹 「全員終わったな、さっさと次のペアになれ!」

 

 おっと、急がないと人間バンカーバスターの異名を持つ蘭豹先生に撃たれちゃう。

 ちょっとでも気が触れると速攻で銃を撃ってくる上、よりにもよって象すら倒せるM500を撃ってくる。

 そもそも生徒に発砲するなんて本当に教師なのだろうか?と最近思い始めてきたよ。

 

理子 「じゃあみーちゃん、行って来るね!」

大和 「行ってらっしゃい。」

 

 私も撃たれたくないから、次のペアになれそうな相手を探そう。

 えーと、どこにいるかな───見つけた。

 まずは相手にバレないように死角から近づき、真後ろに着いたら勢いよく抱きつく。

 すると相手は明らかに焦って振り向く。

 

キンジ 「ちょっ大和、いきなり抱きつくな!」

大和 「どうしたのかな~キンジ、顔が真っ赤だよ~。」

キンジ 「そ、そんなことはどうでもいいだろ!それより早く離れろ!」

大和 「はいはい。」

 

 顔を真っ赤にして嫌がるキンジから手を離す。

 うーんキンジはいい反応をしてくれるから、悪戯が少し楽しいと思ったりね。

 まぁ、ほどほどにしておくけど。

 なんだかんだ私は結構キンジと一緒にいる事が多い。

 理由は簡単。私とキンジがSランクだから。

 詳しくは知らないけど、武偵のSランクは同じ科のAランクが複数人いるのと同じ強さがあるらしいよ?

 そんなんだからSランクの絶対数は少なく、大抵は腕も立つとあって、厳しく怖い人というイメージがついているみたい。

 実を言うと、このイメージが結構面倒くさいのよね。

 普段でも話し掛けたら怯える子も居たり、訓練の時は足手纏いになると思って嫌がる子もいる。

 だからこうして、ペアを組む時に苦労したりするから本当に参ったものよね。

 いやね、私は別にミスとかしても全然構わないと思ってるよ。

 でも相手が拒否するから仕方なく諦めるしかない。

 別に無理に頼めば嫌々やってくれるだろうけど、私はそんな事をしたりはしないしする理由も無い。

 これらの要因が重なり、どうしようかなと思った時に同じSランクのキンジを誘ったら、なんか葛藤する様子で引き受けてくれた・・・何か悩みでもあるのかな?

 今度相談に乗れたら聞いてみようかなって。

 

大和 「あ、そうだキンジ。放課後、平賀の所に行くけど来る?」

キンジ 「んっ平賀さんか?なら俺も行くぞ。」

 

 キンジが誘いをすぐにOK出す判断に少し疑問を思った。

 あれ?こんなに簡単に了承するなんて珍しい。

 普段は少し悩んでから答えるのに、何か事情がありそう。

 

大和 「誘った私が言うのもだけど、そこまで即決するなんて珍しいね。」

キンジ 「言われてみればそうだな。まぁ何せ平賀さんに俺のベレッタを取られちまったから取り戻さないと、じゃねぇと蘭豹に締められちまう。」

 

 武偵高は校則に銃の携帯を義務づけているから、持ってないとバレたらお叱りを戴く羽目になる。

 それも蘭豹先生だったらどうなるかは想像に容易いよ。

 キンジもお叱りを受けたくないので早く取り戻したいんだろうね。

 

大和 「でもあれだよね。平賀の性格だから一体どんな改造をされているのやら。」

キンジ 「う、うーん。無料で改造してくれるのは有難いが、果たして吉と出るか凶と出るか・・・いや、吉が出てくれないと困る。」

 

 私達の言う平賀とは、武偵高に通う装備科のSランク。

 平賀源内という江戸時代の発明家の子孫らしく、機械工作の天才。

 しかし無邪気で低身長も相まって、とてもじゃないけど高校生には見えないね。多分小学生くらいかな。

 そして私は平賀には結構お世話になっているよ。

 腕も良いし、予想外の要求にも答えてくれる・・・時々とんでもない欠陥もあるにはあるけど。

 ただ無茶も聞いてもらえる反面、値段を無邪気に決める性格で割と冗談にならない請求が来たりする。

 幸い自分自身Sランクだったから学校からの依頼等でなんとかなってるけど、他の人はどうするんだろうね?

 まぁそんな訳で私達は放課後に平賀の所に向かった。

 平賀の作業部屋のドアを開けて中に入る。

 作業部屋は至るところに旋盤やらフライス盤やらの機械が置れ、道具や部品が複数の山を形成していた。

 そして山の中には乱雑に物が積み上げられているものもあった。

 多分それ全部依頼品だろうけど、果たしてそんな置き方で良いのかなぁと思いつつ平賀が呼ぶ。

 大きく平賀の名前を叫ぶと、機械でできた死角から平賀の顔が飛び出し、こっちに気づいてトコトコやってくる。

 

平賀 「おー、大和さんなのだ!」

大和 「この前頼んだ物を取りに来たよ。完成している?」

平賀 「もちろん完成しているのだ!ちょっと待っているのだ!」

 

 平賀は私の見つけた依頼品の山に頭から突っ込んで、例の物を探し始めた。

 

キンジ 「なぁ、何を依頼したんだ?」

 

 すると物が来るまでの間に、隣で立つキンジが私の頼んだ物が気になったらしい。

 

大和 「見てからのお楽しみ♪」

 

 と、ちょっとだけ笑ってキンジに答える。

 しばらくして平賀が例の物を見つけたようで、それを台車に載せて運んで来る。

 頼んだ物は複数あるので、簡単に一個ずつ説明してくれた。

 

平賀 「まずはいつもの弾なのだ。」

大和 「ん、ありがとう。」

 

 まず私が普段から使う弾が入った小さな箱を渡してくる。

 

キンジ 「その弾は市販とは違うのか?」

大和 「これ?これは5.7mmの高速弾よ。やっぱり弾は速い方が使いやすいからね、反動は大きいけど。それで平賀、次は?」

平賀 「次はこれなのだ!」

 

 平賀はそう言って大体1mほどの長さ長方形の箱を置き、蓋を開く。

 箱の中身からスコープの付いたブルパップ型のライフルが現れる。

 

平賀 「ご注文の品のSVUなのだ。」

 

 SVUとはあの有名なドラグノフ狙撃銃をブルパップ化した狙撃銃。

 それでSVUの性能は全長900mm、重量4.4kg、装弾数十発、弾薬にドラグノフと同じ7.62×54Rmm弾を使用する。

 私はその中でもセミオートオンリーのOTs-03を選んだ。

 SVUを持って、構えたりスコープを覗いたりして使用感を確認する。

 

大和 「うん、問題なさそう。それで弾は?」

平賀 「えーと高速弾が五マガジン分と徹甲弾が二マガジン分なのだ。」

大和 「ありがとう。そして一番の目玉商品は?」

キンジ  「まだあるのかよ、頼みすぎだろ。」

 

 隣でキンジが若干呆れながら口にする。

 

大和 「いいの、全部使うから。」

平賀 「最後がこのフックショットなのだ!」

 

 平賀が二つの小さな弁当箱くらいの金属製の箱を見せてきた。

 二つ箱にはそれぞれフックが付いていた。

 

平賀 「この箱を腰に着けて、ワイヤーに繋がれたフックを発射して移動する物なのだ。高出力電動モーター式でワイヤーは50mまで届くけど、フル充電で三十分しか持たないのだ。それでワイヤーはTNKワイヤーを束ねた特殊ワイヤーだから拳銃くらいじゃ切れないのだ!」

 

 要はあれ、某巨人のガスの代わりに電気を使用した立体機動装置。

 本来付いているガス缶やらブレードの入れ物等が無い為、随分と小さく出来てる。

 流石平賀だねぇ。

 

大和 「電気を使うみたいだけど、雨とか大丈夫なの?」

平賀 「ちゃんと漏電対策万全なのだ。」

大和 「ならよかった、突然の雨で感電死は勘弁だよ。それじゃあ後でお金振り込んでおくから。」

平賀 「了解なのだ!それで遠山君は何の用事なのだ?」

 

 私の用事が終わった後、一緒に付いてきたキンジに平賀が視線を合わせる。

 するとキンジはふと用件を思い出した様子で平賀が会話をする。

 

キンジ 「あぁ、そうだった。俺のベレッタなんだが───」

 

 さてと、じゃあキンジが話している間にどうやってこれを持って帰るか考えないと。

 私は目の前にある頼んだ品を見て思考する。

 んー取り敢えずSVUと弾薬は箱に入れて、フックショットは・・・思いきって着けておこう。

 フックショットをベルトで固定してると、問題なく銃を取り戻せたのかキンジが帰ってくる。なんか凄い複雑な顔をしているけどね。

 これで用事も終えたし、少しだけSVUの試し撃ちにでも行こうかな。

 

大和 「じゃあね平賀。」

平賀 「さよならなのだー。」

 

 私達は平賀の作業部屋を後にして、廊下で相変わらずキンジと会話しつつ足を動かす。

 

大和 「キンジはこの後何かある?」

キンジ 「いや、別にないが。大和はどこか行くのか?」

大和 「ちょっと試し撃ちに行こうかなって。」

キンジ 「んー俺はこの後も本当に何も無いしなぁ。付いて行ってみるか。」

大和 「・・・キンジって結構暇人よね。」

キンジ  「べ、別にいいだろっ!」

 

 などとしょうもない話をしながら狙撃科へ歩を進め、数分程で到着する。

 行った先は狙撃科と言っても、正確には射撃レーンのある射撃場、そこでレーンの一本を借りてSVUの試射を行う。

 控えでSVUのチェックをして、特に問題はなかったのでレーンに立ってと。

 私がレーン立っている間、キンジは後ろの観客席に座って待っている。

 SVUにマガジンを差し、セーフティを解除してコッキングする。

 カッチャン、と心地の良い音が響く。

 的に銃身を向けて撃ちやすい構えをして、スコープを覗き的を見つめる。的までおよそ50m。

 

大和 「私の絶対半径はいくつかな?」

 

 的に精神を集中させ、ゆっくり息を吐き出し引き金を引いた。

 

 

▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲

 

 

キンジ 「おっ?当たった。」

 

 俺は大和に連れられ、ライフルの試し撃ちを後方の観客席から眺めていた。

 しかし今の現状とかを軽く考えたりしたらあれだな。

 俺自身、こうして大和といる時間は多分一番多いだろう。

 そのせいか、少なくとも俺と大和の仲は結構良いと思っていたりもする。

 そもそもの始めは訓練の時に誘われたのが最初。

 俺はある体質で異性とはあまり関わりたくなかったが、残念ながら俺はコミュニケーションが皆無どころか死んでおり、他に組めそうな奴があまりおらず了承したのがきっかけだ。

 受験の時に困ってた俺に地図を渡してくれた出来事も、大和を十分信用出来る奴だと思っていたのもあるがな。

 それからほぼ毎日近付いてきて、最初こそ案外面倒な奴だと思った。

 しかし一緒にいる内にいろいろな性格が見えてきた。

 時々絡んできても俺が不快感を持ったら直ぐに手を引くし、何かに悩んでいたら文字通り何でも相談に乗ってくれる。

 他にも小さい子が迷子になっていたら丸一日潰して親を探し回ったり、別の日には貧乏な人が依頼してきた時に報酬として笑顔を欲しいと伝え後、募金と評して金を渡していた。

 実を言うと、俺の尊敬する兄さんも大和と何処か似ている性格をしていた。

 無論全部とは言わず一部だけだが、

 それもあって、大和に対する俺の警戒心が段々薄れていった。

 

 ───パァン!

 

 一発の銃声が俺を現実に引き戻す。

 大和の構えるSVUの銃口から僅かに煙が漏れ出ている。

 どうやら大和が二発目を撃ったようだ。

 的の距離を伸ばしているからここからはよく見えんが、多分100mの先の的を当てたのか。

 それで今度は的の距離を・・・そうだな、順当に行けば多分150m位か?

 しかし流石に150m先となると裸眼でじゃあ絶対見えねぇ。

 俺は的を目視で追跡するのを諦める。

 しっかし大和は俺と同じ強襲科に所属しているのに、狙撃もできるんだな。

 近中距離の訓練をする強襲科にしてみれば、狙撃が可能な奴は多くない。

 それに確か大和は他の科の授業も受けていて、他の科のランクは精々C程度だが、そこそこなら何でも対応できるだけの腕がある。

 まさに万能と言う言葉が相応しいな。

 万能と言えば器用貧乏に聞こえるが、少なくとも大和は違う。

 まず近接戦闘はかなり強い。

 特に守りが鉄壁で、こちらの攻撃の隙を突かれてピンポイントでカウンターが飛んでくる。

 奇襲や搦め手で挑もうとしても、何故か来るのがわかってるように対応されてしまう。

 並みの経験では防ぎきれないような攻撃を、だ。

 だから俺はたまに思う。

 

キンジ 「どういう人生を歩んでいたのやら。」

 

 大和はここに来る前の事を殆ど話さない。

 俺も前に気になって聞いてみたが、「ある所に王国がありました。王国ではある教団が神を召喚しようとしました。一方、王国は勇者にその教団を止めるように命じ、勇者は仲間を集めて教団の本拠地に攻撃しました。しかし教団は神を召喚し、結果的に神は暴走してしまいました。勇者達は神を止めるべく戦いましたが、神には勝てず力尽きてしまいます。さて問題です!勇者の名前は一体なんて言うでしょうか?」と、正直言って意味不明も良いところだ。

 名前なんか一度も言ってないから分かる訳がないだろう。

 大和は「これが解けたら教えてあげる。友人と一緒に考えてもいいよ。まぁ分からないだろうから、時々ヒントをあげる。」と言ったが、根本的に問題として意味をなしていない気がする。

 うーん、あいつの事だから何か意味があるのだろうが、分からん。

 

大和 「キンジ、なにか考え事?」

 

 おっと・・・考えすぎて、大和が近づいてきた事に気づかなかった。

 ちょっと考え過ぎたか。

 俺が顔を上げると目と鼻の先に大和の綺麗に整った顔が映る。

 

キンジ 「うおっ!大和!顔を近づけ過ぎだ!」

大和 「あっそれはごめんね。」

 

 大和は謝罪の言葉を口にしながらも俺を立ち易くする為か、相変わらずの微笑を浮かべつつ手を差し出す。

 さっきの出来事でちょっと顔に熱を持ったまま、差し出された手を掴み立ち上がる。

 大和にとっては何気ない行動だろうが、俺にとっては爆弾のようなものだ。

 あいつはクールな顔立ちなのに普段から優しい笑みを浮かべるから、このギャップが色々危険なんだ。

 なんとか心を落ち着かせる為に大和に対して別の話題を振る。

 

キンジ 「そ、それで試し撃ちはどうだ?」

大和 「んー大体500m辺りが限界かな?」

 

 警察の狙撃手が平均400~800mくらいと考えると、十分に通用する腕だと思う。

 でもまぁ、狙撃科には2km先を普通に狙撃する頭おかしい奴もいるからどうなんだろうな。

 それにそもそも大和は狙撃科じゃなく強襲科だしな。

 

キンジ 「500か。狙撃科の中ではどうか知らんが、強襲科なら十分だろ?」

大和 「そうだね。実戦に使えるならこれでいいかな。もう私は特に用事はないけど、キンジはある?」

 

 そうだな。平賀さんの所は行ったし、食い物もまだ冷蔵庫に残っていたはずだから道中で買う必要のない。

 

キンジ 「俺は寮に帰るか。」

大和 「なら途中まで一緒に帰らない?」

 

 大和の誘いに断る理由もないので、了承して一緒に帰宅する。

 俺達は狙撃科から出て、道中はお互いに他愛のない話で盛り上がる。

 そして平賀さんの話題が出ると、大和は俺のベレッタについて聞いてきた。

 

大和 「そう言えばキンジ、ベレッタどうなったの?」

 

 俺は咄嗟にその質問の解答に答えれず、腕を組んで悩みながら伝える。

 

キンジ 「う、うーむ。なんと言うか・・・三点バーストやフルオートが付けられて、整備が無駄に面倒になった。せめて言うならタダで済んだが。」

大和 「使いやすくなった、のかな?」

 

 おい大和。苦笑いで返すな不安になるだろ!

 でも少し考えてみるんだキンジ、何せあの平賀さんだ。

 依頼品の性能は基本的に問題はないが、時々冗談抜きで致命的な欠陥を持たせる事もあるんだぞ。

 ・・・本当に大丈夫か?

 

キンジ 「───試さんと判断不能だ。」

 

 結局はこうなる。

 場合によってはワンチャン他の奴に銃を借りるか?

 いや、結局俺にはベレッタがあっているからなぁ・・・三点バーストを使わなければ機能に問題はねぇよな───だよな?

 間違っても単発にしてたら突然フルオートとかになんねぇよな?

 うぐぐ、この調子で考えても現状どうしようもねぇし諦めるか。

 次の会話のネタになりそうなのは───

 あっそういえば不知火から頼まれ事があったな。

 

キンジ 「なぁ。大和はチーム決まったのか?」

大和 「チームって、何の?」

 

 大和は何の事やら分からず頭を傾げる。

 

キンジ 「近々始まる四対四戦のチームだ。」

大和 「えーと、それはつまりチームに入ってくれって事かな。」

 

 四対四とチームの単語から、俺の伝えたい意味を察した大和はそう口にする。

 

キンジ 「直球に言えばそうなるな。大丈夫か?」

大和 「いいよ。それでメンバーは?」

キンジ 「今のところは俺と不知火の二人だけだ。」

 

 四対四戦は武偵高の恒例行事で、四人一組のチーム同士で相手の持つフラッグを取った方が勝ちになるルール。

 大和を誘ったのは不知火から大和を誘えるなら誘って欲しいと言われたからだ。

 確かに不知火の言い分も十分理解出来る。

 もし大和が相手で出てこようものなら、正面からあの圧倒的防御相手に勝てる見込みは0。というか絶対無理だっつうの。

 万が一もしたくないが、ヒスっていたとしても自信無いからな。

 それで予定通り大和を加えて三人になったがまだ一人足りない。

 

大和 「私含めて三人かぁ。なら残った一人は私に任せて貰ってもいい?」

 

 おっと?大和が残った一人を選んでくれるのか?

 それはこっちとしてもありがたいが。

 

キンジ 「いいのか?」

大和 「別に良いよ。気にしなくても大丈夫だよ。」

 

 まぁそこまで言うなら大和に任せてみるか。

 大和なら少なくとも余程変な奴は来ないだろう。

 

キンジ 「じゃあ、ありがたく甘えさせて貰おう。」

大和 「わかった。あっ、私はこっちの道だからここまでだね。また明日。」

キンジ 「おう、じゃあな。」




 退化した敗北者:戦いに敗れ、地上で全滅した種族は、南極大陸に逃げた者だけは生きているかもしれない。
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