政文がスケルトンを軽い様子で片した後。
その様を見ていた術師は呟きを溢した。
「ーーーーへぇ。ま、やるじゃねえの」
この近辺での動体の数はおよそ五。
一つは自分、一つは刀を持った少年。一つは少女三人に魔術的なパスの繋がっている団体。残りの二つはアインツベルンの城に居る、ギリシャ神話の頂点と、ニヒルな皮肉屋気取りの紅い弓兵と黒化した騎士王だ。
「さて、」
どっちにすっかな。
そう溢す彼はキャスター。この聖杯戦争の正当な参加者であり、既におかしくなったこの聖杯戦争の生き残り。その瞳には理知的な輝きを灯し、リネンのローブからは僅かな野生味が滲み出ていた。
おそらくこの異常と化した世界をなんとかしに来たのは三人組の少女達。そのうち一人からは、自らと同じ英霊の持つ独特の存在感もある。不可思議なのは、英霊でありながら生身の人間でもある、という事だがーーーーー。
「関係ねえか」
てんやわんやしている少女達の元へと、キャスターは駆けることにした。だが、その前にーーーー
「素直に行かせる気はねえ、ってか!」
現れるは黒い影が五体。サーヴァント以下、しかし雑兵ではないーーーー。その身は影。シャドウサーヴァント。
この聖杯戦争に参加していた、ハサンの影ども。
「吹っ飛べ…。アンサズ!」
輝くはルーン。それを杖でブーストし、緑色をした光が実体を持たぬ影達を消し飛ばす。残り二。
飛んで来たダークを杖で弾き飛ばし、こちらへ向かって来ていた一体の足を射つ。そして再びのルーン。付与する属性は貫通。
「おらよっ!」
今度は蒼色の光が影を撃つ。足を止められた影に当たる事を確認した後ろの一体は動き出そうとしてーーー
予想外に飛んで来た蒼弾に頭部を撃ち抜かれ、黄金色の光となって消滅した。
「…」
見られている。
間違いなく、かの弓兵だ。そう分かる。分かる程度には視線に感情が乗っている。いや、あえて分からせているのか。
「まあ、構わねえよ」
どちらにせよ、やることは変わらない。
そろそろ魔力も四割を割る所だ。早いところ、魔力供給は必要になる。ヒステリーを起こしていたり、何が何やらよく分かっていない様子だったりするお嬢ちゃん達だがーーーーー
「動けているなら上等」
自分や刀を持った少年あたりなら、軽く蹴散らせる
眼が死んでいない。なら、間に合う。
それになによりーーーー
「英雄ってのは、こういう時に力を貸してやるもんさ」
少女達の元に、ケルトの頂点が一が馳せるーーーーー。