ある昼下がり何時もの様に執務室にて筆を動かしながら作業をする人物が二人いた、一人は呉の軍師である冥琳。そして佐助である。
「んあ〜、終わった終わった〜。」
「ご苦労だったな佐助、茶でも淹れよう」
「おっ、あんがとさん冥琳」
何時も通りに書類を片付けていく二人、終わっていない書類はまだあるが以前より比べるとかなり少なくなっている。理由はただ一つこの場には雪蓮の残した書類がないからである。
数日前から何があったのか雪蓮は仕事をサボらなくなり書類整理に勤しむ様になったのだ、初めて見たときは誰もが言葉を失い呆然としたものである。
雪蓮に一体何がおこったのか?屋敷内はこの話題でしばらく持ちきりであった、しばらくして冥琳が雪蓮に尋ねてみるとこう答えた。
『まあ、あれよね。嘘をつく人間を間違えちゃったからかしらね〜。』
『??どういうことだ?』
『え〜となんて言うのかしらね、穢れを知らない純粋な心に感化されちゃったからかしらね〜。』
『ん?結局どういうことだ?』
『まあ、私も頑張ろうかな〜って思ったのよ。』
といった感じの会話だったのだ、冥琳にはよくわからなかったがその話をした佐助には心当たりがあるのか終日ニヤニヤしていた。
「いや〜雪蓮がサボらなくなって俺様も楽できるわ〜。本当に。」
「そうだな、私の負担も減って楽にさせてもらっているな。穏も同様にな」
「だよね〜、だからさ俺様もう手伝わなくてもいいんじゃない?」
「駄目だ、お前はまだ決まった仕事が無いからな。お前の本職が行えるのはまだ先だ、それまでは私の仕事を手伝ってもらおうか。」
佐助の提案をあっさりと拒否する冥琳、しかし、佐助も予想していたのかあまり落胆する様子はなかった。
「やっぱりね〜、まあ、駄目元で行ってみただけだしね」
「予想していたのなら言わなくてもよかったのではないのか?」
「まあ、もしかしてって思うじゃないの。まあ結果はだめだったけどさ。」
そう言うと佐助は冥琳が淹れたお茶を飲むと窓の外を見る、外はよく晴れており気持ちの良い天気であった。
「こんな日にはのんびりと過ごしたいものだよね〜、甲斐に居た頃はこんな日にはのんびりと………過ごせなかったねよく思い出してみると。」
よくよく思い返してみるとこんな日には親方様である武田信玄がよく、
『幸村!!佐助!!修行じゃ!!』
『親方様ぁぁぁぁぁぁぁぁ!!この幸村燃えてまいりましたぞ!!』
『えっ、俺様も参加しないといけないの?!俺様暑苦しいのは勘弁してほしいんだけと?!』
結局その日は二人の修行に付き合わされ散々な目に会うことになったし、またある日では。
『これより武田軍大男祭りを開催する!!皆の者!!しかとその武振るえよ!!』
『おおおおおおおおぉおぉぉぉぉぉぉぉぉぉお!!』
『この幸村!!滾りに滾っておりますぞ親方様!!』
『なんで俺様も参加しないといけないのよ……俺様暑苦しいの苦手って言ったじゃないの……』
この日は武田軍の屈強な兵士たちに揉みくちゃにされかけたりもした、こんな晴れた日に限ってロクな目に会ってない。
それを思うと今の仕事はけっして悪くないのではないかと思う。
「どうした佐助?」
「ん?、ああ、ちょっとね前いたとこのことを思い出してね。」
佐助はそう言うとため息を着くその様子に冥琳は。
「フフッ、その様子だと苦労していたようだな」
「あー、やっぱわかる?」
「ああ。私も苦労した者だからな。なんとなくだがお前の顔を見て察したよ」
「苦労人同士分かり合えるものだね〜。」
「フフッ、否定はしない苦労人だということは自覚しるからな。」
二人は互いにお互いを見ると少しの笑みを浮かべる。
「佐助、茶のお代わりはいるか?」
「じゃ、遠慮なくもらっておこうかな?」
そうして二人はしばしの間のんびりとくつろいぐのであった。