僕らのアヴェンジ・アカデミア!!   作:章介

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第四話

 

 

 

 

Side 焔紫

 

 

 

 

「―――格闘だけじゃ駄目なんだなって思い知らされたぜ。蛙水に壁や天井を動き回られて翻弄されちまって終わったからな!まだまだやらなきゃいけないことが幾らでもあるんだよな、くぅ~~ッ!燃えてきたぜッ!!」

 

 

「ケロ、私達が勝てたのは切島ちゃん達がヒーローサイドだったから。もし逆なら瀬呂ちゃんとの突破力を止めきれない」

 

 

「上鳴は最初凄かったけど、途中から『ウェ~イ』ってなってたもんな。持久力が今後の課題かな?」

 

 

「うっ……か、勝ったんだから良いだろ。直したくても中々克服できないんだよ」

 

 

 

 

 ――――はい、どうも。ただいま同級生主催の反省会とやらに来ております。え、出?あいつはさっさと帰ったよ。流石に兄弟揃って付き合い悪いと思われるのもあれだから俺は残ることにしたが。まあ、親父なら上手くフォローしてくれるだろ、元教育者なんだし。

 

 

「―――ところで、八百万と焔紫も凄かったよね!何ていうか、戦う前から勝ってる!みたいでさ」

 

 

「ええ、焔紫さんの作戦に助けられましたわ。たぶん真っ向勝負で轟さんに勝つのは難しかったでしょうから。手札の多さが売りの私はもっと戦術を学ばなくてはいけませんね」

 

 

「しかし轟君も災難だったな。実力が足りず敗北したならともかく、自分の力でどうしようもない状況に追い込まれてはな。何も出来ずに見ているだけというのは辛かっただろう。しかしあの状況はどうするのが正解なのだろう?轟君でなくても勝てる見込みがないと思うんだが……」

 

 

 ―――おや?考え事をしている間に俺の話に移っていたか。確かに自分でもなかなかの出来だと思ったが、たかが酸素が無くなった程度の事で騒がれるのも面白くないな。お前たちにはしっかり強くなって貰わないとつまらないからな。

 

 

「いやいや、そんなことは無いぞ☆確かに条件は厳しいが、組み合わせ次第で勝ち目は十分ある。そうだな、轟と耳郎、芦戸もいれば白旗を上げていたな」

 

 

「「「ええッ!?」」」

 

 

 ……いや、そんなに驚くことか?まあ良い、順を追って説明しよう。

 

 

 まずあの戦いに勝利する条件は、①核の位置とそこから最も近くて破壊して良い場所を割り出す事 ②核を誘爆させずに強化ガラスを突破する方法を用意する ③俺達に反撃の暇を与えず速攻で仕留めるだけの殲滅力の確保、以上の3つだ。一つ目の条件は耳郎の個性を用いたエコーロケーションで探り当てればOKだ。例え最上階手前でも轟なら外から氷の足場を用意できるからな、壁を吹き飛ばして換気すれば酸素も有害物質の排出も問題なく行える。

 

 

 しかし、このまま突入しても強化ガラスとその内部にいる俺達で詰むことになる。八百万が張り切って創ったあの分厚いガラスはちょっとやそっとで破壊出来んし、かといって火力の高すぎる一撃を核に向けるのは問題がある。そこで芦戸の出番だ、あの酸の内容は良く知らないが、水酸化ナトリウムならガラスを溶かせるし、粘度を高くすれば撒き散らないから核に余計な被害を与えない。液体窒素を作成できるなら轟でも突破できるが、それをすると今度は中にいる俺達の命が危なくなる。こう考えるとヒーローの殺し御法度はなかなか足を引っ張るな。

 

 

 ここまでくればあとはもう一息だ。ガラス越しに見てるんだから当然俺達も迎撃に走るが、少しでもガラスを破ることが出来れば轟の個性でチェックメイト!あの速度であれだけ広範囲を凍らせられては俺達に為す術は無い。唯でさえガラスで覆って自分で逃げ道塞いでるからな、本当にどうにもならん。

 

 

 

「うーん、ウチを評価して貰えてるのは凄く嬉しいけど、あの状況でそんなの直ぐ思いつけるかなあ?」

 

 

「ですが、ヒーローの卵である私達であれが出来たのですから、凄腕のヴィランなら造作も無い筈。いざその状況になって相性が悪い、というのは通用しませんわ。ヒーローは常に下学上達!例え今日は無理だとしても、一意専心に励んで出来るようにしていきましょう。そうでなければトップヒーローになどなれませんわ!」

 

 

「おお!八百万さんも燃えてるね。ようし、私達ならどうすれば攻略できるか色々意見出し合おう!!私の『無重力』を使うなら―――」

 

 

 よしよし、自分の個性をどう使い熟していくか活発に議論が交わされているな。俺としても、面白い意見が聞けるしクラスメイトの手の内が知れるしで一石二鳥だ。しかし結構長引きそうだが最後まで付き合わせてもらうとしよう。出には悪いが、こうして大人数でワイワイするのは初めてだから結構楽しいもんだな……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――――翌日。

 

 

 

 

「―――昨日の戦闘訓練お疲れ。Vと成績見させてもらったよ。個別に色々言いたいところはあったが、今回は勘弁しておいてやる。昨日は遅くまで反省会やってたみたいだし、参加してない奴も色々考えさせられただろ?ただし、下校時間は守れ。守衛が声かけてやっと帰るとか色んな方向に迷惑だからな。……こんな所か、さてHRの本題だが、急で悪いが君らに――――――――――学級委員長を決めてもらう」

 

 

『学校っぽいの来た―――!!!』

 

 

 ……朝からテンション高いなこいつら。今日は朝から校門でマスコミに登校妨害されて機嫌の悪い奴が多いんだからもうちょっと空気読んでくれ。俺も遅刻しかけて無駄に肝を冷やしたしな、評定平均落とすのはマジで怖い。

 

 

 

「委員長!!やりたいですソレ俺!!」

 

「おいらのマニフェストは女子全員膝上30㎝!!」

 

「ボクの為にあるヤツ★」

 

 

 ……はあ、予想はしてたが酷いな。あーあ、唯でさえ低かった出のテンションが氷点下だな。だが気持ちは分かる、こいつらの殆どがやりたくて手を挙げてるわけじゃないのが気持ち悪いんだ。

 

 

 ほとんどの奴が自分の適性や内容について考えちゃいない。こいつらの頭にあるのは、委員長という役職が『ヒーローっぽいから』、『ヒーローを目指すならすべきだから』、『トップヒーローの素地が云々』これだけだ。もし委員長じゃなくてヒーローと真逆の役割ならどうするんだろうな?これもある意味一種の洗脳だな。

 

 

 結局、投票による多数決に決めることになったようだ。相澤先生は適当なのを隠しもしないな。決まり事には結構うるさい人なんだが、それだけこの行事を非合理だと感じてる証拠だ。みんな揃って思考停止でなりたがってるだけなんだし、誰がやっても同じだから本当に時間の無駄なんだよな。

 

 

 

「―――じゃあ投票の結果だ。委員長 飯田、副委員長 八百万。それじゃあさっそく号令頼むわ」

 

 

「おおおッ!!?聖職だというのに……!ありがとう俺に入れてくれた2人!!」

 

 

 

 ―――というわけで飯田が委員長になった。……鉛筆転がした結果で入れた、とか口が裂けても言えない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――――昼食。

 

 

 

『ウゥ――――――――ッ!!』

 

『セキュリティ3が突破されました。生徒の皆さんは速やかに屋外へ避難してください』

 

 

 

 

「……へ?ウソでしょ!?隠しカメラと変な壁以外何も仕込んでないの?あれだけあからさまなんだからとっておきの本命があるとばかり……。ねえ、本当に帝司おじさんが教鞭を執ってたの、ここ?」

 

 

「長年の名声で緩んでるのかもな。ヒーローの巣窟ともいうべきここに不逞の輩が来るはずもないってな。これは一波乱ありそうだな」

 

 

 ―――今は昼休み。出と二人で屋上で寛いでいた所にこの騒ぎだ。別に食堂で食べても良いんだが、何の気まぐれか親父が弁当持たせてきた。それだけならまだしも、どこに出しても恥ずかしい中身だったから急遽二人でここに来た。クラスメイトに見られて弄られた日には俺達の精神衛生上とてもよくない。

 

 

 それはともかく、見つからない様にグラウンドを覗いているんだが、まあマスコミの行動が酷い。不法侵入してきた挙句悪びれもせず居座るとかどういう神経してるんだ?

 

 

 完全に違法行為なんだがプレゼントマイクも相澤先生も手出しできない。ヒーロー社会の歪みはマスコミに絶大な追い風を齎したからだ。ヒーローとは人気商売であり、情報発信にはマスメディアとの結びつきが不可欠だ。そして有名ヒーローは様々な分野に影響力が持てる。結果、お友達という名の汚職関係という素敵な繋がりが至る所に出来上がった。

 

 

あとなにより、恨みを買うことが多いヒーローにとって、プライベートを暴かれるのは死活問題だ。下手にマスコミと敵対して家族が犠牲になったヒーローも珍しくない。

 

 

 

「―――あ、やっとパトカーが来た。昔はリスポンスタイムが平均約7分だったみたいだけど、今回は16分か。偶々……だと良いんだけどね」

 

 

「そんなに経ってたのか。しかしさっさと逃げればよいのに、あのままだと不法侵入だけでなく器物破損でも起訴されると思うんだが。誰の仕業か知らんが、もう一波乱続きそうだな……」

 

 

 

 

 




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