僕らのアヴェンジ・アカデミア!!   作:章介

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※注意:今回、ある人物へのアンチ表現があります。


第五話

 

 

 

 場所:学用バス内

 

 

 

 ――――本日のA組の授業:ヒーロー基礎学は『人命救助』。災害水難何でも御座れのこの訓練は、その施設規模の都合上校舎からかなり離れているためバスによって移動することになる。バス内では出席番号順(成績順)で座る事になったのだが……。

 

 

「――――俺の『硬化』は如何せん地味なんだよなー。ヒーローも人気商売みたいなとこあるんだよな」

 

 

「「……」」

 

 

「は、派手で強えっつったらやっぱ轟と爆豪だよな。」

 

 

「「……」」

 

 

「爆豪ちゃんはキレてばっかだから人気でなさそ」

 

 

「「……」」

 

 

「こ、この付き合いの浅さで既にクソを下水で煮込んだ性格と認識されるってすげえよ」

 

 

「「…………」」

 

 

「「「(く、空気が重いッ!!!!?)」」」

 

 

 

 ―――何の偶然か、爆豪の隣に出という、まず間違いなく誰も得しない組み合わせが出来上がったことで、バス内の空気は最悪であった。可能なら席替え位幾らでもしたのだが、特に暴れ出すわけでもない以上そんなことも出来ず、寧ろ変に気を遣えば逆効果なのは目に見えてる。結果、無理やり空気を和まそうとして失敗するか、ひたすら耐えるかの苦行に曝されることになった。クラスメイト達にはご愁傷さまとしか言いようがなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 数分後――尤も、バス内の面々の体感ではその十倍ほど長く感じたが―――雄英が誇る『ウソの災害や事故ルーム』通称USJへと辿り着いた。先に現場で待機していたスペースヒーロー・13号は、何故か訓練前から疲弊している生徒に首を傾げながらも、さっそく授業へと移っていく。しかし――――。

 

 

 

「―――ッ!?ひとかたまりになって動くなッ!13号!!生徒を守れッ!!」

 

 

 

 ――――人の命を救うための場所に、途方もない悪意+αが現れたことで、演目は『訓練』から『実戦』へと変貌した。

 

 

 

 

 

 

 Side 焔紫

 

 

 

 

「(ねえ焔紫君、あの最先端過ぎるファッションの人が言ってるヴィラン連合って、確か帝司おじさんの組織(・・)に同盟持ちかけてた所だよね?)」

 

 

「(そういえばそうだったな。程度が分からんから保留にしていたんだったか?まあ今の俺達はヒーローの卵(笑)なんだ、それに準じた行動をすれば良いだろう。それよりも…)」

 

 

「「(なんであいつ(あの人)がいるんだ――!?)」」

 

 

 ―――突然姿を見せた自称『ヴィラン連合』とやら。先日のマスゴミ不法侵入事件(もちろん報道はされていない)から近日中に何かあると予想できていたので、特に慌てることは無く寧ろ雄英高校の実力がどれ程か高見の見物を決め込もうと考えていたくらいだ。―――黒い靄のような男?の後ろに親父の部下の一人がいなければ、な。

 

 

 

 ―――中肉低身長、頭からすっぽりポンチョを被っていて人相が分かり辛いが、その中から覗く瞳には卑屈さがにじみ出ている。大凡ヴィランらしくない、寧ろ虐げられているナードと言われた方がよほど納得がいく風貌であるが、こと精神攻撃であれば組織(・・)でも最強の個性『解体心写』の担い手、ヴィラン名『ロールシャッハ』だ。

 

 

 

「―――その前に俺達にやられることは考えて……はあッ!?」

 

 

「危ない危ない、生徒といえど優秀な金の卵……」

 

 

 ……臆せず突っ込む度胸は結構だが、せめて自分たちの手札くらい確認してから動けば良いのに。13号先生程殺傷力のある個性持ちに正面から挑んでくる奴に習いたての不意打ちが決まるはずないだろうに。おまけに先生の攻め手まで潰してお前らどっちの味方だ?

 

 

 

「―――散らして…嬲り……殺す!!」

 

 

 まあ、こうなるよな。子供相手でも数の強さで確実にしとめる。悪くない手ではあるが…新参の組織が優秀なヴィランを揃えられるものかな?実戦経験と人数はともかく、こっちは全国から選りすぐった優良個性の集まりだぞ?

 

 

 出は……やる気なし、か。個性を完封できるアイツがこの霧の包囲を抜けられないはずが無いから、恐らくバスでたまったストレスの発散を優先したな?それじゃ俺は残るとするか、個人的に興味もあるし。ロールシャッハも消えたか、あいつの性格からして恐らく獲物は……まあ良いか。肥大した虚栄心もこれで少しは萎むだろ、まあ同情くらいはしておこう。

 

 

 

Side out

 

 

 

 

 

 

 

 場所:倒壊ゾーン

 

 

「―――これで本当に最後か?じゃあな、助けでも何でも行っちまえ」

 

 

「待て待て!ダチを信じ……てるで良いんだよな?男らしいぜ爆豪!ノったよお前に!!」

 

 

「おいテメエ何で疑問形にしやがった…?」

 

 

 仲間を撒餌に不意打ちを試みた雑魚も蹴散らした二人、決してヴィラン達が弱かったわけではないのだが、自分に都合が悪そうなやつを勘で暴き何もさせずに倒すという、みみっちさから生まれたとは思えない特技によって終始主導権を取られ敗北した。後は再びセントラル広場まで戻るのみ、そう考える二人であったが―――。

 

 

 

 

 

 

「―――いやいや、流石は『イカレた世界の縮図』、捩じ伏せることに関してはプロ顔負けだねえ」

 

 

「「――ッ!?」」

 

 

 突如姿を現した黒ポンチョのお化けに慌てて踵を返す。確かに全員仕留めたはず、しかし相対してもつい見失いそうなほど気配が薄い相手に警戒する切島。しかし爆豪はというと、己の勘に従い躊躇なく飛びかかる。

 

 

 

「初めまして、自分は―――『うるせえッ!』――ひでぶッ!!?」

 

 

 爆豪の膝蹴りに反応すら出来ずに蹴り飛ばされる。―――やはり弱い(・・・・・)。専門家ではないが、それでも爆豪から見て目の前の男は全く鍛えているようには見えないことからも明らかだ。

 

 

 

「てめえ、確かリーダーっぽいクソモブの傍に居たよな?じゃあそこいらのカスよりは知ってるはずだ。テメエらの目的から何から吐きやがれ、黙れば吹っ飛ばす。身じろぎしても同じだ」

 

 

「うわ、ヒーローらしからぬ発言―――『つかまえた♪(・・・・・・)』―――は?」

 

 

 地面に引きずり倒して拘束する爆豪。言葉こそチンピラのようだが、彼に油断はない。持ち前の反射神経も勘も総動員して目の前の人物に集中している。ここまでで彼に落ち度と言える行動は見当たらない。

 

 

 唯一彼に間違いがあったとすれば、世の中には自分やプロヒーローより遥かに理不尽な個性が存在することを知らなかったこと、そして弱いということが必ずしも脅威度と一致しないことを失念していたことである。

 

 

 言い知れぬ悪寒に襲われた爆豪は瞬時に個性を発動しようとするが……既に彼の意識はこの世になかった。

 

 

 

 

 

 

 

=================

 

 

 

『かっちゃんはすごいね』

 

 ―――何で出来ね―の?

 

 

『かっちゃんスゲー、頭ヤベーッ!』

 

 ―――何で知らねーの?

 

 

『―――ヒーロー向きの派手な個性ね、勝己くん!』

 

 ―――あ、そっか。俺がすげーんだ!皆俺よりすごくない!

 

 

 

「これは幼少期の記憶だねえ。しかしなんとまあ、随分安っぽいことで自尊心を積み上げたもんだ。幼子は皆、脳が天才と同じレベルらしい。偶々人より早く使い方を知っただけで良くここまで思い上がれるもんだ」

 

 

 うるせえ。何がおかしい?俺は何時だって一番だった。皆俺より下だった!誰よりもすごい俺を誇って何が悪い!?

 

 

「ふーん。そこまで言うなら当然もっと凄い奴を探したり、強そうなのが集まる場所に積極的に参加したんだよね?」

 

 

 ……は?

 

 

「昔も今も、個性の育成や良個性持ちの発掘は盛んにおこなわれてるし、全国小学生選手権とかもあったはずだよ?それには参加したんだよね?多分トップヒーローの二世とか三世はそういうの積極的に参加してるはずだし、その中でも一番になってたんだろうね?その割には轟君とやらには雄英で初めて会った様だけど」

 

 

 ―――それは……。

 

 

「君の拠り所は一番とかそんなのじゃないでしょ?君という存在を最も端的に表してるのはこれなんじゃない?」

 

 

 

『皆俺よりすごくない』

 

『デクがいっちゃんすごくない』

 

 

 ――――ッ!?ちがうちがうちがうッ!!あんな奴が、無個性のクソナードが俺より下なのは何も間違っちゃいねえだろうがッ!!!

 

 

 

「……なるほど。随分自分の個性が自慢のようだけど、それって本当に『無個性』より価値があるの?――――例えばの話をしよう」

 

 

 

 …?あれは、ガキの頃の俺……。向こうにいるのは、オールマイト?あ、握手してやがる。うらやま―――『BOM!!』―――は?

 

 

 

「あーあ。偉大なヒーロー様の腕が吹き飛んでしまわれた。随分ひどいことするんだね、キミ?」

 

 

 ふざけるなッ!?俺はあんなことしねえッ!!したこともねえ!あんなもんテメエの妄想だろうがッ!!!?

 

 

 

「確かにおっしゃる通り、今の『だけ(・・)』は君の記憶から考えた自分の妄想だ。しかし将来本当に起こるはずもない妄言だと言えるかなあ?自分より上の存在が居ることさえ耐えられないキミが、目障りな存在を消してしまおうと本当に一度も考えないとでも?そもそも、自分はそんなことしないって言ったら信じてもらえるような、殊勝な人生送って来たのかよ?ウソだというなら君の昔の知り合いを用意しておいたから、握手して見せなよ、ほら!」

 

 

 

 ……やめろ、そんな目で見るんじゃねえッ!!?ふざけんなよ!こいつらもテメエの妄想の産物なんだろうが!!テメエの都合の良い事しかしねえに決まってんだろッ!!

 

 

 

「……可哀そうだけど答えはノーだ。さっきの君とオールマイト以外は、キミの記憶をベースとして生み出した存在、僕は制御なんてしてないし、そもそもそんなことできる個性じゃないしね。つまり、彼らが握手なんてしやしないと思っているのは、自分ではなくお前なんだよ」

 

 

 

 …そんな……ありえねえ……みとめねえぞッ!

 

 

「さて、プロローグを引っ張ってもしょうがないし、じゃあ次のシーンに行こうか?」

 

 

 

 

 

 

 

『―――“無個性”のくせにヒーロー気取りかデク!!(BOM)』

 

「ただ殴るんじゃなくて態々個性を見せつけての暴力。しかも集団で掛った挙句全員で口裏合わせか。証拠隠滅に走ってる分陰湿だよね」

 

 

 

『―――必ずや高額納税者ランキングに名を刻むのだ!!!』

 

「……え?これがヒーローの動機??ウソでしょ…」

 

 

 

『“没個性”どころか“無個性”のテメエがあ、何で俺と同じ土俵に立てるんだ!!?』

 

「いや、そんなの人の勝手でしょうに。君に人の進路や受験活動を決める特権があるとは驚きだ!……つーか、止めろよ無能教師。唯個性発動するならともかく、思い切り傷害行為だろこれ。こんなアホな環境に浸かっていたことに関してだけは君に同情してあげる」

 

 

 

『来世は“個性”が宿ると信じて、屋上からのワンチャンダイブ!!……あ?何か文句あんのかよ?』

 

「……うわぁ、えーと、うん、流石にこれは無いわ。あの子から話には聞いてたけど、絶対脚色入ってると思ってたもん。個性不正使用に障害、器物破損に自殺教唆。ここまで屑だといっそ清々しいよね」

 

 

 

 ……………。

 

 

 

「―――おや?もう声も出ないのかい?ちょっとー、そんな捨てられた子犬みたいな顔しないでよ、自分がいじめてるみたいじゃないか。自分の個性はお前の魂から直接記憶を引き出して再生しているだけさ。ただし一切の虚構なしでね、キミが傷ついてるのならそれは徹頭徹尾身から出た錆でしょ?子供の頃ボスに誤って掛けたら『私がヒーローを志した原点に立ち返れた!ありがとうボーイ!!』って感謝された位なんだから。まあ良いや、これで自分が如何にヒーロー不適合者か身に染みただろう?」

 

 

 

 ……違う、俺は…オールマイトを超える………。

 

 

 

「えぇ……、これには反論するんだ。どんだけ自分大好きなんだよお前。まあそれは置いておいて、取り敢えず20年にも満たないお前の人生振り返って来たけどお前一度も自分以外の為に個性使ったこと無いのな」

 

 

 ……あ?それが、どうした。

 

 

 

「ウチのボスがまだオールマイトと盟友だったころの話らしいんだけどさ、よく二人で言ってたそうだよ?『トップヒーローの共通点は、考えるより先に誰かの為に体が動く奴だ』って。君そんな経験一度もないよね?」

 

 

 …………やめろ、それ以上先を言うな!言うんじゃねえッ!!!

 

 

「ドラマにすればまだ数分しか経ってない掴みの部分なんだろうが、君の人生のジャンルが決まったぞ!コメディだッ!!お前はよりにもよって、人生で唯一憧れた人物に不適合の烙印を押されていたんだよ!トップヒーロー(なりたいもの)の適性で言えば、『一番すごくない石ころ』より劣る劣等種がお前だッ!!これ程救いようもなく馬鹿馬鹿しい物語が一体どこにあるというんだ!!!」

 

 

 やめろおおおおおおおおぉおッ!!!!!!?

 

 

 

 

 

===============

 

 

 

 

 

 

 

「―――――くごう、爆豪ッ!!おい、しっかりしろ!くそ、一体何がどうなってやがる!!おいお前、爆豪に一体――――」

 

 

「(…チーン)」

 

 

「何でコイツまで意識不明なんだよッ!!このままじゃ埒が開かねえ、とりあえず爆豪とこいつ担いで先生の所へ――『トンッ』――………」

 

 

「―――おやすみ、ボーイ。悪いがその子は私の可愛い部下なのだよ。それにしてもまったく、個性を使う時は周囲の安全を確保してからにしなさいとあれほど言っているのにね☆

 

さて、この子の回収は他に任せるとして、イズル君とホムラ君がその気になったらモヤモヤ君じゃ逃げ切れんし逃がすと辻褄が合わなくなる。こちらの情報が漏れるのも不味いし、しょうがないから昔の教え子たちと臨時講義と洒落込もうじゃないか。やれやれ、マイディアが優秀だとダディは苦労するねえ」

 

 

 

 

 

 




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