バカとテストとオリ主と召喚獣   作:黒っぽい猫

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はい、連日投稿です


第十問〜Aクラス戦〜

『えー、それでは、Aクラス対Fクラスの一騎討ち五本勝負を始めます。一回戦目の選手は前へ』

 

アナウンスをかけるのはAクラス担任であり、学年主任の高橋先生だ。双方のクラスの生徒はそれぞれのコーナーに並んでいる。何故かカメラが至る所に設置されており、他のクラスにも中継がされているそうだ。

 

『さぁ!!まさかまさかの下克上!最弱と蔑まれていたFクラスですがDクラス、Bクラスを次々と破りとうとう最強のAクラスとの決戦となりました!!』

 

……そして、何故か無駄にテンションの高い放送部員によって実況が付けられている。

 

『Aクラスの選手入場だ!!一番手は文理の天秤、バランスの良さが武器の眼鏡っ娘!佐藤美穂だぁぁああ!!』

 

「………眼鏡っ娘ってやめてください!!」

 

半分くらい要らない情報だよね?

 

『続いてFクラス!!代表坂本雄二の悪友にして戦友!Bクラス戦では意表を突いた奇襲で的クラスに決定的な隙を生じさせた行動力を持ち、わが校初の観察処分者、我が校が誇るキングオブバカ

!!吉井明久!!!』

 

「待って僕のことバカにしすぎじゃない?!誰だよこんな原稿読ませてるの!!」

 

前に出ながら突っ込む明久だが、残念ながら否定できる要素は一つも無かった。

 

「明久!!」

 

「雄二………?」

 

「お前の本気、コイツらに見せてやれ」

 

本気だと…?明久のヤツ、何か隠しているのか?不敵に笑う明久。

 

「フッ……雄二、僕に本気を出せだって?言ってくれるね…良いだろう!本気を出してやる!」

 

困惑しているのは対戦相手の佐藤さんだ…眉を顰めている。

 

「吉井君……でしたか?貴方は……」

 

「ふふふ、今までの僕は本気を出していなかっただけなんだ。あ、科目は佐藤さんが決めていいよ?」

 

「そ、それでは……世界史で」

 

『フィールドは世界史!両者の召喚獣が召喚されます!』

 

「「試験召喚獣、サモン!!」」

 

「僕は今まで本気を見せていなかった!!何故なら僕は──」

 

 

科目:世界史

 

Aクラス 佐藤美穂 340点

 

VS

 

Fクラス 吉井明久 65点

 

 

「左利きなんだ!!」

 

新手の自己紹介かな?明久の召喚獣は、瞬殺された。

 

『あぁっと!吉井君の悪ふざけに痺れを切らした佐藤さんが突撃してゲームセット、一瞬の決着でした!やはりAクラスの壁は分厚い!!』

 

これで一敗、か。可哀想な奴だがまあ自業自得だ。

 

「召喚獣に利き手は関係ないでしょおばか!」

 

「痛ててて!フィードバックで死にかけてるのに死体蹴りなんかしないで美波!!」

 

もうあの夫婦漫才は放っておこうかなHAHAHA。

 

「予想通りだな、雄二」

 

「当たり前。明久は単純だからな。自分の為に動いてもあの程度だろう」

 

「アンタら僕のこと全く信頼してなかっただろ?!」

 

「「信頼?ナニソレ食えんの?」」

 

「この鬼畜どもめぇぇえ!!」

 

『続いて二回戦目──ここで前に出たのは弁舌の鬼!テストにおいてTOP10の常連客!あらゆる科目に隙がない万能超人!しかしその反面恋する乙女!木下優子!!!』

 

一部から歓声が上がる。実は隠れファンが結構多いってのは良く聞く話だ。全く隠れも忍びもしてない気もするが。

 

「恋する乙女って何よ!!覚えてなさい放送部員!後でそっち行くからね!!」

 

放送席に向かって顔を真っ赤にして怒鳴りつけている。そりゃ乙女って言われるのは気に入らんだろうな。

 

「ほら晴人。お嬢からのご指名だぜ」

 

「お嬢はお嬢でもワガママお嬢様だけどな?」

 

俺の方を睨みつけて『早く来い』と言わんばかりの眼力を放っている優子を見て雄二がニヤニヤしている、シバきたい。

 

『これを迎え撃つFクラスは……?!な、なななんと!!元学年次席!現代文、及び古文においては学年一位!!数多くの喧嘩により観察処分者に任ぜられながらも、その全てに大義あり!同学年と教師からの信頼は他の誰より厚い学年一のモテ男!八坂晴人ぉぉおお!!』

 

「放送委員さん!!俺そんなにモテてないから!一部クラスメートに殺されるからちょっとシャーラップ!!」

 

『三日前に私を振った罪は重いです!諦めて下さい!』

 

待て待て待て!恐る恐るFクラス側を見る。

 

「「「「「ヤサカコロスヤサカコロスヤサカコロスヤサカコロス」」」」」

 

今すぐ勝負を投げて逃げてしまいたい気分だ。

 

「ふぅん……随分と贅沢な悩みをお持ちだったのねぇ…?」

 

何より、目の前の女が恐ろしすぎる。

 

『木下さん、私は残念ながら即振られました!というのも八坂君には既に意中の──「早く始めろ!!!」あ、はーい』

 

これ以上言われるとただの暴露大会になるので情報は死守する。本当にシャレにならない。

 

「ふぅん……晴人、好きな人居るんだ?」

 

今度は獲物を見つけた獣のような目をしている。何、俺食われんの?怖いんだけど。

 

「今は関係ねぇだろ……さっさと科目選べよ」

 

「フン、数学よ!」

 

ザワザワと群衆がざわめいた。そりゃそうだ、俺の数学の点数の低さは、誰もがわかっている。

 

『なんと?!数学は八坂君の唯一と言ってもいい苦手科目だ!これは木下さん、確実に勝ちを狙いに行ったか?!』

 

「言ったわよね、晴人!アタシは本気で戦うって!サモン!!」

 

 

科目:数学

 

Aクラス 木下優子 537点

 

 

『「「はぁぁぁあ?!500点オーバー?!」」』

 

放送委員さん、明久、雄二の声が重なる。

 

「晴人!悪いことは言わん!!棄権するのじゃ!お主にはフィードバックがあるのじゃぞ?!」

 

「………誰もお前を責めない!!」

 

秀吉、ムッツリーニが必死に俺の弁護に回ってくれている。

 

「──試験召喚獣、サモン!!」

 

 

数学

 

Fクラス 八坂晴人 254点

 

 

『「「「「へ?」」」」』

 

だが表示された点数を見て、今度は全員が目を丸くした。

 

「俺も本気で行くつもりだったからな。ま、今回はたまたま問題の配置もよかったわけなんだが」

 

「苦手科目じゃなかったの晴人!?」

 

「明久、確かに数学は苦手だ。今でも応用問題と図形問題が出たら即死するレベルでな。だが計算だけなら話は別だ!」

 

「あら、アタシが教えた甲斐があったわね、晴人」

 

「ったく、わざわざこんなお膳立てまでしてくれやがって…予想外か?」

 

「まさか、アタシはもしかしたら本気で同じレベルまで点数を詰めてくると思っていたわよ?」

 

「それは流石に買い被りすぎだけどな……限界突破(オーバーリミット)!」

 

腕輪が光るのを見ながら、自分の中で枷を外すイメージを思い浮かべる。二回の戦いの中で自分の限界に気づいた俺は、それを超えるイメージがこの力の先を発揮する鍵になると推論を立てていた。

 

数学

 

Fクラス 八坂晴人 254点 200%

 

vs

 

Aクラス 木下優子 537点

 

 

身体中に痛みを感じるが、頭の中は驚く程スッキリしている。

 

「アンタ……痛くないの?」

 

「何言ってんだ優子。本気で戦うんだろ?お前が先にそう示したんだ、俺も本気を出すに決まってるだろ」

 

「でも──」

 

「これは俺からお前への敬意だ、心配しなくてもお前に負けてやる気はねぇよ」

 

強がりだ、はっきり言えば。

 

でも、この女を目の前にしてそんな言い訳をしたくない。コイツにだけは、絶対に弱音を吐かない。

 

『り、両者召喚獣が召喚され──今、ゴングが鳴りました!!』

 

「もうひとつの技──見せてやるよ、優子。視界共有(コネクト)!!!」

 

『ああっと!!八坂君の腕輪が紫に発光し──八坂君が目を閉じた!!これはどうした事だ?!』

 

目を閉じてすぐ、俺の視界は酷く低い位置に固定される。そう、召喚獣の位置だ。

 

「目を閉じて何のつもり?バカにしてるの?」

 

勿論召喚獣に口はないので普通に喋る。

 

「自分で確かめてみろよ優子。初撃でわかるだろ?」

 

「生意気な!その減らず口、今すぐ封じて──え?!」

 

『なんと!目を閉じた状態で攻撃を、それもスレスレで躱したました!!なんという操作技術!』

 

「まさか……晴人、アンタ──」

 

「そのまさかだよ、優子。俺の視界は今、召喚獣の視界と接続されている」

 

もちろん、その分脳が軋むような感覚があるが、そんな事今はどうでもいい。

 

(ククク……大分無茶してやがるなぁ?俺の支配力が増すだけだぜ、アイボウ?)

 

頭の奥に聞こえてくる声を黙殺しながら優子の召喚獣と向き合った。

 

「さあ、俺からも行くぞ!!」

 

「くっ……このぉっ!!」

 

木下優子:537→507→485

 

ジワジワとこちらの攻撃が響いている。だが、そう簡単にはいかない。

 

「てりゃぁぁあ!!!」

 

「くっ……危ねぇっ!!」

 

八坂晴人:254→232

 

槍先が掠っただけで2割近く抉られてしまった。どんなに性能が向上した所で、元の点数が下がれば攻撃力も加速的に低下していく。

 

「アンタの腕輪の力、性能を底上げできるのは便利だけど!元の点数を下げられてしまったら加速的に弱くなっていくわよねっ!」

 

「クソっ……!」

 

当然、既に見切られている様で、ジワジワと体を削られている。

 

 

八坂晴人:232→225→211点

 

木下優子:485→452→432点

 

 

「まだまだぁっ!!」

 

「きゃあっ!!」

 

槍を近づくことで躱し、懐に潜り込んで一閃する。

 

木下優子:432→332点

 

直撃は流石に響くらしく、かなり大きく点数を抉ることが出来た。だがここで、元から備え付けられているナイフが底を尽きてしまう。ここからは自分の点数を削ってナイフを使わなければならない。

 

「ふふっ、ナイフも尽きたわね?そろそろ投降したら?私にはまだ腕輪も残ってるわ」

 

「まだだな……次で決めてやる!!」

 

八坂晴人:211→201点

 

点数を消費して2本のナイフを両手に持つ。

 

「フッ!!」

 

そのうち一本を思い切り投擲、それと同じ速さで召喚獣を前に進ませる。

 

「弾いてそのまま叩き潰してやるわ!!」

 

優子が槍を振り上げたところでもう片方のナイフを投擲。俺自身の速さが乗っている後から投げたナイフを慌てて優子は弾く。

 

「ぐっ──しまった!!」

 

「貰った!!」

 

そのまま裏に回り込み、鎧とプレートの隙間にナイフを切りつけていく。

 

木下優子432→412→382点

 

そして、振り返った召喚獣の足を払い転ばせ、ナイフを心臓に振り下ろした。弱点補正で、一気に点数が減少する。

 

木下優子:382→40点

 

「後一撃で──ガハァッ?!」

 

左胸に強烈な痛みを感じると、視界共有が解除される。

 

八坂晴人:201→0点

 

木下優子:40点→177点

 

「ど──して……?!」

 

そこまで言うのが精一杯だった。痛みに意識を失う俺が最後に見たのは、こちらに駆け寄ってくる優子だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っ………」

 

どうやら、天井を眺めているようだ。ふと、影がさして見慣れた顔が目の前に迫る。

 

「優子…?」

 

「無茶しすぎよ……バカ…」

 

優子は目に涙をいっぱいに浮かべていた。

 

「あぁ…俺は負けたんだな……雄二は?」

 

「ん?呼んだか?」

 

近くにいたらしい雄二が現れる。

 

「悪ぃな…負けちまった……」

 

「気にすんな。俺が科目選択権を渡さなかった時から覚悟はしてたからな。それでも大健闘だ。ゆっくり休んどけ」

 

「俺も見届けるよ──優子、膝ありがとな。もう大丈夫だっ…!」

 

立ち上がったものの足元がぐらつき倒れかける。咄嗟に優子が肩を貸してくれる。

 

「ダメよ…そんなに簡単に治るわけないでしょ」

 

「うっせ、大丈夫だよ。どうせ明日と明後日は休みだろ」

 

「………」

 

「どうした、黙り込んで」

 

「…ごめんなさい、アタシがアンタを焚き付けたからこんな──」

 

「優子……」

 

「アタシ、アンタの事全く考えてなくて──きゃっ!」

 

優子の形がいい額にデコピンをする。涙目で額を抑える優子の思わぬ可愛さにドキッとしながらそれを押し隠す。

 

「な、何すんのよ!」

 

「あの勝負は俺が受けたもんだからいいんだよ。今の俺の限界も知れたしな。本気で戦ったから得られたもんだ、だから今回はそれでいいんだよ。

 

…俺の方こそ悪かったな。無茶な腕輪の使い方して。暫くはああいうのは控えるよ」

 

お前に気苦労をかけたくないしな、これは心の中でだけ呟く。

 

「ほ、本当よ……無茶したら許さないんだから」

 

「ああ。ま、それじゃあ見届けるか。この勝負の結末を」

 

「ええ、そうね」

 

『さぁ!盛り上がってまいりました第三戦目!!八坂君が無事で良かった!さてそれは置いておいて今回はFクラスの土屋康太君とAクラスの工藤愛子さんの対決!』

 

「………科目は、保健体育」

 

『ここで後がないFクラス!科目選択権を行使した!』

 

「土屋君だったよね、随分と保健体育が得意みたいだね?」

 

工藤さんがニコニコとムッツリーニに話しかける。

 

なるほど、こりゃ見物だ。保健体育対決か。

 

「ボクも保健体育かなり得意なんだ──勿論実技で、ね♪」

 

……時々、工藤が本当にAクラスなのか疑問になる。

 

「そっちのキミ、吉井君だっけ?勉強苦手そうだし、保健体育で良かったらボクが教えてあげよっか?勿論実技で」

 

明らかに楽しんでるな、後ろで姫路と島田が慌ててるし。

 

「フッ。望むところ──」

 

「アキには永遠にそんな機会なんて来ないから、保健体育の勉強なんて要らないのよ!」

 

「そうです!永遠に必要ありません!!」

 

「……プッ」

 

「晴人!今笑ったね!!僕のことを笑ったね!」

 

「笑wってwねwえwよw(笑)」

 

「晴人、笑い過ぎて文字化けしかけてるわよ」

 

「大丈夫だ明久。来世できっといい事がある」

 

「それ現世で希望捨てろってこと?!」

 

腹を抱えて笑っているこちらを殺さんばかりに明久が睨んでいる。すると今度はコチラに工藤が話を振ってくる。

 

「それじゃ、八坂君はどうする?確かキミは保健体育のそっち系だけ弱かったよね?」

 

「………いや、そうだけど今ここで話す事か?」

 

「いやぁ、シャイなのが可愛いなーって」

 

「うっせ…別にいいだろ!それに、そーゆー実技は好きな人とするものだろ」

 

「やっぱり身持ちが固いよね〜」

 

目を細めて、何故か工藤は優子を見てニヤニヤしている。

 

「さて、茶番はこのくらいにして始めよっか土屋君、試験召喚獣サモン〜っと」

 

「………サモン」

 

目を見張るのは矢張りAクラス、工藤の召喚獣。バカでかい斧に腕輪付きとあっては、やはり全体にどよめきが走る。

 

電光を帯びた斧が空気を切り裂きながらムッツリーニの召喚獣に迫る。

 

「それじゃ、バイバイ。ムッツリーニ君」

 

その時、確かにムッツリーニが笑った。

 

「…………加速」

 

「……え?」

 

「…………加速、終了」

 

 

科目:保健体育

 

Fクラス 土屋康太 572点

 

vs

 

Aクラス 工藤愛子 446点→0点

 

『勝者!Fクラス!!』

 

『なななんと!!一瞬で勝負がつきました!!今映像が──土屋君の召喚獣が工藤さんの召喚獣を一瞬で数十回切り裂いて仕留めている!!これが土屋君の腕輪の力ということでしょうか?!』

 

これで1勝2敗、後が無いとはいえこの1勝はデカい。

 

『さぁ!Fクラスの逆転が見えてきたぞ!そしてここで四戦目!五戦目を両クラス代表対決とするのならここは──やはりここで大本命!久保利光と姫路瑞希の登場だァァあ!!!』

 

「大本命って……晴人の方が成績上なのに」

 

「そう言っても、知名度は姫路の方があるだろ。それに久保も姫路も入学当初から頭良かったからな。俺の成績が上がったのは二学期末からだから仕方ないさ。てか、なんで優子が拗ねてんの?」

 

そもそも、知名度なんてあってもなんの得にもならない。

 

「別に拗ねてないわよ!ただ、努力してる人が正当な評価をされてないことが納得いかないだけ!」

 

「そっか……ありがとな」

 

「べ、別にあんたの為じゃないし……」

 

そんな事を話しているうちに、科目が決まっていた。どうやら総合科目で戦うらしい。

 

「「試験召喚獣、サモン!!」」

 

 

科目:総合科目

 

Aクラス 久保利光 3997点

 

vs

 

Fクラス 姫路瑞希 4409点

 

 

『なんと!姫路さんの点数は八坂君に匹敵する点数だ!!』

 

「ぐっ……!姫路さん、どうやってそんなに強く……?!」

 

「……私、Fクラスの皆のことが好きなんです。人の為に一生懸命な皆のいるこのクラスが。だから、私も皆の力になりたいんです」

 

姫路は笑いながらそんな事を言う。決着は一瞬だった。

 

『姫路さんが危なげなく勝利してこれで星は五分!残りの代表対決に勝敗が託されます!!』

 

最後に一人ずつ、両クラスから歩いてくる。最底辺(Fクラス)代表と最高峰(Aクラス)代表、真逆の位置にいる二人が相対する。

 

「このときを夢に見たぞ……翔子」

 

その言葉に、ポっと霧島は顔を赤らめる。

 

「……デートプランは準備OK」

 

「俺が負ける前提で話すな!!」

 

微妙に2人の思考がずれているが気にしたら負けだ。

 

『さぁ坂本君、科目指定を!!』

 

「科目は日本史、内容は小学生レベルで方式は百点満点の上限ありだ!」

 

「こんなの、両方満点に決まってるのに……それとも何か策があるの?」

 

「まあ、それは見てればわかる事だ…どちらにせよ、これで決まるんだからな」

 

今から対策されても困るので、疑問符を浮かべた優子には悪いがここは黙秘させてもらう。

 

「雄二!後は任せたよ!!」

 

明久が差し出した拳に、雄二も拳を当てて応える。ニヤリ、と笑みを交わす二人を見るとやはり彼らは悪友、親友と呼ぶに相応しいと納得させられる。

 

「坂本君が攻め……やっぱり吉井君は受けかしら…いや、坂本君の誘い受けの線も微レ存…」

 

……隣に趣味の世界に浸ってる奴が居るのは置いておく。

 

「秀吉、ムッツリーニ、晴人。お前達には特に助けられたな。感謝している」

 

「…………フッ、これからも任せろ」

 

「ウム、ワシらにとってここは単なる通過点じゃからの」

 

「らしくねえ事してないでさっさと勝ちを持ってこい」

 

俺達に出来ることは、礼を言ってくるコイツを激励してやることだけだろう。そして最後に姫路が坂本に話しかける。

 

「坂本君、あのこと教えてくれて、ありがとうございました」

 

「ああ、明久のことなら気にすんな。ま、頑張れよ」

 

なにやら話し込んでいる、随分仲良さげ──霧島が凄まじい殺気を雄二に放っているのは気のせいか?気のせいだよな、うん。

 

『テストは別室で行われます!皆様はモニターにご注目下さい』

 

放送部員の指示に従いモニターに目をやる。どうやらここに問題が表示されるらしい。

 

「晴人、いい加減教えなさいよ。坂本君はどんな作戦を立ててたのよ?」

 

「あぁ、大化の改新だよ。それの年号、雄二が間違えて霧島に教えたんだってよ。小学生レベルの問題なら頻出だろ?」

 

「ふぅん……この勝負、代表の勝ちね」

 

「はぁ?何言ってんだ優子?」

 

「あのね、テストって一問で全てが決まるわけじゃないのよ?総合的な点数勝負なら、仮にその一問を確実に代表が間違えるとして、坂本君が満点をとるのが前提条件よね?」

 

「そりゃ、流石に小学生レベルの問題で──「日米和親条約の締結年は?」……1854年だろ?」

 

瞬間的には出てこなかった。

 

「日本史が得意なアンタすら一瞬とはいえ逡巡する問題を連発で出されて、果たしてあの坂本君にノーミスが成し遂げられるかしらね?」

 

……やべ、完全に想定してなかった。

 

『さぁ!!両者の点数が出揃いました!!モニターに出ます!』

 

 

日本史 限定テスト 100点満点

 

Aクラス 霧島翔子 97点

 

vs

 

Fクラス 坂本雄二 53点

 

 

……せめて9割は取ろうぜ雄二。

 

 

戻ってきた雄二を見るや否や、明久を筆頭にクラスメイト達が群がってくる。全員が身体中に殺意を漲らせている。

 

「……殺せ」

 

「上等だァ!この場で息の根を止めてやる!!」

 

「ダメです吉井君!!落ち着いて下さい!」

 

「大体、53点ってなんだよ!この点数だと如何にも──」

 

「これが俺の全力だ」

 

「このドアホォォオー!!」

 

「アキ、落ち着きなさい!アンタは30点も取れないでしょうが!」

 

「それについては否定しない!」

 

「だったら坂本君を責めちゃダメです!」

 

「そもそも、俺も明久も雄二と同じ敗者だろうが。他の奴らなら兎も角俺達にこいつを責める権利はねえよ明久」

 

俺の一言が決め手となったのか、明久が急に大人しくなる。と、そんなカオスな状況に霧島が歩いてくる。

 

「……危なかった。雄二が油断してなかったら負けてた」

 

「言い訳はしねぇ」

 

「負けた俺が言うのもなんだが、もう少し勉強した方がいいんじゃないか?」

 

「そうだな、副官より点数が低いんじゃ代表の名折れだ」

 

「……ところで、約束」

 

ん?ああ、すっかり忘れてた。負けた方は勝った方の言うことを聞くんだったな。

 

「優子、お前も何かあるなら聞いておくぞ」

 

「そうね……帰りながら話するわ」

 

「ん、了解」

 

そして、霧島も雄二に──

 

「……雄二、私と付き合って」

 

ま、やっぱりな。雄二、俺、優子を除く全員が目を丸くしている。いや、幼馴染の時点で察しがつくだろ。

 

「やっぱりな。お前、まだ諦めてなかったのか」

 

おおっ、雄二なんか主人公っぽいな。

 

「……私は諦めない。ずっと雄二のことが好き」

 

「拒否権は?」

 

「……約束は約束、今からデートに行く」

 

「放せぇ!!この約束はなかったことに──」

 

最後まで何かを言い切る前に雄二は教室の外に連行されていった。

 

苦笑いをする俺と優子、まだ状況を飲み込めていないFクラス、大胆な告白に赤面する女子達。そんな沈黙を破ったのは征服王のような、また伝説の傭兵の様な声だった。

 

「さて、Fクラスの諸君。遊びの時間は終わりだ」

 

「あれ、西村先生?何か用ですか?」

 

「ああ。我がクラスの補習に関しての説明をしたいと思ってな」

 

は?我がクラス、だと?それはつまり──

 

「おめでとう。お前らは戦争に負けた事により、担任が俺に移ることになった。これから一年、死に物狂いで勉強出来るぞ」

 

『「なにぃっ?!」』

 

俺を含めたクラス男子全員が悲鳴を上げる。

 

「確かにお前らはよくやった。学力が全てじゃないという言葉は確かに証明された。だが、学力が武器になるのもまた確かな話だ。お前らが勉学を疎かにする理由にはならないだろう?」

 

まあ、そりゃそうだろう。西村先生の言葉には全面的に同意する。

 

「吉井。お前と坂本は特に念入りに監視してやる。何せ、開校以来初の観察処分者とA級戦犯だからな」

 

「なんで僕と雄二だけ?!明らかに起こした問題の回数は晴人の方が多いでしょ?!」

 

「八坂はペナルティーを全てこなしている。お前らと違って逃げていない。それに、アイツの行動は筋が通っているものがほとんどだからな。本当なら観察処分者になる事自体が不当ですらある」

 

「えぇい!晴人を道ずれにできないのは残念だけど何としてでも僕は監視の目を潜りくけて今まで通り楽しく学園生活を送ります!!」

 

そんな事を堂々と宣言してどうするバカものが。

 

「……お前には悔い改めるという発想はないのか」

 

「西村先生、補習は今日からですか?」

 

「いや、来週の頭からだ。八坂、お前はボロボロだろうから先に帰って構わんぞ」

 

「わかりました、だとさ優子。帰るか」

 

ずっと隣にいた優子に声をかける。

 

「ええ、そうね………よし!帰りましょ」

 

「??変な奴だな、帰るだけなのに」

 

そうしてAクラス戦は集結し、俺達は帰路についた。




如何でしたでしょうか?

今回にて原作第一巻分が無事(?)終了致しました

勿論、今後とも彼らの物語は続きますのでお待ちいただけると幸いに思います

また、ここまでお読み下さりありがとうございます


それでは、また次回更新で
黒っぽい猫でした

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